刃牙道感想 第51話「いい風貌(かお)だぜ」

ついに試合開始を目前にした。
だが、本部はいない。
いや、アンタの出番ってむしろ今こそじゃん。解説じゃん。
前回のあらすじでさりげなく乗り越えた扱いされてる場合じゃないじゃん。
なお、今回の観客席にさえいない。
ええい、これっぽっちも使えん!


さて、まず入場するのは武蔵からだ。
伝説の剣豪を前に観客は興奮を隠せない。
そして、腰に携えた国宝國虎を見てやや盛り上がりが収まる。
やっぱり、今回の要となるのはそこだ。
人を確実に殺せる武器を持っているのだ。

渋川先生も武蔵には驚愕を隠せない。
達人の目から見ても武蔵は本物の宮本武蔵のようだ。
武蔵には一目で本物とわからせる何かがあるようだ。
刃牙は構えだけで外人に武蔵を感じさせたし、この世界の武蔵はよほど特別な存在なのか。

やや遅れて烈も入場する。
名実共に地下闘技場の人気者だ。
最近ではヘヴィ級チャンピオンを1ページで屠っているし世界が注目している男でもある。

そんな烈が命を賭けた試合ならぬ死合いに望む……
これには観客も「帰ってくれェェェッッ」「やめてくれェェェ!!!」と心配の声が多い。
そりゃそうだ。観客だって殺し合いを見たいわけではないのだ。
その一方で「ぶった斬っちまええええッッッ」と叫ぶ客もいるのが熱い。

しかし、以前にも武器使用が解禁されたジャックVSシコルスキー戦とは偉い観客のノリが違いますな。
あの時はむしろ盛り上がったくらいなのに……
武蔵の危険度はシコルスキーとは段違いなのか、シコルスキーが何をやってもジャックには通じないという確信があったのか。
前者もあるが後者だな!
ショウ君と一緒に気絶したまま運ばれてきた男なんて恐れる必要がこれっぽっちもないしな!

烈と武蔵は闘技場の中央へと歩を進める。
久し振りの小坊主によるルール説明だ。
久し振りとは言うもののアトラスの時にも説明はしていたか。
地下闘技場が戦いの舞台になることは度々あれど、観客がいるちゃんとした試合はJr.以来である。
「範馬刃牙」では観客不在ばかりだったから懐かしさを感じてしまう。

2人が見やるのは当然中央に存在する大量の武器だ。
刀剣のみならず棍棒や槍もある。
これも武蔵からしてみれば実用に足ることのないなまくらなのだろうか。
今回の特別ルールでは事前に持ち込んだ武器はもちろん、これらの武器の使用もありだ。
あえて武器をセットしているのは様々な武器が落ちている合戦を意識してのことか。
試合以上に実戦的なルールを想定していることが伺える。
まぁ、合戦に三節棍とかは落ちていないと思うけど。

「反則はただ一つ」
「火器の使用のみです」


ギニャー!? 本部ぇー!?
アンタが機関銃ことマシンガンを持たせろと進言したらルールで潰されちまったよ!?
結局のところ、あの真意のわからぬ言葉はみっちゃんにルールの穴を気付かせただけであった。
逆に言えばルールの縛りさえなければ本部流的には機関銃ぶっ放してもアリなのだろうか。
あそこまで言ってなしってことはないだろうが……

この苛烈なルールに最大トーナメントでもっとも危険なファイターであるジャックも汗を流す。
如何に2m43cmから生まれる長大なリーチを以てしても武器の長さには勝てまい。
それにシコルスキー戦で本物の槍なら腹筋を貫けると暗に言っている。
武器ありルールではジャック兄さんの持ち味をほとんど活かせなそうだ。

ルールの説明が終わったのでいつも通りに元の位置に戻る。
武蔵はもちろん烈も驚くほどにあっさりとしている。
なお、本部は未練がましく金竜山を睨み合っていました。
あそこまで闘志を燃やした挙げ句、あの人は負けましたからね。
そりゃ「本部が強くて何が悪い」ですよ。

(いい風貌(かお)だぜ!)

烈の風貌(かお)を刃牙はこう称する。
(何か偉そうなのが気にいらんが)いい風貌判定が入った!
なお、いい背中判定が入った克巳は烈に瞬殺されている。
……刃牙のレビューは無視しておこう。

ともあれ、死合いを前に怖じけていなければ気負いすぎてもいない。
ピクル戦の時のような緊張が見られない。
足を食われるような戦いを経験しただけに、殺し合いにも動じない精神を身に付けたのだろうか。
(何故か姿を見せない)親友の克巳はピクル戦で著しい成長を遂げたのだがそれは烈も同じなのだ。
ジャックは……まぁ、伸び代があるということで。

「帰って来い!!!」

郭海皇も激励する。
烈は僅か1日で消力を体得した天才だ。
これは師としての切なる願いだろう。
あとは克巳がいれば完璧なのだが……こういう重要な時にいないから困る。
いないのは本部も一緒だが。

そして、みっちゃんのはじめいで試合が始まった。
もはや誰も烈を守護れぬ。
独力で武蔵という脅威から逃れねばならぬ。
独歩でさえ何もできずに斬られたのだ。
やっぱり、本部が機関銃で乱入するしかないのか?

「ようやく追いついたのだ」
「たった今から―――」
「殺し合いを観る!!!」


ことの重大さを知ったのか、観客たちは黙り込むしかなかった。
不謹慎な発言をした観客もいたが、この試合が殺し合いだと認識すると黙り込む。
さすがに薄い本のように断面図をやるわけにはいかないのだ。

観客さえも動けない試合だが、ここで動くのはやはり武蔵だ。
佐部との戦いではいきなり幻影刀で斬りつけ、独歩との戦いでも言葉で翻弄した。
武蔵の戦いは斬り合う前から始まっているのだ。
今度はどのような駆け引きを見せるのか。
烈は堪忍袋の緒が切れてしまわないのか。
そもそも五体満足に済むのか。
果たして本部は解説してくれるのか。
様々な思惑が錯綜する中、次回へ続く。


試合開始! だが、戦闘は始まらない!
刃牙道初の本格的なバトルなのであまり焦らさないで欲しいのだが……
ここまで来るのに1年かかった。
良く言えば丁寧に武蔵を描写し、悪く言えば展開が遅かった。
花山の犠牲とは一体。

今回の地味な描写としては烈の義足が木製から金属製のものに変わっている。
折れない義足にしてくるという言葉に嘘はなかった。
でも、本部曰く武蔵は鉄を斬れるほどだから斬られたらお終いのような。

武蔵は言葉による駆け引きを得意とする。
手練れの独歩を惑わしたほどだ。
いや、まぁ、あれは独歩が短気すぎた気もするのだが、烈も短気で知られる。
あっさりと武蔵の術中にはまってしまいそうな……

だが、そこで思い出したいのは本部とのやり取りだ。
本部如きが烈に意見するという最大級の侮辱を烈は激昂せずに対応していた。
今の烈は気が長い! ……はず!
もしかして、本部の役割ってそれだったりして。
俺が烈の堪忍袋の緒を守護らねばならぬ……



刃牙道(5): 少年チャンピオン・コミックス