スターオーシャン5をクリアした



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通算4匹目の大鯨。
それは置いておいてスターオーシャン5(以下、SO5)をクリアした。
新しいモノに触れなければいけない!
そんな想いからプレイしてみたのだ!
というわけで感想。
ツッコミ入れまくっているのでSO5を楽しんだ人は閲覧注意で。


で、率直な感想。
果てしなく微妙でした。
いや、トライエースの作品はどれもこれも微妙(特にシナリオ)なんだけど、SO5の微妙さは凄まじかった。
過去最高に微妙だったと言える。
いや、SO3から先のトライエースゲーはやっていなかったんだけど、THE・微妙なSO3を遙かに上回る微妙さだった。

まず、戦闘が微妙だった。
SO1とSO5の戦闘のどっちが面白いかと聞かれればわりと真面目に悩むくらいには微妙だった。
SO2以下は間違いない。

微妙なポイントとしては基本ボタン連打なことが挙げられる。
というか、それしかすることがないしわりとそれが最善手である。
SO5の戦闘は三すくみというものがある。
弱攻撃は発生の遅い強攻撃に勝ち、強攻撃はガードを崩せ、ガードは弱攻撃を防げるというものだ。

だが、このゲーム、最終的には6人パーティになる(正確には7人だが1人は非戦闘キャラ)。
そして、敵も数体いるし、そこに魔法やらのエフェクトが重なれば画面が真っ赤とか真っ白になって戦況の確認がほぼ不可能だ。
こんなしっちゃかめっちゃかな状況で三すくみなんてやってられっか!と適当にボタンを連打することになる。
というか、強攻撃のスキルを使えば発生そこそこかつガードを崩せるので三すくみする意味がない。
MPを消費する?
MP回復アイテム使えば解決ですよ。

で、そんなゴチャゴチャな状況で敵がレイプされないようにするためには、広範囲高火力の攻撃を使ってくる必要がある。
後半になると敵がそんな攻撃をどんどん使ってくる。
プレイヤーが操作しているキャラはかわせなくもないけど、CPU操作の仲間にはそんなこと無理なので即死していく。
ゴチャゴチャしている戦闘なのでわけもわからず殺されることも多々ある。
言うまでもなく大味である。
ボタン連打ゲーであったSO1に先祖返りした心持ちだ。

そんな即死の連発にどう対抗するか。
まず、近接系の仲間は全部囮。勝手に死んでくれ。
主人公には飛び道具があるのでそれを連発する。
クウハザン!クウハザン!クウハザン!クウハザン!
おい、お前、SO1かよ。
それでゲージを溜めて奥義を放つ。
奥義中は無敵なので敵の広範囲高火力攻撃でも安心!
あ、奥義を撃ったら逃げますね。
多分、これが一番楽だと思います。
飛び道具専門の仲間キャラがいたので、そいつを使っていたらもっと楽だったかも……

というわけで一番の売りだった戦闘が見事なまでに面白くなかった。
スキルのキャンセルルートも制限がないし本当ボタン連打で済むのが……
アクションゲーのようにかっちりとしたアクションは元々求めてなかったけど、もうちょっと何とかならなかったのだろうか。
ついでに過去作にあった仲間が使うスキルの制限ができないので、終盤でも最弱の回復魔法で回復しようとする貧乏性を見せるのも地味にマイナス。
いや、ラスボスはこれみよがしに即死攻撃連発しているんだから全体回復してくださいよ……


だが、そんな戦闘以上に微妙だったのがシナリオだった。
SO3をやったことのある人ならSO3のシナリオよりも微妙と言えばその凄まじさがわかるのではなかろうか。
腑に落ちない展開やツッコミどころの無呼吸連打である。
SO3の設定の破綻っぷりは凄かったけど、あれはあれで盛り上がる部分だってあったわけで。
だが、SO5には盛り上がりさえ欠如していた。
というわけで、ここからあえて突っ込んだシーンを全部上げていこう!


