EPISODE9 防人の歌



今回も新曲ありだ!
新曲の度に物語は大きく動いてきた。
でも、常に大きく動いているから、あんまり新曲関係ないかも。

さて、意味のわからなさに定評があると同時にそれ故に注目を集めるシンフォギア公式サイトの次回予告について。
ウィッチクラフト公式ブログの発言からも意味のわからなさは金子彰史承認済みのようだ。

あんまり楽しみすぎて、
さっき公式ホームページの予告を見に行ったら、
まったくサッパリちっとも意味がわかりませんでした。

世の中には、
いい加減な仕事をする奴がいるんだなあと思いました。(言い訳みたいな笑顔)


やっぱり、書いたのアンタじゃねーか!?
これで次回予告を書いてるのは金子彰史で確定だ。
脚本が公式サイトにまで出張る!
シンフォギアスタッフの一体感は末端であるはずの公式サイトにまで及んでいる。

その次回予告は相変わらず意味がわからない。
同時に「もう逢えないことよりも、出逢えたことが嬉しい」とWAネタを使用だ!
WA2の名台詞にしてEDテーマ「Zephyrs」で用いられていた一節である。
WAシリーズの新作は出ていないが、金子彰史の中ではまだWAは生きている。




在りし日の翼は鼻歌で逆光のフリューゲルを奏でながらバイクを整備する。
今の翼ではあり得ない姿だ。
バイクを整備していることから、翼はバイク好きなのだろうか。第2話でも使っていたし。
整備はできるけど整頓はできない女、風鳴翼。

しかし、当時なら15歳以下なのにバイクが趣味とは随分と無骨なものだ。
戦場(いくさば)に身を置いてきたから感性が普通とは異なっているのか。
いや、普通の子が常在戦場とか言わないけど。



「任務以外で歌を歌っているなんて初めてだ」

当時、存命していた奏は翼を茶化す。
かつての翼は歌を自然と歌える人間だった。
歌が好きだったのだろう。
そんな翼がやれ剣だ、やれ戦場だ、やれ人成らざる身だと言うようになったのは、奏の喪失の大きさを物語る。



鼻歌を聴かれて可愛い頃の翼は赤面する。
今の翼は可愛いというよりも面白い人だからなぁ。
それが悪くはなく、むしろ風鳴翼の個性を際立たせてるわけなのだが。
でも、キャラクターとしては後退できないことになっている。

翼は非番なのでバイクでドライブしようとしているようだ。
整備を自らやっているくらいなので、走るだけじゃなくバイクそのものが好きなのだろう。
特別に免許ももらっているようだし、バイクへの愛着がわかるというものだ。
そんなバイクを乗り捨てた辺りに翼の変化を感じ取れる。
今の翼は非番の時は居合いなんてしていそうだし。いや、していた。



「鼻歌は誰かに聴かせるもんじゃないから……ッ!」

「わかってるって」
「んじゃ行ってきな」


奏は任務があるのか、翼を邪魔したくないのか、理由はわからないがあっさりと送り出す。
パートナーであるとはいえ、そんなにベタベタしているわけではないようだ。
未来に聞かせれば添い寝をしないとは何たる惰弱とか言われそうだ。



で、現在の翼さん恒例の夢でした。
この人の夢は奏のみで構成されているんじゃないだろうか。
最近、吹っ切れてきてはいるけど、何か中毒症状的な部分も随所に垣間見える。
むしろ、中毒だったからこそフラッシュバックが起きているのか?
天羽奏という麻薬は相当のものだ。
影響受けすぎて吐血芸を身に付けちゃったし……



「ただいま、奏」

診断結果から翼の全快が確認される。
拳を握ってみてそれを感じる。
そして、エアー奏に呟くのだった。
肉体はへっちゃらでも精神はへっちゃらじゃないんじゃないかと不安になってしまうが、常在戦場とか言い出すよりはマシか。
二課に奏抱き枕でも作ってもらえばいいのに。
もうあるかもしれないけど。

