範馬刃牙 第140話 歯VS牙 



ついに範馬の血族がピクルの前に立った。
ジャックは刃牙のように半端なテンションでやってきたわけではない。
本気でピクルと戦う気だ。
現代の怪物と原始の怪物がぶつかろうとしている。
でも、範馬は戦うようで戦わない一族だ。
本当に戦うのか?


ジャックは上着を脱ぎ捨てる。
下はハーフパンツだ。
パンツじゃないから恥ずかしくないもん!
範馬一族御用達の漆黒のトランクスじゃないのが少し残念である。
いや、ハーフパンツも脱ぎ捨てれば、そこにはあのトランクスが眠っているのかも…

なお、スニーカーも着用だ。いや、スニーカーは脱がないのかよ。
上半身裸、下半身ハーフパンツ、足にスニーカーのマニアックなファッションだ。
上半身裸、下半身パンツ、脚にニーソックスとかだといろいろといいかもしれない。
あ、もちろん、女の子にお願いしますね。
無論、作画は板垣先生じゃない。

強敵の襲来にピクルも立ち上がり、二頭の巨漢が立ち並んだ。
ピクルの身長は骨延長手術を行ったジャックと同等だった。
ジャックは少なくとも209cm以上の身長を誇る。それと同等だとは…
さらにはピクルは上体をやや折り曲げている。
直立すればジャックを越えるか?
史上最強らしい超ビッグサイズである。
きっと逸物も…レイプされたレポーターは大丈夫だったのだろうか。

105話ではモノローグでピクルは身長2mだと語られた。
あれは胡散臭かった。誰が信じるか。
烈や克巳との身長差はとても2mとは思えない。
どうみても220cmはありますよ、ピクル。
そして、今ピクルの巨漢っぷりが数値ではなく絵ではっきりと実証された。

そんなわけで2mを大きく上回る超ド級戦士による激突が繰り広げられようとしている。
バキ史上最高峰の巨漢同士のバトルだ。
対抗馬としてリーガンVS除海王とかやれば良かったのに。
グダグダの試合になりそうだな、それ。

バキ世界における巨漢はかませ犬だ。デカい奴は出た瞬間に負けを予感される
しかし、この二頭は違う。
かませ犬どころかどちらかと言うと噛む側だ。リアルでも噛む。
血を血で洗う凄惨な勝負になることは想像に難くない。

ピクルは髪を逆立たせ笑う。
待ちに待ち望んだ強者だ。しかも、範馬一族という超一流の強者である。
さらには烈と克巳とはまったく異なるタイプだ。
見たことのない特上の料理を差し出された心持ちなのだろう。

片やジャックは走る。
烈や克巳とは違って緊張はしていない。
戦いに生きる血族だけあり、命を賭けた決戦も望むところか。
勝つためなら明日はいらない。
明日を捨てても戦う男の一撃が、食うために戦うピクルに襲い掛かる!

[21世紀に来て以来 初めて味わう]
[単純(シンプル)な接触]

ジャックのパンチが顔面にモロに入った。
烈や克巳のように技を用いた打撃ではない。
上体を振り下ろすように放たれた、防御を考慮していない力のみで行うダイナミックな打撃である。
現代が生み出した技術の一撃ではなく、太古から伝わる本能の一撃だ。

ピクルが現代に初めて味わったオンリーパワーのパンチである。
しかも、それを爆発させたのが強大な筋力を誇るジャックだ。
ジャックは勇次郎を除いた筋力ランキングはバキ世界ナンバー1に位置してもおかしくない
オリバとパワー勝負をしても互角以上に渡り合えるに違いない。

さて、そんなバキ世界屈指のパワーを爆発させた一撃にピクルはどう反応するのだろうか。
何も反応しなかった。
ダメージも何もなしだ。ジャックのパンチをモロに受けたというのに鼻血すら流していない
四肢を犠牲にした真マッハ突きを食らっても即座に回復するだけある。
やはりというか何というか、ピクルのタフネスは人外だ。

あとジャックと言えど素のパンチでは真マッハ突き以上の破壊力は出せないようだ。
だが、いくらデカいダメージを与えてもピクルには即座に回復されてしまう。
一発だけの重さよりも継続して与えられる安定したダメージが必要なのかもしれない。

[その獰猛さはある種―――――― 懐かしささえ覚えるほどだった]

力だけの一撃に懐かしさを感じるピクルであった。
範馬一族は現代人のわりにパワーによる戦いを好む。
技術を捨て去った方が強いくらいだ。
そして、己の筋力だけで戦う原始的スタイルは、2億年前の基本であり全てだ。
ピクルは懐かしさを覚えざるを得ないのだろう。

さて、ジャック渾身のパンチが通じない。
ジャックの闘争人生初の出来事だろう(除くガリガリ時代)。
しかし、ジャックには動揺は見られない。
それどころか「やっぱりな」と呟く
範馬の奧は深い。ピクルのタフネスすら計算済みか?

