1st BATTLE





自分の最速を信じるWARRIORたちが鋼のWeaponを手にStarting Gridにつく。
WARRIORたちは縛られることを何よりも嫌う。
だからこそ、漆黒に包まれた夜のSTREETだけが彼らのステージになる。
誰もが通るこの道で、ただ一人だけが手にする伝説が生まれる。



――アクセルを踏み込む。
強力な加速Gが走り屋たちをドライバーズシートに押しつけ、BATTLEと夜の始まりを告げる。
まるで意地を張り合う子供のように、WARRIORは踏み込んだアクセルを抜こうとしない。
純粋で、無邪気で、だからこそ暴力的な彼らの生き方。
荒々しく猛々しいスタートがそれを強く感じさせた。

今宵の舞台はかつて伝説が生まれたWANGAN…
走り屋たちも、ギャラリーも、誰もが新たな伝説の胎動を感じていた。



横浜最速の男、藤沢一輝…
新たな伝説を作った男が愛車のRS2000turboと共に駆ける。
伝説のただ中にあっても男は満足しない。
いつだって、より強く、より速く――ただそれだけを求める。
それは単なる欲望を越え、あらゆる生物が持つ生存本能に近い。
速く在ることが彼の存在意義。彼がステアを握り、ペダルを踏み込む所以である。



それを追いかけるのはNightRACERS本牧の一二位を争う一流の走り屋、辻本アキラのX1800と沢木誠のSil-14Qである。
速くなりたい。速く走りたい。
子供の時分に抱くようなPureな憧憬を、彼らは抱いていた。
速くなりたい。速く走りたい。
硝子細工のような繊細さを、極限のSPEEDの中で抱きしめる。
速くなりたい。速く走りたい。
その儚さがあるからこそ、彼らはWARRIORたり得るのだ。



大排気量の車もBATTLEに参列していた。
走りにおいて力を持つことは必ずしも走りに厚みをもたらすわけではない。
有り余るパワーはいつだって鋭利な刃物となって、DRIVERを切り刻もうとする。
いわば鍛え上げられた日本刀の刀身を握りしめるような狂気――
POWERとSPEEDへの欲求はヒトとしての本能すらも凌駕する。



先頭を走るのは日本車ではない。
YOKOHAMAでは見慣れぬ欧米の車であった。
有り余る排気量に有り余るPOWERとTORQUEを詰め込んだこのMACHINE…
その貫禄はまさしく広大な欧米の地を統べる支配者のそれであった。
歴史に名を刻まれし者の迫力が、場を支配した。



DiabloZeta。
かつて横浜に伝説という傷痕を残した魔物である。
魔物は双眸で眼前を走るWARRIORたちを見つめる。
極限のSPEEDの中で魔物はさらなる狂気に染まる。
もはやテールランプが紅く染まることはない。
MORE SPEED――走る最速の彼方へ。



最高のSPEEDは走り屋にとって最上の麻薬。
その陶酔感に痺れる。
結果、MACHINEのコントロールを見誤り、鉄の獣はグリップの限界を超えてしまう。
その時、WARRIORは知る。
MACHINEは従順な下僕などではない。
暴れ狂い主人に牙を剥くMONSTERだと。



白煙にMACHINEを包まれる。
著しく制限された視界の中で、WARRIORたちは決して加速を止めない。
それは勇気ではない。
狂気――それに身を任せ、さらなるSPEEDを求める。
恐怖など彼らを縛り付ける鎖にはなり得ないのだ。
誰にも縛られず、何にも縛られず、FREEDOM。



200kmオーバーの超高速セクションから唐突にコーナーは訪れる。
フェンスの外側は奈落だ。
OVER SPEED is Die――
死の恐怖が走り屋たちを襲う。
それでもアクセルは抜かない。
最速への憧憬は恐怖の谷底を越えさせた。



超高速ステージに現れた異物とも言うべきヘアピン――
高まったSPEEDに慣らされたWARRIORたちには、このヘアピンは壁に等しき存在に見えた。
ブレーキを数テンポ早いタイミングで踏み込んでしまう。
だが、DiabloZetaだけは違った。
まるで命を捨てるようなおぞましい突っ込み――
一緒に走っていた奴ら、口を揃えてこう言った。
あいつはクレイジードライバー。命知らずの大馬鹿野郎だ…ってね。



横浜の2TOP、藤沢と辻本はお互いを試し合うように、愛し合うように、競い合うように、走り合う。
まるでキスをするような至近距離で二人は争う。
そのコンタクトには何万の言葉よりも雄弁なものがあった。
戦うことで、走ることで、それだけでわかり合える。
そう、走り屋は純粋なのだ。



新旧の伝説が邂逅する。
彼らは磁石のように引かれ合い、磁石のように弾かれ合う。
どこまでも同質でありながら、どこまでも異質。
新しい伝説が始まった。



既にBATTLEの半分を過ぎた。
強烈なSPEEDに体力も気力も著しく消耗していく。
そして、トップを走る二人のWARRIORのスピードレンジは異次元だった。
だが、ついていく。
最速への欲求が己の壁を越えさせていく。
SPEEDの果てを知る者は、誰もいない。



