戦姫絶唱シンフォギアGX EPISODE08 向き合う勇気



ついに響の父親、立花洸が現れた。
第1期の頃から響の家族の存在は匂わせてきた。
その中で響の父親はここに至るまで隠されてきたトップシークレットである。
金子彰史作品らしからぬ父親が何を起こすのか……


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さて、特訓は終わり日常へ、リディアンへ戻る。
どうやら夏休み前のようだ。
つまり、マリアさんはまだ21歳。
幸か不幸か、GX中に誕生日は迎えないようだ。
なお、このリディアンの全景はデザインアーカイブに記載されていた俯瞰図そのものだ。
アニメ用に清書したものである。

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未来は響をやや暗い表情で見つめる。
今の響の関係者の中で家庭事情にもっとも詳しいのは間違いなく未来だろう。
だからこそ、洸との再会は災厄に等しい一大事だと知っている。
未来の表情が重くなろうというものだ。

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「わたし――余計なことしたかもしれない」

「……そんなことないよぉ」
「未来のおかげでわたしも逃げずに向き合おうって決心が付いた」


どうやらあの後、未来は響と洸の仲を取り持とうとしたようだ。
結果、面会してみることになったのか。
未来の言葉で響は戦いから逃げない決意をしたが、それは洸の件も同様だった。
しかし、響の声色はどこか暗い。
乗り気でないことが伺える。

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「本当?」

「ホントだって」
「ありがとう、未来」


響は笑って歩き出すのだが未来は笑えなかった。
響の家庭事情を知っているということは、響の洸への感情を知っているということでもある。
響の立場からすれば憎んでもおかしくはない。
なのに、努めて響は明るく振る舞おうとしている。
自分の弱い部分は見せようとしないのが立花響という人間である。 弱い部分は見せてもへいきへっちゃらで誤魔化す。
そこが見せ放題のマリアとは決定的に異なる点か。

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さて、いよいよ始まった洸との面会である。
うわぁ、この座り方、最悪だ……
さすが子供たちを堂々と見捨てる男。
実の娘を前にしてもこの態度である。
自分だけサンドイッチを注文して堂々と食べていることからも洸の印象の悪さが伝わってくる。
面接即瞬殺されそうな態度の悪さだ。

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「前に月が落ちる落ちないと騒いだ事件があっただろ」
「あの時のニュース映像に映ってた女の子がお前によく似ててなぁ」
「以来、お前のことが気になって、もう1度やり直せないかと考えてたんだ」


食べながら話すなぁー!
とってつけたような理由でとってつけたようなことを話し出す洸だった。
モロに響そのものなのだが、どうやら本人だとは気付いていないようだ。
メッチャ立花響だと告白していたのですが……
音声までは入っていなかったのか、それとも実の娘だと気付かないほどに耄碌しているのか。
後者の気がしてならない……

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「勝手なのはわかってる」
「でも、あの環境でやっていくなんて、俺には耐えられなかったんだ」
「な? またみんなで一緒に」
「母さんに俺のこと、伝えてもらえないか?」


ここでさらに俺は悪くないアピールだ。
火に油というか大火事にガソリンをぶちまける行為である。
立花洸は想像を絶するクズであった。 さすが家族を見捨てた男。
そりゃジャリンコ野球部だって見捨てますよ。
一緒に暮らしてどうするかとか、伝えてどうするかとか、そんな展望が一切見受けられないノープランっぷりもクズ度を助長させている。
前回、未来に声をかけたのも何の理由もなく何となくのようだ。

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「……無理だよ」
「一番一緒にいて欲しい時にいなくなったのは、お父さんじゃない」


こんなことを言われれば響だって怒る。
拳は強く握られ怒りに震えているが、かろうじて抑え視線を合わせずに気持ちを伝える。
罪の意識がこれっぽっちもなく響の神経を逆なでするようなばかり言われているのに、首を縦に振れという方が無理がある。
外道をたくさん描いてきた金子彰史だが、ここまで俗物的なクズを描いたのは初めてだ。 そして、こういう時にもやたらと楽しそうだから始末に負えない。
すらすらと流れるように出てくる洸のクズ描写に胸を熱くせざるを得ない。

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「やっぱ無理かぁ」
「何とかなると思ったんだけどな~」
「いい加減、時間も経ってるし」


断られても軽口混じりで済ました。
立花家が死ぬほど苦しんだ事件も時間が経ってるで済ませようとした。
自身のトラウマをそんなもので済ませようとした洸をいつ響が殴ってもおかしくはない。
響の表情は見えないが、さらに強く握られた拳と震える肩が怒りがどれほどのものかを物語っている。

時間も経っているとはいうが今から3年前の出来事だ。
昔のこととするにはまだまだ時間が足りない。
逃げ出した洸からすればたった3年でも、苦しめられた響からすれば未だ心に疵痕を残す3年である。
響の事情をまったく察せず自分勝手なことばかり洸は言っている。
地雷を踏んでいくどころか、地雷原で踊っている始末だ。 これは擁護不可! 用語集で触れられる自由しか与えられいない!

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「覚えてるか、響」
「どうしようもないことをどうにかやり過ごす魔法の言葉」
「小さい頃、お父さんが教えただろ?」


おそらくはこの魔法の言葉こそが響の口癖となった「へいきへっちゃら」なのだろう。
響が度々口にしていることから、想い出に残っている言葉なのがわかる。
それが逃げ口上として使われようとしている。 さすがに耐えられなくなり響はついに席を立つのだった。

とはいえ、響自身、「へいきへっちゃら」を自分の弱さを覆い隠すための逃げ口上として使うことは多い。
「へいきへっちゃら」と言う時の響は大抵へっちゃらじゃない。
洸は見るも明らかなクズであることは疑いようもない。
だが、響にも似ている部分もあるのだった。

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「待ってくれ、響ッ!」

そんな響を見てやっと洸は真面目な声色で止めようとする。
これには響も振り返る。
その表情は何かを期待するようだ。
洸は最低な父親の面ばかりを見せているが、そんな洸を響は好いていた時期は間違いなくある。
「へいきへっちゃら」と言いながら平気でもへっちゃらでもないのが響だし、内心では洸に甘えたい心もあるに違いない。

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「持ち合わせが心許なくてなぁ」

クズ! クズ!! クズゥウウゥウウウウ!!!
シンフォギア世界どころか金子作品史上最大級のクズが立花洸だった。
娘の心情をこれっぽっちも理解していない軽い言葉を連ねるばかりか、挙げ句の果てに飯代をたかると来た。
何かもう完璧すぎてぐうの音も出ない。

となると、洸が娘との会話そっちのけでサンドイッチをパクついていた理由も伺える。
ここまでひどい人格の洸なら仕事もすぐに投げ出すだろう。
前回、明らかに昼間で勤務中なのに神社の前にいたのは、いいチャンスだからとサボっていたのかもしれない。
なので、本当に持ち合わせに困っており、ならば外食もままならない。
そんな時に貴重な外食タイムとなれば例え娘の前でもがっつくし、あわよくばたかろうとした。
ヘタすれば借金をしているかもしれないし、立花家とよりを戻そうとするのは打算あってのものでもおかしくない。

だが、それも真剣に解決しようというものでもなく、何とかなればいいや程度のもので真面目に会話しようとしない。
ダメならダメでやっぱりで諦める。
1度、全てを投げ出して逃げ出したからか、洸には逃げ癖が付いていそうだ。 涙を流して思い悩んで逃げ出そうとはしない響とはまったく違う。
そんな洸の姿を見たからこそ、響は逆に何もかもを背負おうとするようになったのかもしれない。

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これにはついに激おこスティックファイナリアリティぷんぷんドリームだ。
怒るなという方が無理がある。
伝票を奪うように受け取り走り去る響だった。
自分を傷付けたキャロルにも対話を望んだ響が洸を前には一切の対話を拒絶したのだった。
第1期や第2期とは違ってGXの響は胸の響きを伝えられていないのだった。