・第1話 軍は動かない(動く)
まず、本作の冒頭のイベント。
と、本筋に入る前にこのゲーム、凄まじいことに一切のオープニングなしでいきなり戦闘のチュートリアルをやらせる。
意味ありげに宇宙船が旅しているムービーを見せるとか、そういうことをせずに何の前触れもあらすじも説明もなしに戦闘のチュートリアルを始める。
操作パートに入るまでに数十分かかるゲームだってある。
それと比べるといきなりキャラクターを動かせるのはユーザーフレンドリーと言えるが、一切の雰囲気作りをしないのはどうか。
この時点で小生、SO5はクソシナリオだと確信した。 実際にそうだった。

さて、そんな主人公の村を盗賊団が襲ってくる。
そこに至るまでに遠くに主人公の村を見つめる謎の人影を発見、それを何故か即盗賊だと決めつけるのも腑に落ちないがまぁ置いておいて。
その盗賊団を村のみんなと力を合わせて何とか撃退する。
だが、また襲いかかられるとキツいと軍に助けに求めに行くのであった。
なお、この盗賊団はやたらと恐れられていたが、その理由は一切説明されない。
盗賊団だから危険で当然という空気しか出していない。
せめて「隣村に甚大な被害を出した」くらい語れば十分納得は行くのだが……

この一連の騒動で主人公は村にある道場の主で年長者たちに指示を出すほどの実力の持ち主がわかる。
だが、「どんな道場なのか」「主を務めるほどの実力があるのか」「指示を出せるほどの信頼や指揮権があるのか」などの疑問が一切語られない。
なので、非常にふわふわした感じでどうも感情移入ができない。
なお、終始どのキャラもこんなふわふわした感じになる。
頼むからそのヘリウムガスを少し減らしてくれ。
さて、途中で軍のお兄さんと知り合いながら、軍の上層部に所属している主人公の父親と面会をする。
主人公の父親の答えは「戦争中で田舎の村に出せる戦力はないから自分たちで何とかしろ」というものだ。
軍のお兄さんも内心は助力したいのだが、そうならば引かざるを得ない。
なので、主人公だけで事態の解決に当たることになるのであった。
結局、無駄足だったという点を除けば概ね納得の行く理由であり流れだ。
なお、村に帰る途中に近道があると軍のお兄さんから教えられる。
緊急事態なんだから最初からその近道を行け。
その道、村に隣接しているんですけど! 何で主人公さんはその道を知らないんですか!

ともあれ、盗賊団と決戦だ!
その危機に軍のお兄さんが助けに来る! しかも、部下を連れて!
戦争中だから村に戦力を割けないとは何だったのか。 お兄さんだけならまだわかるのだが、部下まで連れてくるとか何なんですか。
立派に部隊を動かしているじゃないですか。
主人公の国は戦争で押されているという設定だが、こんなガバガバの指揮系統だと押されて当然と思えてくる。
その後、とんとん拍子で盗賊団を潰滅させる。
妙に恐れられていた理由は結局説明されなかった。

・第2話 幼女のキャッチボール
いろいろと歩いているうちに主人公は幼女と出逢う。
この幼女、何か凄い力を持っているぞ。
その力を求めて謎の勢力に幼女が狙われる!
まぁ、王道ですな。
なお、その幼女の力は大切な人を思うことで発動するとか言われるが、初めて発動させた時は主人公と出逢って間もない時である。 おう、設定の矛盾とは抜かりないな!

その幼女、キャラ立てに失敗している。
というのも初めて逢って、保護した時はロクに話さない。
記憶を失ったやら何なのと言うが、まぁそういう無口系幼女だと思ってしまう。
が、次のシーンではたどたどしいながらも普通に会話を行っている。 どういうキャラと捉えればいいのでしょうか……

そんな幼女だが敵に奪われては奪い返してを延々と繰り返す。
まさに幼女のキャッチボールである。
シナリオのほとんどをこのキャッチボールに費やしている。
この度に主人公たちは俺が幼女を守護らねばならぬ……と躍起になるが、幼女をそこまで守護ろうとする理由は一切語られない。 いや、正確には語られる(後述)のだが納得がいかなかった。
幼女を守ろうとした結果、父親が死ぬことにもなっているし、何か正義感とかじゃ済まされないのですが……

さて、幼女を狙うのは別の惑星の人間だと判明する。
それから幼女を守るためにはたまた別の惑星から来た人間(以下、艦長)と主人公は協力。
艦長は幼女は俺たちが守るから君たちとはお別れだと言い出す。
艦長の判断はもっともである。盗賊団に襲われたらヤバい村がある世界だし、宇宙人たちから幼女を守り切ることはできまい。

