バトルスタイル考察-月読調編-



F.I.S.でもっとも「普通の美少女」である調は作中屈指のオールラウンダーである。
豊富な種類の技を見せておりその動きの幅は広い。
また、特筆すべきは響との戦闘を担当したことだろうか。
その活躍は目立たないなれど、二課でもっとも危険な装者を押さえるという戦略において極めて重要な立ち位置を得ている。
調は隠れた実力者とも言える存在である。


・調の能力
本人の言葉通り、シュルシャガナは汎用性に富んだ聖遺物である。
作中においてその器用さは随所において発揮されている。



まず緒戦となる第2話ではα式・百輪廻で手数で攻めてくるかと思いきや、γ式・卍火車で一撃を重視 した攻撃を放っている。
オールラウンダーらしい多彩な攻撃である。
切歌との連携や響を動揺させたこともあって、どちらも一定の脅威となっている。



第4話ではローラーによる高い機動力と非常Σ式・禁月輪による破壊力を見せる。
2度目となるα式・百輪廻は響に通じなかったものの、終始翻弄している。
また、この状況における調もといF.I.S.の目的はウェル博士とソロモンの杖の奪還である。
響を引き付けることでクリスを分断すると自分の仕事をきっちりと果たしている。



第7話においては2人がかりとはいえ、響のパワーを受け止めるという快挙を成し遂げる。
シュルシャガナは盾としても活躍できる汎用性の高さを見せるのであった。
調のオールラウンダーなのは攻めだけでなく守りにも力を発揮するからである。



ザババ組最大の見せ場である第11話第12話で は手数あり一撃ありと互いに豊富な技をぶつけ合っている。
互いに同門故に技を合わせやすかったのだろうか。
また、地味に非常Σ式・禁月輪を移動手段に使ったりと、戦闘以外でもオールラウンダーな一面を見せるのだった。

総じて調の仕事は多岐に渡り、目覚ましい活躍こそないものの自分の仕事はきっちりとこなしている。
その仕事が響と相対するという大仕事なのだから、F.I.S.の影の殊勲者と言っても差し支えない。
また、その技あり力ありかつ攻守に渡ってのオールラウンダーなのは翼と共通している。
その器用さが調の強みと言えよう。


・響との戦いを担当した理由
F.I.S.はマリアが翼と、調が響と、切歌がクリスと相対している。
響は潜在能力においては二課最強であり、一切の油断ならない相手である。
そんな響と調は戦った。
それにはどういった理由があるのだろうか。

まず、調の個人的な感情が多分に影響しているかもしれない。
事実、それによって響を動揺させ、戦いにおいて優位を得ていた。
だが、その点に関してはあえて無視しておく。
あらゆる面で切迫しているF.I.S.にそうした理由で戦術を決めるほどの余裕もないだろう。



響と言えば圧倒的なパワーである。
同じガングニールのマリアも響の一撃を受け止めずにかわしている。
かなり警戒していることが伺える。
響と戦うとなるとそのパワーをどう押さえるかが最大の焦点となる。

おそらく同じパワー型であるマリアは分が悪い。
マリア自体は器用さを備えているが、それが響との戦いでいい方向に作用するかとなるとやや疑問である。
元よりテクニック型な翼とは噛み合い互角の勝負となったが、響が相手の場合、あまり噛み合いそうにない。

というのも、マリアの十八番であるマントによる攻撃や防御が響には通じそうにない。
特に防御は簡単に破られてしまいそうだ。響の一撃をかわしたことからもそれが伺える。
マリアの攻守の鍵であるマントを封じられれば一気に不利になることは間違いない。
マリアの長所である器用さを活かせない相手である。
得意な距離が被っているのも困りどころだろう。

切歌はどうなのかとなるとこちらも厳しいだろう。
切歌が隙だらけ……なのは置いておくにしても、基本的に接近戦型だ。
こちらも得意な距離が被っている。
飛び道具ありと攻撃の幅は広いのだが調ほどの機動力がないため、響に追われた時に逃げるのが難しそうだ。
こちらも持ち味を活かしにくい。

