バキ道感想 第98話「6対6マッチの結末」



横綱は強い。
龍金剛はプロレスラー久隅公平に勝ち、金竜山は武蔵に勝った本部に勝っている。
では、横綱零鵬にも可能性がある!
……はずなんだけど、大丈夫ですか? 生きるの、諦めてませんか?


宿禰は肩甲骨を掴んで零鵬を持ち上げる。
百戦錬磨の刃牙でさえ驚愕せざるをえない荒技である。
肩甲骨掴みだけでなく195cm161kgを持ち上げる筋力も凄まじい。
宿禰のフィジカルはバキ世界でも屈指であることが窺える。

零鵬を持ち上げて宿禰は遠投のようなフォームで地面に叩き付ける。 腕の力だけで投げましたと言わんばかりである。
人間をこのように投げるのは普通なら無理だ。
だが、宿禰の膂力があれば非常識も実行できる。
零鵬は頭から地面に叩き付けられ、大の字に倒れるのだった。

「勝負ありッッ!!!」

勝負あるのかよ!?
何で!? 何で零鵬を持ち上げたの!?
回想したり最高傑作とか持ち上げまくって瞬殺なの!?
やったことなんて宿禰の鼓膜破った程度じゃねえか!

久し振りに板垣先生の全力ブン投げが炸裂した。 郭春成、範海王、アライJr.と期待させておいてあっさりブン投げるアレだ。
ギリギリゲバルも入ると言えば入る。
彼らと同じように零鵬もブン投げられて見事に勝負あってしまったのだった。
君が惨敗したらここまでの力士の頑張りが無と帰してしまう。
無と帰してしまった。

「荒技が極まっとるわ」

みっちゃんが試合場に踏み込んで宿禰の投げを荒技と評価する。
いや、ホントに荒技である。
まさかここまで引っ張っておいていいとこ何もなしで叩きのめすなんて荒技としか言いようがない。
そして、みっちゃんが試合場に踏み込んだ以上はもはや試合は完全に終わっている。
トドメ刺しやがったな、こいつ……

「「廻し」を締めりゃ」「掴むのは廻しだけ」
「骸骨にしちまえば」「掴む箇所ところはいくらでも」


宿禰は必殺の骨掴みについて語る。
通常、掴み技は相手が衣服を纏っていないと著しく弱体化する。
だが、骨を掴めば身体のあらゆるところを掴める。 掴んだ上で骨を破壊できるのも強みか。
骨掴みは荒技ではあるがシンプルにして要点を掴んでもいるのだった。

「近代格闘技+古代相撲の圧勝ッッ」

そして、エンディングも行われる。
エンディングも行われたよ!?
完全に零鵬は投げ捨てられた。
それでいいのか、横綱。

ともあれ、地下闘技場戦士サイドの圧勝であり、大相撲の完敗で終わった。 何だかんだで粘ってはいたものの、宿禰さんが完全無欠のトドメを刺した感じだ。
刃牙でさえ長引かせたのに見事な瞬殺であった。
何かもう横綱に一番に喧嘩を売れば良かったのでは?

「この会場にッッ」「大相撲を疑る者はいませんッッ」

それでも大相撲のフォローはされるのだった。
たしかに力士たちはこれまでのシリーズの描写を考慮すると異常なくらい強かった。 ガンダムUCでジュアッグがジムを何体か倒した時のような驚きですよ。
でも、所詮はジュアッグだしな……それに無理に活躍させても何か不自然な感もあるし……
そんな感じのどうにも腑に落ちない力士たちの強さであった。

それでもその強さを知らしめることができたからか、力士たちの表情は負けたもののあくまで明るく誇らしげだった。
鯱鉾が、獅子丸が、零鵬が、炎が、巨鯨が、猛剣が、皆が笑っているのであった。
負けたとはいえ満足の行く試合だったのは救いか。
って、零鵬がいるよ!?
アンタ、大丈夫だったんかい!?
何かこういうところで存在を主張してくるとは思わなかった。

とりあえず、散々だった零鵬だけど宿禰に絡まれて五体満足でいられたのは救いか。
オリバなんて肋骨全部へし折られてそのまま行方不明ですよ。
彼のこと、少しでも思い出させてください。
いや、笑ろてる場合ちゃいますがな。
さすがにちょっとくらいは宿禰にやり返して欲しかったよ。

こうして地下闘技場戦士VS大相撲は終結した。
一体、何のために戦ったのかはよくわからない。
バキシリーズで一番よくわからない戦いだった。
金竜山は結局これで満足なのか。
何か大相撲の権威を貶めるどころか、再評価されてさえいるし。
でも、終わった。終わったのだ。
終わったから本部と戦おう、宿禰。
奴は宮本武蔵に真正面から勝った唯一の男だぞ。

「「オーガ」って知ってますよネ…」

宿禰の次なる興味は勇次郎だった。
奇妙なくらい話に絡んでこなかった勇次郎だが、宿禰の次のターゲットは勇次郎なのであった。
大相撲相手には楽勝で圧勝で終えた。
となれば、次なる強者は勇次郎しかいない。
というわけで、みっちゃんに勇次郎のことを問うのだった。
でも、その台詞はオリバを倒した後に言って欲しかった。
宿禰が勇次郎に興味を持っているのは目的とする強き者だからか。
あるいは勇次郎の存在が宿禰一族に関係しているのか。
宿禰は範馬一族だったりするのか?
ついに世界中にばらまいた種の伏線が回収されるのか? 勇次郎の子孫の伏線がなかなか回収されないものだから、タフでは元ラスボス鬼龍の息子たちがたくさん出てくるようになってしまったよ。
なお、全員が心臓に疾患を抱えたダメな血族扱いですが。

もし、宿禰が勇次郎の息子なら確定することがある。
宿禰の体色の変化だ。
勇次郎はガングロなので宿禰もまたガングロなのが自然!
というわけで、勇次郎との繋がりを示すためにガングロになったのだ!
次回へ続く。