範馬刃牙 第233話 コーチ 



烈が復活した!
殴られたのなら自分を殴ればいいじゃん。
どういう理屈だよ。
実際、これで立ち直ったのだから困ったものだ。
烈は難しすぎるし、中国武術も難しすぎる。


烈はファイティングポーズを取る。
その肉体に乱れはない。
本当に復活しちゃったようだ。
本気かよ。

スゴいね、人体クラスの復活劇だったが、クレーザーに動揺はない。
相変わらずリアクションの薄い人だ。
もうちょっと跳んだり跳ねたりしてもらわないと面白くないな。
その点、烈は興業をよく理解した立ち回りをしている。

ここでゴングが鳴る。ラウンド1終了だ。
って、ラウンド制だったのか?
いや、ボクシングなら至極当たり前のことだ。
だが、バキ的には異例中の異例だ。
シコルスキー戦以来ですよ(あれは何か違う)。

一度戦いが始まったら、勝利と敗北以外では試合が中断されることはない。
それだけにラウンド制というのは猛烈な違和感がある。
リングにかけろなんてボクシング漫画のくせにラウンド制じゃなかったくらいなのに…
あれは都合のいい時にだけラウンド制になるけど。

深町コーチは烈に水を差しだし、汗を拭く。
セコンドとしての仕事をしている。
当たり前のことだがこれも違和感がある。
いや、深町コーチが仕事をしていることじゃなく、第三者が試合に間接的にとはいえ介在することだ。
この試合はいろいろな意味でバキらしくない試合だ。烈も烈らしくない。

「これは… アドバイスをいただける時間ではないのか…?」

烈が深町コーチにアドバイスを求めた!?
馬鹿な…どういう風の吹き回しだ。
それだけ深町コーチを信頼しているということだろうか。

「ボクシングじゃねェものにアドバイスできねェ」

深町コーチは殴られたら回転しろとか、脳震盪になったら自分を殴れとか、そういうアドバイスは当然しない
そして、そんな類のアドバイスでなければ、烈は窮地を抜け出せなかった。
である以上、深町コーチに助言できることはない。
現に今リングで起きていることすら理解できていなかった。
読者も理解できていないから仕方あるまい。

「わたしがいかなる術を使おうが」
「使用するのは飽くまで2つの拳」
「あなたのよく知る西洋の拳法 ボクシングです」


烈のやること為すこと全てがボクシングではないが、烈的にはボクシングであった。
だから、助言しろ!
そんなに助言して欲しいのか?
好きな子には告白されたいのか?
深町コーチが私をををを!!

烈は汗を流しながら助言を懇願する。
恐ろしい必死具合だ。
烈自身、クレーザーに隙を見出せず焦っているのかもしれない。
まぁ、明らかな格下相手に不思議なくらいに苦戦している。
困惑して混乱しても何の不思議もない。

「あるもの………… 全てを…」

深町コーチは言葉を引き出す。
助言としては心細い小さな声だった。
烈が背を向けているその間に後ろからクレーザーが迫る。
そして、殴る。
…いや、反則じゃないか?
うーむ、よくわからん試合だ。

だが、烈は跳躍してクレーザーの後ろに回り込む
コーナーの窮地から一発で逃れた。
片脚のみのジャンプでクレーザーの背丈を飛び越えたのだ。
やはり、烈の身体能力はインチキである。
それを思うように発揮できていないのが苦戦に繋がっていそうだ。

(十分だ……)
(持てるものの全てを使い切る)
(的確な――助言だッッ)


烈は武器を自分から制限して苦戦してしまっている感が否めない。
全ての技術を使えばボクシング如き一瞬に屠れると信じたい。
その点で深町コーチの助言は適切であった。
今は俺の烈がこんなに弱いわけがない状態だ。
ピクルの打撃とクレーザーの打撃を比べちゃう時点で末期である。
このアドバイスで本気の烈が解放されるか?

(“とくに全てを使っている”という考えは―――――)
(怠慢者のもの……)


忌まわしき左フックで襲いかかるクレーザーに対し、烈は真っ向から右フックをカウンターを当てる
フェイントも何もない腰の入った重い一撃だ。
ただ真っ正面から対抗しただけだが、烈が全力で打ち込めばこれくらいの結果にはなろうか。
この一撃でクレーザーは白目になった。

(あたかも今こそが…)
(初めてのように…)
(全てを使い切ろう…ッッ)


だが、烈の追撃は続く。
リングが歪むほど踏み込み、打ち上げるような左ストレートがクレーザーの顔面を射抜く。
マウスピースが吹き飛んだ。
烈の打撃力が発揮されれば、当然の帰結であろうか。

(それが)
(師(コーチ)への報恩)


