喧嘩稼業第77話感想



3週に1回の喧嘩稼業が掲載されていて嬉しい。
このペースに慣れてきているけど2週に1回くらいになりませんかねぇ……
今、日本で一番働くことが求められている作家が木多康昭であった。


文学は手術室(あるいは兼用の医務室だろうか)で耳を繋げてもらいながら試合を見ていた。
金隆山に負けてもらいたかったけど、腕が折れてしまったため、蹴りが主体の川口には勝てなくなったようだ。
安全な距離で左腕を蹴り続ければそれだけで勝負ありということか。
それなら化け物フィジカルとはいえ、搦め手が通じる距離に持ち込んでもらえそうな金隆山の方がマシなのか。

そんな医務室に十兵衛が入ってくる。
あ、いいんだ……一応の手術なんだから人を入れるのはどうかと思うが……
十兵衛の見立てでは全身麻酔なしのため、神経を繋げいない。
腐らせないようにするために仮で繋げるだけのようだ。
繋ぐのは血管と皮膚くらいだろうか。
神経を繋げるにはかなりの慎重さが求められるし、本格的な手術を行う必要があり全身麻酔も必要なのだろう。

さて、試合場では川口の師であり父の拳治と用意した金隆山対策を思い出す。
(川口は夢斗の方。ややこしいが川口夢斗は川口と呼称していく)
まず、終わりなのがマウントを取られて頭突きを食らうことだった。
十兵衛でさえタフな石橋をこれで殺しかけたし、マウント+頭突きのダメージは極めて高い。
さらに金隆山は体重があり体幹も優れていて身体も柔らかく額も硬い。
身体、柔らかいんだ……筋肉ダルマのくせに意外だ。
加えて転ばせることが本業のため、ダウンの奪い合いに長ける。
この転ばせてからのマウントが拳治の語る力士の必勝法であった。

一方で力士の身体を活かした必勝法であれど、相撲からはかけ離れている戦い方でもある。
金隆山は自分の方が圧倒的に強いと思っていると推測、相撲の技で勝負してくると拳治は読む。
その意識の隙を突いて打ち合いに引き込むのが川口サイドの第一戦略だった。

しかし、金隆山は自分の方が圧倒的に強いと思っているのか……
川口も川口でガード不能の蹴りを持っている。
たしかにフィジカル化け物とはいえ、決して侮れない存在だと思うのだが。
もっとも拳治の推測だから実際のところはどうなのかは不明であるが。

ここで拳治は川口を引き取って間もなく師匠の名護に逢いに行った時のことを思い出す。
師匠の師匠の話まで出てきたよ。
回想を全然惜しまないな!
回想を吐き出しすぎると1回戦敗退してしまうぞ。
そういうお約束があるぞ。

名護は病室らしきところで寝ていた。
病床に伏しているのだろうか。現役引退していることは間違いなさそうだ。
また、海が見えることから名護の住む沖縄まで来たのだろうか。
別に海がある=沖縄というわけではないけど。

拳治は川口が前の親のことをまるで話さないと言う。
覚えているに違いないのに、あえて話していないようだ。
これは拳治を気遣っているということだろう。
当時、7歳、小学1年生なのに随分と気遣いができる。
加えて技を覚えると笑うのだが、それは技を覚えたことではなく拳治が喜んでいることが嬉しいから笑うようだ。
何この聖人のような7歳。喧嘩稼業にこんな善人がいたのかよ……

「強くなるのはお前の息子だからだ」
「生みの親は関係ない」「本当の父親はお前だ」
「お前に似ているから強くなる」


そんな聖人の川口に対して名護は極めて高い評価をする。
川口も聖人だが名護も名護ですげえ人格者だ、この人……
川口は人格者、拳治も人格者、名護も人格者。人格者が3代続いている。
何でこんな人格者を師匠に持って佐川雅夫みたいな人格破綻者が生まれたのか。
強さを受け継いだ山本陸、心を受け継いだ川口拳治、何を受け継いだのかよくわからん佐川雅夫。
弟子の不出来が激しいな!

ともあれ、試合開始のブザーが鳴る。
お互いに陽側だから不意打ちも奇襲もなく、お互いに距離を詰める。
と、ここで金隆山は一瞬で加速してぶちかましを放つ。
ヘヴィ級の川口がコーナーポストまで一気に吹っ飛ぶほどの威力であった。
単純な体当たりでこれなのだから下馬評通りのフィジカル化け物である。

普段は受けてから動く、つまりは横綱相撲をする金隆山が自分から動いた。
これは新入幕時に横綱相手に一度だけ見せたぶちかましらしい。
つまり、相撲における最強の相手に使った一手ということである。
そして、ほぼノーモーションで放ったことから、金隆山は筋肉は馬力だけでなく瞬発力も一流であることがわかる。

一方の川口もぶちかましは想定内であり、後ろに跳ねることでダメージを軽減していた。
自分から下がって回避は倒れれば負けの相撲にはできない対処法であった。
それでも圧倒的な筋力はわかったらしく「大人相手」と形容する。
川口が自分を子供扱いするほどフィジカル……
ネタにされるくらいには設定がずば抜けているだけのことがある。

そんな化け物横綱に対して川口はレバー打ちをフェイントに右の肘で金隆山の額を切り裂く。
これは拳治が幼い頃の川口に教えた大人に勝つ方法、切るという選択肢であった。
拳治は子供に何てことを教えているんだ。
キックボクシングの技とはいえ切れと教えるとは……
善人とはいえ人格破綻者の雅夫を弟子に持つ名護の弟子だけある(ややこしい)

とりあえず、川口は出血狙いのようだ。
フィジカルで圧倒されていても削るように戦えばいい。
奇しくも梶原さんと同じ戦術である。
やっぱり、梶原さんは偉大だな!
とりあえず、先手を取ることに成功し川口は笑い、弟は興奮し、拳治も恒例の金網ガシャンガシャンして興奮する。
アンタは落ち着け。セコンドだろ。

そして、額を切られた金隆山は……何かメッチャ怖い顔になっていた。
何かこの俺に傷を付けたのは貴様が初めてだ、死を以て購ってもらおう的な顔なのですが……
田島が5ラウンドでウォーレンに勝つことを読んでいたし、文学が耳を引き千切った時に一人だけ動揺していなかったし、実は陰側だったりして。
陰側思考を持った筋肉ダルマ……工藤とキャラが被ります……

川口は先手を取ったものの反撃が怖い。
とりあえず、相撲が苦手そうなグラウンドの勝負をしてみるか?
アライ・猪狩状態ことアリ猪木状態とか。
キックボクシングの持ち味が活きないな……
そんなわけで続きは3週間後。やっぱり、3週間後……