「顔面への直撃を――― まともに受けてなお」
「脳への影響がいささかも見て取れぬ」
「おそらくは―――― その構造 その頑強さは水牛並みか」


ジャックは即座にピクルの脅威の頸椎を見切った
喋り方は範馬調(※1)で余裕たっぷりだ。
刃牙が勇次郎に近付きつつある中、ジャックもまた勇次郎の領域に踏み込んでいるのか。

※1 範馬調
やや時代がかった口調で尊大に話す。
今回だと「いささかも見て取れぬ」とか。


烈が全力を尽くしてやっと引き出した頸椎の謎を早々に見切る。
範馬一族といえど頭部への打撃は効果を為さなかった。
ピクルの骨格を越えるのは範馬の筋肉以外にないと思ったのだがそうもいかないらしい。
まぁ、骨格+筋肉が合わさってこその頭部のタフネスなのだろう。

「それより 端から気になっているのは」
「その犬歯だ…… あの一撃で微動だにしていない」


頸椎の謎を置いておいて、ピクルの犬歯に視点を移す。
ピクルの犬歯は既に牙の領域だ
霊長類の進化の過程で失われた武器である。
ジャックのパンチでも揺るがないことから、武器に相応しい強度を持つことも容易に想像できる。
噛みつきマニアのジャックとしては注視せざるを得ないことであろう。

頸椎の謎がわかった。武器として用いることのできる牙の存在もわかった。
さて、ジャックはどこに勝機を見出すのだろうか。

「噛みっこだ」

いきなりそれかよ!
ちょっとジャック兄さん、落ち着いて。
噛みっこって肉の取り合いかよ。
ジャックはいきなりリーサルウェポンを取り出した。
立ち止まる気が一切ない。自分の肉が食いちぎられてでも、ピクルの肉を食いちぎる気だ。
範馬一族だけあり情け無用の血を血で洗う激闘が望みらしい。

「ヤシの実を切り裂くまでに進化させた」
「俺の咬筋力」
「あの時代―――恐龍たちの鎧を噛み破った貴様の牙」
「どっちが上なのかな」


お前が牙なら俺は筋肉だ!
お互いが噛みつきという武器を持っているがその中身は異なる。
ピクルは生まれついた原始の牙で噛みつきを行う。
ならば、ジャックは鍛え上げられた咬筋力で噛みつきを行う

二人は得意分野が同じであるが、その中身は異なる。
しかし、お互いに強力な武器には変わりない。
相手には生まれつき備わった強力な牙がある。
恐れず変態的なトレーニングで鍛え上げた咬筋力で対抗するッッ
ジャック兄さんは咬筋力だけでバーベル持ち上げていた。あれはない。

しかしだ。
ヤシの実と恐龍の皮膚を比較するってジャック兄さんは自爆している気がする
実際の威力はどうあれ、どうみてもヤシの実の方がしょぼい。
せめて釘を咬筋力だけで固結びできるとか…
器用さをアピールしてもシコルスキーくらいしか圧倒できないか。

大体、試し割りは範馬一族の長が否定している
勇次郎なら実戦で培われたピクルの牙を評価してしまいそうだ。
というか、ジャックは無駄に噛みつきすぎと勇次郎にダメ出しされたことがある
噛みつき勝負はいかがなものか。

それでもなお、相手の土俵で戦い叩き潰すのが範馬なのか
刃牙がオリバに殴り合いを挑み勝ったように!
勇次郎がアイアン・マイケルにボクシングを挑み瞬殺したように!
ピクルという生物としての立ち位置が違う存在に、真っ向勝負を挑んだのはジャックが初めてとなる。

[言葉を交わさぬまま恋人同士が]
[接近するように]
[それぞれの時代を代表する二つの凶器は――]
[互いの激突を求めあった]


恋人とか、そういう誤解できる言葉遣いは止めようよ。
べ、別にアンタとはそんなんじゃないんだからね。
アンタはおもちゃみたいなものなんだから飽きたら捨ててやるんだから。
今はまだ飽きていないだけだから勘違いしないでよね!

