刃牙道感想 第57話「敗れたり」

武蔵の強力で九節鞭が破壊された。
これにはみんな大驚きだ。
しかし、武芸者が武器を壊してしまうってどうかと思うのですが。
弘法筆を選ばずと言うし……


「ふふ…」「たまらんわ…………」
「そういうものか…?」
「九節鞭とは」
「そんなものなのか!!?」


九節鞭が破壊された現実を前に郭海皇が吠える。
おそらくは100年前、本物に負ける前の筋肉馬鹿の頃の郭海皇は九節鞭を振り回し続けたようだ。
手の皮が剥けても消毒用の塩をすり込み振り回し続けた。
それでも九節鞭そのものが壊れることはなかった。
そんな亜細亜一の筋力にも耐えた九節鞭が破壊された。
郭海皇は現実を信じられていないようだ。

しかし、これは見方を変えれば武器を振るだけで破壊するための技術なのかもしれない。
武蔵は武器を破壊してしまった時はいずれも人差し指で支持する独特の握りをしている。
あそこから一気に武蔵特有の握力で握り込むことで武器に負荷を与え、破壊に至らしめていそうだ。
武器を破壊する時はあの握りをする一方で、独歩を斬った時はあの握り方はしていない。
なので、わざとやっている可能性もあるわけで郭海皇はそこまで気を落とさんでも。

「なァ烈海王」
「試してみるか」


武蔵はその場にいる全員を圧倒してのけた。
その上で取った行動は国宝國虎を渡すことだった。
相変わらず読めない武蔵であった。
相手に武器を渡すなんて自殺行為だ。
武器を渡すことで武器を使う以外の選択肢を奪うのが狙いだろうか。
餓狼伝で丹波が鞍馬に行った対策と同じものである。

武蔵は対武器はお手の物だろう。
ここで圧倒してのければ烈の戦意は失われてしまうに違いない。
渡した瞬間に殴りかかっているしそんな狙いがありそうだ。
烈はこのまま武蔵の術中にはまってしまうのか?

だが、そこは烈海王。
不意打ちの武蔵の拳を鞘で防いだ。
さらに柄で顔を殴る! 鞘で腹部を突く! 柄でアゴを跳ね上げる!
トドメに上段回し蹴りでダウンを奪う!

武器を使っても強いが武器を使わずとも強いのが烈である。
武器を渡されたからとおたおたする男ではなかった。

武蔵は烈の萎縮を狙ったのかもしれないが狙いがちと単純すぎたか。
烈の苦手な駆け引きに持ち込もうとしたのは良かったのだが、不意打ちしたことで反射的に反応させてしまった。
そうなると駆け引きもクソもない。
駆け引きは馬鹿に仕掛けても馬鹿は駆け引きしないので無駄なのだ。
いや、烈が馬鹿というわけでは……15mまでなら走れるので馬鹿かもしれんな。

「なるほど伝説と違わぬ卑劣ぶり」

武蔵の不意打ちをこう称する烈であった。
武蔵と言えば卑劣キャラでもある。
しかし、烈は卑劣キャラとの戦いにも慣れている。
寂海王との戦いが生きたかもしれない。
本部が出てきたんだからあの人にも出番を与えてやっても……

「しかしわたしは拳法家」
「素手のまま近付くことは許さんッッ」


烈には拳法家としての矜持がある。
相手が侍なら武器を持て!
良くも悪くも誇り高い烈らしい性分である。
そして、せっかくいただいた國虎を倒れた武蔵の目の前に置く烈であった。
追撃するなり捨てるなりすれば勝ちやすくなると思うのだが……
良くも悪くも誇り高い烈らしい性分である。(2回目)

武蔵は刀を掴み立ち上がる。
烈は怒濤の連打を打ち込んだものの冷や汗を流している。
ダメージは与えているものの武蔵への脅威は去っていない。
次の瞬間には斬られるかもしれないのに武蔵に刀を渡す。
地味に烈は己の生き様を見せつけている。

