範馬刃牙 第256話 反撃の狼煙



ついに刃牙が構えた!
構えた! 構えたぞ!
……構えたから何なのだろうか。
むしろ、刃牙は構えていない時の方が強い気がする。
春成やJr.の時のように。
強いと言うよりも酷いでした。


[開手から…]
[拳へ………]
[その変化の意味………]
[親父の手は まだ開いたまま………]
[俺は……… 構えてしまった…]
[そうじゃない]
[俺が自らの意志で 構えを選択(えら)んだんじゃない]
[“構え”に 俺が“追い込まれ”たんだ]


構えるだけで数ページに渡る心理描写だ!
やるかと思ったら本当にやりやがった。
最近のカイジみたいな奴だな。
ヘタすればアカギになっちゃったりして。

それだけこの構えには大きな意味があるようだ。
ジャック戦とか上腕動脈を噛み切られて、ファイティングポーズを取った時は格好良かったと思う。
でも、その直後に歯が折れるほど吹き飛んだ。
ダメじゃん、刃牙の構え。

前述したけど刃牙は構えていない時の方が危険度は高い気がする。
構えじゃない構えの方が怖かったりするし。
例えば、体育座りとかの危険度は一級品だ。(第162話
変態性が上がるほど刃牙の危険度も上がるし、刃牙はいっぺん理性を失ってみてはいかがか。

構えを取った刃牙に対して勇次郎は両腕を大きく広げたオーガスタイルを取っている。
人ならぬ超暴力を持つ勇次郎やピクルのみに許された構えだ。
刃牙の心中描写通りに勇次郎の手は開いている。
握るか開くかにも意味はあるらしい。

でも、勇次郎って大抵手を開いている気がする。
鬼の貌を解放しても手を開いているような……
勇次郎大好きなのに的外れな指摘なことを考える気がする。
ただの構えにいろいろ理由を付けようとして無理をしていないか?

「未熟者らしく」
「己の全存在を賭けてこい」


実力に劣っているのに出し惜しむなということか。
刃牙さんは相手が強者になると妙にもったいぶる。
逆にあまり強くないといきなりギアを上げてボコボコにするのだが。
弱い者イジメは得意だけど、その癖が抜けていないだろうか。
勇次郎の前に戦ったのが千春だし、千春流が染みついたままだったりして。

とりあえず、鞭打に頭突きとかどうよ。
刃牙さんならできるさ。
今までのライバルの技を使え!
地球拳なんかいいかもしれない。

さて、この大一番に遅れて徳川光成がやってくる。
待望の解説役驚き役だ。
でも、じっちゃんってあまりキレが良くないんだよな。
ボケもボケというよりも痴呆症みたいな感じだし。
やはり、大物解説役と驚き役がいないと……
本部・加藤・末堂の黄金のトライアングルはもう見られないのだろうか。

徳川光成曰く、周辺住民とホテルの宿泊客の避難は終わったようだ。
第一空挺部隊は見えないところで働いていたらしい。
あまりに見えなすぎてお前ら何のために紹介されたのって気がしなくもないが、何にせよ呼ばれた意味はあった。
ホテルだけじゃなく周辺住民まで避難させるところが勇次郎と刃牙の戦いのスケールを物語っている気がしなくもない。

「オーガなんざ建物ごと破壊してやれいッッッ」

お前が戦い始めたから第2回最大トーナメントが有耶無耶になったなんて苦言を呈することもなく、徳川光成は刃牙を激励する。
勇次郎は笑みを浮かべる。
こういうことを聞くと妙に嬉しそうになる今宵の勇次郎だった。
刃牙と戦えることがそんなに嬉しいのか?
ホテルを壊すだけの規模で戦えることが嬉しいのか?