あと胸については……その……
最初クリスに敵意剥き出しだったのもそこからなのかも。
響は意外とデカいと気付いてガングニールの後継者に相応しいと評価を改めたり。



前回、仲直りした未来は響に二課本部の案内を受ける。
二課は未来に事情を隠さずなるべくの情報を与えることにしたようだ。
未来は響のメンタルに大きな影響を与えている。
戦いは激化していくだろうし、響に何か不都合があれば困るから囲んでおこうという考えか。
ともあれ、事情だけでなく込み入った事実も知れば、これ以上は響と未来の関係がこじれることもないか。



「うぇっへんッ!」
「わたしの一番の親友ですッ!」

響は翼に未来を紹介する。
安定のドヤ顔だ。キャラソンのジャケットといい、響にはドヤ顔が似合う。
こう、バカっぽさも伝わってくるのでいい。



「立花はこういう性格故いろいろ面倒をかけると思うが支えてやって欲しい」

「いえ、響は残念な子ですのでご迷惑をおかけしますがよろしくお願いします」


少し前の翼なら未来も理不尽にキレられていたかもしれないが、響の守りたいものを理解している今は和やかに会話している。
故とかさくっと使う辺りが剣だが、随分と丸くなったものだ。
それも響のおかげか。
わだかまりはもうなくなっている。

未来は協力者として二課に登録されたようだ。
二課の事情に深く踏み込んだこともあるし、先述した通りに響のメンタルに大きな影響を与えるからか。
適合者認定されれば危なそうだけど大丈夫か?
リディアンが二課本部の直上に位置し、直下にはABYSSとデュランダルがあるという環境も怪しい。
リディアンの学費は相当安いようだし、何か裏があってもおかしくはない。



(変わったのか、それとも変えられたのか)

楽しそうに語らう三人を見て、緒川はこんな感想を抱く。
公私共に翼を見てきた緒川としては、この変化に感じるものがあるのだろう。
翼の態度が軟化したのは自分からか、響の影響か。
いや、エア奏の効力も大きいか。
ものすごい脳内麻薬とのやり取りでスパークしちゃったかも。



一方で弦十郎はTATSUYAにレンタルビデオを返却しに行っていた。
有事ではないからか、けっこう緩いようだ。
指揮官がいないと現場としては困るのだろう。
響なんて師匠と言っているし。
弦十郎を師匠にしたのは大正解だ。



ここで了子が会話に割り込む。
恋バナ百物語!
遠い昔で呆れるくらいに一途らしい。
了子の発言は伏線ではないかと疑ってしまう。
これも伏線なのか?



ここで違うアニメのような演出が挿入される。
違うというか古いと言うべきか。
金子彰史作品はおっさんじゃないとわからないようなネタがいくつもあるので今更ですが。



(らしくないこと、言っちゃったわね)
(変わったのか、それとも変えられたのか……)

恋バナを切り上げて了子は業務に戻る。
ここで声のトーンを落とし表情を変える。
フィーネ(終わりの名)にそっくりですね。
だが、了子には頬の傷がない。

了子のハイテンションはらしくないことなのだろうか。
胸に何かを隠している。
それはフィーネと関係のあるものなのか、あるいは……



その弦十郎はTATSUYAの袋を持ったまま、人気のないビルの前に立つ。
雨の日のこともあるが、一切の洗濯物がない。
廃ビルか何かだろうか。
諜報が仕事の二課だ。
こうした建物にも用事があってもおかしくはない。



「だったら翼さんッ! デートしましょッ!」

「デート……?」

さて、翼はアーティストとしての活動を再開することにしていた。
剣としてこの身を鍛えていた時代でも、こうした活動は欠かすことがなかった。
翼にとって歌は切っては切り離せないものだった。

けれど、復帰し立てなこともあって過密スケジュールにはしないらしい。
だから、デートを申し込む!
未来と添い寝するだけあり、その辺はおおらかというかオープンのようだ。
翼のベッドに響が潜り込む日が来るかもしれない。
後ろにいる未来に気を付けろ。



