戦姫絶唱シンフォギアXV EPISODE09 I am a father

オッス! 我シェム・ハ! いっちょ殺ってみっかぁ!
おめえの出番だ、立花!
ミミミミミミミミミミミミミミミミミクぅ……







「――未来」
「わたしの親友、小日向未来」
「ずっと仲良し、幼馴染み」
「時々喧嘩しても同じ数だけ仲直り」


さて、未来さんとの想い出がリプレイされるよ!
うわぁ、とっても懐かしい!
喧嘩することもあるけど二人はとっても仲良しさんなんだね!






「多分、そんな二人のまま、この先もいられるのだと思っていた」
「だけど――……」


そんな仲良しの日々はずっと続くんだよ。
それは絶対に絶対だよ。
どれくらい絶対かと言うとベジータのグミ撃ちが強敵に通じる確率くらい絶対だよ。





「陽だまりは踏み躙られて――」
「君と繋ぐはずのこの手には、どこまでも残酷な結末を約束されてしまう」
「あの日――わたしの大切なモノは、全て奪われてしまった――」


はい! オチ!
前回のEDといい想い出クラッシャーが好きだな、おい!
ええい、サディストが!
ついでに金子彰史、バトル物で一生懸命もがいていないキャラを出すことこそが残酷、ドSの所業だとインタビューで仰っておられました。
ええい、サディストが!

そして、この手には神殺しが、残酷な未来があると響は感じていた。
これは予感以上の直感によるものか……
そして、この言いよう、響にとって未来は全てと言って差し支えのない存在であることがわかる。
ええい、レズビアンが!



「行っちゃダメだッ!」
「未来――……」


響は手を繋げず落ちていく。
……そうか、飛べないのか、アマルガム。
みんながエクスドライブになっていたからそのことを見落としていた。
手を繋げなかったらそのまま落ちていくしかないのだ。
それはつまり、差し伸べられた手をガン無視したわけで……
未来ならば絶対にやらないことであり、つまりはシェム・ハに未来の片鱗さえもないことであり――……





「よーし、出来たぞー」
「知ってるか? インスタントとはいえ最近のは侮れないんだぞ」


さて、時は経過して洸が住んでいるアパートへ。
今日も今日とて絶賛別居中でアリマス。
ここで日本アニメ界が得意とする妙に作画に気合いの入ったラーメンを差し出す。
インスタントとはいえ洸が作ったようだ。
インスタントだから手抜き……とは言い切れない。
何せちゃんと具を用意していることから、ある程度の手はかけていることがわかる。

洸はこれで料理を作るタイプの父親である。
GX第11話でその姿が描写されている。
とかく頼りなさが印象付けられている洸だが、娘に料理を作ってあげるような一面も持っているのだ。
そして、料理は愛情が何とやら。
インスタントとはいえ手をかけているこのラーメンには響への愛情がたしかに込められているのであった。




「動いてないのにお腹って空くんだね」

「それは今、響が生きてるってことさ」

あらまぁ、何と適当な相づち。
久し振りの登場なれどいつも通りの洸だ。安定感あるな、お前も。
一方で真理を突いている一言でもある。
未来を失えど響は生きているのだ。





「しかし、驚いたなぁ」
「響が規則を破って謹慎とは」


「大切なモノをなくして、奪われて……」
「どうしていいのかわからなくなったら無性にどこかに逃げ出したくなって」
「気が付いたらここに脚が向かってた」


結局はアマルガムの使用で謹慎となったようだ。
洸は規則破りを意外に感じている。
でも、響は遅刻したり夏休みの宿題が間に合わなかったり、けっこう規則にはずぼらである。
ここは響の本質の部分、困難から逃げない点を捉えた言動だろうか。
ならば規則を破るというのは意外に映ろう。
娘への理解が感じ取れる台詞だった。
そう、洸は逃げ出した身なれど響を理解しているたしかな父親なのだ……



「そっか……ハハ……」
「逃げ出すことに関しては筋金一本入ってるからな、俺は」


「違うよ、お父さんだからだよ」

自慢なんてできないどうしようもない父親の洸だけど、どうしようもなく父親なのも事実。
だから、傷心の時に(頼れるかどうかはさておき)頼りたい存在なのであった。
(幸の薄さが半端ない)お母さんの元へと行かなかったのは、響にとって頼る対象としては洸の方が強いということか。
……そういえば、響にとって母親はどんな人なのかは描かれていないなぁ。




「……良かったら一人で抱え込まず俺に話してみないか?」

GXから少しだけ前進した二人の関係を物語るように洸は自分から歩み寄る。
対して力なく、それでもしっかりと笑う響であった。
未来がさらわれてから響は笑っていなかった。
そんな響を笑わせる力が洸にはあるのだった。
それは他の装者たちは持っていない父親だけの力なのだろう……
洸はこういうどうしようもなく父親なところが魅力でアリマス。
超人揃いのシンフォギア世界だからこそ際立つ頼りないけど当たり前の日常であった。
なお、同じ父親でも訃堂は笑わせるどころか防人らせる。





「立花ッ!?」

さて、ここでシェム・ハ覚醒が思い起こされる。
響、自由落下で地面に激突!
たしかに自由落下してたな! 飛行能力ないって大変だな!
ともあれ、患者衣であることからコンディションは最悪かつ急遽出撃したことがわかる。
そりゃ自由落下で致命打になるワケダ。
前回の激闘もみんなが守らなかったらわりと一発で倒れていたかも……



「良き哉、ヒトの生き汚さ」
「百万の夜を越えてなお地に満ち満ちていようとは」


百万日って2740年やで、シェム・ハさん。
先史文明期ってどれだけ昔なんぞ。
ともあれ、先史文明期からヒトという種の本質は変わっていないようだ。
何せ未だに争っているほどだ。
そして、すいーっと着陸する。
上から見られて遺憾とか言っておいて着陸するんだ……



「止しなさいッ!」
「あなたにそんな物言いは似合わないッ!!」


おお、マリアさん、いいこと言うなぁ……
らしくあることを最重視するのがカデンツァヴナ流。
未来らしくない言動を叱りつける。
だが、相手はもうシェム・ハ。ガン無視である。
アガートラームに少しくらい反応してあげて! 一族の左腕やで!



「後は忌々しき月の――」

忌々しい、だとォ……!?
フィーネの話では月遺跡を作ったのはカストディアンだった。
そのカストディアンであるシェム・ハが月遺跡を忌々しいとは……
いや、それはその通りだ。
何せバラルの咒詛のおかげで依り代となる人間がいなくなってしまった。

フィーネはバラルの咒詛は人類に対する罰であり相互理解を阻むと言いながらも、カストディアンにとっても明らかにマイナスなのだ。
カストディアンが絶滅?したのも依り代となった人間がいなくなったから……?
そこはやっぱりフィーネの勘違い、誤解の結果、偽りの事実が伝えられているのだろうか。
エンキも自分の行動の真意を伝える術を持たないと言っていたしね。
無印から入念に引っ張ってきた盛大なミスリードの可能性が微レ存……?