では、消去法で調となったのだろうか。
それもあるかもしれないが、調には響と渡り合える要素はいくつかある。
特に大きいのはその機動力だろう。
調が動き回れば響が捕まえることはなかなか難しそうだ。
攻撃に関しても飛び道具がありリーチも長いため、機動力で翻弄しつつ削るように戦えば響の不得手とする距離で戦える。
事実、第4話では攻めに転じることができなかった。
響には爆発的なスピードもあるため、本気で戦っていたらどうなっていたのかはわからない。
とはいえ、概ね相性がいいと言える。

逆に調は翼やクリスとは相性がやや悪いだろう。
翼は同じくオールラウンダーだ。得意分野も似ている。貧乳仲間だ。
それだけに真っ向勝負を挑むことになってしまうだろうし、そうなるといくら何でも分が悪い。
相手は最強クラスの装者だ。正面から挑むには厳しい相手である。
クリスも射撃による面制圧で機動力を殺してくるかもしれない。
遠距離戦での手数では負けているだろうし、こちらも強みを活かしにくく、戦況も読みにくくなってしまう。

F.I.,S.の他の装者は響との戦いが厳しそうだ。
調が二課の他の装者とも戦うのも厳しい。
そして、調と響の相性は良かった。
そのため、調は響と戦うことになったのだろう。
マリアと翼、調と響、切歌とクリスという組み合わせは戦術的に必然性が存在するのだ。



なお、この組み合わせ以外で戦えばどうなるのか。
それが切歌の瞬殺に表れているだろう。
二課とF.I.S.の戦力バランスは極めて危ういレベルで成り立っている。
それもF.I.S.の不利で。


・調という人物とその戦い
調はしないフォギアにおいて極めて常識人であったと表現された。
おさんどんとして少ない家計をやりくりして栄養になるものを作るなどとF.I.S.を影から支えていた。
こうした地味ながらも皆を支えている調の性格は戦闘においても表れている。

もっとも危険な響を押さえ込み、分断させて切歌を動きやすくし、時には盾となる。
目覚ましい活躍こそないものの、調の行動はF.I.S.を影ながら支えている。
やや直情的なれど大きな失態を犯していない点も優秀か。
二課は感情の揺れが失態に繋がることが多かったため、ある意味では二課以上にプロである。
F.I.S.という過酷な環境で育ったことでそうした地盤を得たのだろうな。

なお、本当は年長者のマリアが影から支えるべきかもしれないが、途中で凹んでそれができなくなってしまった。
みんなのお母さんを自称できたのもライブまでであったとさ……
地味な苦労人な辺り、響と息が合いそうだ。
調が響を認めたのも苦労人同士でわかり合えるものがあったのかもしれない。


・調の必殺技の紹介


α式・百輪廻
シンフォギア伝統の連射系必殺技である。
その連射力は翼を守りに徹させるほどである。
使いやすさから度々使用している。
波動拳のようなものか。空中でも使える辺り、なおさら波動拳である。



γ式・卍火車
巨大化させたノコギリを飛ばす。
パワー型α式・百輪廻か。
翼はおろかクリスにさえ防がれたことから、ガードされた時の効果はあまりないのかもしれない。
ノコギリを飛ばさすに斬りかかることもできる。



非常Σ式・禁月輪
ゲドラフ。ええい、シュルシャガナはザンスカール帝国の聖遺物か。
見た目通りのパワーがあることは想像に難くない大技である。
なお、移動手段としても使えることから、見た目の派手さとは裏腹に燃費はいいのかもしれない。



裏γ式・滅多卍切
4つの巨大ノコギリによる近接戦を行う。
その名の通り、γ式・卍火車のノコギリを飛ばす前の斬撃を強化したものと伺える。
リーチが長くかつ4方向からの攻撃と対応しにくい。



緊急φ式・双月カルマ
プロペラとなりついに空を飛ぶシュルシャガナ。
何だかんだで一番何でもありな聖遺物かもしれない。
飛ぶ以外のことを考えていなかったのか、攻撃方法はプロペラを押しつけるとかなり雑。
バランスを崩して墜ちたらどうする気だったのか。いや、地上戦に移行したのは墜ちてからかもしれないけど。


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