さて、シンフォギア一番人気といっても過言ではないクリスは一人可哀想なことになっていた。
染みだらけの壁と畳から廃ビルであることがわかる。
弦十郎が視線を向けていたビルと同一のものだ。
この子はこんな立ち位置が異常なほど似合う。
毛布にくるまっている。何かにくるまっているのが好きな子だ。
本当に捨て犬体質だ。

クリスは腹の音を鳴らす。
お腹が空いているようで隙のない捨て犬体質である。
雨だしシチュエーション的にも隙がない。
隙がなさすぎて隙だらけだ。



捨て犬状態の時にドアが開く音がする。
すぐに毛布を投げ捨てて臨戦態勢だ。
でも、正直あんまり強そうじゃないな……
パンチしても普通に負けそうな勢いだ。
適合者である以上、身体能力は保証されているんだけど……



「君の保護を命じられたのはもう俺一人になってしまったからね」

そんなクリスの警戒をあっさり抜けて、弦十郎は室内に入る。
クリスの居場所を完全に把握している。
さすがの諜報専門だ。

外敵なわけだからクリスは拳を構える。
そして、腹の音を鳴らす。
……格好付けられない子だ。
というか、アンタじゃ勝てませんよ。
防戦だったとはいえノイズを倒したのを間近で倒したのを確認しただろうに。



「何も盛っていないさ」

「くっ……!」


弦十郎は食料のあんパンを差し出す。
居場所がわかっているのなら、状況もわかっているというわけか。
飢えた捨て犬とはいえ、クリスはあんパンを簡単に手に取らない。
そこで弦十郎が口を付けて安全が保証されたら即座に食べる。
がっついてるとも取れるが、内戦地で生きてきたクリスにとって食料の重要さは非常に大きい。
それこそ食えればいいという生活をしてきたのだろう。
他者が口を付けたものでも躊躇わず食べるのにクリスの凄惨な過去の一面が見える。

弦十郎はクリスの過去を語り始める。
8年前にバイオリン奏者雪音まさのり(漢字不明)と妻の声楽家ソネット・N・雪音が難民救済のNGO活動中に戦果に巻き込まれ死亡。
一人娘のクリスが行方不明になるが、国連軍の介入によってクリスが発見され日本へ移送される。



牛乳を美味しそうに飲む雪音クリスさんでした。
うーむ、この人はこういう姿が似合いすぎる。
弦十郎もあんパンとかじゃなく弁当を用意して上げればいいのに。
いや、パンの方が安全性を簡単に証明できるのも事実ではあるが……



「当時の俺たちは適合者を探すために音楽会のサラブレッドに注目していてね」
「天涯孤独となった少女の身元引受先として手を挙げたのさ」

「フン……こっちでも女衒かよ」


二課とクリスの繋がりはそんな感じのようだ。
思ったよりも薄いものだ。
こりゃ女衒(ぜげん)と言われても仕方ないかもしれない。
ついでに女衒は女を売り買いすることだ。
戦地でもクリスは売られ買われていたのだろう。
それは適合者としての価値からか、それとも肉体目的か……
後者ならスゴイウスイホン向け。

だが、クリスは帰国直後に消息不明になる。
二課も急遽捜索するが捜索者は死亡あるいは行方不明になっていた。
弦十郎が俺一人になったというのは、クリス捜索関係者が次々にいなくなったという意味があったのか。
クリス誘拐と二課の妨害にはフィーネの介入があったことが伺える。
その力の大きさも同時に窺い知れる。



「俺がやりたいのは君を救い出すことだ」
「引き受けた仕事をやり遂げるのは大人の務めだからな」

「フンッ! 大人の務めときたかッ!」
「余計なこと以外はいつも何もしてくれない大人が偉そうにッ!!」


自分の不手際でクリスはやっと訪れたはずの平穏を崩された。
過去に負い目があるのが風鳴一族の宿命なのだろうか。
不始末と不手際をかけて話さない辺り大人だ。
大人か?

