範馬刃牙 第23話 2(セカン)



田仁志君ダウンだ。
先週からずっと倒れっぱなしだ。
これ以上弄る余地はないと思うがどうなるのだろう?

(相撲で俺が負けた……!?)

あ、立った。
田仁志君はまだ弄られるつもりだ。
これ以上は痛々しい。もう止めてください。
玉潰されてもなお立ち向かうムエタイ選手か、お前は。

(認めるかよッッ)

越前に向かって猛然と向かっていく。
足を一歩踏み出す。
が、踏み出した瞬間、前足が宙を舞う。
そして、範海王のように頭から地面に倒れる
三半規管を完全に破壊されたため、平衡感覚が壊れている。
もう戦うことどころか、まともに生活することすら難しそうだ。

倒れ伏せる田仁志君に背を向け、越前は体育館から出る。
その際に看守の胸ポケットからタバコを抜き取る。
相も変わらず看守は無視モードだ。
三半規管を遠慮なく破壊する人には絡まれたくないだろうけど。

田仁志君は見事に放置された。
あな悲しや。
が、放置されるだけならまだマシのようだった。
看守に拳銃を突きつけられる。
どうやら体育館は無許可で入ると警告なしに発砲するところだったようだ。
そんなわけで田仁志君は噛まれた挙句撃たれて死亡した
…すげえかわいそうな人だ。

バキ世界において死亡者は存外少ない。
明らかに死んだようなダメージを受けた独歩とかあっさり復活している。
田仁志君は比較的珍しい部類に入るといえるだろう。
でも、生死不明は意外と多い。
柳とか末堂とか。
こいつらはいい加減生死をハッキリさせてもらいたい。
刑務所の中に柳と末堂が登場だ!!
アイアン・マイケル2世になるだけだけど。


越前が食堂に戻ってきた。
待ち受けるのは刃牙だ。
多くの囚人が食器を戻すべく整列してる中、一人だけ何も持たず突っ立っている。
きっと、アイアン・マイケルに食器をお願いしたんだろうな。うん。
とにもかくにも、規律を乱す気満々だ。範馬刃牙ではどこでも不遜だ。
18話でオリバが言っていた掟はどこにいったんだ?
というか、あれは本当にどこに行ったんだろう。
投げっぱなしだ。

「てっきり実力ナンバー2だからミスター2(セカン)だと思ってたらそうじゃねェ」

あの老人から解説されたのか、刃牙は皮肉を言うような表情で語る。
明らかに実力なら俺の方が上だと言わんばかりだ。
さすが、範馬刃牙だ。
最近のヘタれっぷりを払拭しようとしているのか?

「2(セカン)とは二代目」
「“繋ぎ止められぬ男(ミスターアンチェイン)”…………の二代目」


2の称号はアンチェイン2という意味だった。
オリバは力のアンチェインで、越前は技のアンチェインといった感じだ。
いい具合にマッチしている、かもしれない。
ところで不可拘束龍書文のことを忘れないでください。

「ミスターオリバの時代は終わりを告げた」
「皆もそれを望んでる」
「彼のあのバカげた生活ぶり――――実のところ誰も認めちゃいない」


すごく感情移入できる台詞だ。
怪我すればたらふくのステーキとワインで癒してもらえる待遇ってナニよ?
立てなくなった挙句、銃殺された田仁志君とは偉い違いだ。
そりゃあ、不満も募る。
きっと、越前がアンチェイン2代目になった時の公約は「毎日オムライス」だな。
多分、1週間くらいでみんな飽きる。
そして、アイアン・マイケルがなぜか殴られる。

「武力(ちから)だけで己だけの主張を通し続けている」
「オリバもボッシュもしょせんはアメリカ人てところか………」


バキ世界における強さのパラメータであるわがままを通す力を否定した。
さりげなく深い言葉だ。
でも、越前も十分力で好き勝手やっているように見える。
まして、看守すら味方につけて好き勝手やっている。
越前の始末とか、最初から看守にやらせるつもりだったんだろうなぁ。

「アンタは違うのかい」

今までのヘタれっぷりはどこへ行ったのか、刃牙渾身の反論だ
さすが、わがままな人ばかりに絡まれてきただけある。
自分もわがままだし、知り合いもわがままだし、元恋人は鼻水流す。
有無を言わせず14リットルの砂糖水を飲まされた方の身になれ。

「喋り過ぎるなァ君は」

越前の逆鱗に触れたのか。
表情が一瞬にして変わる。
そして、看守が私語禁止と警棒で襲いかかる
なんというコンビネーションだ。
事前打ち合わせはしっかりだ。
が、警棒が当たったと思った瞬間に刃牙は奪い取った。
越前が「へェ…」とつぶやくほどの早業だ。

「この警棒…………」
「グニャグニャだァ………」


21話で越前がスプーンを曲げたように、刃牙は警棒を曲げる
自分の身体能力を存分にアピールだッッ。
刑務所に来てから初めての見せ場だが、表情と相成ってすごく小物っぽい
曲げやすいように重量のある持ち手の方を先にしてるし。

囚人らしくない派手なことをやったからか、看守一同に拳銃を以って囲まれる。
初日からいきなり不祥事だ。
刃牙はどこでも不遜だ。
そんなわけで独房にパンツ一丁で入れられる
両親指を繋ぐように小さな手錠みたいなのを付けられているため、両腕は使えない。
しかも、背中に手を回されている形のため、非常に不便そうだ。
これじゃパンツが脱げない。
まぁ、失禁大王刃牙ならパンツがあろうがなかろうが関係ないだろうが。

そこに給食当番がやってきた。
当番はあの解説役爺さんだった。
曰くありげな笑みを浮かべている。
何かするつもりだろうか?
次回へ続く。
とりあえず、17話に出てきたホモじゃなくて良かったと思います。

ところでアオリに「独房の刃牙を訪れたのは監獄の掟を知る長老だった!!」と書かれている。
監獄の掟を知る長老?
ツッコミどころ満載だ。
掟を知るのはいいのだが、長老呼ばわりされるのはどうだろう?
まぁ、解説役としてピッタリだし長老呼ばわりされてもおかしくないけど。
でも、長老って呼び方はどうだろう。


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