だが、この艦長、作中屈指の無能である。
幼女を守るために自分の宇宙船に匿う。
それはいいのだが宇宙要塞とかそういう場所で絶対の態勢で保護しようとしない。
結果、艦隊戦に持ち込まれ敗北、幼女を奪われてしまう。
使えねェー!
まぁ、事情はあったにせよ幼女はよくわからん凄い力を持っているのだから、早急にちゃんとした場所で監視する必要があると思うのですが……

この艦長のあまりの使えなさに主人公は「守るって言っただろ!」「どういうことなんだ!」と本気でキレる
いや、アンタにキレる資格はないと思うのですが……
というか、ミスしたもののそれなりに頑張ろうとした人間を頭ごなしに責めるのは人として、いや主人公としてどうなのでしょうか……
なお、この主人公、一見真面目だがここや以後の描写からわかるのだがクズである。
これが真面目系クズなのだろうか。

蛇足ながら宇宙船同士の艦隊戦の戦闘描写は口頭で伝えるだけという艦これアニメより盛り上がらない戦闘を実現している。

・第3話 父親が死んだ!
何やかんやで幼女を取り戻す(キャッチボールだからね)。
そのことを主人公は父親と話すのだ。
すると父親は成長したなとか急に父親面をしてくる。 アンタ、主人公の村よりも軍を優先した男ですよね?
何でいきなり息子を思う父親にジョブチェンジするんですか?
キャラブレてませんか?

で、幼女を守ることについて父親は語る。
大人になれば子供を守りたいのは当然のことだ。
終わり! 閉廷! 以上!
そんな暴論で納得するかよ!
人より国を優先するお前が言うんだからなおさらだ!

なお、その幼女を守るために父親は結果的に命を落とすことになる。
繰り返すが息子の村より軍を、国の利益を優先した男とは思えない。 メッチャ感情に流されてますやん……
いや、感情に流されるのはいいけど、それなら序盤のあの発言は何だったんですか……
いや、幼女は凄い力があるからそれを利用されるのは国の損失と判断したか?
でも、状況的に戦争中だし軍の上層部のアンタが倒れれば不味いことになるのもわかるはず……
ともあれ、このブレブレのキャラが倒れたが、プレイヤーの感情は特にブレなかった。
フシギダネ。


・第4話 軍人(笑)
ブレブレお父さんのエピソードの一部であるが、幼女を瀕死の重傷を負った父親は敵の軍に幼女共々人質にされてしまう。
なお、敵の軍が幼女をさらったのは幼女を狙う勢力と繋がりがあるからという理由があった。
じゃあ、さっさと幼女渡しちゃいなよ……
主人公の国の軍は統制が取れていないが、敵の方も全然だ。
ガンダムSEEDかな?

その父親を軍のお兄さんは助けに行こうとする。
軍人が命令なくして動いてはいけない。(何か既に動いた気がするけど、まぁそれは置いておいて)
だから、軍紀違反覚悟で助けに向かおうとするのだった。
ガンダムSEEDかな?

それに部下たちも同じく助けに向かおうとする。
だが、軍紀違反をするのは自分だけで十分だと断る。
それでも部下たちは止まらない。
そんな部下への言葉がこれ!

「命令だ!」

いやー、命令無視軍紀違反覚悟の人が命令と軍規を盾に部下を止めるとはさすがっすね!
まるで説得力はないが愛想を尽かしたのか、部下たちは収まるのだった。

そんな軍のお兄さんの覚悟を見届けたのか、主人公は「お前は軍人じゃなく僕たちの仲間だ」と言い出す。
その台詞の直後に今までさん付けだった軍のお兄さんを急に呼び捨てにして、さらにはお前は弟弟子だなと上から目線で言い出す。 これには呆れたのか、兄弟子殿と軍のお兄さんは返した。
この全方位にキャラクターの評価を下げていくスタイルには人生の悲哀を感じますね。


・第5話 空蝉だ
またもさらわれた幼女を助けに行く! 助けた!
だが、幼女は髪を切られていた。
女の子の髪を切るなんて許せねえ! 敵マジ外道!

で、お使いをしていたら唐突に敵のボスが現れる。
何とその傍らには幼女がいる。
そこで明らかになる驚愕の事実。
助けたと思っていた幼女は今までキャッチボールしていた幼女ではなく、幼女の姉、つまりは別人だったのだ!