だが、大人不信のクリスには弦十郎の声は届かない。
クリスは前回もフラワーのおばちゃんに反応していた。
恐怖心に近いものがあるのだろうか。
子供と大人はWA4で語られたものだ。
シンフォギアでもそれに触れることになるのだろうか。



クリスは弦十郎を拒絶して飛び出す。
って、窓からかよ!?



で、落ちながら変身して……



飛び上がる!



そして、逃げ出す!



「あたしは何を……」

そりゃこっちの台詞ではあるが、まぁこのダイナミック帰宅ではないのだろう。
電柱の上に無駄に立っていることでもない。
案外、シンフォギアの変身は気楽にできるのだろうか。

また、一見すると無駄な動きなのかもしれないが、相手は弦十郎だ。
生身で暴れてもすぐに取り押さえられるし逃げ切れない。
ノイズを打破したことから、弦十郎の戦力もクリスは知っていた。
だからこそ、シンフォギアに変身することで確実に逃げおおせたのだ。
クリスのこの逃亡は自然! 道理! 必然!
物理的に何一つおかしくない!
だから、笑わないでね。私は笑った。



で、デート当日。
未来連れなのでデートというよりも一緒に遊ぶと言った趣か。
シンフォギアで私服の出番は少なめなので、こうした光景は珍しい。
響が意外にも少女趣味多めなふわふわした服装だ。
密かに髪飾りが花になっているし、活発な響のイメージと異なっている。
未来がコーディネートしたのか?



「すっごい楽しみにしてた人みたいだ……」

「誰かが遅刻した分を取り戻したいだけだッ!」


遅刻した響たちの到着と同時にズンズンと進む翼を見て呟いたら怒られた。
「私とのデートに遅刻するなんて、あなたは奏の何を受け継いでいるのッ!」とかちょっと前なら言われていました。
今ならこれくらいで済んで良かった。
しかし、とんでもなく楽しみにしてたんだな……
剣に感情がないとかボイスレコーダーに取っておけば良かったのに。
枕に顔面突っ込ませるぞ。




そんなこんなで風鳴翼(剣の名を持つ者)とのデートが始まった。
怪しいグッズ屋を見て、映画館で3人揃って落涙し、ソフトクリームを食べて、衣服を選んでみる。
よくあるデートコースか。
グッズ屋にザダスなどのWA怪獣がいるかと思ったら無念。いなかった。
それでも画面左に怪獣はいる。
せめてもの抵抗か。



で、試着タイムだ。
響は活発な、未来は清楚な服だ。
響のふわふわした服とは趣が異なる。
未来が選んだものか?



……この人は何でポーズ決めているんですか?
ノリノリレベルが半端ない。



ファンに見つかりかけたり、買い物して楽しんだりと楽しんでいるようだ。
本当に翼が一番楽しんでいる。
剣だッ!
剣だろッ!?



「翼さんご所望のぬいぐるみはこの立花響が必ずや手に入れてみせますッ!」
「キィエエエエエエエッ!!」


翼に負けじと奇声をあげてUFOキャッチャーに望む響であった。
ガチ奇声だ。
悠木碧に無茶をさせるアニメですね。
それに答える悠木碧のポテンシャルは恐ろしいものがある。



「このUFOキャッチャー壊れているゥッ!!」

ゴウランガ!
風鳴翼ご所望のぬいぐるみは手に入らず!
というか、欲しいのかこれ?
どいつもこいつも絶妙に不細工だ。
剣のセンスはよくわからん。



「すごいッ! わたしたちってばすごぉいッ!」
「トップアーティストと一緒にカラオケに来るなんてぇッ!!」

で、次はカラオケだ!
カラオケ街という店名が熱い。
九州(金子彰史の出生地)にあったんじゃないだろうな。
ともあれ、翼ファンの響は大盛り上がりだ。
今回は賑やかな演出が多いな。



「一度こういうの、やってみたいのよね」

ここでまさかの翼の演歌だ!
マジかよ。演歌かよ。
翼の中の人、水樹奈々は元は演歌歌手志望だった。有名なエピソードである。
その水樹奈々が演歌を歌うのだ。
偉業だ。

さらに作詩作曲が上松範康である。シンフォギアのボスキャラ自身が手がけている。
というか、本名丸出しかよ!
やはり、シンフォギアスタッフの一体感は侮れない。
金子彰史のみならず、多くのスタッフが全力全開だからこそのシンフォギアだ!