「未来?」

「小日向ッ!?」

エクスドライブに囲まれて大ピンチ……に見えて聖遺物特効を持つローリング神獣鏡ライフルで瞬殺できるのがシェム・ハである。
よし、いっちょ神の力を見せつけるためにエクスドライブを噛ませ犬にしてみっか!
……と思いきや衝撃が走り不調を見せる。
ざっこwwwwwwwww神のくせにざっこwwwwwwwwwwww




「身に纏うそいつは……ッ!」
「まさか、あの時と同じッ!?」


ここでクリスはある事実に気付く。
神獣鏡……その機能の一つであるダイレクトフィードバックシステムに!
Gにおける未来さんの洗脳、ウェル博士がエロ同人のために用意した機械じゃなく、神獣鏡の機能の一つなんデスよね。
加えて神獣鏡には聖遺物に対する特効効果を持つ……
それでシェム・ハの腕輪の力を弱めて例え相手が神であっても作用する力となっているのだろうか。
スゲェな、神獣鏡……神にも通用するとか特殊効果が強すぎる……
逆に言えば特殊効果、哲学兵装は神にも通用するということになる。
殺しちゃうけどな☆





「そして――刻印、起動ッ!」

クッソ手際のいいお爺ちゃん、すかさず不浄なる視線ステインドグランスを起動させる。
それによって翼を動かしシェム・ハをさらわせるのであった。
コンソールにはシェム・ハの肉体が表示されていることから、この不調は訃堂の手によるものであることもわかる。
にしても、何かもう命令とか何もなしに意のままに動かしている。便利にもほどがある。
いや、小声+早口で未来さんをさらえって言ったのかもしれないけど……





「先輩ッ!?」

「何で……翼さん……?」

「全てはこの国のためにッ!!」

防人、防人るどころか、ついには訃堂る。
これには装者全員が戦慄する。
翼はそんなこと言わない!
オレが何もしないで未来を返すと思ったのか!? ボケがぁ!!




「ただ面で制圧するなんてッ!」

「らしくないばらまき――およ?」

さらに仲間たちに千ノ落涙をぶっ放す。
防人、あなたは狂っているんだ!
とはいえ、ただの面制圧、つまりは数撃っただけで狙っておらず装者たちが食らうわけもない。
技量に劣るザババコンビにもこの反応デスよ。
最近のこの二人は翼に厳しいな!




「………………ッ!?」
「動きを封じて……ッ!!」


が、真の狙いは乱れ影縫い!
AXZ第12話で破壊神ヒビキに用いた大量の影縫いを技として昇華させたものだろうか。
さすが装者随一の技量の持ち主であり、装者全員を無力化することに成功する。
そして、これにて影縫い、全シリーズに登場するのだった。
……GとGXは防人じゃなく緒川さんが使ったけどな(ボソッ



「私はこの国の防人なのだッ!!」

何か言ってますよwwwwwwwこの人wwwwwww
ちょっと前まで命を盾に希望を防人れとか偉そうに言っていたのにwwwwwwwwwww
と草生やして笑いたいところだが、仲間に剣を向けるまで防人れば話は別だ。
翼はシェム・ハを担いだまま、仲間たちの元を離れるのだった。
それはS.O.N.G.からの明確な離反を意味する行為であった。
メンタルを追い詰められて追い詰められて、そして、訃堂のトドメでついに折れた翼さん……カワイソス……
何より訃堂は翼の操縦が上手すぎる。人心掌握にも長けているのが手強い。




「先輩……」

「一連の事件を操っていたのが風鳴機関だなんて」

「信じたくはないデスよ……」

さて、現在。
謹慎中の響と離脱中の翼を除いた装者たちは悲嘆に暮れていた。
力を合わせることが装者たちの強さだったが、その力を合わせられない状況に追い込まれてしまった。
状況に最善で向かい合えないのはフラストレーションが溜まるしメンタルに来る展開だ。
俺も毎回防人弄ってるけど実は辛い。ホントダヨ。
そして、さりげなく訃堂が黒幕であることが通達されたようだ。
前回の作戦の時点ではこの点に触れられていなかったことから、確信には迫っていなかったのだろう。




「それでもあたしは信じてる」
「不器用なあの人に裏切りなんて真似、できるものか」


「わたしだって疑ってないッ!!」

「翼さんは大切な仲間デスッ!!」

ザババコンビは出だしで大活躍したからか、最近はあまり見せ場がない。
しかし、翼への強い信頼に裏付けられたこの言葉には積み重ねてきた時間を感じさせる。
もはや半人前ではない。実際、序盤の大活躍は大きい。
クリスの台詞も長年戦いを共にしてきたことを感じさせる。
……まぁ、不器用だな。君も相当に不器用だけどね。シンフォギアの人たちはみんな不器用。
その点、意外と器用というか上手く立ち回っているのが実は切ちゃんなんデスよね……



「おそらくはあの魔眼に……」

地味に無事! 救出完了済みのエルフナイン!
あまりに自然に無事だから最初から何もなかったのではないかと思ってしまった。
こういうところの描写は思い切って省くのがシンフォギアらしさですね。

で、気になるキャロルのことも一切匂わせない。
誰か少しくらいは聞いてやれよ。
キャロルなんていなかったんや! ボクが一番ダウルダブラを上手く使えるんだ!
今頃、必死にコピペ中なんだろうなぁ……
きっと未だにUSB2.0だからデータをコピーするのには時間がかかるんだ……

さて、エルフナインは不浄なる視線ステインドグランスを食らっている。
なので、そこに翼の謀反の理由があると見ていた。
さすがの鋭さ。見事な読みである。
もっとも、推測にしか至っておらず策の立案には至っていない。
錬金術マスターのキャロルがいれば具体的な策を立案してもらえたかも。
いや、けっこう大雑把だから気合いで何とかしろしか言われないかもだけど……
実際、あやつは気合いで何とかした。




(私だけ……?)

そんな中でマリアに発令所へ赴くようにメッセージが届く。
聡いマリアはこれだけで自分だけ来るように言われていることに気付く。
みんなが来るように言いたいのなら全員に通達すればいいワケダ。
とはいえ意図にすぐに気付くのは聡い。さすがエージェント。
これが今の防人なら余裕で漏らして台無しだ。






「小日向……」

「否、我が国に相応しき神の力であるッ!」
「ダイレクトフィードバックシステムによる精神制御は間もなく完了する」
「その時こそ次世代抑止力の誕生よッ!!」


さて、風鳴研究所(仮)。
そこにはシェム・ハが捕えられていた。
やはり、ダイレクトフィードバックシステムであり、それによってシェム・ハを掌握、国防のための兵器として用いるのが訃堂の狙いであった。
そのための神獣鏡……あとそのための神の力……
神! 暴力! 防人る! 神! 暴力! 防人る!

