EPISODE11 月を穿つ



クリスも仲間となり物語も最終章を迎えつつある。
WAシリーズだって各キャラの抱えている迷いを断ち切ったら、ラストダンジョンの出番である。
響も翼もクリスも迷いを断ち切った。
あとはみんなでラストダンジョンに乗り込むだけだ。




今回からOPのカットにクリスが追加されている。
二人だけではなく、三人が揃って十全!
しかし、こうなると翼の、その、盾ですか?



前回の締め通りにリディアンで大暴れするノイズだ。
ラスト直前の再生怪獣軍団はお約束とばかりに今までのノイズが出てきている。
お歯黒べったりノイズもまさかの再登場だ。
もしや、大人気ブドウノイズも……あるいは……

自衛隊が射撃を行っているが効果はない。
ノイズの実体化のタイミングと合えば通常兵器と言えど有効打になる。位相差障壁
弦十郎はそのタイミングを掴み、ノイズを撃破している。
そんなわけで自衛隊の射撃も有効とは言い難いが、射撃を続ける限りはダメージを与えられるチャンスが生まれるのだ。
……まぁ、効果なかったようだけど。



その現場に緒川が着く。
前回見せた不審な動きはリディアン襲撃の報告を受けたからか。
キングジョーノイズもいて豪華な面子だ。
もしや、大人気ブドウノイズも……あるいは……(2回目)



「落ち着いてッ!」
「シェルターに避難してくださいッ!」


響にリディアンを守って欲しいと言われた。
だから、生徒の未来は先導を行っていた。
おかげで避難は順調に行われているようだが未来は凄いな。
1年生とは思えないリーダーシップの持ち主だ。
器がデカいのかもしれない。指揮官型か?

さらには避難し遅れた生徒を探しに単独行動だ。
さすがノイズと鬼ごっこを演じただけのことはある。
胆力が半端ない。
響の一番の友人だけのことはある。



だが、一般人はそうもいかない。
クラスメイト3人は目の前で炭化した隊員を見て、顔芸を披露だ。
仕方ないとはいえ紙メンタルだ。
ちゃんと打たれ弱いって設定もあったし……



「学校が……」
「響の帰ってくるところが……ッ!」


学園の破壊のみならず、校内にまでノイズは侵入している。
非常に危険な状況だ。
(ほのぼのという言葉が似合う絵なのは無視してください)

自分の身さえも危ない状況だが、未来が思いを巡らせるのは響の言葉に対してだった。
人助け好きな響の影響を知らずに受けていたということか。
さすがは一番の友人。
助けられる方も一生懸命!



だが、そんな間にノイズが侵入してくる。
相も変わらずうにゅうにゅしているが油断はならない。
当然、未来に襲いかかって大ピンチだ。



ここで緒川が駆けつけた!
シンフォギアいい人代表だけあって空気を読んでいる。
イロイロと疑惑が漂ったがいい人で確定のようだ。



「三十六計逃げるにしかずと言いますッ!」

ここで細かいWAネタだ。
三十六計逃げるにしかずはWA4のアルノーの台詞である。
シンフォギアで採用されるWAネタは10周年だからか、WA3が多めだ。
反面、WA4が少ない。一時期はアニメ化の企画もあったらしいのに……
どうにも微妙な立ち位置である。



二課とはいえ常人だから緒川にノイズは打倒できない。
常人でもノイズを倒した弦十郎が異常なだけである。
いや、常人というか人外か?
ともあれ、エレベーターに入り何とかノイズより逃れる。
ノイズもエレベーターの加速には敵わないようだ。
この辺の追い詰めるけれど追いつかない空気の読み方、さすがである。



「それよりも司令」
「カ・ディンギルの正体が判明しました」


緒川は弦十郎に現状を報告すると共に、カ・ディンギルについても報告を行う。
見えないところで仕事をしていた。
マネージャーを兼任しているし、かなりの働き者だ。
いざ正体が明らかになるかと思いきや、エレベーターが揺れる。



「こうも早く悟られるとは……何がきっかけだ」

ここで黄金聖闘士……じゃなくて、フィーネの強襲だ。
しかも、リディアンの襲撃はフィーネ自ら乗り込んで行っている。
フィーネにとっても正念場であることが伺える。
スカイタワー襲撃は陽動に過ぎなかった。
もっとも、二部のデータが集まっている以上、陽動に乗らざるを得なかったのだが。



