刃牙道感想 第47話「羽毛(はね)」

烈が試合開始前から生命の危機に晒されている。
試合で不覚を取って恥をさらすくらいなら死ねというのが郭海皇の流儀か。
さすがの厳しさだ。
烈の人生も綱渡り同然である。

そんなわけで真剣を相手取った消力の鍛錬である。
これを前には天才愚地克巳も冷や汗を流す。
一歩間違えれば即死だ。
そうなれば神心会だって始末に困る。表沙汰にはならないだろうけど困る。

この鍛錬には烈もやたらめったらと汗を流す。
烈が汗を流すのはいつものことだけど、この汗には精神性発汗が多分に混ざっている気がする。
汗に紛れて血も流している。
そりゃあ真剣で切られれば血を流しますわな。
逆に言えば血が出る程度で済んでいる。

「天才烈 海王」「ここにあり」

烈海王の天才性を褒めながらも郭海皇は遠慮なく斬りかかる。
胴を横薙ぎだ。
受ければ内臓がシグルイの如くぽろりだ。
それを烈は受けてから回転して受け流す。
克巳でさえ斬れたかと錯覚するレベルの刹那の見切りだ。
だが、斬れていない。血を流していない。

「わずか四度目にて」「羽毛(はね)になりおった」
「お見事!」

「消力完成じゃ」


最初の3度は血を流す際どい消力だったが、4度は完全成功だ。
この偉業には郭海皇も素直に褒める。
かつて消力を使うには若すぎると言った烈だったが、郭海皇が認めるレベルでの消力に成功したのは進化を感じられる。
全身汗だくになるほどの命がけが功を奏したか。

それにしても烈の天才性を強調する郭海皇である。
ピクルの時は克巳の方が才能では上だと郭海皇も認めていた。
克巳の才能とその飛躍を大人しく認めているようで、その実、やっぱり悔しかったのかも。
郭海皇の本当の狙いは拳法を50年進化させた克巳に烈をぶつけて復讐するためだったりして。

消力の完成に克巳と寺田もホッとする。
武蔵に勝つ負ける以前に生命の危機に晒されたところを何とか助かった。
そりゃホッとしますわ。
そして、中国武術の秘伝を学ぶ余裕が一切ない。
やっぱり、克巳に消力の鍛錬を見せたのは空手との差を見せつけるためだったり……

「その軽技で」
「武蔵の刃と対峙する……」


烈はひとつの壁を越えた。
その時、あの男が現れた。
一部では神と崇められたあの男だ。
本部以蔵である。
だーかーらー! 時間と場所をわきまえなヨ!

ここで本部ですよ。
克巳に烈に郭海皇とバキ世界でも屈指の実力者が集うこの場に本部ですよ。
何かサイヤ人だらけの中でたった一人ヤムチャって感じだ。
寺田よりも違和感がある。

さて、本部を知る人間がこの場にいるのか。
郭海皇は当然知らんな。島国のへっぽこ柔術家など知る由もない。
烈は微妙なところだ。知っていても相撲に負けた雑魚くらいだろう。むしろ、妥当だ。
そんな絶望的な状況で克巳が「本部さん」と反応してくれた。
さん付けですよ。渋川先輩の時もさん付けしていましたな。
尊敬の篭もっていない事務的なさん付けの気もするが。

「中国4000年」
「片腹痛い」


だから、時間と場所をわきまえろ! 目の前の妖怪ジジイに冗談抜きで殺されるぞ!
無駄に強気な発言が本部の持ち味なのだが、今回ばかりは戦慄せざるを得ない。
THE・逆鱗の烈とTHE・逆鱗2号の郭海皇の前で中国武術を侮辱した。
命知らずで命がけにもほどがある。

このおっさん、本当にどうしたんだ?
守護者気取りの次は自殺願望を抱いたか?
自殺者に守護ってもらう気はないのですが……

たしかに武蔵の斬撃に消力というのは成り立っているし目の粗い戦略だ。
郭海皇の武器術が武蔵以上の前提の元に成り立っているし安全が確保されているわけではない。
だが、それを本部が指摘するか?
悲しいながら相手の立場次第では正論が通じないことがあるのが世の中だ。
なので、いろいろと言い方を考えるのだが、このおっさんは戦略の欠点を指摘するのではなくストレートに中国武術を侮辱した。
51年生きて何を学んできたんだ? 馬術か?

本部が得体の知れない何かを投げつけた。
一体何がどうなるのかまったく読めない。
実績で考えれば烈か郭海皇に即酷い目に遭わされる。
だが、柳を完封した実績もある。
弱者と強者の二面性を持っているのが本部だから一切読めない。

本部がバキ世界のパワーバランスを賭けて中国武術に挑もうとしている。
バキ世界における強者の代表格が烈と郭海皇で、弱者の代表格が本部である。
この激突が何を起こすのか。
とりあえず、寺田くらいには確実勝てるだろうから、上手いこと辻褄を合わせて寺田を襲いたいところだ。

さて、武蔵であったが相変わらず葉っぱを斬り続けている。
前回見せた十文字斬りは大技なのか、一刀両断するくらいで済ませている。
これは葉っぱの気配を察して斬る鍛錬のようなので、過度に技術を用いる必要はないということか。

そして、葉っぱだけでなくスズメが落とした羽さえもこともなげに斬ってのけた。
羽毛化が消力の極意だったが、羽毛さえも斬るのが武蔵の剣だった。
烈サイドの戦略が根元から破綻してしまった。
やっぱり、武器なしにしてもらうか?
それとも守護者の聡明な頭脳を借りるか?
次回へ続く。


本部参戦!
今まで舞台裏で暗躍するばかりだった本部が、ついに表舞台に出てきた。
マジかよ……どうなるんだよ……マジで……

烈サイドの戦略が荒いのは事実だ。
では、本部はどうするのか。仲間を守護るための妙案でもあるのか。
それともただビッグマウスを披露するために出てきたのか。
独歩を殺せると言った頃の本部らしくて胸が熱くなりますな。
売り言葉に買い言葉で殺しに来る人たちが相手なのが厄いが。

ともあれ、本部もバカではあるまい。かなり無計画だけどただのバカとは違う。
この暴挙も何か考えがあってのことだろう。
そうだ、そうに違いない。
……そうだよね? 信じていいんだよね?

武蔵と烈の試合は残念ながら武蔵の勝利はほぼ確約されている。
だが、本部と他の格闘家の戦いはどうなるかわからない。
本部など地下闘技場の中でも三下……と侮れたのも昔の話だ。
柳に勝ってからの本部には何かをしかねない得体の知れない強さを秘めている。
烈と郭海皇を相手に大番狂わせをするかもしれないしないかもしれない。

これで機関銃を渡しに来ただけなら凄いな。
結局、あの発言の真意はわからないままだ。
守護らねばならぬといい、ああやって煙に巻くことが新生本部のファイトスタイルって感じですな。
今回の侮辱もどうやって煙に巻くか……
煙に巻くつもりでいたら堪忍袋の緒がマッハな2人にボコボコにされたりして……ハハハ……



刃牙道 4 (少年チャンピオン・コミックス)