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そんな娘を前に洸は苦笑い。
そして、まぁいいかとサンドイッチをパクつく。
いやぁ、コイツ、最悪のクズだ!
カイジで例えれば安藤!
それだけにどう決着を着けることやら。
ある意味、錬金術師以上の強敵の登場である。 響の歪みの根源はどこまでも醜悪かつ重いものであった。

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「一本一本が地球に巡らされた血管のようなモノ」
「かつてナスターシャ教授は、このラインに沿わせてフォニックゲインをフロンティアへ収束させました」


「これがレイラインマップ」

さて、ファラが地味に奪ったデータはやはりフォトスフィアであった。
これは地球に存在するレイラインを示していた。
攻撃衛星ではなかったのだった。
フォトスフィアというものだからラスダンかと思わせて、あえて外してきたのだった。

ナスターシャ教授はフロンティアにあったフォトスフィアのデータを運用、フォニックゲインをフロンティアへと集めたようだ。
あの土壇場でおそらくは未知の概念であるレイラインを利用したとなると、かなりの機転を利かせたこととなる。
その一方でそれが錬金術師サイドの計画を進める要員になりつつあるのは秘密だ。
錬金術師サイドが動き出したのはこのことがあったからだろうか。

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「世界解剖に必要なメスはここ――チフォージュ・シャトーに揃いつつありますわ」

「そうでなくてはこのままでは暴れたりないと妹も言っている」

ここで風雲キャロル城がチフォージュ・シャトーであると確定する。
フォトスフィアことレイラインマップも世界解剖に必要らしい。
WAシリーズではレイラインとは星の命、星命が流れる血管と表現されることがあった。
ならば世界を壊すためにはそれを把握していることは必須だろう。
錬金術師サイドの計画は毒のようにひっそりと、確実に進んでいくのであった。

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「今朝の計測数値ならイグナイトモジュールを使えるかもしれないデースッ!」

「あとはダインスレイフの衝動に抗うだけの強さがあれば」

こうしてネタを挟む隙のない話が進む中でやっとこさシンフォギア世界の癒やし、きりしらの出番だ!
燃える展開もいい話も唐突なネタ要素で愉快なことにするのが2人の仕事である。 なお、主にネタにしているので常識人の方。

一時は戦えるかどうかが危ぶまれたザババ組だったが、model_KのLiNKERとの相性が予想以上に良かったのか、イグナイトモジュールを使える段階にまで進んだようだ。
問題はそれに耐えられるか否かではあるが。
二課装者もマリアもイグナイトモジュールの負荷には屈している。
切歌なんて手紙を思い出して発狂するんじゃなかろうか。
それはそれで面白そうなので発狂しても良いぞよ。

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「ねえ、切ちゃん――」

「これデェースッ!」
「がぁーんッ!? 苦いコーヒーを選んじゃったデスよぉーッ!」


調は普通にリンゴジュースを買った。
さすがに都会だからか、チバラキとは違ってキノコジュースなどはなかった。
対する切歌は同時押しをするという常識人的アプローチでジュースを求めた。 何故そこで常識人を求めるのだ、この常識人は。
そりゃ誰もが1度はやる行為ではあるが。

なお、豆知識として同時押しすると内部的に設定された番号の若いジュースが優先されて排出される。
番号は上から下へ、左から右へと振られるので、この状況では一番左にあるコーヒーが優先されるのは必然である。
常識人なので常識を教えてくれるネ!

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「誰かの脚を引っ張らないようにするにはどうしたらいいんだろう」

「きっと、自分の選択を後悔しないよう強い意志を持つことデスよ」

真面目に語る調に対してコーヒーを選んだことを後悔しないようにする切歌だ。
この常識人がいると悩みのレベルが何段階か低くなるような……
響に今必要なのは切歌かもしれぬ。

ともあれ、調は脚を引っ張らないことに執心のようだ。
自分の力不足を感じている言動はGXでは度々繰り返されてきた。
それは適合係数がもっとも低いという事実でも示されている。
直情的だからこそ、直情に任せて突き進めない事実に悩んでいるのであった。

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「およ」

「わたし、ブラックでも平気だもの」

「ご、ごっつぁんデース」

ここで本日の百合シーン。
缶ジュースを取り替えての間接キス!
しないフォギアでは赤面したものだが今ではすんなりと受け入れている。
(おそらくは)同居生活をするようになって食器を同じくすることが増えて、それに伴い間接キスの回数も増えて既に慣れたのだろうか。
響と未来の濃密な付き合いを見せられて間接キスだけでは物足りなく、もとい動じなくなったのかもしれぬ。
常識人のくせに常識から逸脱しやがって……

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「アルカ・ノイズの反応を検知したッ!」
「場所は地下80m、共同溝内であると思われる」


「共同溝……?」

「何デスか、それは」

「電線を初めとするエネルギー経路を埋設した地下溝だ」

ここでアルカ・ノイズの襲撃と明日から役に立つ用語の説明だ。
知っているようで知らない人も多そうな単語、共同溝の説明が丁寧にされる。
こういう単語は説明してくれるのにドヴェルグ=ダインの遺産とかチフォージュシャトーとかダウルダブラのファウストローブとかのオモシロ単語は説明してくれない金子のおっさん。
学校で教えてくれないからか?

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「本部は現場に向かって航行中ッ!」

「先んじて立花を向かわせている」

「緊急事態だが飛び込むのはバカと合流してからだぞッ!」

ともあれ、その共同溝にアルカ・ノイズが出現だ。
共同溝の近くには切歌と調、加えて響が位置している。
なので、その3人が先行する形となる。
シンフォギアでは年少組3人であり、安定した戦力を備えていない3人でもある。
潜水艦にいるベテラン装者3人組と比べると安定感に欠けるか。
クリスは安定して負ける。

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「へいきへっちゃら……」
「へいきへっちゃら……」
「へいきへっちゃら――……」


響は涙を流しながら現場へと走る。
かつてないほどに響の心は傷付いていた。
それは悪意ではなくただ情けない姿を見せられたからだった。
だからこそ、何よりも裏切られた心持ちなのか。
毎度毎度傷付いている響ではあるが、今回はどうやって修復すればいいのかさっぱりである。
ブン殴ってさっぱりと忘れるしかなさそうだが、そうも行くまい。
WA:Fのサーフ村の面々のように改心するのも無理そうだし……
まぁ、クズっぷりはさほど差がないのかもしれないが、いや、サーフ村の面々は一部罪悪感を抱いていたし、それに比べて洸はノー悪気だし……

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「ここデースッ!」

「何かあったの?」

「……何でもない」

傷心だからか、デース語で迎える切歌を無視してその表情と心情を見せない。
GXになって二課装者を心配する場面が増えた調だが、その気持ちはなかなか届かない。
そして、相変わらず響は自分の弱みを誰かに見せようとしない。
人懐っこい響ではあるが、ある意味では装者の中で一番壁を作っている。 ノーガード戦法な切歌を見習ってはどうか。

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「とてもそうは見えないデス」

「――2人には関係ないからッ!!」

かつてマリアに感情をぶつけたように、洸への苛立ちを2人にもぶつけてしまう響だった。
純粋に心配する2人にぶつけてしまうことから響の負った傷の大きさがどれほどのものかが伺える。
GXになって響の歪みは表に出る一方である。
装者の中では一番普通な響が一番歪んでいるというのも皮肉だ。

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「たしかに、わたしたちでは力になれないかもしれない……」
「だけど、それでも……」


「……ごめん、どうかしてた」

かつての因縁もどこへやら、調はただただ純粋に響の心配をしている。
いい子デース。298円デース。
これを前にはさすがに響も反省するのだった。
反省はするが、悩みが解決されるわけでもないのだが……