「塔なんて目立つものを誰にも知られることなく建造するには地下へと伸ばすしかありません」
「そんなことが行われているとすれば、
 特異災害対策機動部二課本部、そのエレベーターシャフトこそカ・ディンギル」


緒川はカディンギルの正体を語る。
やたらと色取り取りで色鮮やかなエレベーターであったが、ただの装飾ではなく意味のあるものだった。
金子彰史は遺跡大好きだから、これも遺跡的の何かだろうと無視していた。
メタレベルのトリック……いや、勝手に転んでいただけか。



エレベーターが止まるなり緒川は銃撃をフィーネに撃ち込む。
おっぱい狙い……ではなく生身狙いで心臓狙いだ。
殺す気で撃ったが鋼鉄のおっぱいには阻まれる。
ネフシュタンは生身の部分は防御力が低そうと思いきや、案外そうでもないらしい。
これがネフシュタンの防御力の為せる技か、再生能力か。




緒川のピンチに未来は勇気を出してボンバータックルだ。
そうしたらメチャクチャ睨まれた。
お、大人げねえ……
ともあれ、フィーネの注意を引けたのか、緒川は解放される。



「麗しいな」
「お前たちを利用してきた者を守ろうというのか」

「何故、二課本部がリディアンの地下にあるのか」
「聖遺物に関する歌や音楽のデータをお前たち被験者から集めていたのだ」
「その点、風鳴翼という偶像は生徒を集めるのによく役立ったよ」

サクッとフィーネはリディアンの真実を語る。
聖遺物に歌が関わってくる以上、音楽校であればそのデータを集めやすくなるのは道理だ。
また、適合者のデータも集めていた可能性は高い。
学費が安いのもそこに関わってくるのだろう。
成績が芳しくない響がリディアンに入学できたのも適合係数が高いと見られてか?



「嘘を付いてもッ! 本当のことが言えなくてもッ!」
「誰かの命を守るために自分の命を危険に晒している人がいますッ!」
「わたしは、そんな人を……そんな人たちを信じているッ!!」

そんなフィーネに対して真っ向から反論する。
信じられるのは嘘を付いていないからではなく、本当のことを言っているからではなく、命を賭けて誰かを守ろうとしているから。
響だけでなく、ノイズと戦う二課そのものを信じている。
響の件で未来は成長したのだ。
フィーネの言葉に惑わされることはない。



「まるで興が冷める……ッ!」

反論に対してビンタ2連発だ!
本当に大人げない人だ。
小娘にマジギレである。
何だか了子の時よりも余裕がなくなっているんじゃ……



「デュランダルの元へは行かせませんッ!」
「この命に代えてもですッ!!」


デュランダルのあるABYSSへと向かおうとするフィーネの前に緒川が立ちはだかる。
銃でもダメなら素手!
これにはフィーネもジト目である。
ともあれ、緒川は優しさのみならず勇敢さも兼ね備えている。
シンフォギアの名脇役だ。



「待ちな、了子」

二人の危機にシンフォギア世界最強の男、弦十郎が登場だ!
わざわざ天井を破壊しての登場である。
ヒーローは遅れて現れる。見せ場をわきまえておる喃。
ついうっかりと最強と書いちゃったけど文句ありませんよね。
むしろ、最強であることを疑う方が難しいですよね。

弦十郎はさりげなく「了子」と呼び捨てにしている。
普段は「了子君」だ。
今の了子もといフィーネは呼び捨てにして然るべき相手なのか。



「私をまだその名で呼ぶか」

「女に手をあげるのは気が引けるが、二人に手を出せばお前をブッ倒すッ!」


シンフォギア最強の男とシンフォギアの黒幕が対峙する。
興奮のシチュエーションだ。
そして、お互いにいい歳である。
おっさんとおばさ……いや、慎んでおこう。

フィーネの口ぶりからは了子とフィーネは同一人物で完全確定のようだ。
前回の時点で9割9分9厘は確定していたけど。
そして、このことには弦十郎も気付いていた。
米国の情報を集め、既に了子とフィーネの繋がりと背信には辿り着いていたようだ。
スカイタワーにあえて適合者全員を向かわせることで、フィーネを動かした。
陽動に陽動をぶつけた。



「だがッ! この私を止められるとでもッ!」

「応ともッ! 一汗かいた後で話を訊かせてもらおうかッ!」


弦十郎はノイズを打ち倒す技と天ノ逆鱗と互角以上の力を持つ。
だが、完全聖遺物相手には……って、それくらいできれば完全聖遺物も何とかなるんじゃないか?
うん、足りない要素がどこにもない。
十分にして十全だ。
そして、最強と黒幕が開戦だ!




