範馬刃牙 第204話 親子宣言



勇次郎が首脳たちの前に突如現れた。
その要件は一体何なのだろうか。
飯の作り方を教えろとか言うのだろうか。
いや、それならストライダムに頼ればいいか…
うっかりレーションを手渡して、ストライダムは殴られる。


主民党本部前を警護していた屈強なSPたちが失神していた。
外部だけでなく内部を警護していた者も例外なく失神している。
いずれも何が起きたのかわからないようにぼうっとした表情で失神している。よだれだって流している。
勇次郎がやったに違いない。SPの処理は勇次郎の得意技だ。

そして、見落としてはならないことだが全員失禁している
誰一人とて目立った外傷はない。出血もない。
だが、失禁はしている。
勇次郎は目にも止まらぬ速度で金的でもしたのだろうか。

さて、勇次郎が首脳たちの前に立つ。
その場にいる全員が勇次郎に脅える。
特にオズマ大統領は「勇次郎にやらせた」発言をしてしまったから、その恐怖の度合いは大きい。
やらせた、ではなく、やっていただいた、だろう。
生意気言っちゃったことを心底後悔していそうだ。

勇次郎はオズマ大統領の言葉を反復する。
しっかりと根に持ってやがる。
話の流れを読まずに自慢話を始めたりするから…
ボッシュの後継者としての資質はいらないぞ。

勇次郎は石炭の粉が入った瓶を持ち上げ、オズマ大統領に右手を差し出すように指示する。
オズマ大統領は言われるがままに右手を差し出す。
拒否権などない。
ボッシュだったらここで変なことを言ってSPに蹴られたりする。

勇次郎は瓶を握る。
瓶はプレスされたように一瞬で手の内に収まる。
勇次郎の握力が為せる技であった。
新聞紙を握り込んで喜んでいた息子とは大違いだ第117話)。

こうして砕いた石炭入りの瓶の粉末をオズマの右手に注ぐ。
石炭の粉にキラキラと輝く粒子が混ざっている。
握り込んだだけでガラスの瓶が粉々に粉砕されたのだ。
ただ握るだけで瓶は粉々には出来ないだろう。手の内部で超震動を加えたのか?
相変わらずの破壊芸だ。
40枚瓦割りといい、ストライダムの防具破壊といい、勇次郎は試し割り否定派のくせに物を壊す行為が得意だ

さらに特筆すべきことはフタをしていたコルクが跡形もなく消えていることだ
ガラスの瓶は砕くことが出来よう。だが、コルクはそうもいくまい。
勇次郎の手の中にはコルクは残っていない。
さりげなく外していたということもなさそうだ。

石炭の粉にはコルクの残骸が混ざってはいないように見える。
コルクはどこへ消えたのだろうか。
小さいながらも一流の破壊芸にしてビックリなマジックだ。
大雑把そうで細かいことも得意なんだよな、勇次郎。

さて、オズマの右手には石炭とガラス(とコルク)の粉末が十字架状に注がれる
器用だ。うん、実に器用だ。
こういう小技が本当に得意なのが勇次郎だ。
そして、オズマ大統領に友好条約を再び神に繰り返すように要求する。
オズマ大統領は第182話で述べた友好条約を再び宣言する。
だが、一切の生活を〜のところで勇次郎に制止された。

「俺の生活に一切関わらぬ野郎が どの面下げて我が家の親子喧嘩に首を突っ込む」
「あまつさえ政(まつりごと)に身を置く立場にありながら
 雁首揃えて一民間人の家庭問題に関わらんとすッッ」
「貴様ら」
「俺ン家(ち)に喧嘩売ってんのかッッ」


勇次郎は範馬口調(妙に尊大な喋り方。今回の例で言えば政とか)でキレる。
キレるが、要するに息子との個人的な問題だから入り込むなと言うことだ
家庭とか言っちゃっている。
ここまで刃牙と家族している発言は初めてだ。
親馬鹿を露わにしてキレやがった。この地上最強の馬鹿親め。
やっぱり、飯を一緒に食べたい発言は相当に効いたようだ。

ともかく、オズマ大統領は不干渉を誓っておきながら、それを破ろうとしたので怒られたわけだ。
周りにいる友好条約とは実質無関係な人たちも殴られかねない勢いだ。
このままでは不味い。何とか言い訳しなければ。
オズマは手の平に乗った十字架を、神をかなぐり捨てて弁解する。

「君たち親子の衝突は―― 国家間の衝突 すなわち戦争に匹敵する」
「――である以上我々は守護(まも)らなければならないッッ
 人々をッッ 人種の隔たりなくッッ」


勇次郎と刃牙の戦いは戦争に匹敵する。
だからこそ、人々を守らなければいけない。
一国の長らしい言葉だ。
多分、ボッシュだったら「オーノー!ソーリー!」くらいしか言えてなかった。

その場で捏造した言葉に思えなくもないが、実際に刃牙はリアルシャドーで地震を起こしている第193話)。
本物の勇次郎と戦えば一体何が起きることやら。
オズマ大統領の言葉はあながち間違ってはいない。
本部が無意味に殴り飛ばされるかもしれない。
解説をしていたらいきなり吐血して倒れるかもしれない。
本部のために国家単位での庇護が必要だ。

「掌(てのひら)から神を捨て―― 初めて偽りなき言葉を口にしたな」
「視界には入るな 厳守しろ」


オズマの本心を勇次郎も認めたのか、視界には入らぬように言ってその場を立ち去る。
何とか首の皮一枚繋がった。
なお、波斗山総理は何もしていなかった。
いや、ここはあなたの庭じゃん。何で客人のオズマ大統領が場を繕うんだよ。
勇次郎にだってガン無視されてしまっている。
板垣先生は波斗山総理が嫌いなのだろうか。
私はあんまり…

そんなわけで勇次郎VS刃牙は国家公認となった。
勇次郎の許しも一応出たよ。
別にこれに2話使わなくてもいいじゃん、と思ったのは秘密だ。
秘密だよ。
…やっぱり、政治家が出てくると話が進まないな。

そんなわけで次回へ続く
次は烈の出番だ。
やったね、烈ちゃん!



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