刃牙道感想 第127話「それでいい」

本部の十八番、煙玉が実戦で炸裂した!
刃牙と勇次郎を文字通り煙に巻き、ジャックにはまったく意味を為さなかった武器である。
何かすっかり死刑囚だな、本部。
いっそ死刑になってみるか? ん?


武蔵は煙幕に包まれる。
本部は少し離れた位置にいるから、煙幕の中での乱戦をやる気はないようだ。
この煙幕にまずは加藤と末堂が驚く。
そのリアクションの早さ、イエスだね。
師匠の晴れ舞台ともなれば驚きますよ。
頼むから花田のことを思い出してくれ。

鎬兄弟は煙玉の使用をとても信じられないようだ。
紅葉はスポーツマンに近いから煙玉なんてまったく考慮に入れていないだろうし、昂昇も同じような心境だろう。
である以上は2人共、武装した本部には勝てないかもしれない。
でも、武装していない本部には勝てる。

「それでいい………ッッ ―――てかそれしかないだろ!!!」

そして、ガイアが妙にさっぱりとした顔で驚く。
かつては勇次郎と並ぶと恐れられた超軍人が今ではすっかり驚く人に……
範馬刃牙から刃牙道の間に何かあったのだろうか。
本部の変化以上にガイアの変化の方が気になってしまう。

この事態についにみっちゃんが避難する。
チッ、巻き込まれればいいのに。
ここで本部が鎖分銅で試合場に連れ戻したら惚れ直しちゃうぜ。

「もういい……なんだっていいッッ」
「「毒」だっていい……ッッ 「爆薬」だっていい……ッッ」
「どんな「手」を使ったっていいッッ 生き延びちまってくれッッ 本部さん!!!」


この事態に刃牙も冷や汗を流すことしかできない。
そして、本部の生還を祈るのだった。
って、生き延びちまってくれってまるで何かの拍子に事故で生き残るような言い方だな、アンタ。
どうやら刃牙は本部が独力でこの状況を切り抜けられるとは思っていないらしい。
責めまい……そして、負けたというのに本部をあまり評価したくないようだ。
その気持ちはよくわかる。

ともあれ、刃牙のお墨付きが入った。
刃牙道になってから刃牙が絡んだキャラは不幸な目に遭っている。
烈は死に、ピクルはズタズタに切り裂かれた。
これは不味い。本部に死神がついてしまった状況だ。
今は大丈夫でも未来は暗いぞ、本部。
というか、死ぬよな、本部……

逆に刃牙が絡まなかったキャラは負けはすれどダメージは少なく済んでいる。
佐部は無事に済み、独歩も真っ二つにされず、渋川先生もノーダメージだ。
完全に死神だな、この男。
すっかり戦わなくなったことと引き替えに呪うことを学んだのか?

しかし、この刃牙、正直嫌いじゃないよ。
バキから範馬刃牙の頃の刃牙は終始横柄な感じがして好感度が低かったけど、刃牙道の刃牙はこうした側面がなりをひそめている。
特に武蔵に負けてからはわりと身のほどを知った感じでけっこう好きだ。
これで熱いエピソードでもあれば好感度も上がるのだが、生憎ニート体質を貫いてしまっている。
ちゃんとしたバトルをする時は今後来るのだろうか。
そんな中で本部に対しては横柄だったけど、相手が本部だからむしろ納得の横柄さなので許せる。

本部は鎖分銅で金重を奪う。
煙の中とはいえ狙いは完璧のようだ。
そして、命同然のはずの刀をあっさりと奪えたことを訝しむ。
でも、本部よ。武蔵は刀をすぐに手放すぞ。
烈戦いでは刀を渡したし、ピクル戦でも殴られてすぐ手放したし、そもそも勇次郎戦では刀を捨てて素手で戦った。
武蔵は誰かを斬ることは大好きかもしれないが、刀を手にすることにはさほど執着していない。

武蔵にとって刀は手段のひとつに過ぎないのだろうか。
ピクルの時に刀を持ち出したのは、勝つためというよりも刀というものを教えるためみたいだし。
でも、あれはやりすぎだと思います、押忍。
刀に纏わる真意を未だに掴ませない武蔵であった。

