Imitation of YOKOHAMA GRAND-PRIX QUALIFYING ROUND



YOKOHAMA GP予選――
走り屋夢の舞台…夢を夢と終わらせるか…それとも具現化させるか…
それはJUDGMENTの真名を冠する栄光と挫折に彩られる祭典であった。



元町Gueen'S…立河唯のWagon660…
中華街で勝ち抜くために馬力よりも軽さを求めたMACHINEである。
LightWeight…軽量化という鋭利なTuning…
YOKOHAMA GPはSTREETで行われる。
Wagon660はその細く狭いその道をTargetの中に入れていた。



桜木町GT…川崎鉄史のCancer…
直線勝負にして加速勝負のゼロヨンの頂点に君臨するMACHINEである。
そのEngineはAero-Zokkyという奇形を背負ったMACHINEを狂ったように加速させる。
歪なMONSTER…
それはYOKOHAMA GPを破壊する宿命を与えられし者である。



高島VR…フレディ・ロバーツのDanger-V…
ChickenRace…加速と制動だけを競うRace。
MACHINEの正確な操作とそれをPressureの中で実行するための精神力を成長させる。
それがRaceでどれほど発揮されるのか――
ギャラリーの注目は常に行われる限界のBreakingに向いている。



WANGAN GALE…矢吹天成の33typeR…
WANGANという最高速STAGEを制する暴君に相応しきDRIVERである。
高速ステージを走るためにアンダーステアにしたMACHINEを彼は容易く横に向ける。
相反するMACHINE COMPLETEとDRIVING TECHNIC…
それを並立させるこのDRIVERに速さ以上に、誰にも禍々しさを感じていた。



本牧NR…辻本アキラのX1800…
安定したDRIVERとMACHINEのCollaboration…
YOKOHAMA GP予選における本命と見られていた。
その走りには戦友である沢木の魂が宿っていたかのような荒々しさを身につけていた。
横浜最速の男、藤沢一輝と戦ってきたWARRIORとしてのPRIDE…
それが白日の下に晒される時が来る。



BLR…赤碕翔の86-Lev…
YOKOHAMA GPに名を連ねたWARRIORの中ではもっともCareerは浅い。
しかし、その名は敬愛と畏怖の双方で伝わっている。
悲劇を呼んだ沢木とのBATTLE…悲哀を見せた難馬とのBATTLE…
もはやYOKOHAMAの走り屋で赤碕翔を知らぬ人間はいない。



YOKOHAMA GP予選――
ギャラリーの想像を超えたものだった。
各勢力のトップが集まり、競い合う…
それは競技ではなく戦争のように苛烈なものである。
華々しき夢に裏には夥しい屍があることを彼らは知る。



SPEED――
それが彼らの闘争本能を呼び覚ます。
踏み込んだアクセルを離すことはない。
その時、暴れ狂うMACHINEの真価と刹那の邂逅を果たす。
Over The Limit…走る最速の彼方へ。



Aero-ZokkyのCancer…
SPEEDを求めるには不適合とも言える姿のはずであった。
だが、空気を切り裂きながらCancerは走る。
Aero-Zokkyが奏でる異常な風切り音にギャラリーは畏れを感じる。
もはや秩序などない。
そこはChaosの彼方だと。



小柄なWagon660も前線で戦っていた。
パワーウェイトレシオの点ではWagon660は他車に劣ることはない。
しかし、軽さと小ささに高いスピードレンジは予想外の挙動を次々に巻き起こす。
気性の荒い猫のような気まぐれなResponse…
Driverがそれを受け入れた時、Wagon660は猫から豹へと姿を変えた。



限界を求めるブレーキングを行うことでDanger-Vはチャンスを狙う。
僅かなミスで海にその身を堕とすChickenRaceでブレーキングを鍛えていたはずだった。
だが、数々のWARRIORが鎬を削るこのBATTLEでは何の意味を持たない。
走ることの恐怖をフレディ・ロバーツは初めて知る。
The Fear In Driving High…
求めたモノの一端を知った時、彼の肌は粟立つ。
この時、彼は初めてWARRIORになった。



