範馬刃牙 第159話 ダイビング 



主人公×主人公×主人公=破壊力!
どの世界でも主人公補正というものは強力だ。
ガンダムSEEDシリーズでは主人公である限り何があっても無理矢理生き残るくらいだ。
そして、刃牙の主人公補正も凄まじい。
あれだけ強さをアッピルしてきたピクルを圧倒している!
マジでチャンピオン引き裂きたくなるほどむかつくんで止めてもらえませんかねえ・・?


ピクルは客席の頂上から刃牙諸共飛んだ。
高い。圧倒的な高さだ。
この高さからピクルの200キロをモロに受け止めれば…刃牙だってダメージを受けるはずだ。

でも、ピクルもダメージ受けるよね、これ。
ピクル脅威のタフネスにとって、これくらいはダメージに入らないかもしれないけど、ダメージはダメージだ。
だが、この飛び上がりに刃牙はご満悦だった。ピクルがこのような戦いをしたことが嬉しいらしい。
ぬう…進化したとは言えない戦い方なのに…刃牙理論は難しすぎる。

(高いッッ)(高すぎるッッ)(受け身が効かない)(20…イヤ 30メートル!!?)

「うッわッ」

(ヤバイッッ)(高すぎだッッ)(ただではすまねェッッ)


超一流の戦士である烈と花山はこの高さから、その危険性を瞬時に察し、ダメージも予測する。
あの花山ですら危険信号を出すほどの高さなのだ。
烈ですら受け身が効かないと判断した。五点着地は中国拳法の辞書にはないらしい。
ギャラリーが戦慄するほどの危険な高さだ。
なお、徳川光成だけ無邪気に驚いているのは萌えポイントです。

(ライト近ェ〜〜ッッ)
(高(たッけ)エエエエエエエ!)


地下闘技場のライトが眼前に迫るほどの高さに、刃牙もまた戦慄する。
だが、自らの危機を察しても、鬼の表情のまま、ピクルの首を締め付け続ける
さすが文化としての戦いを提唱する男は違う!
文化としての戦い…生きるための戦いではないのだ。
自分の危機を省みずに相手を打ち倒すという危険な代物なのかもしれない。
…ピクルの生きるための戦いの方がマシに見えてきた。

刃牙は30メートルまで浮き上がったことで早々に受け身を諦める。
30メートルと言えば7階相当の高さだ。末堂が落下したジェットコースターよりも低いくらいであろうか。
それでもかなりの高さだ。この高さから飛び降りれば楽に死ねる。

だが、刃牙は受け身なしで7階からの自然落下の2倍のダメージに耐えている第68話)。
ダメージには違いないだろうが、許容範囲内なのだろう。
ピクルに押し潰されることはなかったことにしておきます。
そんなわけで構わず締め付ける。
それが命の奪い合いまですることはない文化の戦いだ!
文化、怖ェ〜〜。

かつての人類が戦時中において凄惨な兵器や手法によって虐殺を行ったのも、文化があったからこそ為せるものだ。
野生動物は食うために他者を殺せど、滅ぼすために殺すことはない。だが、人類は時としてそれをやってのける。
文化としての戦いは人類の醜さが詰め込められたモノなのであろうか。
殺さないのも文化ならば、殺すのもまた文化…
それを刃牙は実証しようとしているのか?

落下しながら刃牙は烈たちの姿を認識する。
ピンチだというのにけっこう余裕がある。
死に際の集中力を発揮しているのだろうか。
烈のことを初めて知ったことから、烈が見張っていたことには気付いていたなかったようだ。
気付いていたらチャーハンを求めかねない。気付かれなくて良かったね、烈。

瞬く間に地面が近付いてくる。
脅威の集中力と動体視力で落下しながらも地下闘技場に落ちている歯や爪を認識する。
もう間近に迫っている。
ピクルに押し潰されてペラペラになっても今なら許す!

ギャドッ

ついに刃牙とピクルが地面に衝突した。
激突した瞬間まで刃牙はチョークスリーパーを維持していた。
どうみても殺し合いです。本当にありがとうございました。

落下の衝撃で二人は浮き上がる。
脅威のタフネスを持つピクルにとって、これくらいはやはりダメージに入らないらしい。
はっきりと意識を保っている。チョークスリーパーのダメージも平気のようだ。
それに対して刃牙は白目だ
そりゃあ30メートルから落ちてさらにピクルの下敷きにされれば…
これで勝負ありだろうか。
勝負あっても今なら許す!

だが、二人は何事もなく立っていた。
二人にとって落下のダメージはダメージの範疇に入らないらしい。
ぐう…ピクルは大丈夫なのはわかりきっていたが…刃牙も平気なのかよ…
妬ましい…ああ妬ましいわ…

(バカなッッ ピクルはともかくとして――
 あの高さから落下(おち)てすぐ様立ち上がるなんてッッ)

(あり得ねェ……)


面白いくらいに驚く烈と花山であった。
何この主人公…キモい…そこまで言ってしまいそうだ。
二人とも、少なくとも烈はピクルのタフネスを知り尽くしていることだろう。
だが、刃牙のタフネスに関しては予想外だったようだ。
刃牙…親友と言っても過言ではない烈と花山にも信用されてないんだな…

(範馬刃牙とはそこまで強靱(タフ)な戦士か……!!?)

