Imitation of BLR vs. HAKONE DD 



横浜最速と箱根最速のチームバトル――
優劣を決するようなものではないギャラリーへの顔見せ程度のBATTLE…
しかし、誰もが予感していた。
ただのBATTLEに終わらない…最速と最速の激突になると。



狭い峠道にYOKOHAMAとHAKONEを代表するWARRIORの群れが集う。
WindingRoad――
Machineを左右に揺らすコーナー…WeightBalanceを狂わせる勾配…
走り屋の聖地と呼ばれるだけあり、関東随一のテクニカルなレイアウトである。



この過酷なSTAGEでも赤碕の眼前に映るのは真紅のRS2000turbo――
藤沢一輝の存在であった。
愛車、86-LevのMACHINE COMPLETEは一昔とは別物であった。
YOKOHAMA GP予選を潜り抜けたMACHINEだけあり、Normalとは別物のSpecを誇っていた。
けたたましいEXHAUSTをかき鳴らしながら、HAKONEの峠道を踏破しようと疾走する。
蜃気楼の彼方を掴むために。



多くのMACHINEがMACHINEをスライドさせながらコーナーに迫る。
インサイドの壁を削るように近づき、アウトサイドのガードレールを削るようにRを膨らませる。
極限のSPEEDを僅かなスペースに潜り込ませる。
誰にも理解されない反社会的な行為…
誰もがわかっていた。そして、誰もが憧憬を抱いていた。
路上生きる戦士はCRAAAAAZYと言う名の勲章を求めると誰かが呟いた。



鎖に縛られることを拒む獣の群れは、それぞれがそれぞれのラインとリズムで峠を攻める。
決して馴れ合うことはない。
路上に巣くうWARRIORの全てがRivalだった。
けれど、ラインもリズムも決して壊し合うことはない。
不協和音の中に生まれた協和音――
それが走り屋の本質を示していた。



赤碕は背後に強いPressureを感じる。
地元…どの走り屋も持っているPALACE。
そこは己のPRIDEの拠り所である。
地元では決して負けられない。
子供の時分に張った意地のような感情は時として驚愕に値するSPEEDを生み出す。
SPEEDの本質がどこにあるのか、誰も理解していない。



――気付いた時にはRS2000turboに肉薄していた。
蜃気楼を掴む。
ステアリングを強く握り、アクセルを床まで踏みつける。
MORE SPEED…
その行為が何を意味するのか、わからぬまま。
求める。最速の彼方を。



伸ばした手は空しく空を切る。
いつだって眼前にいた。
そのテールランプに手が届くことはない。
最速の彼方。
いつだって眼前にあった。



先頭を走る虎口は久方ぶりの強者に歓喜した。
走りの興奮…
倦怠からの解放こそ箱根の皇帝が望んだものだった。
それはBATTLEの中にだけある。



藤沢の走りが突如豹変する。
ほぼ真横にMACHINEを向けるような獰猛なコーナリングは速さを求めるものではないように見えた。
だが、速かった。
ただ、速かった。
理論や理屈を超越したSPEEDに誰もが畏怖の念を抱く。



コントロールもラインも捨て去り、ただSPEEDだけを求める。
その走りこそ横浜最速の男、藤沢一輝の本質であった。
感じるままに走る…
その本当の意味を共に走ったWARRIORだけが理解することができた。



CRAAAZY DRIVER…
最速の世界に生きるWARRIORへの最大の賛辞にして忌避の礼賛。
箱根にその名が再び轟く。
呪われし横浜最速伝説の胎動であった。



箱根の皇帝もまたその走りに触発される。
死線を越えると称されたDRIVER、虎口美春…
CRAAAZYの称号を彼もまた求めていた。



箱根の皇帝と皇帝に破れし者…
二つのラインが交錯する。
だが、もはや立場など関係ない。
最速を求め走る者同士、ただ結晶になっていた。



そして、GOALへと向かう。
最速は遠い。
だが、ひとつだけわかったことがある。
そこは理想郷では決してないと。
深き闇の向かい迷走することが最速の彼方への道標――
それを知りながらアクセルを踏み込む人種が走り屋であると、そのテールが囁く。


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