結社が崩壊した以上はめぼしい脅威はなくなったはず……だが、米国が反応兵器を撃ち込んでいる。
日米間の関係は極めて緊張に満ちており一刻の猶予もない。
ましてアダムによってカストディアンの復活が予言されたワケダ。
訃堂がこのような強硬策にして凶行に走るのも無理がないかもしれない。



「しかし、櫻井女史亡き今どうやってシンフォギアを――」

「シンフォギアにあらずッ!」
「神獣鏡のファウストローブよ」
「だが、それを作った者も今はどこぞで果ててしまっておるがな……ククク……」


神獣鏡、まさかのお手製のファウストローブだった。
かつてカストディアンが使っていたオリジナルのギアとかそういうのじゃなかったんデスね。ちょっとだけ残念。
当然、作ったのはファウストローブの開発者であるヴァネッサだろう。
つまり、訃堂はノーブルレッドに翼の精神掌握、シェム・ハの腕輪の起動、神の力の具現化に加えてファウストローブの制作までさせていた。いくら何でもこき使いすぎである。
とんでもねえブラックだな、風鳴機関……ノーブルレッドもよく付いていったものである……
そんな忠義者に捧げる笑顔がこれ。外道の教科書として採用したい。




(そうしなければならぬと囁かれ、あの時は疑いもせずに行動した)
(なれど本当にそれが正しかったのか?)
(私は――……)


メンタルが怪しい翼もこの外道スマイルには引く。そりゃ引くわ。
翼は自分で判断することを止めて訃堂という大樹に寄り添っている状況だが、残された良心や理性が現状を由としないようで吐きそうなくらい苦しむ。
うっ……正直、こういう時の防人というか吐きそうな女の子を見ると興奮する……
ともあれ、不浄なる視線ステインドグランスによる洗脳は絶対ではなく、精神への甚大な負荷を伴うことがわかる。





「――翼」
「何故、連中に止めを刺さなんだ」


「そ、それは――」

「まぁ、よい」
「だが、惑うな」
「そのように脆弱な心ではやがては折れてしまう」
「護国のために鬼となれ」
「歌では世界を救えぬのだッ!!」


「……はい」

お爺ちゃん、何だかんだで翼にはけっこう甘い。
装者たちを始末しなかったことをあっさりと許している。
いや、全てを否定してしまえば完全に折れて使い物にならなくなるからか?
過酷を課せどギリギリで折らせず防人るように導く……
さながら優秀なブラック企業の社長の如し。
ただ……それでもやはり訃堂は翼を買っていることがわかるのだった。
人間として完成している弦十郎や八紘より未熟な翼の方が扱いやすいというのがあるかもしれないが……




「早速だが君に新たな任務の通達だ」

「かねてより進めていた内偵と政治手段により風鳴宗家への強制捜査の準備が整いました」
「間もなく執行となります」


「風鳴宗家ってあなたたちや翼の……」

「そうだ、もはや一刻の猶予もない」

さて、マリアさんだけ発令所へ赴くと任務の通達が行われる。
ついに訃堂に刃を向ける手筈ができたようだ。
アンティキティラの歯車を見つけてからここまで辿り着くまでにけっこうな時間がかかった。
……けど、実際のところは1~2日くらいだろうか。
第5話からそんなに時間が経過していないはずだし……
シンフォギアはたまに1日の密度がヤバいことになる。




「風鳴訃堂自らが推し進めた護国災害派遣法違反により日本政府からの逮捕依頼だ」
「状況によっては殺害の許可も下りている」


「殺害って……それは翼に対してもッ!?」

そんな訃堂を追い詰める一手として用いたのが訃堂が作り上げた護災法だった。
護災法は訃堂が無理矢理通した法案故に野党の反発が大きい。
それを用いて訃堂を失脚できるとなれば喜んで力を貸した人間も多いだろう。
訃堂は要人なれど比較的速やかに逮捕に繋がったのはこうした裏事情も大きいか。
そして、こうした清濁併せた駆け引きで追い詰めた八紘の政治的な手腕の高さがわかる。
訃堂は政治的な強さも持つがここ一番では八紘が一枚上手のようだ。

だが、ただ訃堂を倒せばいいだけならまだしも、翼が訃堂側にいるのが厄介な状況である。
翼の殺害さえ致し方なしとなればマリアさんも困る。ビビる。驚く。
だからこそ、未成年の装者は呼び出されないのであった。
落ち着いたG以降の翼は有能の極みだったが、XVの防人はとんだトラブルメーカーだよ……





「任務とはいえ承服できないわ」
「刃の下に心を置くってそういうこと? 違うわよね」
「どんな理由があろうと家族が家族を殺すなんて間違ってるッ!!」
「私は翼を引きずってでも連れて帰るために同行させてもらうわッ!!」


マリア△……
自分の意志なく訃堂に振り回されるままに防人っているブレブレの翼と比べると、確たる自分の意志を持ち戦場へと踏み込もうとするブレないマリアの強さがどれほどのものがわかる。
自分の全てである家族を失った身だからこその粘り腰か。
この人が本当の剣なんじゃない?
アガートラームも剣なのですか?

ついでに刃の下に心を置くのは忍びの文字デスな。
たまにけっこうわかりにくい例えするなー、この人。
ともあれ、緒川さんの持つ優しさが翼を幾度も救ってきたように非情に徹するだけが忍者ではないのだ。
非情に徹するように諭す訃堂と甘さを強く貫こうとするマリア……
翼の天秤はどちらへと傾くのか。防人口調は治るのか。





「途中から気付いていたが……どうにも俺なんかでは助けになれそうな話じゃなさそうだ」

「話を聞くって言ったのそっちのくせにー」

「それはそうなんだが……すまん」

さて、夕暮れ。
ラーメンを出したのはおそらくは昼食だろうから、洸は響の悩み……というか苦悩をじっくりしっかりと聞いたようだ。
……が、まぁ、洸なので特にこれと言った答えは出せないのだった。
訃堂は子を力尽くで導こうとするが、洸は子を導くことができない。
二人の親の対比であった。

それでも投げ出さずに洸は響の悩みを聞いた。
洸は相変わらずいまいちだ。ぱっとしない。
けれども、かつてのように投げ出すことはない。
訃堂は娘をまったく理解しないが、洸は娘を理解しようとしている。
二人の親の対比であった。




「わたし、呪われてるかも」

懐かしい……無印以来のわたし呪われてるかもだ……
無印の頃は口癖だったがGから急に言わなくなった。
実際、Gの途中で浄罪されて呪いがなくなった。
まぁ、言わなくなった理由はそんなわけもなく、何とも不甲斐ない洸に対してふと零れてしまったのだった。
この一言に洸はハッとする。
前向きな娘らしからぬ言葉だからか、あるいは娘を失望させてしまったことを恥じたのか……
ともあれ、何か引っかかるものがあったようだ。
あ、この台詞、久し振りに聞いたみたいな理由は止めて欲しいゼ!




「――開門」
「私の権限が及ぶセキュリティは解除可能だ」
「速やかに風鳴訃堂並びに帯同者の逮捕、拘束を――」


さて、風鳴宗家。
弦十郎に緒川さん、マリアさんに八紘に黒服と完全装備で乗り込む。
八紘いらないんじゃね?と思ったがセキュリティを解くために来たのであった。
どうやら弦十郎には権限が与えられていないらしい。
国連所属の組織に属しているからか、訃堂は弦十郎との距離を取っているのだろう。
……まぁ、司令にとってそもそもセキュリティなどクソも意味を為さないだろうけどな!