煙が晴れて武蔵が姿を見せる。
無謀にも咳き込み、無謀にも極められた足首の調子を見る。
あまりにも無防備だ。
本部なら遠慮なくその隙を突くね。

「およそ30と6秒」
「その間――」
「剣を手にした本部以蔵」
「一歩も踏み込めず」


だが、無防備のように見えて本部に冷や汗を流させるほどに武蔵には隙がなかった。
これは武蔵の得意技、擬態の一種だろうか。
相手を油断させてその隙を突くのが武蔵の得意技である。
この技を大胆にも本部にも見せつけたのだった。

そして、武蔵の擬態を知る本部だからこそ、隙がまったくないことを見切ったのだろう。
何事もないように見えて深い駆け引きが行われたのだった。
今の本部には横綱の小指を掴むような迂闊さは存在しないのだ。
ホント何であの時、あんなに迂闊だったんでしょうね?
アンタはたしかにいまいちな人だけど、あんな初歩的なミスをするほど迂闊じゃないと信じていたのだが……
あれも擬態?
本部は弱者と勘違いさせるための擬態?

本部曰く、剣を手にしているというのに間合いは武蔵の方が広いらしい。
武蔵の身体能力は範馬一族に匹敵する。
武器を持たなければ弱いのが本部なら、武器を持たずとも強いのが武蔵なのだ。

だが、柔術は剣術から進化したもの。
剣の扱いにも長けるのが本部なのだ。
だからこそ、金重を投げる!
柳との戦いで見せた刀投擲である。
本部の剣術とは即ち剣を投げる術である。
……まぁ、ほら、実戦派だし。斬りかかることにこだわる必要はないし。スペツナズナイフだし。

が、武蔵は高速回転する金重をいとも簡単にキャッチする。
すかさずその反射神経に驚く佐部だ。
この人は人斬りという血生臭い過去をすっかり失ってしまったようだ。
この人はガイアと一緒にどこかの聖遺物か何かに邪気を吸い取られたのか?
吸い取った邪気を本部が吸収、パワーアップしたというオチか?

さらに本部は鞘を投げ渡すのだった。
高速回転する金重とは対称的にこちらは無回転で一直線に飛ぶ。
武蔵はその脅威の反射神経で軌道を見切り、飛んでくる鞘に金重を入れてみせる。
投げる側も投げられる側も精密なコントロールがあって初めて実現する神業である。
まぁ、デモンストレーションくらいの意味しかないんですけどね。
そう考えていた時期が俺にもありました。

ばァんッッ

納刀と同時に鞘が爆発した!?
いつの間にか鞘に火薬を仕込んでいたのか?
僅かなショックで爆発するような爆薬を仕込めば十分可能かもしれないが、爆薬を仕込む隙はなかったはずだ。
こんなことをすれば武蔵が気付くし、観客も気付く。

だが、よく見れば本部は鞘を投げる前に両手を背中に隠してから、鞘を取り出している。
もしかして事前に用意した火薬入り鞘に入れ替えたのだろうか。
だとしたら戦況の流れを見切りに見切っている。
そして、武術家というよりも奇術師のようだ。

さすがに火薬は少ないのか、武蔵にダメージを与えるには至らない。
鞘は粉々に砕けたが金重も折れていない。
だが、手元で爆発を起こしたのだから武蔵は怯まざるをえない。
これには素のリアクションだ。

一方で刀を手放していない。
手元で爆発が起きれば普通は刀を手放す。
武蔵が刀を手放してきたのは敵の次の動きに対応できる自信があったからだろう。
だが、本部のこの手は予想外すぎたのか、刀を必死に手放さないように心がけたのかも。
今の武蔵には余裕がないのだ。

本部はここまで武蔵の時代にあった手で攻撃をしてきた。
目潰し、投げ、毒、煙玉……
だが、ここに来て爆発する鞘という戦国時代の常識にはない手を使ってきた。
多分、戦国時代にはない。多分。
この時代の緩急を付けた搦め手によって、本部はついに武蔵の想像を超えたのだった。