その演歌を本気で歌う翼だ。
歌手としての本能か、ポーズを決めながら歌う。
もちろん、水樹奈々の歌唱力はフルに発揮されている。
中も外も本気の演出だ!



「渋い……」

「くうううう……かっこいいぃぃ……」

これには響も未来も魅了される。
そりゃ渋いし格好良いよ。
今更だけどすげえアニメだ、シンフォギア。



そして、ノリノリで歌う翼である。
もうどの口が戦うために歌っているに過ぎないと言ったんだか。
こいつ、アホですか。
翼、歌が好きのが本当に好きなんだなぁ……



「防人であるこの身は常に戦場(いくさば)にあったからな」
「本当に今日は知らない世界ばかりを見てきた気分だ」

一通り遊び終えて夕暮れの公園で一息つく。
防人とか戦場とかさらりと言う辺り、風鳴翼イズム爆発である。
でも、楽しんだようで笑みを浮かべる。
あれで楽しんでいないとか言われたら、もう末期です。



「そんなことはありません」
「あそこが待ち合わせした公園です」
「みんなで遊んだところも、遊んでいないところもぜーんぶ翼さんが知っている世界です」
「昨日に翼さんが戦ってくれたから今日にみんなが暮らせている世界です」
「だから知らないなんて言わないでください」

そんな翼に響は町を見せる。
翼が戦うことはノイズを倒すだけではなく、それによって守れるものがある。
それを響は見せた。
響はバカだけど、バカだからこそ単純に真っ直ぐに一直線に翼の心を響かせる。



「そうか……これが奏の見てきた世界なんだ」

戦いの向こう側に見えるものという奏の言葉を思い出す。
いや、アンタの妄想の話だけど。
そして、戦うことで守れるものを、奏が戦ってきたものを知る。
いや、アンタの妄想の話だけど。
でも、自分の戦う理由がノイズを倒す剣だけではないことを知るのだった。



「立花にとっても辛い想い出のある会場だな」

さて、後日。
翼は響に自分のライブのチケットを渡す。
傍らには未来もいることからすっかり打ち明けたようだ。
演歌すげえ。デートすげえの方か。

ライブ会場は2年前響が大怪我を負い、翼が奏を失った因縁深いあの場所だ。
二人が傷を背負った場所である。
だから、「立花にとっても」と翼は言っている。
だが、だからこそ、克服する気なのだろう。



「ありがとうございます、翼さんッ!」
「いくら辛くても過去は絶対に乗り越えていけます」
「そうですよね、翼さんッ!」

響は奏から生きる意志を受け取った。
負い目ではなく、自分の意志で戦えるようになった。
そんな響が言うわけだから重みがある台詞だ。



「そうありたいと、私も思っている」

響の懊悩をしたからこそ、こうした台詞を受け止められる。
二人の信頼は確実に深くなっている。
鼻歌、歌ってあげなよ。
ちょっと前の響なら訝しんでいたかも知れないけど、今ならハミングしてくれるかも。

そんなこんなでライブ当日。
翼はリハーサルを終えてあとは本番を迎えるだけだ。
そこにある人物が訪れる。



「トニー・グレイザー氏……」

何やってんだよ、トニー!?
出たよ、トニーだよ。
WAシリーズの始まりを司るトニーが現れた。
9話にしての登場だ。
第1話に出なくてちょっとがっかりしたけど、まさか9話で登場するとは……
実に油断できないアニメだ。