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「拳でどうにかなることって、実は簡単な問題ばかりかもしれない」
「だから――さっさと片付けちゃおう」
「行くよ、2人共――」


洸をブン殴ればそれはもうマッハで謝るだろう。
だが、それは一時凌ぎの謝罪で心からの謝罪ではないのは明らかだ。
洸は謝罪の言葉を一切口にしなかったし。
なので、何の解決にもならない。
神獣鏡を纏った未来といい、最弱にして最凶の敵と付き合いのある響であった。
GXの敵は最大最強だけでなく最小最凶も揃えているのだった。
今の響はかつて自分が傷付いてでも拒絶した戦いを望んでいる。
父親のことで傷付くくらいなら、誰かと戦った方がまだマシということだし、誰かと手を繋がない方がいいということでもあるか。
抱えた歪みによってGXの響は最短で真っ直ぐに一直線に自分を通せていない。
ここに来てマリアの言葉が重みを持ってきた。
こうした歪みを抱えているからこそ、第3話でマリアは叱咤したのだろう。
戦わないこと以上に通すべき意志がないことを否定したのであった。

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「Balwisyall Nescell gungnir tron――」

それでも戦うことを選んだからには聖詠を歌う。
大きな迷いを抱えている響だが、皮肉にもガングニールは応えるのであった。
戦うことを選んだのだから、戦いの道具であるシンフォギアが応えるのは道理かもしれない。
シンフォギアは自分を救ってくれると言ったのは響本人だし、誰かを助け誰かと戦うだけでなく、自分を救うために使って欲しいものだが……
そんなわけで第1話の落下式ではなく正式verの変身バンクである。
聖遺物のペンダントは天にかざすもの。

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さて、「限界突破 G-beat」と共に3人で出撃である。
GXになって初めて二課装者とF.I.S.装者が戦場に並んだ。
ここまでニアミス続きで敵わなかった実にGXな光景である。
合体ロボットを本来とは異なる組み合わせで合体させたような光景というか何というか。

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「来たなぁ♪」
「だけど、今日はお前たちの相手をしている場合じゃ――」


そんな混成チームに立ちはだかるのが最強のミカである。
ラスボスを倒せどオートスコアラーの戦力は未だに圧倒的なのはマリアの敗戦が物語っている。
最強のミカとなれば未だに十二分の脅威となるのは想像に難くない。
ここで友情パワーだ!
3つの心が合わされば百万パワー!

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「迷いはないさ――」

しかし、戦いは響の独断専行で幕を開ける。 まるで戦うことには迷いはないと言わんばかりのアンブッシュである。
ガリィを前にしても戦いを拒絶した響の姿はどこにもない。

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「………………ッ!?」

この響の不意打ちには2人もビックリだ。
響が聖詠を歌えなくなった経緯は知っているだろうし、だからこそこの行動が違和感として映っているのだろう。
また、2人は第2期第7話において絶唱の負荷からS2CAの応用で救ってもらっている。
敵をも助けてしまうのが響であることをよく知っているのだ。
錬金術師サイドは戦わざるを得ない相手とはいえ、こうした形で戦っている響は異常なのだろう。
二課装者とF.I.S.装者が力を合わせたのだが、悲しいかな、心はすれ違っているのであった。

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「まだ全部言い終わってないんだゾッ!!」

これにはミカも激おこ。
がに股で驚く。
GXになってがに股女子が増えて何だか絵が面白くなった。
初代がに股女子は先日に亡くなったが、まぁ、面白い顔をしていたので悲しまないようにしましょう。

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「勇めェッ!」
「どんなんだって――うぉぉおおおおぉおおおッ!!」


続く一直線の歌詞を落涙しながらの叫びでかき消す。
事実、今の響は一直線ではない。
歌詞と展開が響き合うシンフォギアらしさが表れているのだった。
この展開にはノイズさんも真面目に倒されるより他なかった。

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「泣いてる……?」

「やっぱり様子がおかしいデスッ!」

響の不調を2人は見切る。
さっきから響らしからぬ行動ばかりだ。
爆発力こそあれど精神的に弱いのが響である。
こういう時に戦力では劣る2人ではフォローは難しい。
年長装者とは違ってアルカ・ノイズの相当にも時間がかかっているのだ。
振り抜けば風が鳴るとはいかないザババであった。

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ミカに猛攻を仕掛けるが回避されまくる。
グルグル回って回避されるほどだ。
余裕である。
ミカは無邪気だが相手の攻撃を的確に見抜く冷静さと分析力を備えている。
ならば、逆上する響の攻撃など簡単に対処できるということか。
ガリィも暴走したマリアを簡単に押さえ込んでいたし、力だけで勝てる相手ではないのだ。

結果、増えるのは共同溝の被害だけであった。
怒りに身を任せ拳を振るう光景は第1期第3話を彷彿とさせる。
特訓によって響のメンタルは安定したというのに、今ではその欠片も見られない。
洸の与えたダメージの大きさがわかる。
そして、そのクズっぷりもわかる。

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(何でそんなに簡単にやり直したいとか言えるんだッ!)
(壊したのはお父さんのくせにッ!)
(お父さんのくせにッ!!)


珍しく他者に責任を押しつける響であった。
自分を追い込むことが多い響だけに、こうしたある意味では年相応の身勝手さは新鮮だ。
この場に洸がいたら殴られるのは確定的に明らか。
そして、サンドバッグになるノイズさんの悲しさよ。
かつてはオワタ式で鳴らしたというのに……

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「突っかかりすぎデスッ!」

あ、常識人が常識的な制止をした!
連携に重きを置いているのがザババ組である。
こと連携力ならF.I.S.装者3人は格上の二課装者を翻弄していたし、間違いなく上であろう。
それだけに響が鞘走って連携できない状況というのはマイナス要素に他ならない。 響は1人でピンチ、調と切歌は連携を取れなくてピンチとどんどんと状況が悪くなっていくのであった。

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(お父さんのくせにィイイイィイッ!!)

あ、すっごい面白いやられ方をした!
殴られればその場で即霧散するのがアルカ・ノイズだったのに、ここでは必死に天井に張り付いている。
大の字で張り付いているのも心憎い。
ノイズさんはいつだってやられ方を心得ている。 凶悪さが増したアルカ・ノイズだが、その癒やしはGXでも健在だ。

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(違う……)
(壊したのはきっと、わたしも同じだ――……)


だが、ノイズさんごと天井を壊した瞬間、あの想い出が頭をよぎる。
ここまで怒りに任せ洸に責任を押しつけていたが、ふといつものように自分を責めるようになる。
リハビリを頑張った結果、早期退院となり、それが発端となって立花家は災難に見舞われることとなったのだ。
それを響の責任と言うのはあまりにも酷だが、本人がそう自分を責めているのだから止められない。

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「――しょんぼりだゾッ!!」

そこで生まれた隙を突かれ吹っ飛ばされる。
さすがの戦術眼というか、響の動揺とそこから生じた隙を見抜いている。
そして、この1発で響は倒れた。
強化型シンフォギアと言えど隙さえあれば圧倒する実力の持ち主がミカだった。
響の3割増しのパワーは伊達ではない。
ガンダムとザクくらいのパワー差はあるかも。それなら4倍?

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「言わんこっちゃないデスッ!」
「大丈夫デスか?」


ここですかさずフォローに入る切歌であった。
前に出がちな調の相方だからか。
第2期第2話でも飛び道具持ちで厄介なクリスを一番に抑えているし、第2期第10話では翼に敵わないまでも時間稼ぎに専念、制止に成功していた。
意外にもフォローが得意なのが切歌である。
もしかして、こやつは常識人なのか?

