範馬刃牙 第109話 奇妙な二人



花山とピクルが対峙した。
お互いに技術ゼロの超雄だ。
そして、花山のふんどしにはピクルも満足することだろう。
ふんどしなんてある意味全裸よりも雄度が高いですよ。
花山のふんどしにあこがれを持ったピクルは、剣持武志から奪ったパンツを破り捨ててふんどしを探し始めるのだろう。
野生でふんどし専門店を見つける。


「強ええんだってな」

曰くティラノサウルスよりも強い雄、曰く烈海王を食った雄だ。
その噂が花山のアンテナに引っかかったのだろう。
ピクルが脱走してからすぐに見つけたということは、前からピクルのことを付け狙っていたのかもしれない。
花山組の組織力もまた侮れないものがある。
米軍基地に行かなかった理由はアレだな。白スーツはいくら何でも目立ちすぎるからだ。
…空手着の人が簡単に忍び込めるから、花山も可能っぽいけど…

神心会の男、寺田は冷や汗混じりで花山の説得にかかる。
そりゃ無茶だよ。
もう無茶だとわかっているんだろうな。
誠心誠意腰を低くしているが花山がそんなことを言って聞く男じゃないだろう。
外伝だってなかったことにしている男なんだぞ。
いや、それは関係ない。

そんな寺田に対し、花山の右腕木崎が匕首を当てる。
おお、木崎だ。バキ世界の名脇役である。
「バキ」には一度も登場していなかったため、本編には実に9年ぶりの登場となる。
元気そうで何よりだ。

木崎と寺田。共に花山の右腕、克己の右腕だ。
空前絶後の右腕対決が始まった。
…も、盛り上がらねえ…

寺田は花山には目の前に立たれるだけで冷や汗全開だったが、刃物を突き付けた木崎に対しては至って冷静だった。
弱いヤツには強いということか?
おいおい。寺田。それでいいのかよ。寺田。
克己が満身創痍のドイルを殴りまくった姿を見て、どうせ狙うなら弱い奴にしようと思ったのだろうか。
あの時は克己も重傷だったから、その辺もちょっとは見習ってください。

寺田は刃物に一切動じず、木崎に事情を説明しようとする。
が、その話で木崎の気を引いてすかさず眉間に手の甲を軽く当てて視界を奪う。
ああッッ。木崎があっさりとやられている!
そして、匕首を持った左手に蹴りだ。
木崎は匕首を手放してしまい、せっかくの武器が空中へ浮かぶ。一気に形勢逆転だ。
神心会は刃物対策の研究会を開くほどの実戦派空手だ。(バキ14巻)
刃物対策はお手の物ということか。

出番も存在感も、寺田よりも圧倒的に上のはずの木崎が翻弄されるのはなんか寂しいものがある。
寺田が刃物でビビったらそれはそれで困るけど。
そういえば、刃牙のお目付役だった栗谷川にも同じように扱われていたな。
…やっぱり、弱いんだ。木崎…

ただ寺田がこんなことをしてもあんまり意味ない。
大事なのは花山にいかに引いてもらうかだ。木崎を倒すことではない。
ラスボスの目の前にいるスライムを倒したようなものだ。
ラスボスはスライムの何倍も強いぞ。

さて、雑魚同士の対決は置いておこう。
木崎の匕首は幸か不幸か、いや多分不幸だな。ピクルの目の前に飛んでくる。
ジュラ紀にはなかった鋭利な金属だ。興味深いものだろう。
好奇心に身を任せるまま、飛んできた匕首をダイレクトキャッチしようとする。
いや、待て。お前は投げたものを追いかける犬かよ。
未知の物に無警戒に手を出すと長生きできないぞ。
匕首なんてヘタに触れれば切れる。非常に危ないものだ。

そういえば、ピクルはパトカーを無遠慮に投げたりもしていた(ピクル5話)。
普通、未知の物は恐怖の対象だ。
考えが原始的なピクルにとって、そのなおさらのはずだ。
だが、自分のまったく知らない存在に対してもまったく恐れない。
肝が据わっているというか、無謀というか。

