範馬刃牙 第244話 来訪



渋川剛気からの停戦勧告だ!
ここで「はい、止めます」と言ったら主人公失格だ。
既に主人公失格気味かもしれないけど。
屁理屈が得意な刃牙だから、何とかするか?


「かつての範馬勇次郎は」
「腕に覚えのある者 すべての標的でした」

はいはいはい!
それ、知ってます!
昔は本部でさえ勇次郎に挑みましたからね!
そう、範馬勇次郎はあの本部でさえ付け狙う標的だったのだ。
挙げ句、独歩の相手は荷が重いと言わせてしまうほどだった。
これだけでも昔の勇次郎の評価は今から見ると相当に低かったことが伺える。

他にも事例はいくつもある。
紅葉でさえ勇次郎に勝てる気でいたり、ガイアと対等だとストライダムに見られていたり、
最大トーナメント1〜2回戦負けが9人集まれば何とかなると思われたり、
一流ハンターを雇えば動きを止められるというか止めたくらいだ。
一流ハンターの件は勇次郎の唯一の敗北、黒歴史と言っても過言ではないものだ。
グラップラー刃牙時代の勇次郎は総じてその絶対性が疑わしい。

「それがいつの日からか……… 誰も名乗りをあげなくなった」
「強くなりすぎた」
「あれじゃアンタ 目標にすらなり得ん」


そんな勇次郎に挑む者はどんどん減っていった。
本部だって自分じゃ無力宣言をしていた。バキ第275話
一体お前は何を言っているんだ。反省しているのはいいけどよ。
そんなことをあの時は思ったけど、昔は勝てそうな強さだったが今は無理な強さになっているとしたのならば辻褄が合う。
いや、昔も無理にもほどがあったけど。

かつてストライダムは勇次郎を宇宙が光の速さで膨張し続けるように、日々成長していると形容した。
(そのストライダムも昔は銃で囲めば無力化できると思っていたり、前述したようにガイアと対等と思っていたり)
勇次郎の強さはシリーズを経るごとに強調されているように見えたが、事実強くなっていたらしい。
そりゃあいつの間にか独歩では手に負えない存在になるわけだよ。
郭海皇も今勇次郎とやるのは勘弁かもしれない。

勇次郎自身もオリバの頭突きは想像したくないと言っていた。
が、今の勇次郎はオリバを上回る筋力を誇る。(第183話
その進化は自分でさえ予見できないレベルなのか?

刃牙は不可思議に強くなっていった。
鬼の貌を出してオリバと互角だった時期から、オリバ以上の筋力を誇るピクルを鬼の貌なしで圧倒した。
妖術臭くてインチキ臭い戦いだったが、強くなっていたのはたしかだ。

だが、勇次郎も強くなっていた。
戦うことはほとんどないのに強くなっている。
勇次郎のトレーニングは常軌を逸しているが、それだけで強くなられても作風的には困る。
でも、勇次郎だから強くなるのは自然だ。
むしろ、良し!
…刃牙の人徳のなさを感じた。

勇次郎から逃げるのは恥ではない。
兵器から身をかわすのが恥ではないように…
故に逃げろと。
そう渋川先生は刃牙に告げる。

武は自己の生存のための技術だ。
勝てないのなら逃げる。
それがまかり通る世界である。
生粋の武道家としての言葉であった。

「勝ち目がないから避けろという武的発想」
「果たし合いじゃない 決闘じゃない」
「ましてや腕比べ 試合なんかではあり得ない」
「父と子」
「それ以上でもそれ以下でもない」
「勝てそうだからヤルものではない 敗けそうだから 止すものでもない」
「一生ないかも知れない 明日にも起こるかもしれない」
「否―――― そもそも予定するものですらない」


恒例の屁理屈タイムが始まった。
いや、もうあながち屁理屈でもないかもしれないが。
刃牙は事あるごとに勇次郎と勝つ負けるの戦いではないと言ってきた。
それは勇次郎との戦いがただの親子喧嘩だからだ。
だから、やる。
そして、それは勝った負けたの戦いではない。

当然、そんなものでは済まない戦いになるだろう。
両者共に金的の一発や二発は覚悟しておけ。
これは刃牙の戦いなのだから、刃牙がそれでいいのならそれでいいことになる。
結局、刃牙は自分の本望のためだけに戦い続けてきた。
それさえ成就できればそれでいい。
そのために勇次郎に挑むのは(刃牙的には)正しいことだ。
…だが、今までの戦いとは一体何だったのか。

刃牙の主張に渋川先生は納得する。
本人がそれで良いのならもう止められない。
そんな戦いだ。
…何のために刃牙は渋川先生のところに来たんだ?
それとも渋川先生から呼んだのか?
勇次郎が独歩にのろけたように刃牙ものろけたかっただけだったりして。