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「歌わないのカ?」
「歌わないと――死んじゃうゾぉおぉおおッ!!」


とここでミカのファイアーゲロビ!
ガリィといいF.I.S.はゲロビ持ちが多い。
高火力の表れか。
隙がピンチを呼び、ピンチが大ピンチを呼ぶのであった。

※ゲロビ
照射型ビームのこと。
ビグザムが口から嘔吐するようにビームを出したことに由来する。
つまり、ゲロビーム。

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盾? 何とノコギリ!
汎用性に富むシュルシャガナらしい運用法で2人をかばうのであった。
だが、調の適合係数は一番低いし、こうした単純なパワー勝負になると間違いなく不利だ。
シンフォギア大好きな回転防御で逸らせるのにも限界がありますよ。

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「切ちゃん……ッ!」
「大丈夫……?」


「んな、わけ、ないデス……」
「大丈夫なわけ、ないデスッ!!」


至らぬ我が身を悔やむ時、聞こえないはずの言葉が胸に湧く。
調にかばわれた瞬間、かつてのクリスの言葉が頭をよぎり、同じ言葉を口にする。
これでけっこう似た感性を持つのが切歌とクリスである(おかしな日本語も)。
同じく守られる状況になれば同じ感情を覚えてもおかしくはあるまい。

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「こうなったらイグナイトで――」

「ダメッ!」
「無茶をするのは、わたしが足手まといだから……?」


これによってあの時のクリスの心情を理解するに至ったのか、切り札のイグナイトモジュールを抜剣しようとする。
が、絶唱前にはLiNKERを多重投与するようにわりと石橋を叩いて渡るのがザババ組なので博打には移れないのだった。
抜剣には蒸着では済まないほど時間がかかるし、この状況で抜剣すれば諸共に焼き払われるのは必然である。
シンフォギアは変身までの時間をどう稼ぐかに土壇場で頭を悩ませるアニメなのだ。
その時間を生身でのカウンターで稼いだマリアさんは身体がおかしい。

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「道草は良くないわ」

「正論かもだけど――」
「鼻に付くゾッ!!」


と、ここで地味に通信が入る。
何かすっかり業務連絡の人になりやがって。
これに腹を立てながらも意外と冷静に応えるミカだ。
無邪気なれどバカではないミカだ。
無邪気でバカなのがそこにいる常識人。
いや、戦闘においては堅実派だけどさ……

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「預けるゾー」
「だから、次は歌うんだゾー」


始末はしなくとも3人を圧倒したミカだった。
響の独断専行で連携が乱れた結果の敗北であった。
そして、今日も今日とてトドメは刺さないスタイル。
強制敗北戦闘が多めのGX。RPGにした時はむしろ困りそうだ。
あとやる気のないミカの声にときめくのであった。

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「押っ取り刀で駆けつけたのだが――」

「間に合わなければ意味がねえ」

「人形は何を企てていたのか」

遅れながらも年長者組が駆けつける。
翼とマリアが潜水艦にいるのはわかるが何でクリスはいたのか。
今日は学校があったのに……
放課後すぐに潜水艦へ向かったのか、就職面接とかで誤魔化したりしたのか。
第2部に入って間に合わない人になりつつあるクリスだった。
翼は戦わない人になりつつある。剣なのに……

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「大きく破損した箇所はいずれも響さんたちの攻撃ばかり……」

アルカ・ノイズを出せど破壊活動はしていなかったミカだった。
装者を引き付けるための囮ということだろうか。
古風な真似を……!
そして、響の被害が大きかったようだ。
洸のせいでサンドイッチと飲み物の代金の数千倍の金が消えていく。
S.O.N.G.の活動資金はけっこうな勢いで修繕費に消えていきそうな……
シンフォギアの運用自体に費用はかからないから、予算はそちらに当てられているのか?

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「これは……ッ!?」
「オートスコアラーたちの目的はまさか――」


ここで稼働している端末から錬金術師サイドの目的に気付く緒川さんだった。
第1期も第2期も参謀として獅子奮迅の活躍をしているのが緒川さんである。
前回、地味子さんに気付かなくて不甲斐ないと思ったが、名誉挽回とばかりにカミソリの切れ味を見せていく。
S.O.N.G.の頭脳活動なら任せろ。肉体活動もある程度までなら任せろ。度を超したものは弦十郎に任せろ。

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さて、響は無事に収容されるのだった。
前にやられた時とは違って1週間寝込むとはならなかった。
まぁ、あの時は数十メートルの自由落下の刑だったし、生きている方がおかしいし。
この時に診断を行っているのがエルフナインだった。
ちと錬金術師を酷使させすぎではなかろうか。 イグナイトモジュールを抜剣していないし、健康面はあまり関係なさそうなのですが……
さすがは業界屈指の過酷と名高いシンフォギア現場か。

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「調が悪いんデスッ!」

「切ちゃんが無茶するからでしょッ!」

「調が後先考えず飛び出すからデスッ!!」

「切ちゃんがわたしを足手まといに思ってるからでしょッ!!」

【悲報】きりしら、また喧嘩する。
喧嘩の焦点は調が頭を悩ませる足手まといに関してだった。
調の実力が一番低いという設定がここに来て顕現化してきた。
強さランクを決めたからにはその設定を回収していくスタイル。

逆に言えば喧嘩する元気はあるようだ。
ミカのファイアービームでガードブレイクされたとはいえ、カーボンロッドの直撃を受けた響よりはダメージが軽いのだった。
なお、切歌の髪飾りは何故か包帯の上にある。
そういえば、コンバーターを破壊された時も健在だった。
この髪飾りが特別な存在であることが伺える。
もしかして、そこって生体パーツ? てか、切ちゃんの本体?
X……アルファベット最後の文字……フィーネ……?

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「2人が喧嘩するなんて……」

そういえば、2人の喧嘩を見たことがない未来だった。
あの熱い夫婦喧嘩を二課は観測していなかったようだ。
それを知らなければ仲良し2人組だから、喧嘩をするなんて思っても見なかったのだろう。
二の腕をぷにる余裕はなさそうだ。

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「傷に障るから止めてくださいッ!」
「そんな精神状態ではイグナイトモジュールを制御できませんよッ!」


ここで極めて常識的に諭すエルフナインだ。
元破廉恥ルックのくせに前回といい普通のことばかりを……
S.O.N.G.一番の良心?
そりゃ信頼しますわな。

ともあれ、イグナイトモジュールの扱いにおいて精神状態が大事なのだからこの調子では良くない。
万全の態勢で挑んだ翼とクリスも過去のトラウマを引っ張り出されて暴走一歩手前まで追い詰められた。
今やれば手紙のことを思い出して羞恥心で死ぬかもしれん。
過去を乗り越えるためにも手紙を置かないと……

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「「フンッ!」」

正論だと思いながらも、やっぱり喧嘩する。
素直にエルフナインの言葉を受けようとしている辺り、内心では仲直りをしたいことが伺える。
喧嘩しているとはいえ、手紙級の勘違いにより敵味方に分かれることになった第2期の喧嘩よりは深刻ではないか。
だが、状況が状況だからあまり反発されると不味いのだが。
それでも原因がハッキリとわかるし表に出しているだけ、響よりずっと解決しやすい問題だ。
つまりは仲睦まじい夫婦喧嘩。お前ら結婚しろ。

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「ごめん、2人共」
「最初にペースを乱したのは、わたしだ……」


ここで仲を取り持とうとする響だ。
手を繋げようとするが、どうも今はその行為も空振りに感じる。
今の響は洸の件で手を繋ぐことのできない人間となっている。
響が響かないから不協和音が生まれてしまったのだった。
かつて打倒二課を目指していたF.I.S.が、今ではそれ以上の感情で響を好いているのに、それ故に響が原因で不和を生み出したのは皮肉だ。
バラルの咒詛でなくとも人の手は分かたれるのであった。