とりあえず、みっちゃんは口を慎め。
勇次郎ならホテルの倒壊くらい十分為しえる。
あまり煽ると痛い目を見るぞ。
もしかして、そのために周辺住民を避難させたのか?
格闘戦でビルの倒壊を見られたら、むしろ良しとか思っていそうだし……

無茶な激励だったけど、刃牙にとってはいい気付けになったようだ。
刃牙は勇次郎に踏み込み左ストレートを放つ。
だが、ナムアミダブツ!
次の瞬間には吹き飛び壁にめり込む。
勇次郎がカウンターすればクレーターくらい作れるだろうが、特にカウンターをした様子もない。
軽く手を突き出した程度だった。

これには……というか、またも刃牙は驚愕する。
毎度のことながら冷や汗に事欠かせないな。
驚くことに関しては刃牙は一流だ。
もう刃牙が驚き役をやればいいのに。

驚いていたが刃牙は何が行ったのか把握していた。
ポルナレフにならずに済んだぞ。
刃牙が語る勇次郎の技とは!

[左ストレート…]
[伸びきった 一本の棒と化した まさにその一瞬を]
[合わされた!]


こうして解説は全て終了!
どういうことだよ!?
ただ手を合わせただけで真逆の方向へ吹き飛ばすなんて、もはや合気ってレベルじゃない。
ベクトル変換のレベルだ。
毎度毎度、勇次郎は超能力じみた技術を見せる。
刃牙も右手で殴れば何とかなったかもしれないのに。
そして、勇次郎に説教する。

「今のが最後だ」
「貴様が手を抜き…」
「その侮辱に対して」「俺もまた手心を加える」
「次はない」

さすがに茶番を続けるのにも飽いたのか、勇次郎から最後通達が行われる。
いつまでも仕置きは続かないらしい。
刃牙さん、ちょっと手を抜きすぎたようだ。
鞭打を連続で勇次郎に放っていたらこんなことを言われなかったのに。
あれをもうちょっとやっていたら間違いなく本気で怒っていたよ。

しかし、このごに及んでも手加減する刃牙はものすごい危機感のなさだ。
もう貯金全額引き出してその場を凌がないと不味いくらいなのに……
この底知れない余裕はどこから出ているのだろう。
本気になれない若者を体現してでもいるのか?

というか、構えたのに刃牙は本気じゃなかったのか。
一体何のために構えたんだ。
毎度のことながら本気なんだか本気じゃないんだかよくわからん男だ。
そりゃあ勇次郎だってイライラが募ることだろう。
SAGAの時は最初からブローするくらいにエンジン全開だったのに……

[夥しい戦果に彩られた “強さ”の結晶!!!]
[一瞥で俺の技量など 隅の隅まで見渡せるハズだった…]


何だかんだで刃牙は勇次郎のことを大好きだ。
過信であり妄信している。盲信もしている。
それだけあって勇次郎のことは知り尽くしている。
なのに、手加減していた。
……こいつはわざと怒られたいのか?

もう恐ろしいまでの刃牙イズムだ。
わけがわからないよ。
刃牙なら海原雄山にカップヌードルを出して、この程度で満足するはずはないと冷や汗をかくんだろうな。

「なァバキィ…」
「もういい加減によォ」
「父さんに実力見せてくれよォッ」
「やろうぜホンキで…」「もう……」


突如勇次郎がキモくなった!
丸文字で妙に人なつっこく話しているぞ。に、似合わねえ。
イメージとしてはデレ状態の釘宮理恵の声真似でもしているのだろう。
貴様は釘宮病を嘗めたッッみたいな状態になるであろう。

前回の力み全開の変顔の次はムカつく顔だ。
コロコロと勇次郎の表情が変わる。
いや、あれは無表情だったみたいだけど。
刃牙もムカつく表情で対抗すれば、ムカつく合戦が始まるぞ。
これなら刃牙は負けない自信がある。

勇次郎の突然の変化に刃牙は唖然とする。
唖然としてばかりだよ、本当。
そろそろ違うリアクションが欲しいところだ。
逆ギレやノリツッコミとか、刃牙の芸はもうちょっと広いはずなのだが……

「わかったよ父ちゃん…」

ともあれ、ここまで煽られたら引くわけにはいかない。
刃牙は両腕を下げてとろりと脱力する。
この構えはゴキブリダッシュの構え!
刃牙が勇次郎との戦いのために取っておいた必殺技が炸裂しようとしている。
それなら最初からゴキブリダッシュの構えをしやがれ。
何のためにお前はファイティングポーズを取ったんだ。