えー!そこまで言っちゃうの烈ちゃん!
少なくともピクルと比べたらタフじゃないんだろう。
あのおかしいチート生物と比べたら、差は歴然だろう。
そう思っていたらこれだよ。鼻血も冷や汗も流しちゃいねえ。
主人公主人公余裕ぶっていても、少しくらいはダメージ受けると思っていたらこれだよ!
こんな男が主人公である価値が本当にあるのか…!
烈さんの叫びが聞こえてきそうだ。

これほどの激突を起こしたというのに、刃牙とピクルの両者に表情はない。
戦意を向上させるためのウォーミングアップにすらなっていない。
やっぱり…格が違うんだなぁ…

というか、刃牙には表情がなさすぎる
微動だにすらしない。だらしなく腕を固めたまま、完全に静止してしまった。
…まぁ、いつものことか。
このピクルとは違った意味で呆然としている辺りが刃牙らしさだ。
具体的に言えば死んだ魚の目をしている辺りが刃牙らしい

そんな刃牙にピクルはゆっくりと近付く。
仕掛けるために近付いているわけではないようだ。
あくまでも興味の一環として近付いているらしい。
ピクルは現代に来てこれほどまでにタフな戦士と戦ったのは初めてなのだろう。
だから、興味が沸いたのかもしれない。
死んだ魚の目をしているけど。

[………………………………]

間合いに踏み込んだピクルは刃牙の頬にゆっくりと手を近づける。
おそらくは攻撃のためではない。
何らかの接触のためのものだろう。

想像できるのは…軽く頬を叩くことだ。
嘗められた怒りをお前にも味わわせてやる!とピクルは思い立った可能性は十分にある。
でも、あの挑発は叩くだけでは足りない。
刃牙特有のムカつく表情が合わさって完全と相成る。
ピクルはムカつく表情もコピーできるのであろう無理だな(即答)。
文化の挑発ってヤツはこうやるんだぜ!とさらにムカつく表情で挑発され返すかもしれない。
そして、また見下される。

今のところ、二人は互角だ。
どちらもJr.くらいなら死んでしまうくらい十分な攻撃を加えたが、どちらにもダメージはないようだ。
刃牙の目が死んでるのはいつものことなので無視しておこう。
二人のタフネスは常人をはるかに凌駕している。
多分、刃牙だって信マッハ突きを受けても即座に回復する。
認めがたいし許しがたいけど回復する。

やはり、問題は本気の攻撃をした時だ。
刃牙には鬼の貌があり、ピクルには白亜紀闘法がある。
白亜紀闘法は間違いなく刃牙のタフネスを上回るだろう。
だが、鬼の貌はどうなのか。ピクルのタフネスを上回るのか?
…簡単に上回ったら暴動が起きそうだ。
次回へ続く。


時代は文化です。文化。
ヤクザだって武闘派ヤクザからインテリ経済ヤクザの時代に入っている。
そんなわけで文化の殺し合いをする刃牙であった。
言ってることとやっていることがまるで違う。
それも文化ではあるが。

刃牙は文化の良い部分だけ見せると、ピクルが醜い部分を見た時にこんな時代生きる価値あるのか…!とへそを曲げてしまうかもしれない。
だからこそ、文化の醜い部分も見せて、文化の持つ真の価値と大切さをピクルに教えようという魂胆なのか。
教え方が間違っています。

本能だけじゃなく理性でも戦えってことか?
ピクルが強敵を食うに当たって泣いていたのは理性が戦いを悲しんでいたからだ。
本能では食わなければいけない。理性では別れを拒絶している。でも、本能には逆らえない。だから、泣く。
理性も戦いに向いたら…泣かずに食うだけか。
むーしゃむーしゃ!しあわせー!
刃牙の望む食うか食われるかではない戦いにはならないな、文化の戦い。

二人の戦いはどこへ行き着くのだろうか。
刃牙が文化とか言い出したから混線もいいところですよ。
戦いに愛だの友情たの、上等な料理に蜂蜜をかける行為――かつての勇次郎はそう断じた。
非道な考えだが、純粋に戦いを楽しもうという気概が勇次郎にはあった。
郭海皇と戦った時もあくまでシンプルに戦いだけを求めていた。

刃牙は…いきなりナニをしたいのか、わからない。
戦うのが好きだから戦う…それが勇次郎だ。
生きるためには食わなければいけないから戦う…それがピクルだ。
刃牙は…刃牙は…いや、こいつはマジで何のためにピクルと戦っているんだろう

今のピクルは満腹だ。満腹だが誇りを傷つけられたことに我慢ならなかった。
誇りのためにピクルは戦っている。
じゃあ、刃牙は何のために?
誇りを傷付けるために戦っているのであろうか。
うっわ!文明人!最低!

もしも、ピクルの伸ばした手が刃牙の誇りを傷付けるためだったらどうか。
刃牙も怒ることだろう。いや、怒らなきゃ文明人じゃない。
ここであえて耐えるのが文明人の醍醐味とか言って怒らないのも一興かもしれない。
挑発の一環としてな!
そうなると誇りを傷付け合う者同士の戦いとなって…戦いの品位が下がる。
ぬう…文化とか言い出さなければ…

でも、刃牙なら挑発され返されたら「俺の悪いところばっかり学んだ…これじゃ退化じゃないか…そんなピクルと戦う価値なんてあるのか…」
――なんて言いながら家に帰ってもおかしくない。
…うーん…やっぱり、文化が絡むと話がこんがらがるな。
小理屈を忘れた時がやっぱり本番なのだろうか。
ただし、鬼の攻撃を繰り出す刃牙を見て、全然文化的じゃないッッ。理性を失ったのか刃牙さんッッ。失望したぞ…ッッ。と烈が騒ぎ出すかも。

ついでに今の死んだ目をしている刃牙がたったまま死んでいるとかないだろうな。
立ったまま死んでいるのはバトル漫画の古き良き王道だ。
近年ではスポーツ漫画でも行われた
ならば、刃牙も立ったまま、明日じゃなくて今日死ぬ!
伸ばされたピクルの手は生死の確認をするためです。



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