バキ外伝疵面 



今回の疵面は原作・漫画板垣恵介だ!
いや、原作の意味ないじゃん。板垣先生が書いただけじゃん。
外伝を自分で書くという掟破りだ。
これはバキは自分にしか書けないと暗に示しているのだろうか。


10月10日、皇居の周囲を柴千春は歩いている。
柴千春の周囲にはジョギングに勤しむ一般大衆がたくさんいる。
が、柴千春は走らない。歩いている。

(運動らしい運動は 2年以上もやってねえ……)

柴千春は聞かれてもいないのに語り出す。
運動を2年以上やっていないって、非常に印象が悪い。
自宅警備員なのか?
何、自宅警備員だって雑誌のモデルになれるご時世だ。
恥じる必要は何一つない。

(鍛えるってこたァアレよ……… 卑怯なことなんだぜ……)
(格闘技やスポーツで鍛えた身体で 喧嘩するなんざオメェ――――――)
(言ってみりゃアレだ…)
(不意打ちと一緒だっつーの)


柴千春の言っていることはかつて独歩が言っていたことと一緒だ。
鍛えて戦うのは不意打ち同様…だから、柴千春は鍛えないことにしていた。
対する独歩は武とはそもそも卑怯なものとわかっているので、鍛えることに躊躇いはない。
…心構えの時点で柴千春はダメだな。

就職活動をすることは卑怯なことなんだと自宅警備員柴千春は吠えていそうだ。
就職活動して、就職して、金を得ることは不意打ちは一緒!
だから、家に閉じこもるぜ。
柴千春の熱い決意が伝わってくる。

(だもんで俺も―― 鍛えねェ)
(格闘技……? とんでもねェこった)
(ジョギング?筋トレ――?腹筋――?サプリ―?)
(ダイエットギャルかッつーの!!!)


ポーズを付けてまで柴千春は力説する。
いや、あんた、一人じゃん。
完全に自分の世界に入りきっている。
柴千春ってこんなにダメなキャラだったか?

中二病を背負ったまま、大人になればこんな人間が生まれるのだろうか。
そういえば、真の天才は勉学などせずとも結果を残せる。
だから、俺は予習宿題などを一切しない!という人を中学時代に見たな。
…すみません私です。中二病だったんです。

(こうして俺はアレだ…… 近付いているワケだ)
(あの人に……)
(孤高の巨人…… 大不良――――花山 薫大兄に!!!)


すごい理屈が出た!
鍛えていない。だからこそ、花山薫に近付いている!
いや、全然意味がワカラン。
むしろ、遠ざかっていないか?

花山は努力しない。
だからといって努力しないことが花山に近付いていることにはならない。
これは猿真似だよ、柴千春。
サッカー選手のファッションを真似すれば、サッカーが上手くなれるわけでもあるまい。

しかし、トリップ中の柴千春に何を言っても無駄だろう。
「フフ……」とキモい笑みまで浮かべているほどだ。
多分、何を言っても無駄だ。
今の柴千春は理屈では理解(わか)ることのできない状態なのだ。
…こんなに面白い人だったかなぁ…

一人勝手に得意げになっている柴千春だったが、ある拍子に笑みが止まる。
何と花山がTシャツに短パンでジョギングしている!
色使いは白に黒と実に毒気がない。スニーカーも履いて健康的だ。
でも、違和感に溢れている。
ふんどし一丁で侠客立ちを見せている方がまだナチュラルだ。

柴千春は大驚きだ。
あの花山薫がジョギングしている!鍛えている!
びっくりだよ。超びっくりだよ。

「何鍛えてンですか花山さんッ」
「短パンなんかはいて……ッ 完全に鍛えてじゃないですかッッ」


そして、ものすごい馬鹿がいた。
ジョギングしていたら鍛えていると突っ込まれるなんて、花山は思いもしなかっただろう。
ジョギングすることは決して悪いことではない。むしろ、健康で素晴らしい。
何で突っ込まなければいけないんだ。

もっとも、花山がそんなことをするなんて思いもしなかったので何となく気持ちはわかる。

だから、鍛えることよりも、花山が短パンでジョグしていることに突っ込め!
…うん、ツッコミどころはそこだよ。
フンドシじゃないんですか!とか突っ込むべきだよ。
フンドシでジョグしているのならさほど違和感はないと断言できる。

「今日はおめェ…」
「国家(くに)が決めた」
「そうゆう日だろうが」


的外れなツッコミをする柴千春に対し、花山は拳骨を食らわせる。
この一撃で柴千春の靴は脱げ、頭から地面にぶつける。
いや、花山ならこれくらいの力はあるだろう。
だが、やりすぎのツッコミだ!地面にヒビがはいっているぞ!
花山薫、本気のツッコミであった。

[その日が「体育の日」であることを千春が知ったのは 帰宅してからのことだった]

体育の日だったから花山はジョグをし、国家の祝日を知らなかった柴千春には一国民として殴ったのだろう。
こう書けば自然…いや、全然不自然だ
花山が短パンでジョグするくらいに不自然だ!
祝日に合わせてその日のやることを決めるなんて、けっこう花山ってお茶目だな。
ギャップ萌えと言うヤツか?

体育の日であることを知らなかったということは、やっぱり柴千春って自宅警備員なのか?
刃牙にニート仲間ができたぞ!これで勝つる!
刃牙も明日からやる主義だし、鍛えないことで憧れに近付いている主義の柴千春とは仲良くなれるかもしれない。

そういえば、柴千春は刃牙をさん付けしていた。
柴千春にとっての真の憧れは刃牙なのかもしれない。
だって、刃牙って特に鍛えている空気がないのに強いし。
鍛えていないのにピクルに追いついちゃった人だし。
よし、柴千春。刃牙に弟子入りしろ!
そして、何もしない日々を過ごす。



サイトTOPに戻る Weekly BAKIのTOPに戻る