刃牙道感想 第64話「掴んでいる」

烈がピクルの構えを取った!
ここで本部の構えを取れば本部との友情が生きた感じがしたんですけどね。
残念ながら違った。
そして、烈も本部よりピクルの方に友情を感じていそうだ。
本部って友情というキャラでもないしなー……


斬られた烈の顔からはぼとぼとと血が出ていた。
何やかんやでけっこうな深手のようだ。
なのに一切闘争を止めない辺り、烈はブレーキを踏まない男だ。
武道家は特攻隊じゃないんですよ。
独歩といい本部といい、特攻する武道家は後を絶たないけど。
本部とかな!

「次の動作が表面(おもて)に晒され――――――」
「意図が隠されていない」
「もはや”構え”ではない」


ダメ出しに定評のある武蔵は烈の構えを構えではないと辛辣な評価を下す。
武蔵は次にやることがわかりきっていればいくらでも何とでもできる。
0.5秒の先読みによってジャブを破っているし、ピクルの驚異的フィジカルから放たれるピクルタックルだって範馬一族には完全に破られている(刃牙の破り方には納得いかんが)。

烈の技術に一杯食わされてきた武蔵としては残念なのだろう。
國虎の一閃に消力することを期待していたし、自分の知らない未知の技術を見たかったに違いない。
だが、最後に持ち出したのが技術ゼロな特攻だった。
やや失望が混ざっているのはそういった気持ちがありそうだ。

「残念だが烈 海王………」「差し違えてやることは出来ぬ」

武蔵は烈の構えを自爆覚悟の特攻と判断したようだ。
そんな相手にも容赦をしないのが戦国生まれ。
駆け出した烈に國虎を抜き振り下ろす。
自分からダッシュすれば消力もできないだろう。
本当に真っ二つにするために烈は幾度もの敗北を乗り越えたのか?

ガッ

だが、烈は國虎の一閃を止めた。
真剣白刃取りといった技術によるものではなく、右拳をぶつけて生身で止めた。
綺麗に真ん中に國虎が突き刺さっている。中指なんて骨から一刀両断されていそうだ。
これは痛い。凄く痛い。
だが、武蔵の一閃を止めた。

(止!!?)
(生身で!!?)「ぬう!!?」(鉄拳)(密度)(凄)(怖)(硬)(握り固い)(鍛)(好)(偉)


この烈の暴挙にも等しき行為に武蔵は混乱する。
現代に来てここまで混乱したこともない。
……あ、現代の建造物に混乱していた。まぁ、それは置いておこう。
烈の拳は武蔵が認める本物の日本刀さえ止めた。
ほんの僅かだが恐怖さえ覚えるほどの奇跡だった。

「拳ごときを…ッッ」
「これほどの高みにッッ」


拳ごときと武蔵は素手を大分下に見ているようだ。
本物の武器を持って殺し合ってきた武蔵にとって、素手の技術は必要ではあれど全てではないのだろう。
烈は武器も使えるがあくまでも素手の延長線上に過ぎないし、だからなのか切り札として使っているのは全て素手だ。
しかし、武蔵からすれば殺し合いするに当たってもっとも殺傷力の低い素手は下に見ているだろうし、だからこそ素手を鍛え上げてきた独歩も小馬鹿にした。

だが、その素手が國虎を受け止めた。
武蔵にとってはカルチャーショックなのだろう。
現代では武器を易々と使えなくなっている。殺し合いだってまずやらない。
だから、戦国時代よりも武が退化したわけではなく、むしろ進化した部分もある。
拳で戦国時代の武器の象徴、刀を受け止めたのは現代の武の意地そのものか。
これには武蔵もそりゃ驚く。あと散々現代の武を(現代人のくせに)小馬鹿にした本部も驚いているだろうて。

「掴んだぞむさァし!!!」

烈は吠えた。
義足を失ったし、國虎を受け止めたものの右拳を犠牲にしてしまった。
ここから先に繋がるものはなさそうだ。
それでも吠えた。
もはや勝敗より現代の武を見せつけることに全力を注いでいそうだ。
シコルスキーみたいにスプリンクラーにしがみつけば戦国時代にはいなかった妖(あやかし)の類と思ってもらえるかもよ?