「アルカ・ノイズッ!?」

こんにちは、死ね!
XVの俺たちは魂を躊躇なく散らすゼ。
結社が作り上げたアルカ・ノイズを使用するとは訃堂、どこまでもやりたい放題だ。
あなた、実はバルベルデ生まれですか?



なお、マリアさんがノイズさんを即退治。
スピード感半端ねえな!




「いいか、マリア君ッ! アマルガムは――」

「わかってるッ! 私だって謹慎はごめんよッ!!」

「頼むぞッ! これ以上の横紙破りはS.O.N.G.の国外退去に繋がりかねないのだッ!!」

改めてアマルガムの使用は禁止を言い渡される。
規約を破るのは個人の問題に留まらない。
それを口実に対外勢力の干渉を許すことになるのだ。
粗を探してそこを突くのが政治家の仕事ですからな(偏見)
この辺は二課に法令を遵守させることでその活動の自由を保障しようとした広木防衛大臣イズムを感じさせる。
亡くなってからちっとも話題に出なくなった広木防衛大臣であるが、その魂は生きているのだ!
……まぁ、あまり関係ない気はするけど。




「予定時間にエンゲージッ!」

「だけど、活動制限の完全解除がまだッ!!」

「一体何が起きてるんだッ!?」

さて、この任務、未成年組には通達されていなかったようで今になって状況に気付いて驚く。
任務に不服だったマリアさんも未成年組には関わらせないことには同意したようだ。
さすがフィーネを名乗った女。貧乏くじを引くなら自分が、ということか。
フィーネの器などとその気になっていたお前の姿はお笑いだったゼ!





「家宅捜索、急げッ!」
「証拠を押さえよッ!!」


ダンジョン風鳴宗家に突入!
訃堂、あっさり発見!
オイオイ、ボスキャラがダンジョンの入り口すぐにいたよ。
話早ェな、このジジイ。
それじゃボスじゃなくてFOE扱いですか?
強いには強いけどそこまででもありませんか?



無理。これ、ストーリーボスより強い隠しボスだ。



出た。イベント限定バランスブレイカーの弦十郎だ。



「国連の狗と成り下がった親不孝者め」
「何のつもりでまろび出たッ!?」


「無論、あんたを止めるためだッ!!」

そして、弦十郎と訃堂が交わる。
ついに……ついにこの時が来た。
視聴者の誰もが待ち望んだ風鳴の頂上決戦である。
いやいや、訃堂ってお爺ちゃんですよ。
お爺ちゃんが戦えるわけないじゃないですかー。
きっと策謀で弦十郎を惑わすに決まって……






「なにッ!?」

武力100%。弦十郎と訃堂のガチンコが始まった。
超常で鎧ったマリアでさえガチ困惑する超常以上の異常がそこにはあった。
そう、弦十郎はただ強いから強い。
ならば父の訃堂もまたただ強いのが道理、必然、理。
いやぁ、シンフォギアはこうでないと……
でも、これ、美少女変身バトルアニメだよね!?






「そうね、そうよね」
「逢えて良かった」
「あなたには聞きたいことがたくさんあるわ」
「――翼ッ!!」


その一方で無印のBGM「逆巻く血風」と共に対峙するのはマリアと翼!
翼はマリアに、仲間に対して不意打ちで幕を上げた。
翼の戦いは守るための戦いであり殺すための戦いではない。
なので、殺すための一撃、不意打ちをすることはないのだが……
この一撃でどれほど訃堂っていることがわかる。

マリアさんの「逢えて良かった」という台詞から抱えている想いが伝わってくる。
そう、マリアは翼に逢いたかったのだ。自分たちの元を離れた仲間に逢いたかった。
マリアにはもう逢えない人たちがたくさんいる。
けれど、翼とはまだ逢えるのだから、逢いたい。
……言葉が重いな、心に響く。




なお、翼VSマリアはG第4話を彷彿とさせ、その構図にもオマージュが感じ取れる。(正確にはG第3話。戦ったのは第4話)
そう、元々はライバルの関係から始まったのが二人であった。
翼の精神状況が無印に戻るにつれ、二人の関係もそこに戻りつつあるようだった。
そういえば、あの時はマリアが翼に不意打ちしていた。意趣返しだ。



そんな二つの戦いが始まった風鳴宗家を見つめる人影があった。
このヒール……アクセサリー……
君、もうちょっと忍べよ。
本当に忍者か?(忍者ではありません)





「風鳴訃堂に与することがあなたの言う人を防人るということなのッ!?」

「そうだッ! 神の力はそのためにこそッ!!」

「まったく血の通わない言の葉ねッ!!」

「言うに事を欠いてッ!!」



ダメさ加減ががっつり突っ込まれる翼。
うーん、だよね! ダメだよね!
同時にこうした突っ込みができることにマリアの翼に対する理解がわかる。
絶賛迷走中の翼だがここに至るまでにたしかな信念を貫いてきたし、その信念は仲間たちに理解され信頼されているのだ。
今でこそダメの隠喩である防人だが立派な防人で剣だった時があった。





「思い出しなさいッ!」
「あなたの居場所、あなたの仲間ッ!」
「あなたがあなたである理由ッ!!」


「私が、私で……ッ!?」

「そうよッ!」
「神の力なんかじゃない」
「あなたがあなたの力で人の命を守る理由をッ!!」


その問いかけはGの頃にマリアが自問したようであった。
あの頃のマリアは守る理由を見失ったからこそ迷走した。涙した。ウェル博士を頼った。Appleを唄った。
が、最後にセレナの問いかけで本当の理由を見つけている。
こうした挫折があるマリアだからこそできる問いかけであった。
そして……翼は理由を見つけている。無印第13話で空飛びながら守る理由を言っていたし。
理由を見失っているとわかっているからこその問いかけでもある。






「知れたことをッ!!」
「人は弱いからだッ!!」
「弱き命だからこそ強き力で守らなければならないッ!!!」


翼の意趣返しNo.2、G第2話で食らったマリアの蹴りのお返し。
そこからさらにAXZ第1話で戦車を八つ裂きにした無恐三刃である。
……無恐三刃でボールみたいになって切り裂く技だったのか。
思った以上にイロモノだった。カポエラやる人だから今更である。



ついでに蹴りで最初に思い出したカットはこっち。
こっちは詐欺。マリアさんは本物。何がとは言わんけど。




無恐三刃、見た目は面白いけど威力はとんでもない。
マリアさんの身体が傷付けられていく。
はい、セクシーカット(棒読み)
一見するとシンフォギア得意のお色気ギャグ(お色気シーンでむしろ笑わせる荒技)だけど、翼はマリアを殺す気で刃を振り下ろしていることがわかる。
剣と言うよりもただの兇刃である。悲しひ……






「弱いからだなんて傲慢ね」

仲間を手に掛けることさえ恐れることの無い三つの刃が襲いかかる。
鮮血が舞うが……マリアは切り裂かれながらも刃を受け止める。
面白いポーズで。
面白いポーズで。
どっちも面白いポーズで。
この人、最近は真っ当にメチャクチャ格好いいし、翼への問いかけも熱いのに、こういうところは堂々全力で外してくるんだよなぁ……
身体付きは最強にエロいはずなのにあまりエロくないのはそういうとこやぞ。





「何だと……ッ!?」

「まるで誰かを守っていないと自分を保てないみたいじゃない」

「………………ッ!!」

今の翼はかつての自身の映し鏡だからか、その葛藤を穿つ。
そう、防人防人だとうわごとのように呟いていたけっこうアブない人だった無印のように、守るべきモノを見据えることができていない。
だから、翼の言う弱き人々が住まう町を傷付けてしまう。
今の翼は壊れモノが目隠しして階段を駆け下りているみたいでドキドキするでアリマス!





