餓狼伝 Vol.225



丹波が本気になった!
本気になった丹波は何年ぶりだろうか。
北辰館トーナメントでは丹波は本気になる以前に出番がなかった。
ここ最近は出番あったけど卑怯だった。
今こそ丹波の真価が試される時だ。


「ヤラれちゃいますか 丹波があの3人に」

「なワケねェーじゃん」


リプレイするかのようにグレート巽と川辺の会話が繰り返される。
相変わらずグレート巽はいい笑顔である。
あまりにいい笑顔過ぎて逆に引く。
完全に外道レスラーたちは餌扱いだ。

「闘争(たたか)いが」
「命のやり取り 仮に殺し合いまで純度を増したとするなら」
「あの丹波を相手に 立っていられる漢(おとこ)は……」
「この巽 真を含め この世に数人てところだろ」
「たとえ全世界を探し回ったとしてもな」


知らぬ間にその実力が世界規模になっていた丹波であった。
地上最強にほど近い人物になっていた…
ぬう、いつの間にか最強になっちゃった刃牙みたいだな。
これが主人公補正という奴だろうか。妬ましい。


さて、真夜中の戦場、駐車場へと場面は移る。
丹波は掴みかかろうとする犬飼(長身)に対し、頬に足先蹴りで迎撃する
ツマ先が頬にめり込む危険度の高い打撃だ。
砕けた犬飼の歯が周囲に飛び散る。
丹波の蹴りの威力と危険性を物語っている。

のけぞった犬飼に対し、丹波は容赦することなく追い打ちを仕掛ける。
膝に跳び蹴りだ。
犬飼の骨が肉の外へとはみ出る。
これでもう立ち上がることは出来ない。
犬飼、再起不能(リタイア)。

僅か2発で3人のうちの一人を丹波は沈めた。
矢継ぎ早に、威し文句を言うことなく今度は麻田(ハゲ)に突っ込む。
そして、右手を麻田の口の中に突っ込み頬を掴む。
Vol.222の仕返しか?

ベリッ

丹波は麻田の頬を引き裂いた。
歯が剥き出しになった。
プロレスには存在しない痛みだ。
これにはタフネス自慢のレスラーといえど耐えられまい。
麻田、再起不能(リタイア)。

麻田が砕かれた瞬間、須黒(チビ)が丹波の右脚に掴みかかる
掴めたのは片脚だけだ。
そして、丹波は倒れない。
もはや戦闘開始時のような隙が丹波にはないのだ。

麻田は悪あがきのためだけに掴みかかったのだろうか。
いや、ただの悪あがきではなかった。
丹波の右脚に噛みつく。
猛獣のように…とは言い難いが、噛みついた。
もうまともな勝負は投げ捨てていることが伺える。

[ただ――]
[この技術には注意すべき点がある]
[そう―― 噛みつく対象の着衣――]
[布の強度を把握しておかなければならない]

噛みつかれた丹波は取り乱すこともなく、右脚を一気に振り抜く。
レスラーの腕力を持ってしても今の丹波を押さえつけることすら出来ないのだ。
さて、脚を振り抜いたらどうなるのか。
噛みつきに用いた歯が全て持って行かれてしまった。

[プロレスラー犬飼五郎の不運]
[対象の布が頑丈なジーンズだったこと――]


丹波がジーンズを履いていたため、須黒は歯全てを持って行かれることになってしまった。
勇次郎がジャックの頸動脈を噛み切った時に、衣服を吟味するように言っていた。
なるほど、こうなるわけなのか。
ついでに作中では須黒が犬飼と表記されているが、それについては後々。

須黒の歯を奪い取った丹波はすかさず後ろ蹴りを須黒に当てる。
完全に無防備を狙いすました蹴りだった。
須黒は為す術もなく倒れることなる。
須黒、再起不能(リタイア)。

こうしてオール白目の丹波による外道レスラー軍団は全滅するのだった。
怒濤の破壊劇だった。
本気の丹波の恐ろしさをまざまざと見せつけられた。
実戦派の武道家だけあり、実戦における切れ味は凄まじいものがある。
いつの間に世界最強クラスになっていたのは伊達ではない。

最近の丹波は武器や駆け引きばかりで勝利していた。
しかし、丹波の真価はそれではなかった。
実戦において真価を発揮する技術の持っていることこそが、丹波の真骨頂なのだ。
ここ数年の不遇な立場全てを覆すかのような大活躍だ。
丹波かっこいいタル〜。
…刃牙も…こんな風に頑張ってください…
次回へ続く。


丹波が大爆発した。
出番ないとか、主人公(笑)とか、卑劣漢とか、ネタにされてきた過去を全て払拭した。
あの丹波がたった1話で評価を改めた。
ならば、梶原だって!
…ムリダナ。

これで外道レスラー編は終わった。
次は誰が丹波の前に立ちはだかるのだろうか。
丹波と実戦で五分れるのは世界に数名だけらしい。
逸材だ。そんな逸材、そうはいない。
でも、グレート巽ならそんな逸材を手の内に持っていそうだ。
これから先、どうなるのかはグレート巽次第か。

さて、須黒の謎についてです。
作中では須黒(チビ)の名前は犬飼(長身)と表記された。
私が間違えたのかとまず疑った。
なので、当時のイブニングを見て実際に確かみてみた。



…うん、たしかに須黒だ。たしかに須黒と書かれている。
犬飼はデカい人だよ。間違いない。

普通に間違えたのだろうか。
丹波が丹羽になるくらいだ。
犬飼と須黒が入れ替わってもおかしくはない。
それとも、グレート巽が間違えちゃったのか?
真相は単行本待ちだ。
単行本になると丹波が全部丹羽になったりして。


Weekly BAKIのTOPに戻る