さらに烈は1回転し遠心力をつけた右フックを叩き込む。
オーバーモーションとも言える一撃だが、先の2連撃でクレーザーに大ダメージを与えている。
打ち込める確信があったからこその極上の一撃なのだろう。

しかし、師への報恩って誰への恩だ?
やっぱり、脳震盪への対処を教えてくれた郭海皇だろうか。
烈の基礎を作ってくれた劉海王かもしれない。
少なくとも深町コーチはなさそうだ。
何もコーチしてないし…むしろ、烈自身が突っぱねていたし…

怒濤の3連撃によってついにクレーザーは膝をつく。
ベストショットが3発だ。
並みのボクサーなら勝負ありだろう。
だが、クレーザーは後ろに下がらないファイトスタイルの持ち主だ。
タフネスに自信があると見るのが妥当だろう。
まだ戦いは終わりそうにない。

「やっと」
「ボクシングになってきた………な」


これを見てアライ父は満足げな笑みを浮かべる。
今回の烈の技術は中国武術よりもむしろボクシング寄りだった。
この逆転劇はクレーザーの技術を模倣した結果なのかもしれない。
ついに烈がボクシングに目覚めたか?

でも、何か弱くなりそうだなー。
純度100%の金に鉄を混ぜると純金じゃなくなりますよ。
良くも悪くも純中国武術ファイターなのが烈の強みだ。
変に他の格闘技を混ぜると不協和音を生み出してしまう恐れがある。

烈の反撃が始まってやっと試合らしくなってきた。
しかし、これで試合らしくなるとセルゲイを嘲笑っていた烈はどこへ行ったことやら…
ボクシング編で傍若無人なところを見せて、かつての烈を取り戻したと思ったが、むしろ変なところに来た気がする。
来週は休載なので再来週の次回へ続く。


反ッ撃ッ。
烈反撃ッッ。烈反撃ッッ。烈反撃ッッ。烈反撃ッッ。烈反撃ッッ。烈反撃ッッ。
やっと烈が反撃した。
あの烈が純粋な技量でここまで後れを取ったことも珍しい。
深町コーチのアドバイスの効果、でけえな。

烈はボクシング風の技術でクレーザーに対抗した。
フックを多用した打撃は今までの烈に見られなかったものだ。
クレーザーのパンチを盗んだのだろうか。

もっとも烈が真価を発揮するのは中国武術の技術を用いた時だ。
クレーザーとの戦いでは今ひとつ中国武術のエッセンスが生きていない。
それだけにこれは前振りなのかもしれない。
そろそろボクシング版転蓮華が炸裂するぞ!

修羅の門のボクシング編では殴るように見せかけて、相手の腕を折ると言ったダーティな技術が存在した。
烈も真似してみてはいかがか。
烈にとってのボクシングの定義はボクシングに見えるものみたいだし、だったらイケるぜ?
現に深町コーチの手首の関節を外していたし、同じようにクレーザーの関節も外しちゃうのかも。

烈がボクシング風の技術でクレーザーに対抗したのは何か意味があるのだろうか。
クレーザーの打撃を受けて、ボクシングの価値を改めたのか。
あるいは地球の裏側を参考にして、相手の心を折ることに目覚めたのか。
得意分野を相手に真似され、一枚取られれば無念にもほどがあろう。
ここから先は執拗な責めがクレーザーに対して行われるのかも。

てっきり置物に思えたセコンドだったが、今回はちゃんと存在意義があった。
深町コーチが勝利の鍵なのだろうか。
名伯楽、鴨川源二を見習って烈の背中にビンタしてみよう。
…殴られそうで怖いな。

そして、ラウンド制が採用されていることが興味深い。
ボクシングの技術を発揮したことだし、ボクシングの駆け引きが鍵になるかもしれない。
というわけで、点数を意識した立ち回りを行う。
烈はものすごい勢いで点数が減りそうだから怖いな…

それにしてもアライ父の言う通り、やっとボクシングらしくなってきた。
烈ボクシング編が始まってやっとだ。
今まで本当に何をしていたんだろう…
腕折ったりしてた。最悪だ。

この調子で烈がボクサーになるのだろうか。
字面だけだと弱体化しているようにしか思えない。
ボクサーはそれなりの戦績と出番はあるが、印象が最悪な格闘技だ。
印象の悪さだけならムエタイと双璧を為す。
今だってクレーザーも大した描写がなされず、試合中のキャラとしては屈指の扱いの悪さだ。

まぁ、それを思うとアイアン・マイケルって優遇されていたんだなと思う。
そう、アイアン・マイケルが戦う姿は忘れられない。
絶対に忘れられない。
忘れられないけど、あれって千春が刃牙に酷い目に遭わされているのと同じベクトルの忘れられなさだ。
クレーザーも酷い目に遭えば忘れられなくなるかも。
…やっぱり、ボクサーの立ち位置ってこんなもんですよね…



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