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「さっきはどうしたデスか?」

「あれからまた、お父さんに会ったんだ……」「ずっと昔の記憶だと、優しくて格好良かったのにね」
「すごく、嫌な姿を見ちゃった」


「嫌な姿……?」

「自分のしたことがわかってないお父さん」
「無責任で格好悪かった……」
「見たくなかった……」
「こんな思いをするなら、2度と逢いたくなかった――……」


さすがに隠せないと思ったのか、父親のことを話す。
特訓の折りに父親と逢ったのは装者たちにとっては周知の事実だろう。
だが、ここまで父親で調子を崩すのは予想外だったか。
親のいないF.I.S.の装者にとって、ある意味遠い出来事だから感情移入もしにくいに違いない。
そして、誰かをここまでけなす響を見るのも初めてだ。
響の洸に対する怒りはどこまでも大きい。

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「わたしが悪いの……」
「わたしが――」


ここで未来も涙する。
立花家が離散する原因となったライブに響を誘ったのは未来自身だ。
このことが未来にとって大きな後悔となっているのは間違いない。
ここで指したものが自身が父親に再会する要因となったことか、父親と話してみるように言ったことか、それともライブに誘ったことなのかはわからない。
わからないが、発端にあると見るべきか。
そして、そこから繋がるであろう未来が陸上部を辞めた原因であり、響と仲良くなった出来事は未だにちっとも触れられない。
プロデューサーさえ触れないこの一大イベントに触れられるのはいつの日か……

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「違うよ、未来は悪くない」
「悪いのはお父さんだ」


「でも――」

「へいき、へっちゃら」
「だから、泣かないで、未来――」


どうしようもないことをどうにかやり過ごす魔法の言葉、へいきへっちゃらでやり過ごす。
全然平気じゃないし泣かないでと言っている本人が泣いている。
自分の責任を負わせがちな響が悪いのは洸と言っているのも異質というか、普通の響ではない。
洸はシンフォギアシリーズで一番響の心を抉っている存在と化している。
一時期の翼や調、キャロルなどとは比べものにならない勢いだ。
その上、殴って勝って終わりと行かないのが困りどころか……
これと比べれば手紙なんて花吹雪みたいなものなので、ガンガン絶唱しておこう。

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響と洸の不和は大きなものだ。
それと比べれば2人の仲違いはまだ優しい。
が、2人としてみれば2人なりに必死なので、簡単に仲直りとはいかないのであった。
調としては自分の力不足は大きな悩みなので簡単に解決するものでもないのだが。

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「オートスコアラーの再襲撃が予想されます」
「投与はくれぐれも慎重に」
「身体への負担もそうですがここに残されているLiNKERにも限りがありますので」


model_KのLiNKERの備蓄に限りがあることが判明した。
訓練に使ったりと盛大に使っていたmodel_Kだが、とっておきたいとっておきの非売品だった。
エルフナインでもLiNKERの生産はできないようだ。
生化学だからチフォージュ・シャトー建築のエルフナインの担当からはややズレるのか。
ならばとウェル博士に依頼する素振りを見せない辺り、力を借りる気は一切ないようだ。
まぁ、媚薬とか入れられかねないし……媚薬入りLiNKERは誰かが薄い本で使ってください。

あまりあなたに優しくないはずのmodel_Kだが、調と切歌は問題なく使えマリアもイグナイトモジュールに耐えた。
十分な実用性があるだけに数に限りがあるというのは困りものだ。
ランチを奮発して誤魔化すとかはできないだろうか。
あれで誤魔化して血涙だから所詮は誤魔化しか。

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「やはり、父親の一件だったのね」

「こういう時はどんな風にすればいいんだ?」

ここでシンフォギア伝統のシャワーシーンの登場だ。
特盛り! 特盛り! 防盛り!
何がとは言うまい。
なお、この防人が第1期の頃は唯一のシャワーシーン要因だった。
あまりにも貧相なボディのせいでシャワーシーンをシャワーシーンとして認識できなかった。 今はおっぱいぼーんが2人いるのでこいつはシャワーシーン! シャワーシーンぞよ!

さて、やはりS.O.N.G.の面々も洸のことは存じていた。
マリアとクリスは父親どころか両親はいない。
クリスは両親のことを愛しているし、マリアも親代わりのナスターシャ教授を敬愛していた。
なので、響の悩みに共感しにくいのだろう。

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「どうしていいのかわからないのは私も同じだ」
「一般的な家庭の在り方を知らぬまま、今日に至る私だからな」


装者としては珍しく父親が存命している防人は風鳴の道具と言い出していた。
そうでなくとも防人一族だから親族との付き合いは一般人とは一線を画しているだろう。
弦十郎との付き合いもよほどのことがなければ、装者と司令の関係を崩していない。
叔父様と言ったのは1回だけだったし、弦十郎も翼の命を引き替えにした特攻を讃えた。
なので、嫌いな父親とどう付き合うかというありきたりな悩みに付き合えないのであった。

そんな翼の様子を気にするマリアだった。
母親のような包容力と視野の広さを持つマリアさんならば、翼のこの一言で何らかの事情を察してもおかしくはない。
マリアの持つ優しさが真に発揮されるのはこれからだ!
た! や! マ! た! や! マ!

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「敵の狙いは電気経路の調査だと?」

「はい、発電施設の破壊によって電力総量が低下した現在、政府の拠点には優先的に電力が供給されています」
「ここを辿ることにより――」


「表からは見えない首都構造を探ることが可能となる、か」

ここで錬金術師サイドの狙いを見切るS.O.N.G.の頭脳たちだった。
レイラインだ歌をむしり取るだと、ここまでの錬金術師サイドの言動からは想像できないものが漏れ出た。
オートスコアラーの発電施設への攻撃と神社への攻撃は同一のものに見えて、実は別のものなのだろうか。
これは実に死角である。
神社への攻撃はレイラインの解放に関わっているのは明らかだが、発電所への攻撃と今回のミカの行動はこちらに関わっているのか。

ともあれ、踊らされるだけのS.O.N.G.ではない。
二課の頃から情報戦も得意分野だし、フィーネさんを手玉に取ったこともある。
F.I.S.の潜伏先だってあっさりと見つけている。
カ・ディンギル付近のヘリを見つけられなかったのはちょっとお粗末だけど。
イグナイトモジュールによって装者たちの反撃が始まったところだが、ここからさらにOTONAたちの反撃に期待したいところだ。
その、物理的にも。

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さて、チフォージュ・シャトーことキャロル城こんにちは。
玉座のパイプが光彩を放ち、玉座にも謎の箱がある。
第7話にはなかった。
今は亡きキャロルの計画はまだ動いている真っ最中なのだ。

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「これで――どうよぉッ!」

「派手にひん剥いたなッ!」

ここでミカが調べた首都構造が露わとなる。
フォトスフィアといい地図集めに執心な錬金術師サイドであった。
Google Earthじゃ足りんのだ。
こちらは戦術行動に必要なものなのだろうか。
何か巨大ロボっぽいチフォージュ・シャトーが動き出しても戦術的な運用が出来なければ元の木阿弥なのだ。

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「どこへ行くの、ミカ?」
「間もなく想い出のインストールは完了するというのに――」


「自分の任務くらいはわかってるッ!」
「きちんと遂行してやるから、あとは好きにさせて欲しいゾ」


面白いポーズで制止する地味子に苛立ちげに応えるミカだ。
これっぽっちも先週散ったガリィのことを思い出さない薄情なオートスコアラーたちだが、仲の良かったミカは少しは気にしているかも。
しかし、歩き方がおっさんだ。
本当にこいつはおっさん幼女だ……