「不用意によォ…」
「受け取りすぎだッつーのッッ」


さらに十八番の鎖分銅で追撃だ!
武蔵の頬にクリーンヒットした。
ジャックでも怯むほどだしこれは痛い。
そして、決定的な優位を得てなお接近しない辺りに本部の細心の注意が垣間見える。
今日の本部は武蔵を徹底的に削っていくつもりだ。

「それでいいッッ」
「――――てかそれしかないだろォォォォ!!!」


この奇策を見てガイアが吠える!
ダメだ、この人。もう2度と見せ場がないと断言できる。
ジャックとピクルは酷い目にあったけど、ガイアよりはマシだな、うん。
この2人は再起に期待できるししたいけど、ガイアは、その、もう諦めよう、うん……

本部は数々の奇策で武蔵を攻め立てている。
いい加減、武蔵ものんびりしていられなくなるぞ。
武蔵が本部の手を読めなくなって、攻めざるをえなくなってからが本番か。
それにしてもこの奇策の数々、見事ではあるけれど素直に応援できない。
やっぱり、卑怯者はちょっとね……
次回へ続く。


本部が本当に強い!
強い、のか?
技術というよりも戦術で圧倒している感がする。
これは今までにはなかった強さだ。
本部はそうした強さに長けるからこそ、武蔵と対当に渡り合えているのかも。

本部は非常に多くの策を仕込んでいる。
事前の準備の塊だ。
煙幕はお手製のものだしかなりマメな男だ。
グラップラーと言えばわりと大雑把な人が多いし、その点で本部は異質なのかも。
逆に言えば下準備なしで挑めば金竜山にも負ける。

ともあれ、本部は強い。それは認めよう。
それと同時に、その、……ガイアの現状が悲しく小生は仕方ありません。
バキ世界では勇次郎の次くらいに人を殺しているはずなのに、今では拳を握って狂喜乱舞している。
もういい……休め、ノムラ……

こんなガイアだがある可能性に至ると違和感がなくなる。
今のガイアは実は花田なのではないだろうか。
この2人、共通点が他に類を見ない共通点がある。
本部の弟子なのは置いておくとして、互いに勇次郎に並ぶ存在だと評価されていることだ。
ガイアはストライダムを初めとする軍人が勇次郎に並ぶと評価している。
対する花田は本部が勇次郎に並ぶ才能の持ち主だと評価している。
実力はさておき極めて高い評価をこの2人は得ている。

なので、この共通点から察するにガイアの正体は花田……いや、ガイアの正体が花田かもしれない。
幼年編で刃牙と勇次郎に敗北後、自身の未熟さを痛感するのだった。
そのため、実戦派と名高い本部に弟子入りして鍛え直すのである。

そして、十分な実力を手にして刃牙にリベンジ……となった時に必勝のためにガイアという正体を隠し花田になりきる。
ガイアだとバレれば手の内が読まれるかもしれないが、花田という初見の人間なら不意を突けるのだ。
ガイアの部隊には高い変装術を持つ双子がいたので、ガイアもそのスキルを持っていてもおかしくない。
別人のような性格もガイアの多重人格によるものだと考えれば不自然はない。

本部も弟子の考えを察してちゃんとそれに合わせる。
花田の正体はガイアだと無粋なことは言わない。
合わせるのだが、あの頃の本部は気の良いおっちゃんだからついつい正体を匂わせてしまう。
それが勇次郎と匹敵するという発言である。
まぁ、本部だって人間。失言だってするし小指だって掴むさ。

そして、決定的なのが花田とガイアが並んで登場している場面がないことだ。
花田が現れればガイアが消え、ガイアが現れれば花田が消える。
今も加藤末堂が出ているのに花田はいない。明らかに不自然である。
これは同一人物だからこそではないだろうか。
そう考えるのは当然のことであろう。

今回の狂喜するガイアはガイアらしくない。
だが、花田だとしたら何の違和感も不自然もない。
これらを考えるにガイア=花田は確定的に明らかである。
そう、ガイアは花田なのだ!
つまり、ガイアはマウント斗羽に敗北……いや、言うまい……
(今のガイアがマウント斗羽に勝てるビジョンが思い浮かばない)