バトルスタイル考察-雪音クリス編-



クリスは作中では翼と並んで2人しかいない狭義での適合者である。
装者としての才能という点においては極めて優れていると言えよう。
また、そのバトルセンスについて言及されている唯一のキャラであり、戦士としての才能もまた優れている。
雪音クリスは才能溢れる人物であり、個人としてのスペックは高い。胸もデカい。
しかし、その戦果は決して明るくない。
物語的でもバトル描写でも輝かしい資質と暗い現実を背負っているのが雪音クリスというキャラなのだ。


・クリスの敗北の歴史
前述した通り、クリスは才能に溢れる。
その才能の裏付けは後述するとして、クリスの戦果は芳しくない。



まずは第1期第4話のネフシュタンの鎧を着込んでの翼戦である。
クリスはパワーで勝る完全聖遺物で翼を圧倒する。
さらにソロモンの杖という小道具もあって力だけではなく量でも優位に立つ。

……のだが、圧倒はすれど決めきれず、挙げ句の果てに捨て身の絶唱で撤退を余儀なくされてしまう。
これに関してはネフシュタンのスペックに甘えた結果と言えようか。
事実、この戦いでクリスが用いた攻撃は単純なものであり力任せである。
翼も翼で真っ向勝負を仕掛けており結果として勝負になったのだが、クリスの慢心がどうにも垣間見える一戦であった。



響戦では相手が素人とわかっているからか、その油断によって大ダメージを負っている。
(響の言葉で逆上した結果、攻撃が単調になったのも影響しているかもしれないが)
その後、響の出力が落ちたことで優位に立つものの、それがなければクリスはさらなる窮地に陥っていたことは想像に難くない。



とはいえ、ネフシュタンは肉弾戦主体でクリスの得意分野とは若干異なる。
イチイバルになることで大得意の射撃戦に専念できるようになる。
……なるのだが、初陣でいきなり翼に不覚を取っている。
響の一撃のダメージが残っているだろうし、相手は格上の翼ということもあるがさすがにちょっと不甲斐ない。

クリスは射撃型らしいと言うべきか、接近戦を苦手としている。
実戦経験の少ない響の攻撃を簡単に食らったのも、そもそも殴り合いを不得手とするからか。
ネフシュタンの時の立ち回りは響とは別の意味で素人、喧嘩慣れしている不良のようなものだった。
この距離では戦うことを専門とする翼に及ばないのも道理か。



シンフォギアGになると連携を意識した動きができるようになる。
なるのだが、弱点である接近戦を克服できていない。
接近する切歌には(BILLION MAIDEN使用中というのもあったが)距離を離すことでしか対処できず、
Anti_LiNKERの効果が残っていたとはいえあっさりとやられてしまう有様である。



未来戦では弾幕によって未来を圧倒する。
するのだが、守勢に回ると途端にピンチだ。
聖遺物の力を無効化する神獣鏡が相手、背後に生身の調がいたことからあえて受ける必要があったと状況的には仕方がない。
ないのだが、守ると途端に崩れている。これは今までも同様だ。
実質勝負なしとはいえいい結果とは言い難いだろう。

以上、クリスの戦果は芳しいものではない。
敵でも味方でもやられ役が染みついている。
もちろん、活躍も多い。多いのだがその多くはノイズ掃討だ。
対装者の戦績は悲惨の一言である。


・敗北の理由
クリスは負け続きである。
では、その理由は何なのか。
それを考える前にクリスの才能について改めて触れたい。



先述したがクリスは才能という点においては特筆すべきものがある。
それは用語解説で述べられた絶唱を本来の性質とは違う形で使用しカ・ディンギルの照射に対抗し、
咄嗟の判断でリフレクターを応用し軌道を逸らしながらもダメージを軽減したというファインプレイの連続から明らかである。