トニーが出てきたとなるとWAシリーズの終わりを司るラギュ・オ・ラギュラに期待してもいいのか?
トニーに始まりラギュ・オ・ラギュラに終わるのがWAシリーズの恒例だ。
WA6と呼ばれるシンフォギアならば、あるいは……
ラギュ・オ・ラギュラノイズに用心せよ。

あ、トニー・ブレイザー氏は翼の海外進出を打診していた人でした。
元締めの登場となると本腰であることが伺える。
断ったはずの話だったが……



「もう少し時間をいただけませんか」

翼の返答は拒否ではなかった。
トニーが出てきたら仕方がない。
WA6やらないと。



「師匠ッ!」
「現場にはわたし一人でお願いします」
「今日の翼さんは自分の戦いに望んで欲しいんです」
「あの会場で最後まで歌いきって欲しいんです」
「お願いしますッ!!」


その時にノイズが現れる。
翼も出動……と相成るところだが、それを響は止める。
今の響は戦う理由を胸に抱いている。
そして、今の翼が歌う理由を胸に抱いてライブ会場に赴いていることを知っている。
助けられる側も一生懸命。戦うことだけが戦いじゃない。



「やれるのか?」

「はいッ!!」


弦十郎の問いに力強く答える。
すっかり一人前の戦士だ。
さすがは剣の翼が認めただけのことはある。
槍を名乗らせてもらってはどうか。
風鳴剣と立花槍。立花槍の語呂悪ッ!




そして、バトルとライブの同時進行は始まる。
ここで新曲「FLIGHT FEATHERS」だ!
ライブシーンの出来は相変わらず凄い。
観客の動きのぬるぬるっぷりは一見の価値ありだ。

今回のノイズさんは強敵らしく、クリスのミサイルが通じていない。
クリスの制圧力はノイズ戦でこそ真価を発揮すると思いきや、重装甲相手には苦戦は免れないようだ。
攻撃力が低いということか。




ノイズに押されるクリスだ。
大型のゴールドノイズにノイズミサイルを撃ち込まれてピンチ……
その刹那、響が助けに入った!
さすが一人前の戦士になっただけのことはあり、見せ場を心得ている。

響の胸の傷が光っている。
体内のガングニールとの適合係数が上昇でもしたのだろうか。
戦闘技術や精神力の成長と共に、響の身体にも異変が起こっている。
吉となるか凶となるか……



ここで響の新技、高速移動によるノイズの掃討だ!
ワイルドバンチの次はアクセラレイターか。
WAネタがいくつか垣間見える響だ。
これは必殺技カットインが楽しみだな。
きっと、WAシリーズの名前が乱舞するに違いない。



「貸し借りはなしだッ!!」

だが、アクセラレイター(仮称)の後に隙にノイズミサイルが合わせられる。
そこにクリスの援護射撃だ。
さすがはシンフォギアいい子代表。
胸の大きさは思いやりの大きさの証左です。



翼の歌を少年のように純粋な目で聴くトニーだ。
こりゃ悪い人じゃなさそうだ。ピュアすぎる。
一人の翼のファンということだろうか。
トニーに悪者はいないと思い、WA4のトニーは悪者だったと思い直す。
トニーといえど、トニーだからか油断はできないか。




「イイィイイヤアァァアアアッ!!」

(忍殺ネタ使いたかったんじゃなくて本当にそう聞こえたんです)
響は限界まで引き絞ったワイルドバンチ(仮称)でノイズを撃破だ。
前回使ったスプリングも展開しており、響最強フォームって感じだ。
さりげなくクリスがノイズを掃討することで援護している。
集団は制圧力に優れるクリスが掃討し、大物は破壊力に優れる響が倒す。
コンビネーションがばっちりの二人である。
根は似た者同士だし仲良くなればいいのに。



響の戦いと翼の戦いは同時に終える。
響の表情は満足げだ。
お互いに守りたいものを守るために戦い抜けた。
明確な意志を持って戦いに望み、それを終えたのは初めてのことかもしれない。



