刃牙道感想 第62話「ザンッ」

烈が梱包されてしまった!
目の前の相手に捕縛されてしまうという大不覚だ。
これでは消力もできんというものである。
そして、本部がドヤ顔しそうだ。
いいから守護れ。解説さえできず驚いてばかりじゃねえか!


「武芸百般」「縛法だ」
「またの名称
(な)を縄術とも呼ぶ」

縛法によって烈は捕えられた。
ここで力尽くでたすきをちぎればと思ってしまう。
そう考えていた時期が俺にもありました。
だが、烈は身動きひとつ取れなかった。

かつてドリアンが拘束衣を破ったことだし、たすきをちぎることも烈なら簡単に思えてしまう。
だが、烈の関節と筋肉を絶妙に縛り上げ力が入らないようにしているのだろうか。
地味ながらも武蔵は神技を見せた。
技術という点において武蔵は今までのライバルで最高峰かもしれない。
消力を無力化している点でも見事である。

「堂々と不意打ちかましやがった……ッッ」

克巳は武蔵の擬態を不意打ちと言う。
不意打ち、なのか?
油断を誘って隙を作らせたのだから不意打ちかもしれないが。
烈自身、けっこう油断するというか、相手の誘いに乗ってしまいがちだ。
寂海王の勝利宣言に釣られるとか。
その点でも相性が悪かったか。

武蔵の擬態は本部以外には見切ることができなかった。
恐ろしいことに本部以外には。
それほど迫真の擬態であった。
つまり、本部なら何か気の利いたことを言ったり解説してくれるのではないか。
あの擬態はかつて金竜山にやった擬態と同じ種類の技術だとか。
あまりにも迫真の演技すぎて勝負ありと勘違いされるほどなのだ!

「「武」の次元が違いすぎてる」

と本部に多大なる期待をかけたら相変わらず冷や汗で驚いている。
前日のビッグマウス、当日の冷や汗。
大変本部らしいと言えば本部らしいのだが、未知も未知な事態が続いているのだからもうちと解説していただきたいのですが。
大事なところで役に立たないというのも大変本部らしいのだが。

さて、武の次元が違うらしい。
それは練度や技量ということなのだろうか。
烈でさえ身動きひとつ取れない縛法を使ったことだし武蔵の技術は桁が外れている。

あるいは例え擬態してでも勝利に固執するその心構えだろうか。
武とは生き残るための技術であり、そのためなら死ぬ。郭海皇だって死んでいる。
表現がちとおかしいがそういうことである。
消力カウンターを食らった武蔵はメッチャ格好悪かったけど、それでも勝利を目指すのが武蔵なのだ。
だとしたら勝てない相手に挑み、危険な武器を使わせる烈は心構えに大きな差があると言えよう。

いずれにせよ本部と武蔵の武の次元も違うのも間違いない。
これはきっと高度な自虐ネタ。
成長したな、本部……

もはや武蔵推しになったみっちゃんはこの事態を烈の油断によるものと苦言を呈する。
たしかに烈は勝利に徹するなら武器を投げつければ良かった。
素手で飛びかかる必要はなかったのだ。
武器を使えるとはいえ烈の根は拳法家だ。
拳法家だからこそ生まれた隙とも言える。
責められまい。責めるべきは武蔵に武器戦を挑んだことか。

この事態にジャックは妙に驚いている。
サングラスを外してしまうほどだ。
何かこの試合のジャックは驚きまくりで威厳がない。
うーむ、ピクルに惨敗したことで芯が折れてしまったのか。
無闇に背を伸ばしたがったり最近のジャックはちと残念臭がしてしまう。
今なら本部でも倒せるかもよ?
さあ、試してみよう!

まぁ、ジャックは肉体は最高峰だし身長もリーガン級(やや不名誉)だが、素手での戦いにのみこだわっており武器術の知識は絶無に等しいかもしれない。
なので、武蔵クラスの武器術はもはや妖術同然なのかもしれない。
そう考えるとこの試合を見に来た理由もわかる。
滅多に見れない一流の武器の使い手同士の戦いなのだ。

「結束了(おわりだ)
「倒されるでもない……」
「斬られるでもない……」
「動けるまま動きを封じられる」「動きを奪われるという」
「”武”に生きる者ならば決してあってはならない結末………ッッ」
「醜態も醜態……」
「敗北以下の敗北じゃ…ッッ」


郭海皇も苦言を呈す。
烈を天才と褒め称えたのだが、この結果にはさすがに激おこぷんぷん丸か、それとも諦めがあるのか。
いずれにせよ郭海皇でさえ匙を投げる状況であった。
郭海皇なら死ぬかもしれない。擬態だけど。