オーバースピードでスライドさせながらクリッピングポイントに踏み込むその走り…
辻本の走行は沢木のそれを連想させた。
その眩しいばかりに自分とMACHINEと最速を信じる走り――
赤碕に同じラインを追従することはできなかった。
だから、己の信じる最速のラインを走る。
それが贖罪であると叫ぶように。



ホームストレート――
タイトなコーナーの多いYOKOHAMA GP予選のCourseでは、数少ない気兼ねなくアクセルを踏み込むことのできるSectionである。
そこで赤碕は前に出る。
86-Levに秘められたEngine、G-4A F-SPL…
横浜最速の男、藤沢がTuningしたその心臓のPotentialは計り知れない。



辻本は先を許した。
だが、2位というPositionを守るだけでも、本戦への出場権は得られる。
そこを守るクレバーな走りが彼の頭の中によぎる。
しかし、即座に否定する。
沢木が己に望み、沢木が辻本に求めた走り――
最速への飽くなき憧憬が、辻本を突き動かす。



赤碕は背後から強いPressureを感じる。
追われる側の不利――
何度もわかっていたはずだった。
だが、違った。
大舞台のPressureは幾重にも重なり、赤碕の精神を疲弊させていく。
視界はぼやけハンドルを握る手も震えていく。
歴戦の死闘を潜り抜けたWARRIORが赤碕を追い詰めていった。



後続車に与えられたのは僅かな直線だが、距離を詰めるには十分すぎた。
純然たるSPEEDで追い詰められることの恐怖――
その時、狩られる側に回ったことを知る。
できることはただ身を縮めることのみか、それとも…



その時、33typeRは甲高いEXHAUSTの咆吼が響き渡る。
日本随一の最高速ステージを走ってきたMACHINEの真実の叫びだった。
本当の勝負はここからだと告げた。
RaceはこうしてBATTLEへと流転していく。
それは矢吹天成がDiablo被験者…真の最速の男を知ることとは無縁ではなかった。



豪快にスライドさせながら辻本は赤碕の隙を付け狙う。
対する赤碕はラインをキープしその隙を見せようとしない。
それは紛うことなき守りの走りであった。
Rivalたちの果敢なアタックに萎縮してしまっているのかもしれない。
しかし、それを誰も責めることはできなかった。
このような状況に置かれれば誰もが守ろうとし、その結果、守ることすらできずに果てていくからだ。



緩やかなコーナー…
慣性に身を任せ、彼らは前へとMACHINEをスライドさせていく。
その時、走ることとは生きることだと、真理を誰かが呟いた気がした。
自殺行為にも見えるWARRIORたちの走りだったが、あくまでも前へ前へ進むその姿に生物としての本能を感じ取ることができた。



そして、最終コーナーを迎えようとする。
用意された僅かな直線で逆転の舞台は整えられた。
勝利は誰の手に委ねられるのか――
彼らに甘んじることの許される運命はただそれだけであった。



その時、声にも似たEXHAUSTが赤碕を突き動かす。
5速全開で最終コーナーにアプローチするその姿にギャラリーは戦慄する。
即座に辻本はCRAZY DRIVERという単語を連想する。
それほどの圧倒的なSPEEDがそこにはあった。



自分でも理解できないコーナリングを終え、ぼやけた意識のまま、赤碕は栄光を手にする。
YOKOHAMA GP本戦への切符…
それを手にしたことは幸か不幸か。
ここから先はさらなるSPEEDの領域に踏み込まざるを得なくなる。
その先に見えるのは藤沢の背中か、それとも闇の果てに存在した難馬か――…
赤碕は自分の知ろうとしていたものはその先にあることだけを感じていた。


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