また、XDモードの時に乱れ打ちを「全部狙い撃っている」と発言している。
事実、視界にある標的しか撃っていない。
XDモードの恩恵は多分にあるかもしれないが、こちらもその高い才能を裏付けている。

クリスは才能という点においては他の装者に引けを取らない。
だが、立ち回りが洗練されておらず、それによって不覚を取ることが多い。
ネフシュタンの時は力任せで、イチイバルの時は接近戦に持ち込まれるとどうしようもなくなってしまっている。

何故、クリスは恵まれた才能を活かせないのか。
おそらくは、ある意味では必然的に戦いを学ぶ機会がなかったのではないだろうか。
何せクリスの保護者はフィーネだ。
あくまでも博士(のようなもの)である。
フィーネ自身、完全聖遺物の力で圧倒的なパワーこそあるものの、戦いが上手いとは言い難い一面がある。
(翼にも了子としてではあるが訓練を受けていないと言われている)
弦十郎に不覚を取っていることからもそれがわかる。
また、クリスに絶唱を許し翼にカ・ディンギルを破壊されたように、駆け引きにはそれほど長けていない。

クリスのフィーネへの依存を見るに、フィーネに保護されてからはそれ以外の人間との付き合いは少なかったと推測できる。
人との不器用な付き合い方は世慣れていないからこそだろう。
そのため、フィーネ以外に戦いに関して学ぶことのできる相手はいなかっただろうし、
そのフィーネもその点に関しては達者とは言い難いため、クリスは誰にも師事することがなかったに違いない。
クリスの戦い方は我流とみていいだろう。

だとすると、クリスの才能はやはり特筆すべきものがある。
我流なれど多彩な必殺技を持っている。
完全聖遺物の恩恵はあれど、本来不得手とする肉弾戦で翼と渡り合っている。
学ぶまではロクに戦えなかった響とは大きな違いだ。
奏を失うまではいまいちだった翼と比べても立派と言えよう。



だが、それでも根元は素人。
対装者戦での戦果の乏しさはもちろん、生身でも構えも素人っぽいし非人間もとい達人が相手とはいえ間合いに入ることをあっさりと許している。
才能に溢れているとはいえいわば喧嘩自慢の不良であり、戦いを専門としている格闘家などに敵う道理はないのだ。
それでも攻めているうちはある程度は誤魔化せているが、守りに入った瞬間に弱味を見せている。
いとも簡単に攻撃を受けているのも守りの弱さが出ているのだろう。

そして、こういった部分は訓練を受けているシンフォギアGでもさほど変わらなかった。
弦十郎秘伝の映画トレーニングを「オモシロ映画」や「バカのフルコースみたいな特訓」と言っていることから、
さほど真面目にやっているわけではなさそうだ。
(コンビネーションの特訓はちゃんとしていたことから、オモシロ映画コースだけに限ってはちゃんとやっていなかったのかもしれないが)


・戦いにおけるクリスの成長
クリスの成長は戦いという点においてはあまり描写されていない。
描かれているのはあくまでも内面的な成長である。
鍛錬を受けることで戦い方ががらりと変わった響、精神的な成長によって洗練された戦い方に目覚めた翼とは大きな違いだ。



そんなクリスだがシンフォギアG第12話では格上であるはずの翼と対等に渡り合っている。
それも不得手とする接近戦を完全にカバーしている。
一体何があったのか、に関しては戦姫絶唱しないシンフォギア後編で触れられ ている。
要するには映画トレーニングを受けたのだ。
たったそれだけのことだが大きな躍進を遂げている。

クリスは才能に優れている。
ならば、然るべきトレーニングを受ければその伸びは大きいのだろう。
映画トレーニングが然るべきかどうかは置いておくが、何にせよ優れた吸収力を見せている。



また、連携に関してはシンフォギアGの初期の時点から成長を見せている。
第1期第10話では共闘しながらも好き勝手に動き、その結果、翼にたしなめられた。
だが、シンフォギアGでは第1話の時点で響と援護し合い、第3話でも閉所で持ち味を活かしにくいながらもしっかり連携を取っている。
ムラがあるのは事実だが決して鍛錬をサボっているわけではないのだ。