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喧嘩をしても2人で帰るよ。
この2人に響と未来の喧嘩を見せれば発狂しそうだ。
ともあれ、屋台が並ぶ夕暮れ時だ。
念願の焼きそばも出たぞ!
WAシリーズの伝統アイテムが焼きそばである。
やっとこさ背景とはいえ出てきたのは胸熱だ。
屋台のインパクト大賞は謎の冷凍うどんだけど。

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「わたしに言いたいこと、あるんでしょ」

「それは調の方デスッ!」

「わたしは――」

さて、ぶり返してまた喧嘩だ。
何か恋人みたいな喧嘩の仕方ですね。
恋人みたいなものだから仕方ないか。

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ここでカーボンロッドの強襲だ。
鳥居にオモシロポーズで立つのは最強のミカである。
今度はレイラインの解放が主目的だろうか。
神社って何かオカルトっぽいし。
金子のおっさんはもっとミヨイタミアラ的なオカルトを好みそうなのだが、今回はわかりやすさ重視なのだろう。
RPGにオカルト用語を出しまくる金子彰史という人はおかしいと思いました。

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「足手まといと軽く見てるのなら……ッ!」
「Various shul shagana tron――」


頬に張り付いた絆創膏を剥がして臨戦態勢だ。
いつかやるかやるかと思わせた同時変身だが、今回は調ソロ。
どうやら必殺技として残されるようだ。
第5話と同じ制服による変身バンクで省エネ仕様。
前回とは違って作画班にも優しい。

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「ジェノサイドソウ・ヘヴン」と共に放たれた調の初手はシュルシャガナの波動拳、「α式・百輪廻」だ。
が、シンフォギア伝統の回転防御で防がれる。
カーボンロッドは見た目とは違って運用に応用が利くのだった。
最強なのは対応できる範囲が広いからこそか。

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「今から応援をよこすッ!」
「それまで持ちこたえ――」


戦力的に不安が残る2人だ。
今日すでにミカに敗北している。
2人だけで戦わせるのに不安が残るため、時間稼ぎに留めさせ増援を送るのが上策である。
が、そこで潜水艦が揺れるのだった。

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「海底に巨大な人影だと……ッ!?」

「ワタシと妹が地味に支援してやる」
「だから、存分に暴れろ、ミカ――」


ここで物理的に立ちはだかるのがレイアの妹だった。
さすが投げ船ロボ。
潜水艦を掴むことくらい容易い。
また、水中で襲うことで弦十郎の弱点を突いている。
如何に弦十郎と言えど人間であるが故に水中では呼吸ができない。
地上なら弦十郎がレイアの妹を倒しかねないが水中ではそうもいくまい。
弦十郎を舐めた結果、敗北数秒前まで追い詰められたラスボスもいるだけに決して軽んじることはできないのだ。
弦十郎の弱点を突いてくるのが錬金術サイドの周到なところでもある。
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増援が期待できなくなったが、逃げ出すわけにはいかない。
裾を鋸に変えるハイセンスな技、「Δ式・艶殺アクセル」で攻撃する。
今回はパンモロ。
まぁ、裾を鋸にすればそうなりますな。
だが、ミカにはまったく通じず弾き飛ばされる。
2人がかりでも力押しが通じない相手がミカなのだ。

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続いて切歌も斬りかかるがあっさりとかわされて蹴飛ばされる。
力任せに攻めるだけでなく、相手の攻撃をちゃんと見切るのがミカの厄介なところである。
連携自慢のザババ組としてはあまりにも芸がない攻撃なのは、連携が取れていない証拠か。
「援護します!」「援護します!」

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「これぽっちィ?」
「これじゃギアを強化する前の方がマシだったゾ」


LiNKER多重投与の決死の覚悟かつ完全に心と力を合わせた前回の方が上らしい。
ギアの強化でパラメーターは増してmodel_Kにも慣れただろうというのに、何とも皮肉な結果である。
力だけではどうにもならないのが金子彰史作品の摂理なのだ。
それを敵にダメ出しされるとは……
ガリィといいオートスコアラーはコーチ属性がある。
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「そんなこと――あるもんかデスッ!」
「どんなもんデスッ!」


切歌は認めず一人で「切・呪リeッTぉ」だ。
「切・呪リeッTぉ」は調との連携があれば翼から一本取れるほどの技ではあるが、単体ではただの波動拳である。
受け止められたし爆発もしたけどダメージには期待できないだろう。
あとそういうところは先輩の真似をせんでいい。
クリスのやったかは完全なやってないフラグだぞ!

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「こんなもんだゾぉッ!!」

まぁ、そうなるわな。
そんなわけでカーボンロッドは展開した後にビットの如く飛ばすこともできるのだった。
手持ちもあり、射出もあり、展開からの遠隔射出もありと運用法が多彩だ。
ツインドリルジェットも急接近だけでなくホバリングに使っている。
戦闘特化なだけあって芸達者だ。
カーボンロッドも人くらいの大きさもあるし受け止めることができず回避に専念せざるをえない。
「対鎌・羅Pぅn痛ェる」を使った時は破壊できていたが、未展開なのでそうもいかないのだった。
2人の連携は攻めにこそ力を発揮するし、防戦となると後手後手となるばかりだ。
たしかに前回の方がまだ戦えている。

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「変形しないと無理だゾ♪」

「かわせないなら――受け止めるだけデスッ!!」

あ、変形なんだ! イグナイトモジュールの抜剣って変形なんだ!
シンフォギアではギアを纏うことを呼称する単語がないのだが、どうやら変形らしい。
not変身。
まぁ、変形って感じはたしかにする。
妙にメカメカしいし……

ともあれ、受け止める気満々だ。
踏み込みが足りなかったスパロボFかな?
「対鎌・羅Pぅn痛ェる」を展開する暇もないしピンチだ。
華のJKだから防御力も特に高いわけでないし。
防人さんくらいなら1発や2発くらいなら血涙で済みそうなのだが……

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「何でッ!?」
「後先考えずにかばうデスかッ!」


「やっぱり、わたしを足手まといと……ッ!」

ここで再び調が切歌をかばう!
汎用性に富むのがシュルシャガナ、こと範囲防御ならイガリマを凌駕するのであった。
しかし、またも調に守られたことに切歌は腹を立てる。
調が足手まといだからか。
2人の間には未だに亀裂が入ったままなのか?

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「違うデスッ!」
「調が大好きだからデスッ!!」


【朗報】切歌は調が大好き。
第2期第12話とは違って今度は切歌が先んじて告白した。 この唐突な告白には調の毒気が抜かれざるをえまい。

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「大好きな調だから傷だらけになることが許せなかったんデスッ!!」

調を傷付けるなという熱い想いが炸裂する!
その想いはまさか最強のミカから肉弾戦で一本取るほどのものだ。
初公開となるワイヤーパンチをかわしての蹴りは実に見事である。
鎌を使った力勝負以外にもフェイントや柄を使った一撃など、意外と芸達者なのがこの常識人だ。
これはバトルセンスや適合率に劣るからこそ、小技で差を埋めようと努力した結果の産物だろう。
常識人の意地を見事に見せつけた。

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「わたしがそう思えるのは、あの時調にかばってもらったからデスッ!」
「みんながわたしたちを怒るのは、わたしたちを大切に想ってくれてるからなんデスッ!!」


「わたしたちを大切に想ってくれる、優しい人たちが――」

切歌は叫ぶ。
クリスや弦十郎、そしてナスターシャ教授と同じ立場になって初めてその気持ちを理解できた。
かつての白い世界でなく、受け止めてくれる人はきっとここに。
今の2人の周りには自分たちを大切に想う人たちが集まっているのだった。
これはF.I.S.にいたままでは気付けなかった想いだろう。
F.I.S.を出てS.O.N.G.となったからこそ、やっと気付けたものであった。
あれ、常識人が格好いいし真面目……?