隙だらけの王者の睡眠をしていたほどだし、ピクルはあまりの強さから万事に対して警戒する必要がないのだろうか。
ジュラ紀という並みの戦場よりも厳しい環境の中、勝利だけで人生を形成してきたこその貫禄のある無防備かもしれない。
トラックに突然衝突されてもノーダメージだからなぁ…
警戒するだけ無駄なのか?
もしかしたら同じように克己も強いからこそのノープランかもしれない。
ねーよ。

ピクルは本能赴くままに匕首の刃の部分を握る。
掴む場所を間違えています。本当にありがとうございました。
だが、匕首を握ったのはピクルだけではなかった。
花山も同時に匕首を手に取った。
匕首を挟んでの握力勝負を敢行だ!
二人とも、手が切れますよ。

さりげなく花山は匕首の刃の部分が手の内側に来るように、つまりピクルを守るように握っている
実に花山らしい気遣いだ。
これから戦おうという相手を負傷から守ろうだなんて、並みの男にはできない。
まさに漢の鑑である。

しかして、こんなことをすれば手が切れる。重傷だ。
それも常識外の握力の前にそんなものは吹き飛ぶ。
匕首を手に握力比べをしているというのに血がまったくこぼれ落ちていない。
握力が刃物を凌駕した瞬間なのだ。
握力が強くても手が切れないことにはならないがそんな常識も吹き飛ぶ。
吹き飛ぶんだよッッッ。

[奇妙だった]
[強い力で握ってくる…………]
[行為そのものは攻撃だった]
[なのにこの雄(オトコ)は]
[のことが大好きなのだ]

ピクルのラブラブセンサー(仮)が引っかかった。
自分が好きな相手との戦いには燃え上がるのがピクルだ。
でも、自分が好きな相手だと号泣する。難儀なピクルだ。

バキ世界における最高の握力の持ち主(除く勇次郎)である花山と握力勝負をする。
並大抵の格闘家なら手を握り潰される。
いや、烈などの一流でも花山の握力には対抗できないかもしれない。
花山の握力は神格化されるほどに強力なものなのだ。

だが、ピクルの顔に焦りはまったくない
花山の握力を持ってしても「強い力」扱いだ。脅威になっていない。
ピクルの身体能力の前には花山の握力も霞むのか?
あ。匕首で手が切れるのが怖いから手加減をしているという話はなしでお願いします。

驚愕の握力に挟まれた匕首は折れて当たり前のように折れる。
折れず曲がらずの日本刀だが、バキ世界では曲がるどころか折れ放題である。折れて当然だ。
同時に強く、それでいて自分に想いを寄せる花山を好敵手と認めたのか。
ピクルは満面の笑みを浮かべる。
シベリアトラを目の前にしような笑みだ。花山はシベリアトラと互角だ!
…言い方が悪かった。ごめん。
でも、笑っていられるのも最初だけだぞ。
後になれば泣いて食うんだから…


さて、その一方神心会では愚地親子が対立していた。
上着を押さえて動きを封じる。喉仏に親指一本拳をめり込ませる。座るように崩れ落ちる。
いきなり決着だ。

しかし、やられたのは当然克己ではない。
克己が独歩を倒したのだ。
当然の結果である。

………

……



ええ?克己が?
おいおい。これ、壮絶な作画ミスじゃないだろうな。
そう疑ったが確かに克己が独歩を倒していた

独歩の上着を押さえることで動きを封じ、その隙に必殺の喉仏を攻める一撃だ。
ノープランな一面ばかりが目立つ最近の克己だったが、ドリアンをガソリンで燃やす危険な空手家の顔もあった
コケてる回数の方が多いのだが、克己も今や実戦派の空手家である。
独歩の僅かな油断を狙い澄ました見事な不意打ちであった。

「フツウの組手なら使わないよな こんな技術(わざ)」
「ましてや親子ならなおさらだ…………」
「ごめんな……親父…………」


崩れ落ちた独歩に対し、克己はどこか寂しげだ。
尊敬し巨大な壁であった独歩を不意打ちで倒してしまった。
本来ならば真っ向勝負で勝ちたかった相手ではないのだろうか。
こんなやり方では父親を超えたことにはならない。
そんな感情がありそうだ。

でも、独歩が絶対にやられていないという安心感はなんだろう
独歩は勇次郎の連撃を受けても、渋川先生の投げを受けても、それでもなお立ち上がった男だ。
どうみてもこの程度でやられるわけがない。
死んだふりも普通の組み手では使わない一手だ。
勝ったと思っている今が一番危ない。
まぁ、さっくりとやられる一面もあるけど。Jr.との1回戦目とか。