「ありがとうみんなッ!」
「今日は思い切り歌を歌って楽しかったッ!!」
「こんな想いは久し振り」
「忘れていた」
「こんなにも歌が好きだったんだ」
「聞いてくれるみんなの前で歌を歌うのが大好きなんだ」


翼は歌への想いを語る。
おお、アイドルをしている。
ライブだと武士口調で話さない人で良かった。
いや、どこか堅いけど。

翼は歌が好きだった。
だから、剣とこの身を鍛えた戦士やら感情がないやらと吹聴していた時期にも歌手としての活動を行っていたのだろう。
奏のことから戦いにさらに身を投じるようになっても、歌は捨てられなかったのは歌が好きだったからか。
いろいろと面白い面のある翼だが根は純粋だ。



「もう知ってるかもしれないけど海の向こうで歌ってみないかってオファーが来ている」
「自分が何のために歌うのか、ずっと迷ってたんだけど」
「今の私はたくさんの人に歌を聞いてもらいたいと思っている」
「言葉は通じなくても歌で伝えられることがあるならば、
 世界中の人たちに私の歌を聴いてもらいたい」

そして、海外進出を決めることを発表する。
戦いだけにこの身があるわけではない。
その先にある夢に向かうためにも戦おうと決めたのだろう。
夢のためにも戦いを終わらせるべく、響はより強い意志で戦うことに違いない。
剣だからとて戦うわけではない! 剣からの進化だ。



「私の歌が誰かの助けになると信じてみんなに向けて歌い続けてきた」
「だけど、これからはみんなの中に自分も加えて歌っていきたい」
「だって、私はこんなにも歌が好きなのだからッ!」
「たったひとつのワガママだから、聞いて欲しい」
「許して欲しい」

誰かのためだけではなく、自分のためにも歌う。
これは自分を責めるためではなく、自分を救うためにも戦うという決意だ。
自分を追い詰めるだけの人生の殻が割れた瞬間だ。



「許すさ」
「当たり前だろ」

歌が好きで、好きな歌のために生きたい。
そう告白した翼をエアー奏は認め、それを象徴するように歓声が翼を包み込む。
エアー奏、すごいな。
一家に一人は欲しくなる演出力だ。



「ありがとう……ッ!」

風鳴翼は落涙する。
どんなときでもあなたはひとりじゃない。
支えるだけではなく、支えられている。
翼が2年間抱えていた闇は完全に払われたのだった。
でも、面白い発言がなくなると寂しいので積極的に変なことを言っちゃってください。



「あいつは敵だぞッ!」
「なのに、どうして助けちまった……」
「チクショウ……フィーネ……チクショウ……」


響も翼も自分の戦いを戦い抜いた。
が、クリスだけはそうもいかずゴミ箱を蹴って壁パンチだ。
可哀想な立ち位置が似合う人だ。
誰かあんパンでも奢ってあげなよ。
今なら間接キスフリーだぞ。



そして、華麗なorzを決める。
こういう姿が嫌になるほど似合うクリスである。
翼が矯正してきたから今度はクリスがボケやネタの面で活躍する時が来るのだろうか。
いや、十分にボケでネタだけど。
次回へ続く。


翼が心に抱えていた悩みは解消された。
こうして一人一人が成長していくのはWAではよく用いられる手法だ。
次回はクリスだろうか。
そろそろあんパンを送ってあげないと悲惨なことになるのですが。

残り4話、ここからどう展開していくのだろうか。
いくらでも急展開できるネタはあるので読めませんが。
来週にはクリスがお好み焼きを食べているかもしれない。
フラワーのおばちゃんもお好み焼きを食べさせてあげればよかったのに。
絶対美味しそうに食べるよ。

トニーが現れたということでここから急展開を迎えるのだろうか。
トニーと言えばWAシリーズにおける大御所だ。
これが出てきたと言うことはただ事ではない。
フィーネが1000000000000℃吐き出してもそれはむしろ自然!
……ちょっと見てみたいかも。
黄金聖闘士からゼッ○ンになれば伝説になれる。ゼ○トンになっちまえ。


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