……いやいやいや、NONONO。
何で主人公たちは気付かなかったんですか?
そんなのマッハでボロが出るじゃないですか?
普通に受け答えしていて違和感ないとかおかしくないですか?
というか、幼女の姉も自己申告しましょうよ?
何で黙秘権を行使して幼女に成り代わろうとしているんですか?
いや、アンタみたいなぽっと出がキャラを獲得するにはそれしかないかもしれないけどよ?

本作最大の超展開に開いた口が塞がらなかった。
トリックの過程を完全に排他して結果だけを押しつけられるとこうなるのだ。
どうしろと言うのだ……


・第6話 俺の艦長がこんなに役立たずなわけはない
幼女を取り返すために敵の宇宙船に潜入だ!
敵は幼女を人質にするぞ。
それはスト5のナッシュのようにいつの間にか背後を取っていた軍のお兄さんのおかげで何とかなる。
あのシーン、唐突すぎて爆笑した。

制圧された敵は戦争になるぞ!と脅してくる。
それに対して艦長は知ったことかと押し切るのであった。
男気を見せた。
そして、その直後に「戦争になるのは不味い」とすぐさま過去の自分を責め始めるのだった。
勢いだけだったのかよ。マジ無能。超無能。

挙げ句、「幼女さえいなければ」と最大級の失言をする。
もちろん、幼女は偶然聞いていて大ショックを受ける。
主人公はこの発言を相変わらず頭ごなしに責める。
……まぁ、これは責める資格があるな。


・第7話 お前が死ぬなら俺も死ぬ! 無能艦長の言葉に傷付きこんなになったのは自分のせいだ!と幼女は宇宙船の中で飛び降り自殺をしようとする!

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本部並みに守護キャラとなった主人公は幼女を止めねばならぬ。
そこでの説得はお前が死ぬなら俺も死ぬというものだ!

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面倒臭い奴に面倒臭い奴が絡まった結果、何とか説得には成功しましたとさ。
あれか、マイナスにマイナスをかけるとプラスになるって奴か。
いや、まぁ、幼女の気持ちはわかりますけどね。
でも、主人公の説得はないな!


・第8話 クズの極みの主人公 幼女は人工生命体だと判明する!
その事実にショックを受ける幼女。
それを励ますのが主人公の役目ですね。
王道である。
そんな幼女にかける言葉がこれ!
「お前より不幸な奴はたくさんいるから気にすんな!」

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・第9話 使えるモノは使う
ラストダンジョンだ!
幼女の謎の力は解明されたが、幼女の姉を手中に収めている敵もその力を解明したのだ。
ラスボスである将軍はこう主人公に言い放つ。
「どちらが時空紋章の使い手に相応しいか決めよう」と。
いや、主人公は幼女任せなんですけどね。これっぽっちも関係ないんですけどね。
そんなに因縁付けんでも。

それに対する主人公の答えはこれ!

「望むところだ!」

いや、幼女は望んで手に入れた力じゃないんですよ?
これに悩んで自殺までやりかけたんですよ?
ああ、幼女より不幸な奴はたくさんいるから別にいいのか!
あなたって本当に最低のクズだわ!


そんなわけで終始笑いを誘って飽きさせませんでした。
さすがトライエース十八番のクソシナリオだなー。
ラスボス戦でも主人公の台詞はどれもこれも軽かったのですが、あまりにも軽くてど忘れしてしまった。
スクショ撮っておけば良かった……

で、最後に良かったところ。
前半のマップは綺麗で良かったです。
ただほとんどのマップが中盤までに出尽くしたこと、後半のマップはコピペが中心であまり褒められない。
ニーアレプリカントかな?

ついでに一番好きなSOシリーズはSFCのSO1です。
今やればちっとも面白いとは思わないけど、発売当時は物凄いインパクトがあった。
あのキラキラ感は唯一無二のものだと思う。
とはいえ、今見ても2D表現としては相当のレベルだと思うし、実際けっこう参考にしている。
その辺で美しく記憶に残っている。
いや、今やればちっとも面白いとは思わないんですけどね……
でも、想い出に残っているだけでも十分に輝いているゲームだと思う。
SO5は……まぁ、笑い話にはなるでしょう。