刃牙の必殺技、ゴキブリダッシュが勇次郎に通じるのか。
いまいち通じそうにないのだが、鞭打が効いた以上、ゴキブリダッシュも通用するかもしれない。
今のところ、ゴキブリダッシュは特攻でしか用いられていない。
ただそれはあくまでも用法のひとつに過ぎないだろう。
超高速移動を活かした打撃など、ゴキブリダッシュの可能性は無限だ。

勇次郎はパワー・テクニック・スピードの全てが超一流だ。
そんな中でスピードだけでも上回ることができれば御の字である。
でも、勇次郎のスピードは速いを通り越して瞬間移動のレベルだ。
刃牙がゴキブリダッシュを編み出そうとしている間に、勇次郎は既に異次元のスピードを手に入れている。
数十メートル先から一瞬で後ろに回り込むのはチャメシ・インシデントである。
……大丈夫かなぁ、ゴキブリダッシュ。

ともあれ、刃牙オリジナルの必殺技が今勇次郎に放たれようとしている。
鞭打は勇次郎直伝だったから、刃牙完全オリジナルの必殺技はこれが初めてだ。
ゴキブリダッシュが通じるか否かで刃牙の真価が決まるぞ!
……超無理臭ェんだけど!
次回へ続く。


刃牙が構えて本気を出したと思いきや、実は本気じゃなかったので、構えを解いて本気を出したという話だ。
ややこしい!
ひたすらにややこしい!
アニメのドラゴンボールのようなややこしさだ!
何で刃牙は実力を隠したがるんだろうか。
親子喧嘩というスタンスは崩したくはないようだが……

勇次郎が本気になると戦いは生き死にのレベルにならざるを得ない。
そうなると親子喧嘩というレベルじゃないし、刃牙は避けたいのだろうか。
激闘を演じた独歩は死んだ。蘇生したけど。
激闘を演じた郭海皇も死んだ。自演だったけど。
……刃牙も激闘を演じて死んでみたらどうだ?

親子という関係がこの戦いをややこしくしている。
ピクル相手には妖術を使いまくって翻弄した刃牙も、今回はむしろわざと正攻法で言って失敗している。
勇次郎も勇次郎で本気を出していない。
もうちょっとシンプルにまとまらないものか。

勇次郎に手心を加えるだけの余裕を奪い取ればいいのだが。
ゴキブリダッシュにそれだけの力はあるのだろうか。
効力が千春でしか実証されていないのが不安だ。
その効力もよくわからんし、あれはゴキブリダッシュよりも眼玉の硬さの方がすごいとしか……

刃牙も刃牙で余裕がなくなれば話は変わってくるかもしれない。
ゴキブリダッシュが通用しなくてヤバい!
見よう見まねでファイナルマッハゴキブリダッシュだ。
ダッシュ中にあえて引き返すことで威力増大する。
ただし、全身が普通の骨になる。
刃牙のことだから中身が完全な液体になっていてもおかしくないか。
そうなると完全消滅?

力みの究極系が前回の勇次郎だったのならば、ゴキブリダッシュは脱力の究極系だろうか。
あの力み顔は一度きりではもったいない面白さだったので、また活用して欲しいところだ。
全身を液体レベルまで脱力して高速移動を可能にしたゴキブリダッシュに対し、
全身を金属レベルまで力んで完全不動を可能にした全身力み!
おお、真逆の属性だから勝負としてはいいかもしれない。

問題は絵面的に面白すぎてまともな勝負に見えないことかな。
勇次郎の力みによる変顔に対抗して、刃牙も完全脱力の変顔で勝負すればいいのに。
変顔と変顔をぶつけ合う未知の戦いの始まりだ!
脱力だからアヘ顔なんてどうだろうか。
信じて戦い出したオーガ息子がゴキブリの師匠の変態格闘技にドハマリしてアヘ顔ピースゴキブリダッシュをしてくるなんて……



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