範馬刃牙 第297話 雄々しき2人



刃牙の必殺技、ゴキ哭拳が決まった!
勇次郎を代表する鬼哭拳と刃牙を代表するゴキブリダッシュの奇跡のコラボレーションだ。
親子合作の一撃である。
これには勇次郎もピンチか?


力と速さが合わさり最強に見えるゴキ哭拳は勇次郎の腹筋に突き刺さる。
あの勇次郎の腹筋に刃牙の拳が深々とめり込んでいる。
並大抵のことではない。
恐ろしいまでの破壊力だ。

ゴキ哭拳を受け勇次郎の身体はくの字に曲がる。
衝撃は身体を貫き木々を揺らす。
似たような理屈であろう真マッハ突きと比べると、筋力で破壊力を生み出している分、肉体への負担を抑えられているのだろうか。

(いい………)
(い〜〜〜いパンチだァ……)
(何時以来か…………腹筋を貫かれるのは…………)


でも、勇次郎は案外余裕があった。
あれ、結局、いつも通りのノーダメージか?
一歩進んだと思ったら相変わらず一歩も進んでいないバトルだ。
牛歩というか何というか。

「親父……」
「退屈してはいないかい」


髪を逆立たせ刃牙は凄む。
心なしか眉毛の形がいつも以上に範馬だ。
何か餓狼伝BOYの丹波みたいな風情だ。
うん、例えが最悪だ。

刃牙は範馬一族として完全に覚醒した。
勇次郎とて認めるほどだ。
範馬の血の濃さで強さが決まってしまうのも無情だが、今の刃牙の強さは勇次郎に比肩しうる。
が、優勢を保っていてもダメージを与えられていないのも事実だ。
もっともそれは勇次郎も同じなので、試合がいまいち進まないのであった。

「退屈を嫌い…」
「国内………国外………」「地球の裏側 果ては北極にまで」
「遊び相手は」「武術家」
「アスリート」「猛獣」「大型獣」「武器」
「闇社会」「国家権力」「軍事力」


勇次郎は自分が戦ってきた相手を語る。
個人から権力まで、強さに関わるものなら見境なしだ。
度し難い退屈を紛らわせるために東奔西走である。
ホント何で本部と戦ったんだろう。
美食ばかりで飽いたところに珍味というわけか。
その中身は5円チョコだったのかもしれないが。

勇次郎の飽くなき強さへの欲望を満たす存在は近くどころか勇次郎の一部から生まれた存在であった。
勇次郎を満足させるのは勇次郎そのものということか。
今、刃牙は勇次郎の器に成長した。むしろ、変化して進化した。
いつの間にやら人外である。
どこへ行こうとしているのやら。

自分の強さを受け継ぐ存在を求める。
そのために遠大な計画を立てた。
そして、勇次郎の思惑は成就した。
ならば、ここからが本番、のはずなのだが、わりと勇次郎は満足気味だ。

「我が子刃牙……その両の拳は」
「過去のいかなる刃より鋭利で」
「いかなる弾丸より迅く」
「いかなる巨漢より重く」
「いかなる殺意より凶悪で」
「いかなる狙撃(スナイプ)より予測不能だ」


べた褒めである。親馬鹿とはいえここまでべた褒めすることも珍しい。
完全なデレ期だ。
顔真っ赤で攻略終盤である。
親父の愛の蜜ダダ漏れで今宵見学に来た観客たちは運が良い。
こんなサービス、滅多にないんだからね。

これでゴキブリよりしぶといが入っていたら完璧だった。
勇次郎はゴキブリダッシュの概念については既に理解しているが、その発端がゴキブリにあることは未だに気付いていないのだろうか。
あとカマキリより強いとかもいいかも。
ううむ、何でこいつは昆虫とばかり縁があるのだろう。

「天使のように優しく」
「恋のように甘い」

「それもまた動かし難い事実だな」


これに対して刃牙はこう返す。
オメー、ゴキブリだろうがよ!
もう何が何だかよくわからん詩的なやり取りだ。
この漫画、シュガーレス違うぞ?