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「何となくで勝てる相手じゃないゾッ!!」

善戦すれど最強は最強、切歌一人では応戦はできても制することはできないのであった。
ここでちゃんとアドバイスする辺り、どこまでもコーチ気質。
逆にアドバイスをしなくなってからがマジモードで怖いか。

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「マムが遺してくれたこの世界で、格好悪いまま終わりたくない――」

調の脳裏には父を格好悪いと罵倒した響の姿がよぎる。
今の調にとって響は間違いなく大切な人だ。
そんな人に格好悪いところは見せたくないに違いない。
情熱的なのが調である。
響に対する想いも切歌並みに熱いのであった。 互いにかつてのライバルの言葉を土壇場での支えにしているのがアハ体験!(誤用)

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「だったら――格好良くなるしかないデスッ!!」

「自分のしたことに向き合う強さを――」
「イグナイトモジュールッ!」

「「抜剣ッッ!!!」」「デースッ!」

自分たちが大好きで、自分たちを大好きな人たちのために戦うと決意した。
2人が目指していたゴールはここにやっと定まった。
第2期の頃に掲げた月の落下を防ぐより小さな目的かもしれないが、小さな目的だからこそ本気になれるのが金子彰史作品である。
世界を守るより身近な誰かを守ることの方が力になるのだ。
だからこその抜剣! デース!
あ、デース付けるんだ。このデスデス星人め。

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年少組と言えどイグナイトモジュールは容赦なく蝕む。
切歌はきっと手紙とかパンツのことで苦しんでいるだろう。
これまでの装者は1度は失敗していた。
完璧超人なマリアも暴走するほどだ。
番組放送時間も残り少ないが、イグナイトモジュールに耐えられるのだろうか。

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「底知れず――天井知らずに高まる力ぁ……ッ!!」

黒く染まる2人に対抗してミカもしいたけ目になって燃え上がる。
あ、こういう目ってこういう使い方もできたんだ……
オートスコアラーの感情表現は今までにないものが多くて見てて飽きさせないのであった。
たくさん殴られたガリィは見事でした……

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「ごめんね、切ちゃん……ッ!」

「いいデスよ――それよりもみんなに――」

「そうだ、みんなに謝らないと――」
「そのために、強くなるんだッ!!」


手紙以外には大きなトラウマを背負っていないイグナイトモジュールの反動に何とか耐えていた。
その上でゴールを目指した。
謝るために強くなる。
ただ大きな力を手にするだけでなく、精神的な成長を望んだ証左でもあろうか。
そして、その精神的な成長が奇跡を起こすのがイグナイトモジュールである。 頑張れ! 手紙! 頑張れ! 手紙!

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「フンッ!!」「デースッ!!」

そして、抜剣完了! こっちで同時変形だ!
調のポーズがシェーっぽいような……
いや、あえて言うまい。
2人の抱えていたものは現在に起因するものだからか、マリアと同様に比較的すぐに乗り越えることができた。
調と切歌は実にいい子だから、心の闇が少なかったのも影響しているだろうか。 閉鎖された環境で育ったからこそ、むしろ除菌ができたのかもしれない。
除菌を一切行わなかった結果の汚物が立花洸……

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ニグレドモードを発動させた「Just Loving X-Edge(IGNITED arrangement)」を歌う。
2人の本気を越えた本気の歌に対するミカも本気だ。
全裸でストレートヘアーである。
全裸デスよね、全裸。全裸……だよな……
ぜぇーんぜんエロくねー……
ともあれ、ニグレドモードの出力なら如何に本気の最強と言えど勝てる!
キャロルを一蹴したように! ガリィをブン殴って面白い顔にしたように!

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「調ッ!?」

って、負けたァー!?
あっさりと投げ捨てられた調だった。
まさかのニグレドモードを凌駕する出力の持ち主が本気ミカだ。
キャロルやガリィのように行かないと意地を見せつける。
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「最強のアタシには響かないゾッ!!」
「もっと強く激しく歌うんだゾッ!!」


公認最強の意地を見せつけ、1度は破られたワイヤーパンチを命中させ吹っ飛ばす。
オートスコアラーの強さは未だに桁違いだ。
まさかのニグレドモードの敗北か?
せっかく手紙を乗り越えたのに……

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さらに得意のカーボンロッドで逃げ道を断ち、必殺のゲロビを撃とうとする。
常識人、分子構成的に真っ黒に……?
しいたけ目でバトルマニア度大幅アップだ。
こんな顔、人間にはちょっと無理。

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「――向き合うんだッ!」
「でないと、乗り越えられないッ!!」


そこで強化版「α式・百輪廻」でミカの動きを止める。
一発の威力なら他に重視している技があるから、質よりも量を強化する傾向のようだ。
それを髪で捌くミカであった。
髪自体にエネルギーがあるようで、ツインドリルジェットもそれに指向性を持たせたものなのだろう。
何とも機能性を持たせているのが心憎い……

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さらに錬金術でカーボンロッド大量展開だ。
ミカは実に芸達者で攻め手が豊富だ。
ニグレドモードになった切歌も逃げに専念せざるをえない。
一方で無理に受け止めようとしない辺り、成長が見られるし慢心がない。 暴走の出力に加えて理性を持っているからこその的確な状況判断がニグレドモードの強みなのだ。
理性がなくなればたやマ(ただやけくそになったマリア)のようになる。

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「闇雲に逃げてたらじり貧だゾッ!!」

さらに超巨大カーボンロッド投擲だ。
逃げると見たら堂々とそこを攻めていくのであった。
先ほどから切歌にヘイトが集まっているのは肉弾戦で一本取ったからか。
適合係数は切歌の方が高いから強い方を先に潰すという判断もありそうだ。
戦いを楽しみながらも巧妙に攻めていくのが嫌らしい……

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「知ってるデスッ!!」
「――だからッ!!」


「ゾなもしッ!?」

ここでまさかの方向転換ッ!?
これには意表を突かれたミカは攻撃をかわされるのだった。
で、ゾなもし。
どこ生まれだよ、このおっさん幼女……

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「強くなる勇気を心に秘めて――ッ!」

この奇策からのマリア直伝?のワイヤー攻撃である。
ワイヤー大幅増加でかわしにくいだろうが、相手は最強。
簡単に対処してのけるだった。
意表を突いても勝機に繋げられない……ミカはSラン……

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「太陽の輝きに――ッ!」

ここでワイヤーが「非常Σ式・禁月輪」を展開した調とドッキング!
その牽引力でスピードアップだ!
大変物理的に納得が行く非常にわかりやすい原理、ありがとう。
切歌が囮となりミカを引き付け、隙が生まれたところにシュルシャガナとイガリマのメカニズムを見事に合体させる見事な連携である。
それもうノコギリじゃなく車輪だよねとは思っていけない。
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「嘘はないつがいの愛――ッ!」

「足りない出力を掛け合わせて――ッ!?」

さらにミカの動きを止めてからの必断技「断殺・邪刃ウォTtKkK」!
大技故に命中率に不安を残す「非常Σ式・禁月輪」を「断殺・邪刃ウォTtKkK」の捕縛効果でフォロー!
さらに牽引することで互いに威力を高め合う!
互いが互いに必殺級の必殺技である双方の長所を伸ばしながらもその短所を見事に補い合っている。
かつてここまで完璧な連携は存在しただろうか。
そこに至るまでの連携も見事だし、ぐうの音も出ないほどに完璧である。
唯一の不安はフレンドリーファイア設定がどうなっているかだけデスね……

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「「君を照らしたい、Just Loviング――ッ!!」」

これぞ「禁殺邪輪・Zぁ破刃エクLィプssSS」ッッ!!!
2人の持ち味を全て生かし切った夢のザババドッキングである。
ま、まさか、「非常Σ式・禁月輪」と「断殺・邪刃ウォTtKkK」のドッキングなんて……
こんなことが……物理的に可能なのか……


この完璧な必殺技を前に最強のミカとてバラバラになり爆発四散せざるを得なかった。
ネフィリムでさえ切り裂いた「非常Σ式・禁月輪」と「断殺・邪刃ウォTtKkK」のドッキングなのだ。
しかも、足し算ではなくかけ算である。
如何に最強と言えど耐えられる道理はない。
1+1は2じゃなくて200。10倍だぞ10倍!