弦十郎はフィーネの鞭攻撃を回避、天井を蹴って加速、パンチを放つ。
ネフシュタンにヒビが入るほどのパンチだ。
さすが天ノ逆鱗以上のパンチ力を持つ男だ。
完全聖遺物とて例外なく脅威として振るわれた。
本当に完全聖遺物と互角以上に渡り合っている。
やっちゃったァ! この人、やっちゃったァッ!
相手の力がどれだけ大きかろうと、力で何とかなる相手ならば何とかできるということか。



「肉を削いでくれるッ!」

出鱈目な強さを見せる弦十郎に対して、再度鞭攻撃だ。
待て、黄金聖闘士に同じ技は通じないぞ!
いや、黄金聖闘士はフィーネの方だったか。
そんなわけで鞭を捕まれてしまう。武器を取られてしまった。



稲妻を喰らい、雷(いかずち)を握り潰すように打つべしッ!
長物を持った相手を引き寄せて、拳を放つ。
これは響がクリスにワイルドバンチ(仮)を撃ち込んだ時と同じ技だ!
僅か1ヶ月弱とはいえ、師弟の繋がりが伺える。
ネフシュタン対策に開発したコンビネーションなのだろうか。



以前、コスプレしたキャラのような形相をしながら、フィーネを地に着かせる。
生身で完全聖遺物と渡り合うどころか圧倒している。
心技体の全てが揃っているからこそのシンフォギア最強である。



「完全聖遺物を退ける……どういうことだ……ッ!」

そりゃフィーネだってこんなことを言いたくもなる。
視聴者もびっくりならフィーネもびっくりだ。
弦十郎は強い強いとは思っていたし、事実強さを裏付けるエピソードには事欠かせなかった。
だが、戦闘のプロ、現代の防人、剣(笑)の翼でさえも手こずるネフシュタンの鎧をこうもあっさりと……



「しらいでかッ!」
「飯食って映画見て寝るッ!」
「男の鍛錬はそいつで十分よッ!」

飯食って映画見て寝る!
それが弦十郎の強さの秘訣だ!
反論の余地がまったくないほどに弦十郎の強さの裏付けが為された。
飯食って映画見て寝たんだ。
男の鍛錬はそれで十分だし、弦十郎が強くなるのも道理だ。
ちゃんと映画を借りて見ていることは描写されていたし、決して突飛なこじつけではなく、入念な伏線が張られている。
もうそれなら仕方がない。強くて仕方がない。
完全聖遺物を圧倒できても本当に文句がない。

まさにシンフォギアを象徴する弦十郎の強さの秘訣だ。
響がアクション映画を見せられたのも、弦十郎式トレーニングの一つだったのだ。
思えばシンフォギアというアニメそのものが飯食って映画見て寝て作られたようなものだ。
弦十郎の真髄であると同時にシンフォギアの真髄をも表している。
まぁ、シンフォギアは映画というよりも特撮ですが。
(一応、追記しておくと金子彰史は特撮はもちろん、映画も大好き)



「なれどヒトの身である限りはッ!」

弦十郎は完全聖遺物を圧倒できる力を持つことが確定した。
だが、ノイズ相手には力だけでは対抗できず、フィーネはノイズを使役する能力を持つ。
そのノイズを使われると弦十郎としては詰む。



「させるかッ!」

そこで弦十郎の十八番、震脚で床を踏み抜き、さらに破片を蹴り飛ばしてソロモンの杖を弾く!
ソロモンの杖がなければフィーネはノイズを出現させることはできても操ることはできない。(ソロモンの杖
冷静な判断力に加え、技と力を用いることで奥の手さえも打ち破った。
すげえ、すげえ強い。



