喧嘩稼業第74話感想



喧嘩稼業が載っていた!
ついに金隆山VS川口が始まる!
始まらなかった。
……期待値の高い試合だけに引っ張るなぁ。


今回は十兵衛に負けた徳夫の話だった。
徳夫は医務室にいた。
十兵衛に負けたことを実感していた。
そして、毒を使われたこともわかっていた。

だが、徳夫の意識は十兵衛ではなく睦夫に向いていた。
常に見られているような錯角があるらしい。
徳夫は睦夫のことを散々見下していたが、その一方でかなり意識していた。
その辺が複雑なキチガイ兄弟であった。

「父さん 徳夫が心配だからちょっと見てくるよ」

その徳夫はそんなことを言って徳夫の様子を見に行ったようだ。
というか、徳夫の目の前にいる。
睦夫にとっての今の徳夫は十兵衛だったはずだが……
マジ者の睦夫の行動はよくわからない。
そして、目を開かないから徳夫はこの恐怖の状況に気付かない。



この睦夫の言葉をセコンドの菅野はリピートする。
全裸で。
何故全裸になっているのか……僕には頑張ってとしか言えません……

マカオに到着してから様子がおかしくなった菅野だが、どうやら演技ではなく本気でおかしくなったようだ。
菅野は喧嘩稼業では意外と珍しい本物の外道だ。
その外道に相応しい結末……なのか?

徳夫は幼かった頃を思い出す。
まだ睦夫と共に日本拳法を練習していた頃である。
この頃から徳夫は睦夫を「お前」「馬鹿」「間抜け」「アホ」と言いたい放題である。
おう、酷い弟だな。
1つの技を身に付けるのに3倍の努力が必要な兄をただの愚鈍としか思っていないことがわかる。
走り込みの件から基礎体力は睦夫の方が上なのは判明しているのに……

この日、父の佐川雅夫に友達が逢いに来ていたと睦夫は語る。
しかし、徳夫は雅夫に友達がいないと決めている。
徳夫が知らなくて睦夫が知っている理由は、徳夫が生まれる前に病院で見たからというものだった。
そうなると1歳の頃の話になるから徳夫は嘘だと決めつける。
だが、本当に知っていたとしたら睦夫は徳夫以上の天才だったということになる。
頭脳戦は喧嘩稼業において非常に重要なファクターだし、その点で凌駕しているとしたら睦夫のポテンシャルの高さがわかる。

雅夫の友達は川口拳治であった。
拳治は雅夫の滅茶苦茶な教育を攻めるが、強くなるためだと雅夫は一蹴する。
曰く山本陸の息子と戦ったら10分で殺せるらしい。
海も空君も強くなかったし、この言葉は事実だろう。
だが、このことを拳治は否定する。
息子に強さだけを求める雅夫と強さ以外の物を与えた拳治……
偉大な父親同士だがまったくわかり合えないのだった。

そのため、徳夫は父から情を感じたことがなかった。
自身の信じる強さを体現するためだけの駒なのだろう。
睦夫が用なしと判断された後の徳夫への過度なトレーニングにそれが現れている。
一方で憎むべき父のはずなのに幻影に縋り付くことから、欠かせない存在であることもわかる。

睦夫は徳夫に雅夫の持つ優しさを語る。
死別した母親に鶴を折っていたこと、そして、死んだ時に泣きながら睦夫を抱きしめたこと。
もっとも徳夫はその言葉をまったく信じていなかった。
徳夫にとっての雅夫は鬼畜生のようだ。

この時に徳夫は「母さんと…の………母さんのために」と2人の母親について触れている。
実は異母兄弟だったりするのか?
また、思わせぶりなことを……
頑張って隔週で描いてください。

そして、徳夫は雅夫を殺害した瞬間を思い出す。
その時、睦夫は雅夫に勝ったら日拳を教えてもらうように頼み込んでいた。
それを後ろから徳夫は後ろから刺して殺したことが判明する。
また、雅夫の喉が潰れていることから、睦夫も攻撃したことがわかる。
実質的に共犯だったのだ。
徳夫は雅夫の過酷なトレーニングから逃れるために殺し、睦夫は雅夫に勝つために殺すと、仲が悪い2人の目的がここだけ合致していたのだった。

「俺……ツルの折り方知らないから」
「ツルがあれば外見は死んでも中身は生きているから」


徳夫はこう語り飼っていた鳥を殺していた。
睦夫にとってのツルは中身は生きている象徴のようだ。
現代の睦夫は徳夫の側に折り鶴を置いて去っていた。
つまり、今まで信じていた徳夫の外見は死んだが、新しい徳夫、つまり十兵衛という中身は生きているということだろうか。
マジ者の駆け引きは難しい。

大和プロレスが長らく興行を開けなかったことで雅夫はヤクザから恨みを買っている。
だから、死んでも警察は深く捜さないと睦夫は語っていた。
飼っていた鳥を殺すという伏線を回収したと思ったら、さらに大和プロレスまで絡んできた。
風呂敷がどんどん広げていく。
この連載のペースで回収は間に合うのだろうか。
30年後くらいにやっと完結とか勘弁してください……

さて、現在。
睦夫は頭がおかしいから大丈夫だが、まともだから罪の意識は消えないと徳夫は語る。
お前が言うな状態である。
そんな中で病室にいるタンが日本語で12億を取られたと語る。
これは梶原さんと通話していると見て間違いないだろう。
板垣組が分裂する可能性が高いことにも触れている。
……手が早いなー、梶原さん。

「あなたが本当の父さんだったんですね」

これで徳夫はタンが12億を払って自分を助けたことを知る。
つまり、タン=雅夫!
あの時に死んだのは外見だけ!
タンこそが本当の父さん!
徳夫も睦夫化である。
このキチガイ兄弟め……

「??日本語の比喩的表現?」

それに対するタンの答えはこれ。
アンダーグラウンドを運営する曲者でもさすがにマジ者にはついて行けないのであった。
何か日常で使いたい台詞ですね、「日本語の比喩的表現」。
煽る時に最適だ。

「どうやら一時的に記憶を失っているようだな」

そして、睦夫とまったく一緒の結論に至る。
何だかんだで似た者同士であった。
睦夫を馬鹿にしながらも睦夫の言葉の影響をモロに受けているし……

そんなわけで徳夫のフォローがされた。
負けても頭がおかしくなることで株を下げなかった形だ。
前回、タンからのアンダーグラウンドの出資が止まる、何らかの不幸が起きることを示唆されているし、徳夫が何かをやらかしそうだ。
これだからキチガイ兄弟は……
十兵衛に敗れた徳夫だがまだまだ徳夫の話は続きそうであった。
キャラクターの描写が細かいのが喧嘩稼業なのだ。
そして、話は進まない。
……か、隔週になりませんかね……