第239話 死



ゴタゴタがあって即書けなかった
じゃないや、復ッ活ッ
郭海皇復活ッッ
郭海皇復活ッッ
郭海皇復活ッッ

以下略。
郭海皇の復活術(というか蘇生術)に対して中国軍は…

「わ―――――ッッ」

みんな、めちゃくちゃ驚いている。

烈先生は前かがみになって大口を開けている。
ナイスリアクションだ、烈先生っ。
今なら加藤といい勝負ができるぞッ!!
それにしても地下闘技場最大トーナメント編の威厳はどこへいったのだろう?
なんか中国に来てからというもの、驚愕するわ、赤面するわ、解説するわと役割が加藤と本部だ。

龍は背筋を伸ばし、ついつい抜拳してしまっている。
凶人とはいえ、妖怪には弱いのだろう。
むしろ、ずっとハンドポケットだったのか?
こいつ、やっぱり変態です。
きっと、喜怒哀楽、あらゆる感情を抜拳で表しているのだろう。
ついでにオリバにやられた右手が治っていますが気にしてはいけません。
バキ世界は戦闘終了するとHPが全回復する仕様なんです。

春成は龍以上に背筋を伸ばし、髪を逆立てる。
すっかり面白い人になってしまいました。
殺害宣言した時の勇ましさ、荒々しさはどこへ?
なんだか初登場時は強そうだったけど敗北を機に単なる驚愕解説役になってしまった、加藤&本部大先輩と同じ道を歩んでいる。

範海王は背中を向け逃げ出す準備だッ!
護身開眼ッ!!
いや、妖怪が怖い気持ちはわかるが、その反応はまずいだろう。
もはや、こんな芸をする以外に読者の注目を集めることができないのが悲しい。
ついでにいつのまにかにジャージに着替えたようだ。
ますます克巳に近づいている。
おそらく克巳になりすますことで、再起を図っているのだろう。
もしくは範海王の正体は克巳だったのだッ!!
慣れない中国拳法で戦ったから瞬殺された、と。

「無理無理無理」
「人と闘(や)っとる気がせん」
「ワシも若年時代は人間以外とも幾度か立ち合ったが………」

どうやら郭海皇は牛や虎とも戦ったことがあるらしい。
若年時代ということは理合と出会う前と思われるので100年前あたりだろうか?
しかし、勇次郎はこれらの動物よりも戦力が上だった。
そりゃ、人類の範疇を越えているというか、生物の範疇を越えた『生物』だし。
理不尽な範馬パワーには中国四千年も真っ向勝負ではかなわず、か。

「あの… 老師…」
「そういうモンダイじゃなく…」

烈先生は珍妙な顔でツッコむ。
この面からは「ホスト加藤&本部の座は渡さねェッッ」という気迫が伝わってくるッ。
安心してください、噛ませ犬になれば加藤や本部のようになれますから。

「い…生きて……おられたのですか…?」

烈先生は梢江に恨み言を言われた時のように困っていた。
つまりは梢江の破壊力は郭海皇と同等だといえる。
さすが、巨凶松本だ。
伊達に範馬の血筋とくっついていません。

「臨床学的には非の打ち所もなく」
「ワシの死亡は確認されたと聞いとる」

王大人死亡確認?
あの人の死亡確認は信用できません。
すぐ復活するし。

なんにせよ、死亡することで勇次郎の渾身の一撃は止まった。
そのため、郭海皇の取った死亡という手段は、
勇次郎に止めるために非常に効果的であり、また唯一の選択肢だったといえる。

「おわかりか?」
「武が勝利したのじゃ」

「やったァァァァァ」「勝ったぞォッ」と勝利宣言だッ。
しかし、その勝利宣言を受けた中国軍の顔は険しいというか、呆けている。
おじいちゃん完全にボケた?って感じだ。
妖怪の言動は人間には難しいらしい。