「いつからあなたは『誰か』ではなく『自分』を守るようになってしまったのッ!!」

かつて母が、マムがきりしらを叩いたようにマリアは翼の頬を叩く。
厳しくも最短で最速で真っ直ぐに一直線に翼の心を貫いたその言葉に不浄なる視線ステインドグランスはついに破られるのであった。
そう、結局、ライブの惨劇から翼は自身を守っているだけだった……
マリアが抱いていた疑惑は訃堂の元へと逃げ出したことで確信へと変わったのだろう。




「弱きを守るは……理由たりえない……」
「じゃあ私は何のために……いつまでも防人防人と馬鹿みたいに繰り返してきたのよ……」
「わからない……わからないわ……」


出た……無印以来の少女モードの翼だ……
本当の本気で弱った時には翼はただの少女のような口調になる。
こうして訃堂の命令で自身を支えることもできなくなり、完全に心が折れて泣きじゃくることしかできなくなるのだった。
しかし、馬鹿みたいに繰り返してきたって自覚あったんかい!

そんなわけでマリアVS翼は翼が折れることで決着した。
マリアは万全のメンタルなれど倒す気はなし、翼は倒す気どころか殺す気であったけれど最悪のメンタル。
勝負と呼ぶにはあまりにも歪であり、その結果、勝負にさえならなかった。
何せ剣はボロボロだったのだ。
少し振っただけでバキバキのボキボキに折れた。
でも、剣は折れてからが熱い。無印で実証している。



ついでに翼さん、子供の頃はガチお嬢様。
そりゃただの少女にもなりますよ。
こんなお嬢様が防人語を叫ぶ剣になるとは誰が予想したか。
でも、この頃から八紘には恋の桶狭間を唄っていた。
うん、ただの少女じゃねえな、風鳴翼……





一方、最強と最恐の対峙は続いていた。
座敷はバトルフィールドとして狭すぎるのか、いつの間にか屋根の上で向かい合っていた。
素手の弦十郎と剣の訃堂。
その手で人々の信頼を掴んで歩んできた者とその刃で人々を切り裂いて進んできた者を象徴するようである。
この激突はシンフォギアシリーズ最大の大一番と言えよう。
でも、これ、美少女変身バトルアニメだよねェ!?





ついに最強と最恐の激突が始まる。
初手は訃堂の突きより始まる。
殺すなら斬るよりも突き。
つまり、訃堂は初手より息子を殺す気である。

当たり前に考えれば剣を持っている訃堂の方が有利。
だが、弦十郎は完全聖遺物を相手に素手で優勢に渡り合っているため、当たり前という概念が意味を持たないのは当たり前。
そのため、槍と刺突に匹敵するかそれを越える突きを捌いていく。
AXZ第8話で天羽々斬を捌いた技量は伊達ではない。






弦十郎は突きを数度捌いたことで切っ先を見切ったのか、翼相手に披露した指で白刃取りで受け止める。
そして、貫手を放つのだが訃堂も伊達ではなく紙一重で、それでいて表情を変えずにかわす。
強い。弦十郎も圧倒的に強いが訃堂も圧倒的に強い。
その強さ、美少女変身バトルアニメではやってはいけない類の強さであるが、それを積み重ねてきたのがシンフォギアシリーズなので強さの説得力が氾濫しすぎてぐうの音も出ない。





手刀をかわしざまに訃堂は袈裟斬りを放つ。
が、弦十郎はそれを大ジャンプでかわす。
装者でもそこまで飛ばんぞ、アンタ。
飯食って映画観た結果がこれだよ!



斬撃のあまりの鋭さか、まったく無関係な場所で爆発が起こる。
スゲー……訃堂スゲー……






飛んだ弦十郎に対し訃堂は対空式の牙突参式を放つ。
だが、それさえ白刃取り!
指先でも白刃を取れるのなら両の手を使えば空中であろうと可能か。
桁が違う。
MEGA DETH PARTYを掴み取れる弦十郎だからこそできる荒技だ。装者なら多分絶対に無理。






「――もらったッ!!」

弦十郎は剣を奪い捨てる。
そして、先ほどのように貫手を放つ。
……かと思いきや直前で握り拳へと変化させる。
弦十郎の手刀は間違いなく剣による突きかそれ以上の破壊力と殺傷力を秘める。
相手は外道とはいえ父。
倒せばいいのであり、殺すことは目的ではない。
その想いが貫手から正拳へと変えさせたのだろう。






「――果敢無き哉」

「ぐぁ……ッ!?」

だが、それが躊躇となり弦十郎は穿たれてしまう。
無印第11話もそうだった。
またも弦十郎の持つ甘さが躊躇となり勝機を逃がしてしまうのだった。
そして、訃堂は素手でも強い。
訃堂は予想通りに予想以上で期待通りに期待以上の強さだった。






訃堂に甘さなどない。翼にだけ甘いけど弦十郎には初手より殺す気だったので厳しい。
なので、弦十郎への追撃は終わらない。
腕を極め受け身を封じた状態で飯綱落とし!
しかも、土の地面ではなく庭石に叩き付ける。
全力だ。全力で殺す気だ。そして、そこまでやらないと弦十郎は殺せない。



「儂を殺すつもりで突いておれば、あるいは――」
「とことんまでに不肖の息子よ……」


訃堂は最強の弦十郎に勝利した。
生きとし生ける者の中で最強が弦十郎なのだが訃堂はそれを凌駕した。
しかし、その差はあくまで紙一重。
訃堂としても弦十郎の躊躇に救われた自覚はあるようだ。
躊躇がなければ弦十郎は勝てたのかもしれないが……その躊躇こそが弦十郎が弦十郎たる所以にして弦十郎の強さそのもの。
OTONAがOTONAであるためには決して省けない躊躇であり、それを失えば訃堂のようなGEDOUに成り下がるのだろう……




こんばんは、ノーブルレッドだゼ!
しぶといね、君たち! まぁ、毒ってデバフの中では何とか耐えられる範囲だからね!
あ、わかった! 訃堂の袈裟斬りの後の謎の爆発、君たちが風鳴研究所(仮)に侵入したヤツでしょ!
セキュリティ解除できないからね。仕方ないね。





「奴らが派手にやり合っている今こそウチらのターンだゼッ!!」

「どうするでアリマスか……」

「神の力の管理者権限をこちらに移し替えるの」
「私たちを簡単に切り捨てた風鳴訃堂には相応の報いを受けてもらわないとね」
「よし、これでダイレクトフィードバックシステムを――」