クリスは才能に恵まれている。疑いようもない事実である。
一方でそれだけでは戦いを制することができない。
響もそうであるが資質だけでは輝けないのだ。
才能が全面肯定されない点に金子彰史の価値観が垣間見える。

クリスは仲間との交流が成長に大きく関わっている。
戦いにおける成長もそれが絡んでいる。
己の才能だけに全てを任せることなく、他者と交流することでより強くなれる。
クリスの繊細な心情は戦いにも反映されているのだ。



あ、最終決戦でやったか!→やってないをやってのけたのも、
クリスの繊細な心情もといどこか貧乏くじを引くキャラクター性が反映されているということで……


・ クリスの技の紹介


BILLION MAIDEN
両腕のガトリングを乱射するガンダムヘビーアームズ。
使用頻度の高いクリスの十八番である。
牽制から掃討にとその用途は多岐に渡る。
ただし、威力はさほど高くないのか、特に装者戦においては決定打になりにくい。




MEGA DETH PARTY
ミサイルを乱射するガンダムヘビーアームズ。
BILLION MAIDENと並んで十八番である。
いまいち活躍しておらずただの賑やかしかと思ったら、未来戦でダメージを与えていたことから威力は高いようだ。
負担は大きいらしくAnti_LiNKERの影響下ではそのバックファイアで瀕死になっている。
XDモードではミサイルがビームに変化する。




MEGA DETH QUARTET
見ての通り、全弾発射。
絶大な威力を誇る反面、チャージに時間がかかるのが難点。
単騎で戦わざるを得なかったフィーネの保護下にいた時はどの場面で使う気だったのか。
大技ではあるがクリスの個々の技の集大成とも言えるため、即興で開発した技なのかもしれないが。




CUT IN CUT OUT
基本的にMEGA DETH PARTYと同様だが、ミサイルの連射量が少なく煙幕目的に使ったことから縮小版か。
絵としての大きな違いはガトリングを構えていない点で、それによって大分違う技に見える。
なお、BD版ではMEGA DETH PARTYに修正されている。
用途は違うかもしれないが技そのものは同じということか。
あと並べて気付きましたが髪も修正されていますね。



GIGA ZEPPELIN
射出したボウガンが分裂、降り注ぐことで広域攻撃する。
時間差攻撃のため、連携に用いやすいのか、翼戦で見せたコンビネーションにも同様の技が組み込まれている。
経緯は大分違うが攻撃方法としてはSTARDUST∞FOTONや千ノ落涙に似ている。
千ノ落涙を参考に完成させた技だと思うとなかなか面白い。




RED HOT BLAZE
狙い撃つスナイパーライフルモード。
だが、残念ながら不発に終わる。
装者では貴重な超遠距離攻撃のため、かなり強力そうなのだが。




MEGA DETH FUGA
MEGA DETH QUARTETの縮小版。
MEGA DETH QUARTETと同様にスカイタワーにおける攻防戦で用いられた。
過剰な威力を下げることでチャージ時間を短縮、単騎での使用を可能としている。




QUEEN's INFERNO
ボウガンを乱射する攻撃方法そのものはBILLION MAIDENと似ている技。
このボウガンがイチイバルのアームドギアの基本形態のようなので(イチイバル自体、弓だし)、
比較すると攻撃までのタイムラグが少ないのがメリットか。
一方、連射や威力ではBILLION MAIDENに劣っているのか、使用回数は少ない。




アーマーパージ
纏った聖遺物を四散させるハイリスクな技。
事実、追い詰められた時にのみ使用している。
代償として全裸になる。
その時に胸は隠すが股間は隠さない。


おまけ クリスちゃん可愛い集





いじめられている時が可愛いという認識でよろしいですね。


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