ともあれ、その返しに勇次郎は満足している。
何か範馬的なやり取りも身に付いてきている。
むう、これが範馬に覚醒した者なのか。
こいつらの進化はよくわからん。

「幼児が玩具(オモチャ)を手に入れたとき」
「どうなると思う」
「夢中んなって遊び」「遊び」
「遊び」
「最後は破壊(こわ)しちまうんだ」


ここで意趣返しと言わんばかりに、刃牙は例え話をする。
こういう話し方はどことなく勇次郎的だ。
範馬に目覚めた以上はやはり勇次郎的になっていくのか。
きっと、ムエタイを次々に屠っていく。

玩具で遊んだ果てに、玩具を壊してしまう。
誰しも一度は経験のあることだ。
同じように勇次郎も壊してしまうということだろうか。
今の刃牙ならやりかねないだけの勢いがあることは否定できない。

でも、刃牙さんや。
勇次郎から玩具扱いされているのはアンタの方だ。
これじゃ壊されるのは刃牙の方になってしまう。
自爆しているような……
あるいは勇次郎が玩具同然ということか。
なら懇切丁寧に説明して上げてください。

ともあれ、刃牙の発言に場は凍り付く。
独歩、徳川光成、オリバが冷や汗を流す。
特にオリバなんて死さえ連想している。
お互いに兵器に等しい戦闘力を持つ。
ならば、行き着く果てはお互いの死以外にないのだろうか。

「そーだよ」

「え……?」


緊張するこの場に何者かが乱入する。
その人物の登場に絶好調の範馬モードの刃牙が驚く。
いつもの刃牙なら何にでも驚いても不思議ではないが、今の刃牙は範馬丸だしだ。
その刃牙が驚愕するのは並大抵のことではない。
よほどの大物か、よほどの小物か……
ページをめくったらそこにいたのは予想外の人物であった。

「男同士イチャイチャと………」
「見てらんないよ」


出たのは地上最強の雌、松本梢江だ!
ここで、梢江かよ!?
しかも、勇次郎を前にしてこの不遜な態度だ。
この雌の進化は止まらないというか、見ない間も己を高めていたようだ。
勇次郎の言葉を忠実に守っている。

梢江は勇次郎が認める雌である。
巨凶範馬を受け止めるだけの雌度を持つと認められたのだ。
最近は範馬の血が持ち上げられているだけに、梢江の凄まじさが改めてわかるというものだ。
あの刃牙と互角のセックスを演じたことからもそれはわかる。
ん? ものすごい変な表現をしたような……

第300話及び親子喧嘩開始1年を目前にしてとんでもない燃料が投げ入れられた。
松本梢江は一体何をしでかすのか。
そして、ヒロインが出るだけでこの盛り上がりというか混乱である。
松本梢江の業の深さを改めて知った。
Jr.では到底勝負にならないわけである。
次回へ続く。


ゴキ哭拳炸裂!
ダメージなし!
勇次郎の必殺技が不発に終わり、刃牙の必殺技も不発に終わった。
刃牙は勇次郎を圧倒しているようで、決定打を与えられてはいない。

この状況が長く続けば刃牙優勢になるか。
あるいは勇次郎も範馬脳を発動させて形勢逆転するか。
そんな中で梢江の乱入だ。
もうどうすればいいのやら。

梢江は刃牙の恋人だ。
……恋人でいいはずだ。
二人は結ばれる運命にある、のか?
うーむ、こいつらの人生設計はよくわからん。
どっちも相当な刹那主義だ。

ともあれ、勇次郎にとっては息子の恋人である。
祝福すべき対象だ。
祝福していいのか?
範馬の血はより一層厄いことにはなるが……
いかんいかん、梢江の顔を想像すると悪いモノしか浮かんでこない。

勇次郎は刃牙との親子としての繋がりを認めた。
ならば、梢江も親として迎え入れるのだろうか。
それを刃牙は受け入れるのだろうか。
まだまだ波乱がありそうだけど、どう転がることやら。

しかし、いちいち波乱がありそうな終わり方だけしている。
1年という連載史上屈指の長期戦ながらも、飽きさせないのはそういった引き特化だからなのかもしれない。
でも、ピラミッドの壁画とかは引きとしてかなり卑怯だと思う。
あとそれと同じくらい梢江も卑怯。
梢江が出てくるだけでネタが完結してしまう。
この正念場に出すだけの貫禄あり! そいつが松本梢江!



サイトTOPに戻る Weekly BAKIのTOPに戻る