君たち、ホラー映画で真っ先に死ぬタイプでしょ……
というわけで、ノーブルレッドはシェム・ハの横取り作戦を敢行するのだった。
じゃけん管理者権限を移し替えましょうねー。
そのためにはまずは管理者権限の解除をしましょうねー。
あ、あの、シェム・ハさんの所属を中立にすればヤバいと思うのですが……
人間に利用されるなんて遺憾どころか激遺憾スティックファイナリアリティぷんぷんドリーム(神)だと思うのですが……





「何を――」

「お、おいッ!?」
「これって――」


おはよう! 遺憾である!
ちゃんと好きに使われようとした記憶はあるようで目覚めからマジギレ。
というわけで、エルザが目覚めの一閃、ビームサーベルで貫かれる。
あっ……(察し)



さらに振り抜かれてミラアルクも吹き飛ばされる。
ミラアルクの腕と胴体がButtagiri!
当然、エルザの胴体もMapputatsu!
し、死んだ……あっけなく殺した……
神にとってヒトの命などゴミ同然と申しますか……
ましてノーブルレッドは誰かの命を軽く扱ってきたのなら、自分の命も軽く扱われても文句は言えない。
見事な自業自得……



「エルザちゃんッ!? ミラアルクちゃんッ!?」

家族の突然の死にヴァネッサは戸惑いながらも銃口を向ける。
おい、ザクマシンガンでガンダムに勝てると思ってるのかよ。




ヴァネッサは一矢報いることもできず、両断されてしまう。
胴体か、あるいは首か……
ヴァネッサもMapputatsuでButtagiri。
ノーブルレッドはあっさりさっぱりすっぱり命を散らすのだった……

でも、ノーブルレッドの目的は神の力で残された人間部分の再生である。
なので、ジオングというかターンエックスになってもシェム・ハさんの気まぐれで再生できるかも……?
大丈夫大丈夫、ナメック星人なら頭が潰されなければ再生できるから。
残された怪物部分を再生させるかもしれないけどな!




「帰ろう、翼」
「みんなのところに――」


さて、マリつば。
マリアさん、お母さんモード発動。
ばぶぅ……
翼は答えを見失って迷走しているが……それは仲間といれば見つけられるかもしれない。
少なくとも歯車が狂うまでは翼は守る理由を意識せずとも守りたいモノを守れていた。
混乱した情勢の中でもライブで唄うことを選んだのはそれを見通せていたからだろう。
そう、マリアさんは翼をわかっている。最大の理解者だ。





「づぅあぁああぁああッ!!」

「――マリアッ!?」

そんないいシーンの後に正拳で吹っ飛ばすとか止めてくれ、笑うから。
スゴい。訃堂スゴい。やりたい放題好き放題。
この正拳突きはシンフォギアの一撃に匹敵するか凌駕すると思われる。
何でマリアさんは原型留めてんだよ。
あ、この人、生身でも相当なスペックの高さだった。
だから、何とかかんとか全身複雑骨折と内臓破裂くらいで済んでいるのだろう。
きりしら辺りが食らっていたら多分センベイになってたな……






「儂の元へ来い、翼ッ!!」
「防人ならば、風鳴の血が流れているのならばッ!!」


「できませんッ!」
「もはや何を力と変えて立ち上がればいいのかわかりません……ッ!!」


「刻印、起動ッ!!」

「私は……もう……」

不浄なる視線ステインドグランスを活用して翼を動かそうとする。
が、既に砕かれている。
折れた剣は折れた剣のままだった。
刻印が砕かれる時は翼の目覚めの時かと思ったが……まさか、全然折れていた。
それは真の防人である訃堂の一振りとしてもう使えないということであり……





「お前もまた……風鳴の面汚しか」
「この親不孝者めがッ!!」


ここで銃かよ!? ムービー銃でしょ、それ!?
だが、装者が相手でも生身に対しては銃は必殺である。
殴るよりも斬るよりも手っ取り早い。
歌よりも銃弾は遙かに早く躊躇なく命を奪う。
こういうところで手段を選ばず合理的なのが訃堂の恐るべきところか……

なお、使っている銃はモーゼルデスな。
ハッキリ言って、古い。1896年産だよ。
……この銃にも曰くがあるのだろうか。
先人の防人が遺した品であるとか……





その時、父が娘を守るために命を盾に防人る。
こういう時に頼りになりそうな緒川さんは負傷した黒服を背負っていたので間に合わなかった。
……この黒服は訃堂の足止めをしていたと思われる。
それ以外にこの重傷の理由は説明できない。
アルカ・ノイズなら重傷の前に瞬殺でアリマス。




発令所にいる皆も言葉を失う。
八紘が翼の父とわかってからは(あと親馬鹿とわかった)装者たち全員も付き合いが増えたと思われる。
そんな身近な人間、何よりも翼の父に襲いかかった突如の悲劇に絶句するより他なく……




「あ、あぁ……お父様……ッ!!」

「フン……ここにもまた愚息がおったかッ!」

うわぁ、この人、ストロング・ザ・外道……
命を盾にした息子を愚息とせせら笑った。
こ、ここまで外道だったとは……
無印の頃から温存してきた甲斐がある強さと外道さである。
それに対して翼は……慟哭することしかできない。
無印第12話でクリスの死(死んでない)を笑ったフィーネには激情を滾らせたのに……
仲間の死と身内の死は違うということか。
こうなると読んでいたからこそ、例え訃堂の死であっても家族の死は翼に大きな傷を残すと読んだからこそマリアはそれを避けようとしたのだろうか……





「どうして……お父様が……ッ!」

「私以外の男に……お前の父親面などされたくなくてな……」

「あ……あぁあ……ッ!!」

八紘の娘への愛情がどれほどのものか、ただこの一言でわかる。
二人のわだかまりが溶けておよそ半年未満……
たった半年だが翼にとっては貴重な半年。
そして、八紘にとってはずっと燻らせていた想いを届けることができた半年……
その時間の重さが落涙する理由と守護る理由に表れていた。




「翼……人は……弱いから守るのでは……ない……」
「人には守るべき価値があるからだ……」
「それを……忘れるな……」


「お父様ぁ……ッ!!」

風鳴八紘、娘に自身の答えを示して逝く。
それが翼の答えになるのかはわからないし、それをただ自身の答えとするのでは訃堂と変わらない。
ただただ、静かに燃える炎と例えられる男の何たるかを、人を信じ抜く心意気を見せたのだった……
そうか……カップリング曲の「風のあなたに」って八紘に捧げた歌だったのか……
そりゃキャラソンが発売延期するでアリマス……

……でも、曲がりなりにも風鳴ならけっこう平気そうな気がするんですけどね!
ほら、緒川さんが側にいるし……
忍者の秘伝薬とかでさ……



「逝ったかァッ!!」
「親に逆らうからだァッ!!!」


ハイパーウルトラオメガファイナルファンタスティックゴールデン妖怪腐れ外道!
ブレない。ブレなさすぎる。
いやもう、金子のおっさんの生き生きとした表情かおが伝わってくる。
楽しいだろうなぁ! だって7年間秘蔵してきた訃堂を大爆発させているんだもん!
そりゃ強い。ここまで強固な精神を持っている人間が弱いわけがない。




「守るべきの人の価値……」
「それが何なのか……未熟な私には知るべくもありません……」
「それでも――私の歌を、聞いてくださいッ!!!」


GX第9話の時と同じ叫びだが……状況はまるで異なる。
かつては父の心を理解し光明を見つけた歌。
今は無明の中で惑うがそれでも進むための歌。
そう、翼は八紘の死を前にしても答えを見つけられていないのであった。
それでも不器用な翼は自分の想いを歌に乗せることでしか心を示せないからこそ唄うのであった。




「Imyuteus amenohabakiri tron――」

そして、2回目の変身バンク! ラピス!
この辺、しっかりと規則正しくノルマを消化していますね。
通常Verと水着Verの変身バンクを作らせて怒られた金子彰史はいないんや!