「親子喧嘩って 権利じゃないかって」
「ねェ渋川さん」
「権利なんだよこれは」
「全ての息子は――」
「父親と対立する権利を持つんだ」
「そして」
「父親は――」
「それを受ける義務がある」
「当然のこと―――」
「受けなければならないッッ」
「まァ…………」
「そういう心配はないんだけどね」
「それが父と子」
「あるべき姿じゃないかって……」


やっぱりのろけたいだけじゃねえか!?
何てことだ。
まさかののろけに付き合わされるとは…
75年、いや76年生きてきて想像もできまい。
あ、意外と本部に「総入れ歯になるまで異種格闘技と組み手したから勇次郎も余裕っすよ」なんてのろけられてたかも。
それは花田に言えと追い返せただろうが、刃牙にはそうもいくまい。
梢江に言えと返せればいいだろうが、梢江の名を出すのも怖い。

しかし、ここまで言っておいてこいつはジャックにファイターとして終わりだと言ったのか。第153話
あれは親子喧嘩とはまた違うものだけど、刃牙理論を通そうとすればファイター云々関係ないんじゃないか?
それとも言い返せなかったジャックの負けなのだろうか。
アゴが砕けていなければ相応の言い返しをできたのたかも。

刃牙は帰路に就く。
そこでパンチングマシーンで遊んでいる不良に絡まれてしまった。
相変わらず不良に絡まれやすいというか、どうみても今回は刃牙から絡んでいる。
だって、不良を吹き飛ばしているし。
刃牙も殺生本能(キラーインスティクト)を抑えられないのか?

毎度のように刃牙は不良に殴られ、毎度のように効いていない。
こんな化け物と戦ったのだから、千春のことは褒めてあげるべきかもしれないな。
というか、この不良は千春の傘下じゃないのか?
厳駄無の支配力って案外ないのだろうか。
いや、東京の族というより千葉とかそこらの気もするけど。

殴られた刃牙が目を付けるのはパンチングマシーンだ。
その前に立つ刃牙を見て不良たちは冷や汗を流す。
あの刃牙がパンチングマシーンに目を付けたのだ。
ロクなことになるはずがない。

刃牙がパンチングマシーンに軽いジャブを打ち込む。
それだけでパンチングマシーンの支柱は真っ二つに折れた。
刃牙のジャブはパンチングマシーンを粉砕するほどに成長していた。
刃牙さん、パネェっすね!
で、誰が弁償するんですか?
不良慣れした刃牙らしい、凄惨以上に陰湿な仕返しであった。
現場からは――2分以内に脱出(エスケープ)じゃ…!

「予感…………」
「……というより」
「確信」
「親父と 水いらず!!!」


何かを確信したように刃牙は料理を作る。
そして、バキハウスに勇次郎は足を向ける。
刃牙と勇次郎の家族団欒が目前に迫っている。
それは間違いないが、戦うのか?
やるやる詐欺じゃないのか?

とりあえず、食って帰るか、食わずに帰るか、この二択だろうか。
さすがに戦いそうにない。
ここで戦ったらある意味凄まじいな。
次回へ続く。


結局、刃牙は何のために渋川先生と逢ったんだ?
よくわからんな。
別に逢わなくても良かったのに。
この調子だとボルトのことが忘れられそうで怖い。

勇次郎とは親子喧嘩だからやる。
そんなことを言われたらもう止められない。
でも、親子喧嘩はやると決めたからやるもんでもないよね?
勇次郎が飯を食って引き返しそうになったら、刃牙は上手く喧嘩を売れるのだろうか。
何だかヘタれそうだ。

問題となっていた刃牙が勇次郎に勝てるのかという問題も、勝ち負けじゃないからもはや関係ない。
刃牙が成長していると同時に勇次郎も成長している。
その差は決して埋まることがない。
まぁ、戦えればいいようだから構わないのだが、何かカタルシスがないな…
勇次郎との家族団欒で刃牙は新たな境地に目覚めるのか?

とりあえず、完全独走モードに入った刃牙だった。
障害はない。
あっても千春くらいだ。
…そういえば、千春って何だったんだろう。
刃牙の闘争心の大事さを教えた気はするが、刃牙は勇次郎との戦いに闘争心を持ち込みそうにない
やればわからないが、今のところちょっと戯れたい気持ちしか見えない。
勇次郎は戯れでムエタイを殺すぞ?

まずは如何に怒らせる飯を作るだな。
カップヌードルでも出せばいいんじゃないか?
勇次郎は遠慮なくキレることができる。

でも、刃牙は真面目に作っているんだよな…
独り暮らしが長いだけあってけっこう美味しそうだ。
お互いに高度な情報戦を行うことになるのだろうか。
何だこの料理はッッッ。刃牙を呼べッッッ。と皿を邪ッッと投げつける。
刃牙の脳天に直撃して範馬刃牙完!
そんな結末があってもおかしくはないだろう。



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