「打倒したその刹那」
「そこにこそ唯一の勝機はあった」
「二度目はない………!!」
「烈海王敗れたりッッ」


武蔵があの有名な台詞を吠えた!
言わずもがな巌流島の決闘で佐々木小次郎に言った台詞である。
武蔵の発言では一番有名なのは間違いない。
400年の時を経て現代に蘇った。

なお、この台詞を言った時の武蔵の年齢は28~29歳だ。
そして、現代に蘇った武蔵の肉体年齢は32歳と設定されている。
時期が合わない。
もっとも享年は61歳であることから魂もそれに準拠していると考えると不思議はない。
そうなると武蔵は(おそらく)全盛期の肉体に老練した駆け引きを持つ男となる。
若返ったアシュラマンみたいな奴だ。
あれはベンキマン2000歳とかがいる中で若返った上に駆け引きも得意だから強いと言われても説得力がなかったが。

「ホントに言うんだッッ」
「武蔵さんバレバレッッ」
「ウケる~~~ッッ」
「小次郎敗れたり!?」


せっかくの名言が笑われてしまった!
アンタら、伝説の名言だぞ! 笑っていいのか!
と思ったが現状武蔵が一方的にダメージを受けている。
そんな状態で敗れたりと言われてもギャグにしかならない。
悲しいかな、武蔵。全然格好つけられていない。
事実、倒れたところにトドメを刺そうとしていたら本当にやられていたような……
刀を渡したのは烈に殺意がないと見切ってのブラフなのかもしれないが。

「な…ッ」「え?」
「…………」「何故その言葉を…」
「…………」
「伝わってるのかこの言葉!?」

「有名です
スゴく…


これには武蔵も驚いてしまう。
烈だって気不味い空気になる。
こういう一面を見せるから武蔵は何だか憎めない。
駆け引きは得意かもしれないが常識に疎いのが弱点かも。

「近付いたぞ」
「拳法家よ」


対し武蔵は國虎を武器が刺さった砂山に投げ捨てる。
そして、烈に素手で肉薄した。
意表を突いたとはいえあの烈に一瞬で詰め寄った。
武器ありの戦いはまさかの素手同士の戦いへと移行した。
烈の得意とする形になった。

だが、武蔵は素手で刃牙を打倒している。
本当に危ないのはここからか。
烈は前日に本部に苦戦している。
得意の素手とはいえ武蔵が相手となると苦しいのは間違いない。
本部という楔は深く烈の急所に打ち込まれている。
守護る気あんのか、あのおっさん。
というか、解説るくらいはしてくれ。
次回へ続く。


武蔵が武器を捨てた!
グラップラー一同にとっては望ましい形になった。
だが、忘れられた歴史の真実を突きつけられるかもしれない。
実は巌流島は素手同士の決闘だったとか。
武蔵地下闘技場初代チャンピオン説を支持する私としても素手の武蔵に期待したい。
板垣史実が見られる可能性があるぞ!

この辺を解説って欲しい本部さん何ですけどね。
毎話喋れとは言わんけどもうちょっとこうリアクションして欲しいところだ。
アンタの血筋が宮本の血を引いているかも答えていただきたい。

しかし、武蔵には両手を掲げる構えに悪魔的オーラ、0.5秒能力などどこか範馬の血を感じる。
やたら攻撃を受ける辺りも範馬らしい。
この辺はピクルと一緒ですな。
ピクル→武蔵→勇一郎→勇次郎→刃牙みたいな血の繋がりがあっても違和感はない。

そこを考えれば本部が宮本の血を、範馬の血を引いているという驚き展開が待っていたりして。
本部が範馬の血を引いているとなれば超サプライズだ。
それこそ今までの歴史が覆るくらいに!
範馬の血を引いているならあんなに弱くないだろって?
……まぁ、うん。



刃牙道(5): 少年チャンピオン・コミックス