そして、唄う! Defender’Z Brand!の2番!
シンフォギアにおける必殺技、土壇場での2番絶唱が炸裂した。
無明なれど決意と共に訃堂へ立ち向かい剣を振るうがかわされる。
無論、かわしても何もおかしくない。弦十郎に匹敵する実力を誇る訃堂ならシンフォギア相手でも遅れを取るはずがない。




かわすどころか斬撃を見切って投げる。
や、ヤベえ……!!
このジジイ、マジ強ェ……!!!
しかも、何が恐ろしいってシンフォギアと互角に渡り合うことに微分子レベルで違和感がない!!!
風鳴は強い。無印の頃から積み重ねてきた真理である。故に違和感などあるはずもなし。
そんな風鳴の長との決戦を迎えるのはまさに最終章に相応しい……





しかし、翼の技量は装者随一。
投げられながらも蹴りで反撃を狙う!
その蹴りを見切って脚を掴んで投げるとかこのお爺ちゃん、ちょっと強さがどうかしてる。
……そりゃそうだ。弦十郎と対等に渡り合ったんだ。これくらいやるよ。
それでも翼はさらに蹴りで反撃を狙う。押されているとはいえ押し潰されてはいない。
それにしても最終決戦並みに盛り上がった第8話の後に、生身のジジイとの激闘でここまで盛り上げるとか構成力狂ってますよよよ……






押している訃堂であったが素手では決め手がないと判断したのか、一度身を翻して弦十郎に投げ飛ばされた剣を手に取る。
剣対剣! 防人対防人! 風鳴対風鳴! 娘対父! シンフォギア対生身!
夢の戦いですよ、これははは……

そして、翼が放つのは風輪火斬である。
G第2話のマリア、GX第1話のファラと未知の強敵に放つことが多い。
マリアにもファラにも決定的なアドバンテージは取れずとも当てるには至っている。
風輪火斬は威力こそ必殺級ではないものの見切りにくく初見では特に効果が期待できる技なのだろう。
現状、翼は訃堂に押されている。
状況を打開するためにも風輪火斬で一撃を当ててそこを橋頭保にしようという考えだろうか。




対して訃堂はおよそ一切の流派に聞いたことも見たこともない奇妙な構えを取り、歩んできた外道の道を象徴するように異形の筋肉を蠢かせる。
これは尋常の剣術ではない……読めぬ……太刀筋がまったく……
なお、片方の手は切っ先に沿わせている。
こ、これは虎眼流奥義の星流れでアリマスか……!?



風輪火斬何するものぞ!
まさかのカットイン返し。
シンフォギアの必殺技を小細工も何もなしにただの力で生身で正面から破った。
つ、強い……ひたすら強いし理由も何もなしに強い。
まぁ、飯食って防人って寝たんでしょうな。
真の防人の鍛錬はこれで十分!



「生身でギアを圧倒ッ!?」
「このままではッ!!?」


あ、あの、友里さん……?
生身でギアを圧倒することに驚くのはわかるんデスよ。
でも、このままではってなんぞ?
このままでは負けるって言いたいのか?
スゴい。意味が繋がっていない気がするけど意味が繋がっている。




「歌で世界は守護まもれないッ!!」
「人が繋がり理解わかり合うなど片腹痛しッ!!」


風輪火斬を破って攻守は逆転、今度は訃堂が猛攻を仕掛ける。
生身の剣でギアを破壊していく。
翼の象徴であるチョンマゲの髪留めが吹っ飛ばされたよ……
まぁ、弦十郎は完全聖遺物、それも防御力自慢のネフシュタンの鎧を砕いたからね。
そりゃ訃堂だって同じことができるというか、防御力なら確実にネフシュタン以下の天羽々斬を砕くなんて楽勝でアリマスよ……

それにしても訃堂の言葉が重い。
桁外れの外道なれどそこに至ったのは人がわかり合えない姿を見てきたからだと窺わせる。
そういう意味ではフィーネと同じ道を歩んでいそう……





「そのような世迷い言ッ!!」
「血を流し命を礎としてきた先達に顔向けできぬと何故理解わからぬッ!!!」


このジジイ、パワーとテクニックだけではない。
九字を切ることでエンチャントファイアまで使いこなす。
何もかもを備えているなー……
全パラメーターに全力で数字を振っている。

そして、父祖たちへのリスペクトを漂わせる叫びである。
WW2を経験した訃堂は命を散らして国を守ろうとし、それでも大望を果たせなかった防人を数多く知っているのだろう。
その無念を思えば道に外れようと護国のために奮起するのも道理か。
訃堂はただ強い。ただ強いのだがそれに見合うだけの妄執と重さを背負っているし、それだけ重いのならば強くない方がおかしい。
さすが善悪を越えた正義で動く男よ……







剣で勝てないのなら自身は翼。
翼の羽ばたきで剣を越えた羅刹零ノ型!
まぁ、カットインないからわからないけどこの炎を纏っての高速回転は羅刹零ノ型デスよね。
哲学を越えた一閃であったがそれさえも訃堂には通じない。
かつてのライバルを通じた必殺技の数々を訃堂は真っ向打ち破っている。ジジイヤベえ。




「――散華せよッ!!!」

そして、トドメの上段である。
訃堂は翼の持つ全てを打ち破った。
個としての強さでは訃堂が圧倒しているのだ。
マリアさんも全身複雑骨折で気絶しているし、未成年装者たちは発令所にいるし、もぅまぢむり……





「ま、間に合ったのかッ!!」

だが、装者には手を繋ぐことで得られる強さがある。
承認が降りて大手を振って使えるようになったアマルガム!!
絶対の防御を誇るコクーンはさすがの訃堂でも打ち砕けない。
訃堂の圧倒的な個に対し装者は全で立ち向かうのであった。
そして、このアマルガムの承認のために八紘は奔走したことは想像に難くない。
父が遺した置き土産が娘の命を救ったのか……




「お父様ァアアァアアッ!!!」

アマルガムは父の努力の賜物であることを知って知らずか、翼は叫んだ。
あるいはこの叫びは……目の前の父に向けられた叫びかもしれない。
翼に渦巻く感情の全てが込められた叫びであった。





イマージュで具現化されたアームドギアは七支刀!
左右に分かれた刃が片方に集まり翼を為す。
翼にとって剣=翼であることを物語るアームドギアである。
アマルガムは響といい巨大アームドギア路線のようだ。
極端な攻撃特化=巨大化ってわかりやすいデース。
にしても、XVの翼さん、あまり剣と言っていないんデスよね。
馬鹿みたいに防人防人言っているくせに……