「ノイズさえ出てこないのならッ!!」

ソロモンの杖に気を向いた隙を狙って弦十郎はフィーネに飛びかかる。
弦十郎のメガトンパンチは完全聖遺物さえも砕く。
それを一度ならず二度まで受けるのならば、間違いなく致命傷になる。
まさかの決着――




「――弦十郎さんッ!」

だが、突如フィーネは了子の表情と声に戻る。
超若作り瞳である。
弦十郎に一瞬の躊躇いが生まれ、そこを文字通りに突かれてしまう。
クリスの件からもわかるように、弦十郎は情に厚い人間だ。
だが、情の厚さが災いして……



風鳴一族の必殺技、大量吐血である。
さすがに最強と言えど人の身。
ノイズには抗えないし、腹部を貫かれれば致命傷になる。
情という弱さを背負ったが故にフィーネに破れてしまった。
だが、それを背負っていたからこそ、弦十郎は強くなれたのではないだろうか。



「抗うも、覆せないのが定めなのだ」
「殺しはしない」
「お前たちにそのような救済など施すものか」


辛くも弦十郎を打倒したフィーネはABYSSへ向かうのに必要な通信機を奪う。
トドメは刺さないようだ。
常人であるからにはこれほどの怪我を背負えばもう戦えない。
あえてトドメを刺さない勇気も悪役には必要なのだ。



「目覚めよ、天を突く魔塔……」
「彼方から此方へ現れ出でよッ!」


ABYSSに着いたフィーネはコンソールを操作する。
黄金聖闘士の格好での操作は何やらシュールだ。
なお、「天を突く魔塔」は同名の曲がWA1に存在する。
そして、その曲はカ・ディンギルが出現した時のBGMである。
これほどの符号が揃えばもはや偶然ではない。
カ・ディンギルが現れる予兆であろう。



その頃、響たちによるスカイタワー防衛作戦が完遂されていた。
けっこう時間軸を遡っている。
シンフォギアは時間軸の前後が激しい。
こうなると響たちへの連絡は相当遅れていることになる。
戦力を分散させないために、フィーネを泳がすために連絡を控えたのかも知れないが、結果として後手から後手に回ることになってしまった。



容態が心配な弦十郎には包帯を巻いて応急処置だ。
包帯だけかよ!?
唾ァつけておけば直るということか?
まぁ、弦十郎なら不思議じゃない。



「響ッ! 学校が……リディアンがノイズに襲われるのッ!」

響に通信が繋がり未来が叫ぶと同時に内部からハッキングされ照明が落ちる。
端末も使い物にならなくなっている。
二部本部を設計したのは了子本人だ。
ならば、それを崩すのもお手の物ということか。




それからどれくらい時間が経ったのか。
重傷の弦十郎が目覚める頃には、紅い月(CrimsonMoon)がリディアンを見下ろしていた。
すっかり夜中だ。
ここでやっと適合者3人が到着する。
スカイタワーからリディアンまで相当遠かったんだろうな……
翼はバイクを乗り捨て、ヘリコプターは破壊されてしまっている。
簡単に使える乗り物がないし、交通機関もマヒしていただろう。
時間がかかるのも道理か。




「その嗤いが答えなのかッ! 櫻井女史ッ!」

「あいつこそあたしが決着を着けなきゃいけないクソったれ――フィーネだッ!」

「嘘……」


待ち受けていた了子もといフィーネに三者三様の反応を示す。
ショックな響、了子を含めて正体を知っていたクリス、いつものペースの翼だ。
笑いに対してこんな反応を示すのが風鳴翼である。



「防衛大臣の殺害手引きとデュランダルの狂言強奪」
「そして、本部にカモフラージュして建造したカ・ディンギル」
「俺たちは全て櫻井了子の手の平の上で踊らされてきた」

「イチイバルの紛失を初め他にも疑わしい暗躍はありそうですね」


二部では本部からの離脱を開始する。
弦十郎は肩を借りているとはいえもう歩けるくらいには回復している。
やはり、恐ろしい肉体の持ち主……
飯食って映画見て寝ただけのことはある。

黒幕が了子だとわかった。
そうなると様々な事件にも了子が絡んでいそうだ。
奏の家族が殺されたのも了子絡みなのだろうか。
奏の家族が発掘していた聖遺物は謎のままだ。
最後の最後でジョーカーになり得るカードか、それとも……