なお、吠える烈だが冷や汗も見える。
あ、やっぱり痛いんだ。
まぁ、そりゃ痛いですわな。
責められまい。

だが、烈の反撃?もここまでだった。
武蔵は刀を引く。引き斬るのではなくただ引く。
それに加えて渋川先生のように身をかがめて烈の足を崩す。
この複合技によって烈の姿勢はいとも簡単に崩れ宙を舞った。
如何に片足とはいえ烈をこうも簡単に手玉に取る武蔵の技術のレベルはとんでもない。
渋川先生クラスかもしれぬ。

そして、空中で無防備になった烈を武蔵は横薙ぎにする。
消力もできず腹部を剣閃が通り過ぎる。
腹部から血が出ていることから見事に腹を切られたようだ。
致死の一撃を幾度も避けた烈だったが、ついに致命傷を受けるに至ったのだった。

この斬撃は以前見せた十文字斬りだ。(第46話
ただ十字に斬るだけでなく、不測の事態に陥っても相手を崩しながら技を完成させた。
見事であり恐ろしい男よ……

この時、烈は消力を敢行しようとしている。
だが、着地の瞬間を狙われたからか、片足ではあまり消力できないからか、あるいは武蔵が本気だったからか。
消力は失敗に終わり腹を引き裂かれてしまった。
今度こそ羽毛を斬ってみせたのだ。

「その通りだ烈 海王!!」
「君達は掴んでいる!!!」
「剣
(やいば)なき この時代(とき)―――――」
「拳
(けん)こそが剣(けん)!!!」
「あっぱれ也」「烈 海王ッッッ」


散々と現代の武を虚仮にし独歩も褒めれどどうみても本心ではなかった武蔵であったが、烈の剣に匹敵する拳には心からの賛辞を呈した。
腹を切られた烈だったが意地は見せつけ武蔵に認められた。
何度も何度も決着を覆した烈だったが今度こそ決着か。
次回へ続く。


ついに決着!
そして、今度こそ大ピンチ!
腹を割られれば当然ながら死ぬ。
ここは観戦に来ているのに姿を見せない紅葉に期待したいところだ。
何、真っ二つになっていなければ治せる。
今までも試合の中で何人も致命傷を受け、アキレス腱を噛み切られたりもしたが生きていれば治るのだ。
治せるよね?

武蔵は散々小馬鹿にした現代の武を認めた。
これで現代の武の真骨頂、素手対素手に専念してもらえれば助かるのだが。
でも、今回の様子だと刀を懐かしいと言ったり実は素手が専門疑惑のあった武蔵だけど、やっぱり根は侍のようだ。
グラップラー一同との折り合いをどうつけるかが武蔵の今後の課題かも。
武器を持っている方が素手よりも強いだと面白みがないし、何よりも今までの歴史を否定することになってしまう。
武器を持った方が強いのは本部くらいで十分ですよ。

烈は拳キャラではない。
むしろ、脚キャラだ。
そんな烈の拳でも刀は止められた。
なので、武器神話も意外と簡単に崩せるかも?
でも、拳による白羽取りはTHE・拳キャラな独歩がやっていれば面目も潰れなかったような……

烈と独歩の差は若さだったのかもしれない。
若い烈がのるかそるかの無謀を仕掛けた結果、國虎を止めることに成功した。
逆に若くない独歩は守りに入って、無謀を仕掛けられなかったのかも。
武道家は特攻隊ではないが、命を捨てる覚悟の特攻が奇跡を起こすこともあるのだ。

それにしても三つ編みが解けた烈は勇次郎にそっくりだ。
だから、勇次郎が斬られたのかと錯覚することが多々。
強烈にワガママな辺りは似ているし実は親子だったりして。
改めて烈の三つ編みの大事さを知った試合でもあった。
これから手術が開始されるけど、まずは三つ編みを編むのが先かな……




刃牙道(6) (少年チャンピオン・コミックス)