「我が命にも等しき叢雲がッ!!?」

この一撃に訃堂はついに戦慄、受け止めるのだがついにその剣、叢雲が折れる。
怪物のノーブルレッドが圧倒されシェム・ハ(幼生体)を貫いたアマルガムの一撃を剣一本と引き換えに受け止められるのはどうかしてるが、曰く命に等しき剣が折れた。
ボキボキにへし折られた翼に折れぬよう鍛え上げた訃堂の剣がへし折られた……象徴的である。

あと叢雲、連想するのは天羽々斬と関係のある天叢雲剣である。
天羽々斬を使って大蛇を退治、その後、大蛇の中から見つかったのが天叢雲剣である。
その折りに天羽々斬は天叢雲剣とぶつかって欠けている。
雑な解釈だが天叢雲剣は天羽々斬よりも強い。
まぁ、そんな曰く関係なしに叢雲はただの立派な剣だと思いますがね!
曰くも何もなしにただ強いから強いのが訃堂。その訃堂が振るう剣もただ立派な剣だろうて。






「この国に必要なのは防人ではなく護国の鬼ッ!!」

剣を折っても勝負は決まらない。
翼は鬼の形相で迫る。
それに対して訃堂もまた鬼の形相で笑い脱ぐ。
このジジイ、服の下も筋肉ムキムキマッチョマン。
そりゃ訃堂と互角のフィジカルを持っているのだからムキムキですよねー……
訃堂は強さに説得力がありすぎて困る。

訃堂は胸に大きな傷がある。
おそらくは斬られた傷跡だろう。
これは護国の証なのは疑いようもない。
外道なれど真の防人。真の防人ならば国を守護った事実がある。
だからこそ、八紘も認める真の防人なのだろう……






「儂は死んで護国の鬼とならんッ!!」
「そして、お前も――」


「剣よ――ッ!!!」

「護国の鬼よォオオォォオッ!!!」

唄いながらだから噛み合っていないな、お前ら。
風鳴訃堂、まさに護国の鬼。
国を守れるのなら、翼を鬼とできるのならばこの命も捧げる覚悟である。
圧倒的な正義の下に動いている。ホントブレない。
翼にとって外道とはいえ家族。それでいて父。
それを殺した時、翼はもはや鬼になるしかなく……
されど、鬼になる覚悟で剣を振るう以上は――





「そこまでだ、翼」
「お前まで鬼と堕としてしまえば俺は兄貴に顔向けができん」


その鬼の剣を弦十郎が身を呈して止める。
弦十郎は訃堂に甘さ故に負けた。
それは覆すことのできない事実である。
だが、強さは弦十郎の本質ではない。子を守る姿にこそOTONAの本質がある。
弦十郎は訃堂を止めるために戦うばかりでなく、鬼となろうとした翼を止めるためにも生きたのだった。
……にしてもこれって寸止め?
それとも発勁で受け止めた?
後者でも俺は納得する。だって弦十郎だもん。OTONAだもん。





弦十郎に止められたことで激情を忘れさせるだけの悲しみを思い起こし、翼は泣いた。
翼は自身を見失い泣き、八紘を失い泣き、そして、今また泣いた。
1話に3度泣いた。新記録更新である。
その泣き方が全部異なるのが最高にシンフォギア……中の人の圧倒的な作品への理解……






「地震……この鳴動は……」

「いえッ! あれを――」

「何なんだ、こいつは……ッ!!!」

全身複雑骨折したマリアさん、目覚める。
死んではいなかったようだ。よく生きてたね、君。
そこで光の柱がそそり立つ。
全員が驚愕する異常事態だ。
どうみても神の所業。あとお爺ちゃん、凹んでいないで責任取って。




「行くのか」

「うん、行かなきゃ」

さて、アマルガムの制限解除と共に謹慎も解けたのか、響に本部へ赴くように通信が入る。
道に迷って洸のアパートを訪れた響だったが、洸と話す中で道は定まったようだ。
強い言葉で子に道を示せど迷わせるばかりの訃堂と、弱い言葉であり子に道も示せなかったが迷いをなくした洸と対照的である。
父の名を冠する話だけあり、壮絶な八紘の生き様と壮絶な訃堂との決戦が目立つが、たしかに洸もその存在を示すのであった。






「なあ、響」
「へいき、へっちゃらだ」


「へ?」

「何もしてやれないダメな父親が娘にかけてやれる唯一の言葉だ」
「同じ言葉でも根性なしの俺には呪いへと変わっていった」
「だけど、お前は違うだろ」


「お父さん……」

へいきへっちゃらは洸にとっては呪いかもしれないが……響にとっては自分を支える大切な言葉であった。
何かいまいちで頼りない洸だがその言葉は真理は突いていた。
今の洸は自分がダメな父親だと理解しているが、響にとっては大切な父親であることも理解している。
だからこそ、逃げずに響と向き合ったのだろう。
……ちょっと投げたけどね。まぁ、そこは洸だからね。






「物事を呪いと取るか祝福と取るかなんて気の持ちよう一つだ」

「呪い……うん、そうだね」

「『呪』いも『祝』福も漢字で書くとよく似てるだろ?」
「裏と表で……」
「俺の言ってることもあながち間違いじゃないかもなッ!!」


「何それッ!」

呪いもまた祝福。
それは未来の手を掴めない神殺しの拳は呪いではないと言っているようだった。
でも、絶対に考えていない。考えなしが洸だし。
そこはブレない。訃堂もブレないが洸もブレない。
それでも……この言葉は響にとっては間違いなく救いであり可能性であっただろう。

そして、シンフォギア世界の呪いと言ったらバラルの咒詛。
人類の相互理解を阻む呪い。
もしかしたらバラルの祝福だった……?
人類に可能性をもたらすための祝福……?
何か暫定カストディアン代表のシェム・ハさんが月を忌々しい言っているし……



「来年の今頃にはきっと名言だッ!」

「けだし名言だよッ!!」

劇場版は来年って予告デスかね?
洸、ダメなくせにさっきから確信に迫りそうなことばかりを言いやがる……




「行けぇッ! 響ぃッ!!」
「お母さんのことは任せろぉッ!!」


「ありがとう、お父さんッ!」
「ラーメン美味しかったッ!!」


そして、響は駆け出す。
響はいつだって隣人のささやかな一言で道を見出す。
その役割をXVでは恒例の未来さんではなく洸が担当した。
ところでアンタにはお母さん、任せにくいのですが……
それでも逃げ出さない意を伝えるには十分な言葉であった。
言い忘れていたラーメンへの感謝を、父の心遣いへの嬉しさを表しつつ響は駆け出すのだった。
次回へ続く!!




月ぃ! 動いているじゃねえか!!
あー……あの光の柱って月遺跡の起動が影響しているんデスね……
忌々しいと言うわりにはシェム・ハは起動させることができるようだ。
ついに謎に包まれたUMA、カストディアンの生態と歴史に触れる時が来るのだった……
次回へ続く。