「それでも同じ時間を過ごしてきたんだ」
「その全てが嘘だったとは、俺には」
「甘いのはわかっている……性分だ」


甘さ故に起きてしまった己が不覚を語る。
どこまでが了子でどこまでがフィーネなのか、まだわかっていない。
了子の部分が全て演技だったらむしろ凄いよ。
あの大人げの無いビンタは何だったのかというくらいだ。




「櫻井了子の肉体は先だって食い尽くされた」
「いいや、意識は12年前に死んだと言っていい」
「超先史文明期の巫女、フィーネは遺伝子に己が意識を刻印し
 自身の血を引く者がアウフヴァッヘン波形に接触した際、
 その身にフィーネのしての記憶、能力が再起動する仕組みを施していたのだ」
「12年前、風鳴翼が偶然引き起こした天羽々斬の覚醒は
 同時に実験に立ち会った櫻井了子の裡に眠る意識を目覚めさせた」
「その目覚めし意識こそが私なのだ」


そんなわけでフィーネは自らの正体を一気に告げる。
超先史文明期!
超だよ、超。
一気にオカルトめいてきた。
そういえば、金子彰史はオカルト大好きだった。
WAシリーズにおいてもオカルトネタが盛りだくさんだったし。
レイラインを真顔で設定に組み込むのは金子彰史だけ!

遺伝子に秘められた記憶というのはWAXFの記憶の遺跡と設定が似ている。
いろいろと振るわなかったWAXFのリベンジだろうか。(いや、WAXFは超面白いですよ)
ともあれ、フィーネの血を引く了子は身体の裡にフィーネが眠っており、それが天羽々斬の起動によって目覚めたらしい。

了子は12年前から聖遺物の研究に携わっていた。
その頃には大学を出ていただろう。
すると最低でも34歳以上……
まぁ、できる女だから34歳未満なんてあり得ませんけどね!



「まるで過去から蘇る亡霊ッ!」

それを見てもまったくブレずに風鳴イズムを爆発させる翼である。
いつだってテンション高いなー。
ここ数話おとなしくしていたのが嘘みたいだ。




「歴史に記される偉人、英雄……世界中に散った私たちは
 パラダイムシフトと呼ばれる技術の大きな転換期にいつも立ち会ってきた」

「シンフォギアシステム……ッ!」

「そのような玩具、為政者からコストを捻出するための福受品に過ぎぬ」

フィーネの転生システムは何百何千もの実績があるようだ。
超先史文明期すごいなー。
しかし、偉く遠大で不確定なプロジェクトである。
フィーネの血族は遺伝的に優秀だったりして代々高い能力を発揮、一定の地位を保っていたのだろうか。
でなければ、偉人や英雄にはなれないか。
フィーネ自身にノイズを生み出せる力があるようだし、人という異なる種なのかもしれない。



「お前の戯れに奏は命を散らせたのかッ!」

「あたしを拾ったりアメリカの連中とつるんでいたのもそいつが理由かよッ!」


全ての元凶と出逢い、歯車を狂わされた二人は叫ぶ。
響だけ乗り遅れる。
……やっぱり、翼とクリスの相性はいいんだ。
さすが戦場ハモりを実現しただけのことはある。




「そうッ! 全てはカ・ディンギルのためッ!」
「これこそが地より屹立し天にも届く一撃を放つ荷電粒子砲『カ・ディンギル』ッ!」

「カ・ディンギルッ! こいつでバラバラになった世界がひとつになるとでもッ!」

「ああ、今宵の月を穿つことによってなッ!」


そして、カ・ディンギルがついに姿を現した。
リディアンがブッ壊れちゃったよ。
そのフォルムはWAシリーズから変わっておらず、根元が太くて頂上に向かうにつれて細くなっていく。
ラスダンから序盤のダンジョンまで務めた伝統と実績のカ・ディンギルである。

WA1のカ・ディンギルは月(正確には衛星軌道上にあるコロニー)への渡し船になっていた。
だが、シンフォギアのカ・ディンギルは月を穿つ荷電粒子砲だ!
同じ用語でもシリーズが異なると立ち位置も意味も違ってくるのが金子彰史流だ。
まさに今それが爆発している。