「叩ッ斬れ!!! 武蔵ッッ」

ここで命乞いしないのが烈である。
だが、今度は消力も策も何もない。
文字通りのくっ殺せだ。
もはやオークを前にした姫騎士ほどの抵抗しか烈にはできない。
その先にあるのは悲惨な結果のみである。

「吠えるでない」
「思い上がるな烈 海王」
「もはや貴様には」「斬られる自由すらない」


そんな姫騎士状態の烈に対して武蔵は非情にも突き放す。
武蔵とて殺人鬼ではない。
殺すのならば自分に立ち向かう者のみなのだろう。
だが、今の烈は武蔵と戦うことさえできない。
斬られる資格がなければ死ぬ資格もないのだ。

武蔵の言葉を受けて烈は泣く。
ピクルの時のような号泣ではなく、悔しさを噛みしめるように静かに涙を流した。
武に生きた人間として武を遂げられないのは実に悔しかろう。
殺せと言われて殺してもらえなかった姫騎士のような悔しさである。

武蔵は國虎の元へと歩きながら鼻の芯を砕かれたと語る。
ピクルと違ってしっかりダメージがあるようだ。
やっぱり打たれ強さはあまり高くないようだ。
弱みを見せないようにしているだけで足元もふらふらかもしれん。
本部も打たれ弱くとも駆け引きと技術で翻弄できるようになれるといいですね。
武蔵になるにはフィジカルが足りないが。

武蔵は烈の背後で國虎を振り下ろす。
斬るのは烈ではなく包丁こと青竜刀だった。
この武蔵の斬撃で「縦」に青竜刀は切れた。
横に切るのならまだしも、縦に切るというのが恐ろしい。
茎受けさえ許さぬ恐ろしい切れ味だ。
武蔵は武器を持たずとも強いが武器を持てばもっと強い。
そこが武蔵の難しいところなので、素手の方が強いとかになりませんかね……

「斬って進ぜよう」

それでも武蔵は斬ると言った。
圧倒したのは事実だが翻弄されたのも事実だ。
せめてもの敬意として烈を斬り殺すのか。
しかし、武蔵に一番のダメージを与えたのが素手な辺り、烈はやっぱり拳法家というかグラップラーというか、武器を持たない方が良かったのでは……

「本気だ」

武蔵のこの言葉に刃牙は冷や汗ダラダラだ。
殺し合いを幾度も経験したし、殺す気で相手を叩きのめしたこともある。
だが、実際に人が斬られるのは見たことがないし、まして友が斬られるのには耐えられないだろう。
これで刃牙は鬼ではないのだ。鬼だけど。

同じく克巳も冷や汗ダラダラだ。
対して郭海皇、渋川先生、本部は冷や汗がない。
真剣勝負の結果は死だと受け入れているのか。
年季の差が表れている。
なお、本部は冷や汗を流していないのがムカつく。

ザンッ

殺人を幾度も経験したからか、言うなり躊躇せずに武蔵は國虎を振る。
斬ったかと思ったら斬ったのはたすきだけだ。
烈は自由になり振り返る。
そこに弐の太刀が正中線に振り下ろされる。
当たれば問答無用の八の字だ。
烈の象徴である弁髪が解けているのも不吉である。
刃牙に負けた時以来である。
果たして烈の安否や如何に。
次回へ続く。


烈が完全敗北した。
ピクルの時は肉体で完敗し、今回は心を折られた。
ちと不憫ですな。
その憂さ晴らしをボクシングに求めても誰が責められようか。
いや、何でボクシングしたのか……
今回もボクシング経験を一切活かさなかったし……

ともあれ、武器を解禁し消力を身に付けた烈でさえ武蔵には敵わなかった。
つまり、武器を封印し消力を身に付けていなかった烈でさえ勝てたボクシングは……
いや、言うまい。彼らは本当に忘れ去られたのだ。

武蔵の強さは勝つことに特化していることだろうか。
勝つためなら武器も使うし擬態もする。
そのために多彩な技術を体得している。
曲者の独歩でさえ武蔵と比べると直球と言えよう。
バキ世界の強者と言えばオリバといいピクルといい勇次郎といい、正面からの殴り合いをしていたのだが武蔵は堂々の変化球だ。
その点で異質と言えよう。

というわけで、烈との相性は最悪でしたとさ。
独歩のように煽りには乗らなかったが、立ち回りで武蔵の術中にはまってしまった。
せっかくの消力も即座に対策を取られてしまった。
やはり、本部に学ぶべきだったか……

烈は死ぬか生きるか。
ここでボクシング勢が武蔵に仇討ちをしようとしたら胸熱展開だ。
まずはワーレフ!
瞬殺!
次はクレーザー!
瞬殺!
次はボルト!
瞬殺!
最後にアイアン・マイケル!
斬る価値さえなし!
クソが!




刃牙道(6) (少年チャンピオン・コミックス)