第248話 ベストショット



(この距離――――――)
(このタイミングで――――――)
(躱しやがった!)

実は独歩の攻撃は当たっていなかった。
先週のあの終わり方だとJrが吹っ飛ぶか股を押さえるかのアクションしか思いつかなかった。
いっそのこと、あれで勝負ありかとも思ってしまった。
だが、違った。
扉絵の刃牙を殺してまでもかわされたという事実を強調した。

前回のあの終わり方でかわされたと思ったヤツは日本中に一人とていないだろう。
いたら、神認定だ。
とにかく予想を大きく裏切られた。
板垣めッ、俺の予想を覆しやがったッッ。
期待も覆しやがったッッ。

(しかもよォ――――――)
(この距離――――――)
(このタイミングで)
(カウンターまで…………………)

確定していたカウンターをかわしただけでもJrは十分スゴい。
スゴすぎて人外だ。
だが、それに加えてカウンターにさらにカウンターだ。
もはやこれは人間技ではないような気がする。
恐ろしいまでの反射神経と身体能力――
やっぱり、魔法滅土の血は範馬化しています。

なんにせよポッと出てきたかませ役者の除海王や範海王すらも遠慮なく叩きふせるだけのことはある。
かわすだけではなくカウンターまでやるのはその激しい気性からだろうか?


場面は変わる。
ある意味お約束と化しているアライ父とジャーナリストの解説タイムだ

ジャーナリストは少し失礼な質問をした。
アライ父は問答無用に鉄パイプを取り出す。
…なんだ、その鉄パイプは?
もしや、息子のトレーニング用か?
刃牙は生まれた時にコンクリートに叩きつけられるところから格闘技修行が始まった。
Jrは鉄パイプを自慢の反射神経と足腰でかわすところからアライ流の修行が始まったのかもしれない。

しかし、何でこんな物騒なモノをすんなりと取り出せたのだろうか?
父はジャーナリストが来ると知って、前もって準備していたのか?
何のために?
何にせよ小道具はグラップラーに必須らしい。

「ホンモノのヘヴィウェイトをお見舞いされると―――………」
「その感覚が全身に広がるんだ」

鉄パイプの衝撃にしびれているジャーナリストにアライ父はそう言った。
ヘヴィ級のパンチ=鉄パイプと同等の破壊力ということか?
鉄パイプ以上の攻撃がたくさんあるバキ世界ではいまいち基準としては微妙だが、とりあえずスゴいことはわかる。

鉄パイプをすんなり取り出したことで怪しい疑惑がかかったアライ父だがなんかスゴく元気になっている。
初登場時の情緒不安定さは消え去りイキイキとしている。
個人的にはなんか嬉しい。
この調子で息子を説教してください。


話は日本に戻る。
鉄パイプ級のパンチを独歩はアゴに受けた。

(脳へダメージもらったときは いつもそうだ…………)
(こいつらが――――――――)
(這い上がってきて―――――――――)
(地面が消える)

走馬灯のように今まで戦ってきた強敵が思い出される。
範馬勇次郎。渋川剛気。
怒李庵海王はどうした?
まぁ、あの人からは脳へのダメージを受けていませんが。
受けたのは右手切断と顔面爆破…
なんか脳へのダメージよりもスゴいものを受けている。

とにかく独歩ダウンだ。
しかも、かなり危険なダウンだ。サムワンが郭海皇のおしおきを受けた時に匹敵するくらいだ。
独歩はこのまま消え去ってしまうのだろうか?
消え去るのかなぁ。消え去るんだろうなぁ。


とにかく今回はここ数年のバキの中でもっとも衝撃を受けた展開だった。
確定していたはずの勝利が覆される――
見事に予想を裏切られた。
ただ、残念なのは期待も裏切られたところか。

次は誰がJrの生贄になるのか?
最有力候補は烈海王か花山薫だろう。
烈老師ならJrの戦いにも対応できそうだ。
対応できなければ最強クラスの海王として情けない。
もし戦うのなら真なる海王の意地を見せ付けて、ぜひ圧勝してもらいものだ。
空気砲からの音速拳をやればきっとワンパンチKOになるはず。
花山の場合は攻撃はかわされそうだが、持ち前のタフネスさでJrの攻撃を全て受けきれそうだ。
花山のパンチが決まればワンパンチKOも夢じゃない。
しかし、花山はチャンピオンREDの仕事があるから少し辛そうだ。

まぁ、一番いいのはとっとと刃牙が戦うことだ。
こいつなら負けても悔しくはない。
むしろ、負けてもらった方がいい気がする。
今のままで勇次郎に立ち向かっても殺されるだけだ。
まぁ、殺されてもいいんだが。
その後はグラップラーアライが始まります。



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