「私はただあのお方に並びたかった」
「そのためにあのお方へと届く塔をシンアルの野に立てようとした」
「だが、あのお方はヒトの身が同じ高みへと至るのを許しはしなかった」
「あのお方の怒りを買い雷霆に塔を砕かれたばかりか、人類は交わす言葉まで砕かれる」
「果てしなき罰、バラルの呪詛をかけられてしまったのだ」


どんどんと設定を語り出すフィーネである。
カ・ディンギルはシュメール語におけるバベルの塔だ。
シンアルの野もバベルの塔関連の用語である。
そんなわけでバベルの塔とほぼ同じエピソードがかつてあったらしい。

あのお方とフィーネは口にしている。
誰だ?
未だに設定が尽きてこないのが恐ろしい。
シンフォギアはネタ切れ知らずか。



「月が何故古来より不和の象徴と伝えられてきたか」
「それはッ! 月こそがバラルの呪詛の源だからだッ!」
「人類の相互理解を妨げるこの呪いをッ! 月を破壊することで解いてくれるッ!」
「そして、再び世界をひとつに束ねる……ッ!」


バラルの呪詛を解くには月の破壊が必要で、そのためのカ・ディンギルであった。
了子やフィーネが人が争う理由を呪いと言ってきたのは、本当に呪われているからだった。
その呪いを解けば人と人が繋がるというのがフィーネの思惑だった。
そのために何度も転生を繰り返しながら悠久の時を過ごしてきたものなのだから、とんでもない気長な計画だ。

天に届く塔を建てたが故に呪われたというのに、その呪いを解くためにまた天に届く塔を建てるというのも皮肉だ。
フィーネ……学習しない子……
繰り返すようだがカ・ディンギルはシュメール語でバベルの塔だ。
アンタ、また同じ轍を踏む気か?



ともあれ、月へ向けてカ・ディンギルの照射準備が始まる。
よくぞまぁこんな大がかりな施設を土壇場までバレずに建造できたものだ。
先史文明の遺産と言って誤魔化してきたのだろうか。
ブラックアーツなら仕方ないのだ。
WAシリーズも、シンフォギアも、金子彰史も。



「呪いを解く……?」
「それはお前が世界を支配するってことなのかッ!?」
「安いッ! 安さが爆発しすぎているッ!!」

まるでスーパーマーケットのちらしのようなことを言うクリスだ。
安さが爆発だ!
生きることの辛さを知るだけに、買い物は安く仕上げようとスーパー通い特売日通いしていたりして。
案外、庶民的な子なのか?

※追記
安さが爆発はさくらやが元ネタだ。
金子彰史はさくらやが大好きで、自身の日記でポイントカードについて幾度もコメントしていた。
こういうところからネタを持ってくるのが心底恐ろしい。




そして、ついに3人同時変身だ!
プリキュアなら序盤に終わらせてしまうイベントを、ラストダンジョンまで取っておいた。
それだけに壮観な光景である。
チーム適合者完全完成だ!



「響ッ!」
「それにあの時のクリスも……」


響たちの戦いが始まると同時に未来はクラスメイトと再会し、その戦いがモニターに映される。
クリス、あっさり顔バレしやがった。
こりゃ町中で戦うのにも注意が必要になる。
箝口令が敷かれるわけだ。




まずはミサイル乱射の必殺技「CUT IN CUT OUT」だ!
だが、フィーネには一掃されてしまい不発……
かと思いきやクリスは目配せをする。
これは次の手に繋ぐための下準備なのか?



煙幕から翼と響が飛び出る。
おお、連携が取れている。連携を取って戦うのなんて初めてだ。
さすが、戦場(いくさば)で絆を紡いだだけのことはある。
アイコンタクトだけで通じ合える。
ユウジョウ! ユウジョウ!