最速を知る者同士、わかることがある。
今まで自分がいた領域は最速ではないと。
真の最速はここに――否、このBATTLEの向こう側にあると。
OVER300kmの領域で真実の蜃気楼を見つめた。



横浜からも見えるこの橋は走り屋たちにとって、聖域の象徴とも言えた。
まばゆい光に彼らは涙をにじませる。
彼らにはわからないものだが、それは歓喜の涙だった。
同じSPEEDの領域で走り合える。
それは長い彷徨の果てについに見つけた宝石であった。
『R』…Rivalと言う名の宝石である。



欧米の王はWARRIORたちを抑えて走る。
最速は孤独だとそのテールランプが語る。
しかし、彼も知っていた。
そのテールランプに追いつく者が現れた時、それはとてつもない歓喜を呼び起こすことを。
だからこそ、アクセルを踏む足が震える。
最速の彼方へ。



辻本はクラッシュで傷付いた沢木を労り守るように走っていた。
それは遥か前方を走るWARRIORたちに追従できるペースではない。
しかし、『R』と呼べる仲間を守りたい。
その純粋な想いを見たギャラリーは彼らを賞賛した。
SPEEDを追い求めることだけが彼らの全てではない。
SPEEDの中で生きる仲間と共棲することも彼らなのだ。



日頃は硝子細工を愛でるように大事にしていたMACHINEも、BATTLEで消耗し傷付いていく。
傷付いたBodyは流れる風と衝突し奇怪な風切り音を奏でる。
それはMACHINEの悲鳴であり叫びだった。
まだ、走れる。走りは終わっていない。そう教えてくれる。
手に、足に、より大きな力が加わる。
青臭いSpringはMACHINEと共にある。



壮絶なBATTLEはギャラリーだけではなく、呪われし守護天使BayLagoon Towerも見つめていた。
伝説を知る摩天楼…
新たな伝説の誕生をも知ろうとしている。



ついに欧米の覇者にYOKOHAMAの走り屋たちは追いすがる。
必死の『R』…Resistanceの果てに。
抵抗せずにはいられない。逆らわずにはいられない。
子供がだだをこねるような稚拙な感情――
それが彼らを更なるSPEEDに誘う。



トンネルの中へと入る。
その閉塞感がSPEEDを何倍にも増幅させて感じる。
OVER300kmの世界では、気が狂いそうになるほどの非日常を彼らに叩きつける。
だが、それでも踏み込んだアクセルを離そうとしない。
狂気に呑み込まれることなく、SPEEDの中で生きる。
それが最速であるための条件である。



どこまでも続く閉塞の中で極限のSPEEDを競い合う。
永遠と思えるOVER300kmの領域。
それにより彼らの概念は洗練され、漂白され、最後には結晶になる。
最速の結晶へと。
善も悪もない。ただのSPEED。
そこに、彼らは辿り着いた。



DiabloZetaは雌伏の時を過ごす。
誰よりもSPEEDを求め、SPEEDを愛し、SPEEDの中に生きた。
だからこそ、知っていた。だからこそ、抑えていた。
そう、最高のSPEEDを最後に迎えるために、新たな伝説を掴み取るために――



友の遺志を継承し、辻本が戦線に復帰する。
欧米の皇帝は驚嘆する。
彼らの強さに。
そして、それこそが望み求めていたものだと歓喜する。
こうして皇帝はWARRIORに回帰する。
真の最速の称号を掴み取るために。



傷付いた沢木に余力は残されていなかった。
だが、彼の脳裏に【声】が響く。
より速くありたい自分の意地が。
アクセルを踏み込む。
Diabloなどではなく、自分の意志で壁を越えていく。
DRIVING ALL NIGHT TOGATHER――



最速を求めるWARRIORたちを前に、ついにDiabloZetaは己を抑えきれなくなる。
SPEED――それを感じる。
SPEED――それを貪る。
SPEED――それを喰らう。
その時、彼はSPEEDそのものになった。



突如、訪れたヘアピンは一度目のヘアピンよりも鋭利な凶器だった。
しかし、SPEEDの向こう側に足を踏み入れた彼らを止めることはできない。
5速全開で次々にクリアしていく。
既に全員がかつての伝説になっていた。



再びトンネルが彼らを包み込む。
この先にGOALがある。
戦いの終わりにして夢の終わり。
そして、新たな戦いの狼煙。
終わりなど怖くはない。
走り続ける限り終わりはないのだから。



MORE SPEED――
MACHINEに鞭を入れる。
走るためだけに鍛え上げられたMONSTERはWARRIORの望みに応える。
猛獣のEXHAUSTが奏でる。
走りのOrchestraを。



そして、GOAL LINEを迎える。
誰が先に迎えるのか。誰が勝利者になるのか。
だが、誰がこのBATTLEに勝利しても、それは意味を為さない。
何故ならば彼らは走り続けるからだ。
今夜のBATTLEも通過点に過ぎない。
――最速の彼方へ。
……醒めちまったこの街に……熱いのは俺たちのDRIVING……


DRIVING YOKOHAMA FOREVER TOPに戻る