ただの親子喧嘩ではない技を克己は使った。
克己の覚悟を見届けたことで、独歩の反撃が始まるのだろうか。
そして、親子には使わない技を炸裂させる。
金的とか。
子の睾丸を潰せば血が途絶えます。親子なら使う技じゃありません。
克己の受難は間違いなくこれからだ。
今のうちに金玉を押さえておこう。


揺れる神心会本部は置いておいて、場面は繁華街に戻る。
花山を強敵と認めたピクルは早速殴っていた
多くの恐竜に振るわれてきた野生のパンチだ。
タフネスが自慢の花山が吹き飛ぶ。
あの花山がたった一度の打撃で吹き飛ぶというのは初めてだ。
マッハ突きと幾度となく受けても、のけぞることはあれど吹き飛ばなかった。
やはり、ピクルは規格外の暴力の持ち主である。
ピクルは花山と真っ正面から殴り合える初めての雄になりそうだ。

花山が先手を取られた。
勇次郎以上の力でモロに殴られたのだ。
いくら花山でもキツいかもしれない。
それでも、花山なら…花山なら何とかしてくれる…!
散々、克己にはダメ出ししたのに花山なら何とかしてくれると思ってしまう。
花山は克己に負けたことがあるのに…
この信頼の差はやはり人望か?
ゴールデンウィークを挟んで、再来週から喧嘩師の意地を史上最強に見せるのか。
次回へ続く。


花山とピクルの超雄対決が始まった。
実は花山は自分と同じタイプの相手と戦うのは初めてだ。
技術を用いず自分の拳のみで戦う人間とは一度も戦ったことはない。
対戦者のほぼ全てが格闘家だったのだ。
スペックも技術がないといえばないけど、武器を使っていたので除外しておく。

ピクルとの戦いは技術が混ざる要素がないため、純粋な喧嘩になりそうだ。
喧嘩師花山薫の本領発揮である。
でも、ピクルにとっては喧嘩ではなく食事だ。
花山は生存を賭けた勝負にどんな侠気を見せるのか。
拳銃や日本刀が飛び交うヤクザ同士の抗争とは違った危うさがある。

この勝負は喧嘩で終わるのか、それともピクルの食事に発展するのか。
目を離せない。
繁華街のど真ん中で食事されると倫理的に問題がありすぎるから、何とかピクルには自重してもらいたいところだ。
幸い100キロの肉を食べた直後だし、何とか食欲を抑えられるかもしれない。
食欲を抑えられないと知っていたからこそ、烈との勝負では涙したと信じたいところだ。

しかして、克己が戦うよりは勝算がありそうだが、やはり勇次郎以上の身体能力を相手にするのには不安がある。
かつて花山は勇次郎に片手で翻弄された。
二の舞を演じることになるのだろうか。
アリガトウ…19年…もう握力(ちから)は使用(つか)わない…力が及ばぬを見ることは―――もうできない、なんて言って、
グルグルパンチをやり出したら…けっこうショックかもしれない。
技術を使い出して戦うピクルと花山だったが、唐突に力にまた目覚めたりする。
いや、意味ないな、それ。

花山とピクルの戦いが始まろうとしている中、いきなり終わってしまった克己と独歩の戦いはどうなるのだろうか。
いや、終わっていないよね。
普通なら終わらない。誰だってそうする。俺だってそうする。
しかし、この漫画はジャンル板垣だ。
いくら何でも人気キャラは食わせないだろうと油断していたところで食わせる。
このまま終わる可能性も否定できない。
…否定できないんだよなぁ…

喉仏への一撃は強力だ。
だが、急所に攻撃を喰らった程度で倒れる独歩ではないだろう。
渋川先生に喉に足を落とされたこともあるんだ。
この程度では…この程度では…
油断できないけど。

先の気になる展開が二つ続いた。
この続きは来週はゴールデンウィークなので再来週からとなる。
絶妙なタイミングでのゴールデンウィークがちょっとだけ憎い。
ついでに常時ゴールデンウィークの某主人公は扉絵にすら出てこなかった。
おかげで存在感が地に伏せた感じだ。
いいところ見せたのに、すっかりいいところ見せる機会すらなくなったなぁ…


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