「疑(うたぐ)るかァ!!!」

郭海皇が吼える。
自身が不利になったら、逆ギレで押し切る。
見事な(強引な)話術だ。
タチの悪いボケおじいちゃんって感じですが。

さらに押し切るために武術体質という奇妙な単語まで引っ張り出す。
筋肉というのは大きければ大きいほどエネルギーを使う。
マラソン選手の肉体がスレンダーなのは、余計なエネルギーを使わないためだ。
郭海皇にとっての武術体質とは、エネルギーを使う筋肉で戦う肉体ではなく、
エネルギーを使わない技術で戦う肉体のことなのだろう。
エネルギーをほとんど使わないからいつ使用エネルギーが0になるのかわかりません。
だから、いつでもポックリ逝けると。
でも、エネルギーをあんまり使わないからすぐ再起動できると。
便利な肉体だ。

「死に勝る護身なし!!!」

言い切りやがったッ!!
おじいちゃんの攻勢は止まらない。
相手に背中を向けて硬直するのを護身と称した、日本のハゲおじさんを越えるかの勢いだ。

「ゲーム・スポーツから殺し合いに至るまで」
「相手が死すれば勝負なし!!!」
「故に負けもなし」

怒涛の言葉責め、いや言葉攻めだ。
たしかに死ねば勝負なしである。
だが試合では負けだ。
とはいえ、郭海皇と勇次郎の戦いは試合というカタチで決着が着くものではなかった。
そのため、郭海皇の言葉を完全に否定することはできない。

「ずっる〜〜………」

「その通り」
「武とは 技とはズルきもの」

愚息に丁寧に解説する。
攻めの言葉攻めの次は、守りの言葉攻めだ。
試合中以上に郭海皇に隙はない。

郭海皇の言う通り、武も技もズルきものだ。
弱者が強者相手に真っ向から戦っても勝つことはできない。
だからこそ、弱者は弱者であり、強者は強者であるのだ。
その差を埋めるための技術が武であり技である。
そのためには相手の弱点を突くし、武器も使う。
死んだフリも行う、のかもしれない。

それにしても春成に「お前、なんでここにいるの?」と返さない郭海皇は一応大人だ。
もしかしたら、ボケが進行して春成がバキを瞬殺したと勘違いしているのかもしれない。
おじいちゃん、逆です。
春成は瞬殺されました、受身です、みたいに。

「あの怪物とわしは闘った………」
「そしてなお 立っている」

終始、郭海皇は言葉の力で押し切り、そしてしめやかに幕を閉じた。
死ねば勝負なし発言はちと強引だ。
しかし、勇次郎と戦って、なお生きているというのは大きな意味がある。
勇次郎と戦ったものは大抵病院か火葬場直行だ。
最近ではサムワンがやられている。
だが、郭海皇は自力で立っている。
勇次郎にやられた多くの犠牲者を振り返ってみると、郭海皇は立派である。
本部以来の大快挙だ。
こう書くとなんだか大したことをやってないように感じますが。

 

「親父…」
「今……烈さんから報せが…………………」

一方日米軍の控え室では、バキが郭海皇の蘇生の情報を伝えていた。
もはやパシりだ。
これでいいのか主人公?
もっとも日米軍と中国軍のかけ橋となっているのは立派といえなくもない。
いわば外報部長だ。
主人公の役割じゃねェ…

勇次郎はコーラを飲んでいた。
この姿はグラップラー時代の刃牙第1巻の刃牙の姿とかぶるものがある。
勇次郎にとってもコーラは立派なスポーツ飲料なのだろうか。
息子と違って炭酸を抜かない主義のようですが。

「さすが海皇ということだ」

さすがの勇次郎も郭海皇を認めた。
てっきりキレるかと思ったがそうではなかった。
完全なる仮死術は勇次郎も評価しているのだろう。
勇次郎がステータス異常やるせない状態なので、これ以上波乱は立ちそうにない。
大擂台賽は終局に向かいつつある。

しかし、この戦いでバキと勇次郎の差はさらに広がってしまった。
どうやってこの差を埋めるのだろうか?
もしかしたら死んだフリをするかも。
でも、勇次郎はバキ相手には死んでも関係なく殴りますよ。
幼少時代のラストバトルでも、戦闘不能になったバキを容赦なく殴っていたし。
あんな感じに今のヘタれたバキに一喝をお願いします。



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