響が顔面狙いの蹴り連打を放ち、さらに翼が接近戦を仕掛ける。
怒濤の連携だ。
だが、フィーネはそれに対応している。適合者3人揃っても押し切れない手強い敵だ。
そんなフィーネを単騎で圧倒した弦十郎の凄まじさがわかる。
シンフォギアシステムの3倍以上戦力か……
飯食って映画見て寝たんだから仕方がない。




翼はアームドギアを絡め取られてしまう。
クリスとの緒戦でも手こずっていたし、ネフシュタンとの相性の悪いのだろうか。
だが、すぐさま逆羅刹だ!
それに対して鞭を回転させてフィーネは対抗する。
翼が全身と両脚を使って繰り出す逆羅刹を片手一つで凌いでいる。
ものすごいパワーだな。
絵として相当間抜けなのは置いておく。



さらに響は殴りかかる。
奇しくも弦十郎が討たれた時に放ったパンチと同一のものだ。
師の仇を討たんばかりの一撃ではあるが、これもまた決定打とはならない。
フィーネはカ・ディンギル発射まで守りに徹すればいい。
防御に徹することでシンフォギア装者の猛攻に耐えているのか。



「本命は、こっちだッ!!」

響と翼の猛攻であったが、それも囮だ。
本命はクリスの大型ロケットだ!
あの煙幕は響と翼を突進させるためとこの形態の時間を稼ぐためだった。
それを一瞬の目配せで意思の疎通を図り実現するとは……
スカイタワーからリディアンに来るまでどんなことを話していたのやら。
3人の絆はもはや本物だ。



「ロックオンアクティブッ!」

出た、ロックオンアクティブ!
WAシリーズの看板フォース、ロックオンの進化系ロックオンアクティブだ。
射撃系のクリスにピッタリのフォースである。
WA:Fにおいて鬼畜性能を誇ったロックオンアクティブだが、フィーネには力を発揮せずかわされてしまう。
ロックオンは必中なのに……



「スナイプッ!」
「デストロイッ!!」

さらにロックオンスナイプとロックオンデストロイだ!
WA3に出たロックオンスナイプ、WA:Fに出たロックオンデストロイを撃った!
豪華なロックオン連射だ。
これで出ていないロックオンなんてロックオン(無印)とロックオンプラスくらいだ。
戦闘でWAネタが使われるとWAファンとしてはシビれるものがある。

しかし、ロックオンスナイプはまだしも、ロックオンデストロイは厄いぞ。
ロックオンデストロイはイベントで選択式で習得するのだが、
攻撃力1.25倍の上に「クリティカル発生時に即死効果」(もちろん、ボスには無効)という見事なまでの産廃フォースだった。
対して同じイベントで選択できるロックオンアクティブは攻撃力1.25倍に「確実にカウンター」と「攻撃後にオートリロード」という二つの効果があり、
これを活用してWA:F最大火力を誇る全段発射系スキル「ガトリングレイド」を延々と行う立ち回りができて問答無用に強力だった。
即死効果以外は強化前のロックオンと変わらないデストロイなど誰も選択せず、
そもそも即死効果がボスに通じるわけもないのでなおさら選択しなかったものだ。

なお、WA:Fの後に出たWA4はデータ引き継ぎでロックオンデストロイを使用できる。
WA4のロックオンデストロイは攻撃力1.5倍にボス以外は確実即死になったため、その価値が大きく上昇した。
しかし、そのためにはWA:Fでデストロイを選択しなければならず、同様に使えるWA:F最強のアクティブはWA4でも強いし、
というか一時期だけパーティインッ!するキャラのことなのでデストロイもアクティブも差があまりないと結局悲しいままだった。
そんなロックオンデストロイが復活だ! お祭りだ!

さて、WAシリーズの話は置いておいて、アクティブの一発に終わらずスナイプとデストロイの2発目3発目と撃ち込まれた。
アクティブはフィーネに撃ち込んで陽動、スナイプとデストロイでカ・ディンギルを狙い撃つ。
豪華なロックオン3連発である。
……失敗しねえだろうな、ロックオンデストロイ。
長々と述べてきた通り、不吉なんですよ、これ。



「させるかァッ!!」

ウワァアアア!? ロックオンデストロイがぁ!
アンタがデストロイしてどうするよ! 散々デストロイの哀しみを語ったのに!
もしかしてボス以外には無効のWA:F版だったのか?
せめてWA4版にしておけよ。攻撃力1.5倍ですよ。
いや、打ち落とされたのはスナイプかもしれないけど。

ついでにロックオンスナイプはシステムがやや異なるとはいえ、攻撃力2倍になる。
救われねえな、ロックオンデストロイ!