それはさておき。
ジャックの挑戦状をピクルは本能で理解して、それを受ける。
お互いに白目になりながら、躊躇せずに口を広げて襲い掛かる。
いきなり血を血で洗う噛みつき合戦が始まった。
そして、これは範馬の筋肉とピクルの骨格がぶつかることを意味する
克巳との戦いで人間の心が芽生えたと思ったら、ピクルは全然まったくもって日和っていない。
相も変わらず遠慮なく食う気だ。

パワーVSパワー。タフネスVSタフネス。巨漢VS巨漢。人外VS人外。
だが、範馬VSピクル。科学VS原始。不自然VS自然。歯VS牙。筋肉VS骨格。
多くの共通のテーマと相反するテーマがジャックVSピクルには込められている。
人間の先を歩む範馬の血族根本的な種族すら異なるピクル
大げさに書くと人類の進化と根源を司る二匹の人外がぶつかろうとしている。
勝利するのはどちらであろうか。
今週は合併号なので再来週の次回へ続く。

なお、次回はピクルとの大勝負前恒例の2話連続掲載だ。
今までの2話連続掲載は試合を2話掲載するのではなく、試合前のやり取りを掲載していた。
しかし、今回は戦いの真っ直中だ
肉がちぎれ合う凄惨な勝負の一歩直前ですよ。
前代未聞の試合連続掲載と相成るのだろうか。
初っぱなから胃に悪い勝負になりそうである。

加えてガイアを主役とした外伝(板垣先生は原作のみで執筆者は別人)も掲載される。
何でガイア?
いや、本気でなぜにガイアなんだ。寂海王外伝よりはずっと立派だけど、どうなんだよ。
活躍は見たいと思っていたけど、ガイアの話なんてここ最近さっぱりないぞ。
外伝で描く以上、ここからガイアの出番が来るのか?
範馬は戦うと見せかけて戦わないから、ジャックVSピクルはお流れになっちゃうのだろうか。


範馬とピクルの本格的なバトルが始まった。
範馬のパワーならピクルにもダメージを与えられる。
そう考えていた時期が俺にもありました。

でも、現実は非情だ。
ジャックのパワーを持ってしてもピクルに対しては有効打にならなかった。
身体を犠牲にする真マッハ突きクラスの打撃でなければダメのようだ。
100kgの体重差ですら埋めるどころか越えてしまう鬼の貌なら、ピクルにも対抗できるのだろうか。
…それ、ジャック兄さん持ってないんだよなぁ…

そうなると噛みつき勝負はありと言えばありだ。
ピクルの筋肉が常人離れしているといえど、ジャックの咬筋力も異常だ。
自分に及ぶ被害を無視すれば確実なダメージを与えられる。

でも、ピクルは鋭利な爪や牙を持つ恐龍と何度も戦ったわりには傷がない
ノー回避のピクルの戦い方だと大なり小なり被弾をするはずだが、傷を受けたような跡が一切見られない。
ピクルの皮膚はそういったものに対する耐性が出来ているのだろうか。
それとも肉を切り裂かれても即座に回復してしまうのか?
噛みつき勝負はピクルに分があるかもしれない…

ピクルは骨格と筋肉に加えて、牙と爪という特有の武器を保持している。
それは範馬一族すら持ち合わせていないものだ。
ピクルと比べれば範馬一族は筋肉だけが異常くらいに収まってしまう
いや、筋肉の異常っぷりが半端ないんだけど。

果たして範馬の筋肉はピクルを上回ることができるのだろうか。
でも、ピクルの筋肉も異常なのが不安である。
範馬は人外と言えど人類だ。対してピクルは人外どころか生物外の可能性すらある未知の生物である。
生物としてのスケールでは正直負けているとも言える。

ジャックはこんなこともあろうと仕込んでおいた本気のドーピングを発動させてみてはどうか。
北極熊を倒した時のドーピング再び。
ジャック兄さんだって本気になればかなりヤバくなる。
ジャックが本気になった時こそ人類の意地を見せられるのか。
いや、範馬は人類違うけど、骨格は人類だし。
範馬は人類よりちょっとだけ進化した存在に違いない。


さて、以下はフンドシの話だ
克巳戦に引き続きピクルは全裸ではなくフンドシを履いていた。
おい。どうしたんだ。野生。
すっかり文明を享受している。
そんなに履き心地が良かったのか、フンドシ。

克巳戦の時から疑問だったけど、このフンドシはどこで調達したのだろうか。
ピクルは剣持武志の衣服を強奪して着た。
ただ、それは剣持武志の衣服は着るだけで済むものだから出来たのだろう。
フンドシは履くだけではなく、側面部をねじって絞り込む必要がある。
これはピクルには思いつかないだろう。
履いたとしてもフンドシではなくマワシになってしまう。
似て非なる。

一番現実的な線は誰かが履かせたのだろう。
当然、ピクルが起きている最中は無理だ。
ヘタに履かせようとしたら吹き飛ばされてしまいますよ。
必殺の麻酔注射を打ち込んで、その隙にフンドシの刑だ!
トランクスではなくわざわざフンドシである。
野生への敬意だ。敬意?

あるいは剣持武志もフンドシを履いていたとか
なので、剣持武志の衣服を奪う際にフンドシも奪いました。
剣持武志の真似をすればいいから、ちゃんとフンドシを履くこともできる。
完璧だ。完璧すぎる論理展開だ。
それを何で今も履いているかとなると…何でだろう…



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