1対1では勝てなかったし、ただ2人で挑むだけでも勝てなかった。
互いが互いを知り尽くした調と切歌ならではの連携だからこそ得た激勝である。
これはもう見事な大金星だ。

しかし、この「禁殺邪輪・Zぁ破刃エクLィプssSS」、大変格好良いのだが相手が人形で本当に良かった。
人間にやっていたら悲惨というレベルではない。
相手が人形だからこそ躊躇せずにぶち込んだというのもあるか。
うーん、調と切歌のフィギュアが出たら是非再現したい!
……出てください……頼みます……

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「――こっちの気も知らないでッ!!」

「たまには指示に従ったらどうだ」

――で、イグナイトモジュールを抜剣したので怒られた。
激勝と言えど無理に無茶を重ねた勝利だ。
GXになってから無理ばかりしているしこともあって、手放しに褒められるものではない。
先輩もOTONAも教育者。

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「独断が過ぎました……」

「これからは気を付けるデス……」

「珍しくしおらしいな……」

それに対して叱責を素直に受け止めて謝罪した。
殊勝であった。
今までにない純粋な素直さである。
それも2人の気持ちを理解することができたからか。
勝ってなお成長する2人であった。

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「わたしたちが背伸びしないでできるのは、受け止めて受け入れること」

「だから、ごめんなさいデス」

「……わかればそれでいい」

こうして素直に謝る2人を見られるのは初めてだ。
大人しく大人に甘えられるようになったとも言えるか。
こうして2人は当たり前の日常を改めて手に入れるのだった。 手紙を破り捨ててもいい時が来たかもしれない……

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「先輩が手を引かなくたっていっちょ前に歩いて行きやがる」
(あたしとは違うんだな……)


そんな2人を見てクリスは成長を感じるのだった。
弦十郎といい響といい翼といい、誰かの力でクリスは進んできた。
一方で調と切歌は2人で互いを補い合って成長したのだった。
クリスは自分を見つめ直す時が来たのだろうか……

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「足手まといにならないこと」
「それは強くなることだけじゃない」
「自分の行動に責任を伴わせることだったんだ」


調はゴールを見つめ、自分の悩みにも答えを見出すのだった。
責任を持ったからこそ素直に謝ることができたのだった。
責任ガン投げの洸とは違うものだ。
これなら響の好感度を上げられるぞ!

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「せき、にん――自らの義に正しくあること」

おい、常識人。散々褒めたのに責任をググってんじゃねえ。
くそう、すっごく格好良かったのに何て奴だ。
暁切歌、どこまでもブレぬ常識人であった。
いや、まぁ、責任の意味を改めて、それも細かく調べたかったのかもしれないが。
間違えた覚え方をしてはいけないのだ。
醤油みたいにな!
……自らの義に正しくあることって、広辞苑見てもないんだけど。
何かWAシリーズっぽいからWAシリーズの名台詞を見たトカ?


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「でも、それを正義と言ったら調の嫌いな偽善っぽいデスか?」

ここで頭をよぎるのは偽善だ。
かつて響を苦しめた言葉である。
かつては悪を貫こうとしただけに正義という言葉には2人揃ってナーバスなのだろう。
そのことに関しては調は未だに答えを出していない。
はぐらかされたままともなっている。

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「ずっと謝りたかった……」
「薄っぺらい言葉で響さんを傷付けてしまったことを――」


アーイイ……スゴクイイ……
響さん、響さんですよ、全国の切ちゃん!
かつての言葉を悔いて心を痛めている辺り、調がどれだけ響が好きなのかがわかる。
響さんと呼んでいることからも敬愛する気持ちが伺える。
調の礼儀正しさが表れているというのもあるが、かつて憎んだ相手をさん付けするのも容易いことではなかろう。
洸によって闇に堕ちた響の心を救うのは未来だけでなく調もなのか?
チクショウ! マリアさんが付け入る余地がねえ!
……まぁ、洸を殴る役割を担えばいいか。

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「ごめんなさいの勇気を出すのは、調一人じゃないデスよ」
「調を守るのはわたしの役目デスッ!」


「切ちゃん――」
「ありがとう」
「いつも、全部、本当だよ」


そんな調と心を合わせる切歌だった。
それに対してありがとうと返した。
これは2人が初登場した第2期第2話の時に言った言葉である。
あの頃から成長しながらも、あの頃とは変わっていない2人がそこにはいたのだった。
ところでいつキスするんですか?

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さて、ミカの垂れ幕に文様が刻まれキャロルも復活する。
って、復活早ーッ!?
展開を引っ張らないのがシンフォギア。
というわけで、この話で復活を匂わせてマッハで復活した。 あっという間に業界屈指の過酷な現場に舞い戻ってきやがった……

もっとも完璧以上の完璧な身体がキャロルには求められる。
なので、何度かは復活できても何度もは復活できないだろう。
事実、時間がかかったようだしインスタントキャロルとは行かないのであった。
でも、リインカネーションのために四苦八苦していたフィーネさんが知れば飛び跳ねて喜びそうだ。

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「そうか、ガリィとミカが……」

垂れ幕を見て2人が倒れたことを悟るキャロルだった。
動揺はないということは倒れることも計画のうちということか。
自分が倒れるのも計画のうちのようだし、命は投げ捨てるものを地で行く錬金術師サイドである。

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「派手に散りました」

「これからいかがなされますか」

やたらと派手と地味を使うレイアさん、何か必死だ。
まぁ、最近、出番がありませんからね……
地味子の方がまだ面白いことをしている。
地味だけど。

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「言うまでもない」
「万象黙示録を完成させる」
「この手で奇跡を皆殺すことこそ、数百年来の大願――」


復活したからと諦めましたとは言わない。
イグナイトモジュールも計画のうちだけあって、パワーアップした装者たちを相手にも争う気満々だ。
奇跡を皆殺すということは奇跡はたくさんあるのだろうか。
そして、キャロルの指す奇跡とは一体何なのか。
第1話で言ったものの未だ真意は謎のままなのだ。

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「聞いた?」
「調ちゃんと切歌ちゃん、強いね」
「本当に強くなったと思う――」


ここでキャロルの目に響が映る。
それはエルフナインの視界とまったく一緒だった。
やっぱりバレていたS.O.N.G.事情。
やたらとタイミング良く襲撃していたのはこの遠見あってこそか。
となるとそのためにエルフナインを生殺しにするように襲撃、S.O.N.G.へと逃がしたのだろう。
エルフナインもまたキャロルの人形なのだった。
もっとも、イザークの想い出をインストールしていたりと謎も残る。
ただの人形で終わらず生えてくるといいのだが。

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「ああ、思うとも」
「故に、世界の終わりが加速する――ッ!!」


激勝したが、キャロルの世界を壊す計画は着々と進行中だ。
負けても負けても手の内で踊らされ、勝っても勝っても手の内で踊らされる。
光明が見えない戦いが続く。
そんな中に超S級のどんより雲の洸がやってきた。
四方八方からS.O.N.G.は囲まれていくのであった。
次回へ続く。


・今回使用された楽曲
Exterminateより「Exterminate」


戦姫絶唱シンフォギアGXキャラクターソング2より「限界突破G-beat」


戦姫絶唱シンフォギアGXキャラクターソング6より「ジェノサイドソウ・ヘヴン」


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Rebirth-day【期間生産限定盤/初回仕様限定盤】より「Rebirth-day」