「もう一発はッ!?」

「クリスちゃんッ!?」

「何のつもりだッ!?」

アクティブの1発はかわされ、デストロイかスナイプのどちらかは撃墜された。
もう1発には……クリス自身が乗っていた!
デストロイか、スナイプか、どちらかはわからないがクリスは天へ向かって飛んでいく。
これには響も翼も予想外であり驚く。




成層圏まで飛び絶唱だ!
完全なる適合者がアームドギアを使い撃つ本物の絶唱はこれが初めてだ。
ビットでエネルギーを集め、二本の砲身を合体、照射する。
絶唱というかガンダムXのサテライトキャノンだ。
砲身を合わせて撃つのはガンダムWのツインバスターライフルでもある。
ヘビーアームズやデンドロビウムといい、ガンダム要素たっぷりだ。
これがMS少女って奴ですか?

フィーネの射程内では狙われる可能性がある。
だから、射程外の成層圏まで飛び上がり絶唱を使った。
ロックオンシリーズで打撃を与えられれば良かったが、それは叶わなかった。
そうなると絶唱しかカ・ディンギルを止める手は……



「一点収束ッ!?」
「押し留めているだとッ!」


命を賭けた絶唱だけあり、カ・ディンギルの砲撃を相手に持ちこたえる。
さすがエネルギーの収束が得意なシンフォギアだ。
その特性が絶唱にも現れている。




「ずっとあたしは、パパとママのことが大好きだった」
「だから、二人の夢を引き継ぐんだ」
「あたしの歌は――そのために――……」

だが、ヒトの身で荷電粒子砲に拮抗することはできても、押し切ることはできない。
やがて押し負けてクリスは光に呑まれる。
その中で両親を思い出す。
大好きな両親と歌のためにも、嫌いだと言った自分の歌と向き合うことを決意した。
そのために、平和のために絶唱を歌った。

しかし、綺麗な絶唱だ。
吐血だらだら血涙丸出しの翼と大違いである。
奏も綺麗な絶唱だったし何が違うんだろう。
剣か?



「仕損ねたッ!?」
「僅かに逸らされたのかッ!?」

押し負けたもののクリスの絶唱は無駄ではなかった。
カ・ディンギルの砲撃を逸らし、月を穿たせなかった。
というか、そう壊れるのかー。ビー玉みたいだ。
損ねたとはいえ、面積で考えるとかなりのダメージを与えている。
直撃すれば月は崩壊していたか。
それと僅かな時間とはいえ拮抗した絶唱の破壊力が伺える。



そして、クリスは流星となって墜ちていく。
自らがMeteorLightになってしまった。
せっかく夢も仲間も友達も見つけたのに、クリスは……



「いやぁぁあああぁぁあああぁああッ!?」

仲間の命が失われた。
響は絶叫する。
覚悟を持って戦えど、仲間が失われることは覚悟していなかったのか。
わかり合えたのに失ってしまった。
急展開に次ぐ急展開だ。
次回へ続く。


あーん!クリスちゃんが死んだ! 
クリスちゃんよいしょ本&クリスちゃんF.Cつくろー!って思ってたのに…
くすん…美人薄命だ…

・゚・(ノД`)・゚・うっうっう…ひどいよお…ふえーん!!
この間「今、時代は雪音クリスだ!」の葉書きを出してまだ2週間じゃないですか!
どーして、どーして!?あれで終わり!?嘘でしょ!?
信じられないよおっあんな終わりの名を持つ者ごときに殺られるなんてっ!!
剣と差がありすぎるわっ!!生き還りますよね?ね?ね?
……泣いてやるぅ・゚・(ノД`)・゚・

私はあのおそろしく優しい彼女が(たとえ安さが爆発でもさ!ヘン!)大好きだったんですよっ!!
クリスちゃあんっ!死んじゃ嫌だああああああっ!!
金子のカバッ!!え〜ん・゚・(ノД`)・゚・

いや、クリスが死んだわけではないけれど、放映中に再び戦闘に参加できるのか怪しいダメージだ。
一命を取り留めてももう見せ場は期待できないかもしれない。
最後の最後で華を咲かせたことになってしまうのか?
ロックオンデストロイはどうかと思うけど。

次回もどうなることやら。
飯食って映画見て寝て待つよりない。
想像を絶する展開が待ち受けているかもしれない。
翼が翼語を爆発させるかもしれない。
現がSAKIMORI。


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