バキ道感想 第83話「バキVS炎」



格が天と地ほどのある試合が始まろうとしている。
片や主人公であり勇次郎から地上最強を認められた刃牙。
片やぽっと出のチビ力士。
これもう公開レイプですよ。オークと姫騎士ですよ。
どうなる、炎。どうする、刃牙。宿禰、どこいった。


刃牙はいつものトランクス姿でアップをする。
そのアップは四股である。
180度開脚してからゆっくりと行うものであり、力士の四股よりも柔軟性と筋力を必要とするものだった。
最近、ブームのI字開脚の流れに乗るとは……

この脚を大きく上げてからのゆっくりとした四股は宿禰のそれと共通している。
宿禰の四股は脚を上げた後に姿勢を長時間キープし、その後に思い切り四股を踏む。
対して刃牙は姿勢を崩さず脚を大きく上げた後に、ゆっくりと四股を踏んでいる。
似ているけど微妙に異なる。
運動量だけなら脚を上げたままの宿禰の方が大きいかもしれないが、刃牙の四股はアップだから控えめにしていそうだ。
その辺のコメントを宿禰にしてもらいたいところだが相変わらず行方不明である。
お前のそういうところがそういうことなんだぞ……

この範馬刃牙流の四股を独歩、渋川先生、花山はじっと見つめていた。
先述したように宿禰はいない。あと克巳もいない。
克巳は烈の腕と反省会だろうか。
結局、獅子丸は疑惑の勝利を受け入れたようだ。
うーむ、不本意な勝ちなら突っぱねる男気くらいは見せて欲しかったのだが。

なお、独歩は腕組みをしている。
靱帯ごと腕を破壊されたはずなのに何事もなかったかのように腕組みをしている。 決着直後にも普通に耳を掴んでいたし、実は無事だったのか?
単行本で金竜山の過去が現役時代になったりと改変されているので、ここも直されたりするのだろうか。

「身の内に「芯」が生まれ」「繰り返すことで芯が育つ」
「心を込め――丁寧にやれ」


刃牙は幼少期に勇次郎から四股を勧められていたことを思い出す。
回想とはいえバキ道で勇次郎初登場だ。
大統領選挙に合わせて登場したのが最後だからおおよそ4年振りだ。
4年間も勇次郎が鳴りを潜めていたのは稀有な事例である。 とはいえ、回想なので時系列的には本当に鳴りを潜めているのですが……

勇次郎は四股を2000年の時を経ても残り続けた最新最古のトレーニングと評価する。
だからこそ、心を込めて丁寧にやるべし!
何か食を説教をした時の勇次郎みたいな言い分ですな。
歴史へのリスペクトも忘れない勇次郎であった。
リスペクトしているからこそ叩き潰したいのが勇次郎でもあるけど。 でも、相撲には一切関わろうとしていないから、ガチでリスペクトしているのかも……

独歩は刃牙の直立の状態から脚を真上まで掲げ静止する足腰を評価する。
柔軟性、平衡感覚、筋力の全てがずば抜けているからこそできるのだろう。
かつて独歩は刃牙の柔軟性をヨガ行者が裸足で逃げ出すと評価していたし、刃牙のこの辺のフィジカルには高い評価を与えている。

ともあれ、刃牙のフィジカルはとんでもない。
何せ勇次郎と真っ向殴り合ったほどだ。
表のトップクラスの格闘家であるアトラスも簡単に屠っている。
何なら宿禰相手にも一歩も引かず渡り合っている。
普通なら小結どころか横綱でさえ相手にならない。
加えて炎は刃牙よりも小さい相手だ。
2m越えの巨漢をなぎ払い続けてきた刃牙にとっては物足りないくらいだろう。

「小兵 小結炎」「ありゃアンタどえれぇタマだぜ」

だが、渋川先生は炎を警戒していた。 力士相手に一番苦戦したのが渋川先生である。
なので、大相撲の評価がけっこう高そうだし、炎にも何かあるかもと思っているのだろう。

炎のフィジカルは小兵ながら巨漢に匹敵する。
するけど、それは刃牙も同じだ。
小兵が巨漢を倒すという下克上は刃牙も得意とする。
むしろ、刃牙はそればかりやってきたベテランでありプロだ。
それどころか自分より小さい相手にも容赦がない。柳や梢江をぶちのめしている。 いや、梢江は痛み分け……むしろ、梢江の勝ちかな……

そんなわけであまり炎を持ち上げようとしても何かいまいち乗り切れない。
範馬刃牙は何だかんだで偉大なのだ。
でも、刃牙本人は炎をステキと形容しており期待感があるようだ。
刃牙は自分よりも大きな相手とばかり戦ってきただけに、自分よりも小さな小兵の戦いに興味があるのかも。
刃牙はすっかり人生の目標を失った感はあるけど、強さへの渇望は現在もあるようだ。
むしろ、勇次郎という目標に囚われなくなってさらなる自己研鑽に目覚めたのかも。
鍛錬も試合も全てが良くも悪くも対勇次郎を想定しただけに、それに囚われなくなった刃牙はけっこう身軽になっていそうだ。
武蔵との戦いは命のやりとりになりすぎて重かったけど、炎とは純粋に楽しく戦えるのかもしれない。
そんな刃牙を炎は四股と笑顔で迎える。
小兵VS小兵であり色男VS色男である。
しかし、炎の潰れた耳は積み重ねてきた鍛錬と経験を物語っており油断ならない。
……ならないはずだけど、やっぱり相手が最悪すぎる。 普通なら瞬殺だ。瞬殺以外にはありえない。

だが、刃牙も刃牙で背負っているものが大きすぎる。
ここで下手に苦戦したらこれまでの強敵たちの評価が一気に下がる。
いや、何か既に下がっている気もするけど、刃牙が小結相手に苦戦したらそれはもう大変ですよ。
勇次郎に血が薄いと言われてもミリも反論できない。

なので、背負ってきた歴史が重圧となって不覚を取るかも。
まぁ、刃牙はコロっとやられることが多いんですけどね。
むしろ、いつものこととさえ言える。
でも、今回ばかりは背負っているものがデカすぎるからコロっとやられるわけにもいかない。
そういう意味で今までとは勝手が違う戦いとも言える。
とりあえず、刃牙がやられそうになったら今までのライバルが集まって正拳突きでもしておくか?
刃牙にこっぴどくやられたJr.とか春成は血眼になって正拳突きしそう……
次回へ続く。